運輸・物流業の消費税とインボイス:軽油引取税15円の扱い、国際輸送の免税、外注ドライバーの70%控除
運輸・物流業の消費税は、軽油引取税の扱い、国際輸送の輸出免税、保険料、免税事業者への委託料の点で、ほかの業種と扱いが違います。この記事では、2026年9月26日時点の法令等に基づいて、運送業・倉庫業の事業者が申告や経理で確認する点を、当会の計算例とあわせてまとめています。
運輸・物流業で扱いを確認する4つの点【確定】
| 論点 | 扱い(2026年9月26日時点) |
|---|---|
| 軽油引取税 | 1Lあたり15.0円(2026年4月1日以後の引取りなど。3月31日までは32.1円)。元売業者・特約業者から買い、請求書や領収書で区分されていれば、その部分は消費税の課税標準に含まれず、仕入税額控除の対象にもなりません。 |
| 国際輸送 | 国内と国外にわたる貨物の輸送は輸出免税(税率0%)です。輸出する貨物でも、港や空港までの国内区間だけを請け負う運送は、原則として課税(10%)です。 |
| 保険料 | 自賠責保険・任意保険・運送保険の保険料は非課税で、仕入税額控除の対象外です。事故で受け取る保険金は課税の対象外(不課税)です。 |
| 外注ドライバー | 70%(免税事業者などインボイス発行事業者でない相手への委託料、2026年10月1日〜2028年9月30日に完了した運送の分。9月30日までの分は80%)。インボイスがなくてもこの割合を控除できます。 |
簡易課税では、運送業・倉庫業などの運輸業は第5種事業(みなし仕入率50%)です(簡易課税の事業区分と車両の買替え)。個人ドライバーの2割特例は2026年分まで、3割特例は2027年分・2028年分です(個人ドライバー側の申告)。
【確定】2026年に施行された改正と、10月1日からの改正(2026年9月26日時点)
- 2026年1月1日:下請法が改正され、題名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)になりました。対象取引に「特定運送委託」(製造などの目的物の引渡しに必要な運送の委託)が加わり、協議に応じない一方的な代金決定が禁止されました(公正取引委員会 取適法リーフレット(PDF))。
- 2026年4月1日:軽油引取税の当分の間税率(旧暫定税率)が廃止されました。税率は上表のとおりです(東京都主税局)。
- 2026年10月1日:免税事業者などからの課税仕入れの経過措置で控除できる割合が下がります(割合は上表のとおり)。同日以後に開始する課税期間からは、同じ仕入先からの課税仕入れが年1億円を超える部分に、経過措置を使えません(国税庁リーフレット(PDF))。
- 2割特例は2026年9月30日を含む課税期間で終わります。個人事業者は、要件を満たせば2027年分・2028年分に3割特例を選べます(法人は対象外)。
インボイス関係の改正は、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号。2026年3月31日成立)によるものです(財務省 第221回国会提出法律)。
目次
運輸・物流業の取引と消費税の区分
【確定】消費税では、取引を課税、免税(輸出免税)、非課税、課税の対象外(不課税)に分けます。運輸・物流業でよく出てくる取引を分けると、次のとおりです。仕入れ側の区分によって控除できる額が変わるのは一般課税で申告する場合で、簡易課税・2割特例・3割特例では、納付税額は売上げの消費税額から計算します。
| 取引 | 区分 | 根拠 |
|---|---|---|
| 国内の運送料・保管料・荷役料 | 課税(10%) | 消費税法4条 |
| 運賃に加えて受け取る燃料サーチャージ | 運送の対価の一部。国内の運送なら課税、国際輸送の運賃の一部なら免税 | 消費税法28条1項 |
| 国内と国外にわたる貨物の輸送(国際輸送) | 免税 | 消費税法7条1項3号 |
| 外国貨物の荷役・運送・保管 | 免税 | 消費税法施行令17条2項4号 |
| 事業に使っていた車両の売却・下取り | 課税(簡易課税では第4種事業) | No.6509、手引き |
| 受取利息、従業員に社宅として貸す住宅の家賃 | 非課税 | No.6201 |
| 保険金・共済金、損害賠償金(原則)、補助金・助成金 | 課税の対象外(不課税) | No.6157 |
| 支払い | 一般課税での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 軽油の本体価格とその消費税、ガソリン代(揮発油税などを含む全額) | 課税仕入れ | No.6313 |
| 軽油引取税(元売業者・特約業者が区分して請求したもの) | 課税仕入れにならない | No.6313 |
| 車両・荷役機器の購入、修理・整備、タイヤ・部品 | 課税仕入れ | 手引き |
| 高速道路料金 | 課税仕入れ(ETCの利用証明書などの保存が必要) | インボイスQ&A 問103 |
