消費税の納税額シミュレーション:原則課税・簡易課税・2割特例・3割特例を比較

1年間の課税売上と課税仕入れ等(いずれも税込)を入れると、消費税と地方消費税を合わせた納付税額を、原則課税(一般課税)・簡易課税・2割特例・3割特例の4つの方法で比べられます。計算は申告書と同じ順序で行い、課税標準額の千円未満と、差引税額・地方消費税の百円未満を切り捨てます。結果は概算で、実際にどの方法を使えるかは届出や要件によって決まります。税込価格と税抜価格の変換や、10%・8%の計算式は、消費税の計算方法(計算式と早見表)で説明しています。

納税額を比べる(シミュレーション)

消費税の納税額シミュレーション

【確定】令和8年度税制改正への対応(2026年9月26日時点)

2割特例は、2026年9月30日を含む課税期間(個人事業者は令和8年分)で終わります。個人事業者は、要件を満たせば令和9年分と令和10年分に3割特例を使えます。このシミュレーションは、試算する課税期間に応じて、どちらの特例を比べるかを切り替えます。

【予定・法案未成立】飲食料品の消費税率を1%にする案は、法案が成立していないため反映していません。

目次
  1. 納税額を比べる(シミュレーション)
  2. 計算の手順と端数処理
  3. 4つの方法の違いと、使える課税期間
  4. 消費税の申告・納付と届出の期限
  5. よくある質問
  6. 出典・参考資料

計算の手順と端数処理

このシミュレーションは、次の手順で計算しています。売上税額・仕入税額とも、税率ごとの合計額から計算する割戻し計算です。端数処理のうち、課税標準額の千円未満と差引税額・地方消費税の百円未満の切捨ては法令で決まっているものです。計算途中の1円未満は、国税庁の「2割特例用 確定申告の手引き」の付表6と同じく切り捨てています。

手順計算端数処理根拠
① 課税標準額税込の課税売上 × 100/110(8%の分は100/108)。税率ごとに計算千円未満切捨てNo.6383、No.6371
② 売上税額(国)① × 7.8%(8%の分は6.24%)1円未満切捨てNo.6351
③ 差し引く税額原則課税:税込の課税仕入れ等 × 7.8/110(8%の分は6.24/108)
簡易課税:② × みなし仕入率
2割特例:② × 80%
3割特例:② × 70%
1円未満切捨てNo.6351、No.6505、2割特例用の手引き(PDF)、インボイスQ&A 問114-2(PDF)
④ 差引税額(国)② − ③百円未満切捨てNo.6371、国税通則法119条1項
⑤ 地方消費税④ × 22/78百円未満切捨て地方税法72条の83、20条の4の2第3項
⑥ 納付税額④ + ⑤――
  • 原則課税で③が②を上回る場合は還付になります。このときは④⑤の百円未満の切捨てをせず、地方消費税の還付額は1円未満を切り捨てた目安の額を表示します。
  • インボイスや帳簿に書いた税額を積み上げる積上げ計算、返品・値引き・貸倒れ、中間納付、インボイスのない仕入先からの仕入れ(経過措置)、2種類以上の事業がある場合の簡易課税の計算には対応していません。
  • 税率が10%と8%の2つの場合の計算です。【予定・法案未成立】飲食料品の1%の案は反映していません。

各手順の計算例と、割戻し計算と積上げ計算の違いは、消費税の計算方法の「事業者が納める消費税額の計算」で説明しています。

4つの方法の違いと、使える課税期間

【確定】2026年9月26日時点の法令等に基づく

方法納付税額(国)の出し方使える事業者・課税期間手続き
原則課税(一般課税)売上税額 − 仕入税額(実額)。仕入税額が多ければ還付すべての課税事業者届出は不要。請求書等と帳簿の保存が必要
簡易課税売上税額 − 売上税額 × みなし仕入率基準期間の課税売上高が5,000万円以下届出書を事前に提出(特例あり)。原則2年間は継続
2割特例売上税額 × 20%登録がなければ免税事業者になる課税期間。2026年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は令和8年分まで)届出は不要。確定申告書に付記
3割特例売上税額 × 30%登録がなければ免税事業者になる年分の個人事業者。令和9年分・令和10年分届出は不要。確定申告書に付記

地方消費税は、どの方法でも国の差引税額の22/78です。簡易課税・2割特例・3割特例は、売上税額から一定の割合を差し引く計算なので、通常、還付は生じません(インボイスQ&A 問117-3(PDF))。それぞれの要件と使えない課税期間は、簡易課税制度、2割特例はいつまで使えるか(個人・法人別)、3割特例(令和9年分・10年分の個人事業者)で説明しています。

課税期間ごとに使える特例

個人事業者(課税期間は1月1日〜12月31日)
年分使える特例(要件を満たす場合)確定申告・納付の期限
令和8年分(2026年)2割特例(最後の年分)2027年3月31日(水)
令和9年分(2027年)3割特例2028年3月31日(金)
令和10年分(2028年)3割特例(最後の年分)2029年4月2日(月)
令和11年分(2029年)以後なし(原則課税か簡易課税)令和11年分は2030年4月1日(月)

個人事業者の確定申告・納付の期限は翌年3月31日で、土曜日・日曜日に当たる年は翌月曜日です(No.6601、国税通則法10条2項)。曜日は当会で確認しました。

法人(課税期間は事業年度)
事業年度使える特例(要件を満たす場合)
2026年9月30日を含む事業年度まで2割特例(3月決算は2027年3月期、9月決算は2026年9月期、12月決算は2026年12月期まで)
2026年10月1日以後に開始する事業年度なし(原則課税か簡易課税。3割特例は法人は使えません)

出典は国税庁 2割特例のページ、国税庁 令和8年度税制改正特集、国税庁リーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(PDF)です。

計算例(当会試算)

個人事業者の令和9年分で、登録がなければ免税事業者になる年分(基準期間の課税売上高1,000万円以下)、税込の課税売上5,500,000円(10%のみ)、税込の課税仕入れ等2,200,000円(10%のみ)、第5種事業(サービス業)の場合です。売上税額(国)は、課税標準額5,000,000円 × 7.8% = 390,000円です。

方法差引税額(国)地方消費税納付税額
原則課税390,000 − 156,000(2,200,000 × 7.8/110)= 234,000円66,000円300,000円
簡易課税(第5種事業・50%)390,000 − 195,000 = 195,000円55,000円250,000円
2割特例令和9年分は使えません(令和8年分まで)
3割特例390,000 − 273,000 = 117,000円33,000円150,000円

この例では3割特例の納付税額が最も少なくなります。簡易課税の事業区分が第1種・第2種なら簡易課税、第3種なら3割特例と同額です(国税庁 インボイスQ&A 問117-3の考え方による)。

消費税の申告・納付と届出の期限

【確定】2026年9月26日時点の法令等に基づく

期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります(国税通則法10条2項)。納付の方法や、期限に遅れた場合の延滞税は、消費税の納付期限と延長で説明しています。

個人事業者

手続き期限
確定申告と納付翌年3月31日(令和8年分は2027年3月31日(水))
中間申告と納付(前年の消費税の年税額が48万円超400万円以下:年1回)8月31日(1月〜6月分)
中間申告と納付(400万円超4,800万円以下:年3回)5月31日(1月〜3月分)、8月31日(4月〜6月分)、11月30日(7月〜9月分)
中間申告と納付(4,800万円超:年11回)1月〜3月分は5月末日、4月〜11月分は各月の末日の翌日から2か月以内
消費税簡易課税制度選択届出書適用を受けたい年の前年12月31日まで(特例は下記)

個人事業者の課税期間は、1月1日から12月31日までの暦年です。中間申告の判定に使う年税額は、直前の課税期間の確定消費税額で、地方消費税を含みません。48万円以下なら中間申告は原則不要です(任意の中間申告制度があります)。出典はNo.6609、No.6601です。

法人(事業年度の末日が月末の場合)

決算月確定申告と納付確定申告の期限(延長特例を受けている法人)中間申告(年1回)の対象期間と期限
1月3月31日4月30日2月〜7月分:9月30日
2月4月30日5月31日3月〜8月分:10月31日
3月5月31日6月30日4月〜9月分:11月30日
4月6月30日7月31日5月〜10月分:12月31日
5月7月31日8月31日6月〜11月分:1月31日
6月8月31日9月30日7月〜12月分:2月末日
7月9月30日10月31日8月〜1月分:3月31日
8月10月31日11月30日9月〜2月分:4月30日
9月11月30日12月31日10月〜3月分:5月31日
10月12月31日1月31日11月〜4月分:6月30日
11月1月31日2月末日12月〜5月分:7月31日
12月2月末日3月31日1月〜6月分:8月31日

確定申告と納付の期限は、事業年度の末日の翌日から2か月以内です。消費税の確定申告の期限の延長特例の適用を受けている法人は、確定申告の期限が1か月延長されます。中間申告は、前事業年度の確定消費税額(地方消費税を含まない)が48万円超400万円以下なら年1回、400万円超4,800万円以下なら年3回、4,800万円超なら年11回で、それぞれ対象期間の末日の翌日から2か月以内が期限です。表の日付は、この決まりを当てはめて当会が計算したものです(No.6601、No.6609)。

簡易課税を選ぶときの届出期限

簡易課税を使うには、原則として、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄の税務署に出します。個人事業者は前年の12月31日まで、法人は前事業年度の末日までです(No.6505)。

2割特例か3割特例を使った課税期間の翌課税期間から簡易課税を使う場合は、その翌課税期間の確定申告期限までに届出書を出せば、その翌課税期間から使えます(翌課税期間が2026年10月1日以後に終わる場合。インボイスQ&A 問117-3(PDF))。例えば、令和8年分に2割特例を使った個人事業者が令和9年分から簡易課税を使う場合は2028年3月31日(金)まで、令和9年分に3割特例を使って令和10年分から簡易課税を使う場合は2029年4月2日(月)までです(曜日は当会で確認)。

よくある質問

このシミュレーションの結果は、実際に申告する税額と同じになりますか?

次のすべてに当てはまる場合に限り、申告する税額と同じになります。売上と仕入れがすべて入力した税率の課税取引であること、返品・値引き、貸倒れ、中間納付、インボイスのない仕入先からの仕入れがないこと、事業が1種類であることです。この条件のもとで、申告書と同じ順序と端数処理で計算しています(売上税額・仕入税額とも割戻し計算)。これらに当てはまらない場合は、実際の税額と異なります。〔国税庁 No.6351、No.6371〕

仕入れや経費の欄には、何を入れればよいですか?

消費税がかかる仕入れや経費(課税仕入れ等)の税込金額を、税率ごとに入れます。給与、土地の賃料(1か月未満の貸付けや駐車場などの施設の利用に伴うものを除く)、住宅の家賃、保険料、借入金の利子などは含めません。原則課税では、必要な請求書等と帳簿を保存し、全額を控除できるものとして計算します。〔消費税法2条1項12号、国税庁 No.6201〕

3割特例は法人も使えますか?

使えません。3割特例を使えるのは、インボイス発行事業者の登録を受けたこと、又は課税事業者選択届出書の提出により、免税事業者から課税事業者となった個人事業者で、令和9年分(2027年)と令和10年分(2028年)に限られます。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることなどの要件があります。〔国税庁 令和8年度税制改正特集、インボイスQ&A 問115-2〕

簡易課税と3割特例では、どちらの納付税額が少なくなりますか?

事業区分で決まります。3割特例の納付税額は売上税額の30%、簡易課税は売上税額×(1−みなし仕入率)です。事業が1種類なら、第1種・第2種事業は簡易課税、第3種事業は同額、第4種〜第6種事業は3割特例のほうが少なくなります。〔国税庁 インボイスQ&A 問117-3〕

還付を受けられるのはどの方法ですか?

仕入れにかかった消費税が売上にかかった消費税を上回る場合に還付が生じるのは、原則課税(一般課税)だけです。簡易課税・2割特例・3割特例は、売上税額から一定の割合を差し引いて計算するため、通常、還付は生じません。設備投資などで仕入れが多い年は、原則課税の結果も確認してください。〔国税庁 インボイスQ&A 問117-3〕

簡易課税を選ぶには、いつまでに届出が必要ですか?

原則として、適用を受けたい課税期間の初日の前日まで(個人事業者は前年の12月31日まで)に「消費税簡易課税制度選択届出書」を出します。2割特例か3割特例を使った課税期間の翌課税期間から簡易課税を使う場合は、その翌課税期間の確定申告期限までに出せばよいとされています(翌課税期間が2026年10月1日以後に終わる場合)。〔国税庁 No.6505、インボイスQ&A 問117-3〕

入力した金額は送信されますか?

計算はお使いのブラウザの中で行い、入力した金額は送信しません。「試算の結果をメールで受け取る」から申し込んだ場合に限り、メールアドレスなどと一緒に試算の結果が当会のメール配信の仕組みに送られます。

出典・参考資料

いずれも2026年9月26日時点の内容に基づきます。

国税庁 タックスアンサー

国税庁 インボイス制度・改正関係

財務省

法令(e-Gov法令検索)

改訂履歴

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2026年9月26日:全面改訂(3割特例の追加、申告と同じ端数処理での計算と計算過程の表示、8%の売上・仕入れの入力、個人事業者の課税期間(暦年)に合わせた申告・届出期限の表への差し替え、税込・税抜の変換は消費税の計算方法の計算機へ集約、構成の変更)

このシミュレーションと本ページの説明は、一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください(新宿で税金の相談をしたいとき:無料の公的な相談窓口)。

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