| 傭車費、個人ドライバーへの委託料(請負) | 課税仕入れ(インボイスが必要。ない場合は経過措置) | 消費税法30条7項、インボイスQ&A 問113 |
| 従業員ドライバーの給与 | 課税仕入れにならない(通勤手当は課税仕入れ) | No.6157、手引き |
| 自賠責保険料・任意保険料・運送保険料 | 課税仕入れにならない(非課税) | No.6201、手引き |
| 自動車重量税などの税金、車検の検査・登録の手数料 | 課税仕入れにならない | No.6201、手引き |
「No.」は国税庁のタックスアンサーの番号です。「手引き」は、国税庁「令和7年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き 個人事業者用(一般用)」の課税売上げの説明と、46ページの科目別の課否判定表です。燃料サーチャージの行は、対価の額を課税標準とする消費税法28条1項に当てはめた当会の整理です。「傭車」は、自社の運送を他の運送会社の車両に委託することをいいます。
倉庫業・3PL契約に特有の論点
【確定】非課税になる不動産の貸付けは、土地だけをそのまま貸す土地の貸付け(貸付期間が1か月以上のもの)と、住宅の貸付け(同じく1か月以上)に限られます(消費税法別表第二、国税庁 タックスアンサー No.6226)。倉庫の建物や区画を貸す取引、棚・ラック・フェンスなどの設備を整えて貸す取引は、これらに当たらない施設の貸付けとして課税です。駐車場の使用料と同じ考え方で、地面の整備や建物の設置をして利用させる場合は消費税が課されます(国税庁 タックスアンサー No.6213)。
3PL(一括物流委託)契約のように、保管・荷役・仕分け・配送・通関手続きなどをまとめて請け負う契約も、その対価は原則として課税です。ただし、指定保税地域等にある輸出しようとする貨物や、輸入の許可を受ける前の外国貨物の荷役・運送・保管は免税になります(「国際輸送の輸出免税」の章で説明しています)。同じ倉庫で国内向けの保管と輸出入貨物の保管を両方行っている場合は、契約や請求書で対象の貨物ごとに対価を区分しておくと、免税と課税の判定がしやすくなります(当会の整理)。
軽油引取税:2026年4月から1Lあたり15円、消費税の対象外になる条件
税率は1klあたり15,000円(2026年4月1日から)
【確定・2026年4月1日施行】軽油引取税の当分の間税率(旧暫定税率)は、2026年4月1日に廃止されました(財務省「令和8年度税制改正の大綱」、東京都主税局「軽油引取税の当分の間税率(旧暫定税率)の廃止について」)。
| 対象 | 1klあたり | 1Lあたり |
|---|---|---|
| 2026年3月31日までの引取りなど | 32,100円 | 32.1円 |
| 2026年4月1日以後の引取りなど | 15,000円 | 15.0円 |
1Lあたりの額と、引下げ幅の1Lあたり17.1円は、当会で換算しました。
軽油引取税は都道府県の税で、元売業者または特約業者から軽油を現実に引き取った人などに課されます。元売業者・特約業者(特別徴収義務者)は、代金と一緒に税金を預かり、1か月分をまとめて翌月末日までに申告して納めます(東京都主税局「軽油引取税」)。運送事業者は、軽油を買う側として軽油引取税を負担しています。
消費税では、区分されていれば課税標準に含まれない
【確定】国税庁のタックスアンサー No.6313と消費税法基本通達10-1-11は、個別の税金を次のように分けています。
| 税金 | 消費税の課税標準(買う側の課税仕入れ) | 理由 |
|---|---|---|
| 揮発油税(ガソリン税)、石油石炭税、酒税、たばこ税など | 含まれる。ガソリン代は、これらの税を含む支払額の全体が課税仕入れ | メーカーなどが納税義務者で、販売価格の一部になっている |
| 軽油引取税 | 請求書や領収書で相手方に明らかにし、明確に区分している場合は含まれない。その部分は課税仕入れにならない | 利用者などが納税義務者になっている |
次の場合は、軽油引取税の部分も課税標準に含まれます(No.6313)。
- 軽油引取税に相当する金額が明確に区分されていない場合
- 特別徴収義務者に当たらないサービス・ステーション等が販売する場合(特約店等から販売の委託を受けたサービス・ステーション等が販売する場合は、課税標準に含まれません)
このため、軽油の請求書や領収書で、本体価格、消費税、軽油引取税が分かれているかを確認します。会計ソフトでは、軽油引取税の部分を「対象外(不課税)」などの区分で入力し、本体価格と消費税の部分と分けて記帳します。酒税などが課税標準に含まれる理由は、酒税の解説の「酒税は消費税の課税標準に含まれる」でも説明しています。
当会の計算例(架空の設例):軽油500Lを買った場合
軽油500Lを、本体価格1Lあたり130円(消費税と軽油引取税を除いた価格で、説明のための仮の単価です)で特約業者から買い、請求書で内訳が区分されている場合です。
| 内訳 | 計算 | 金額 | 一般課税での扱い |
|---|---|---|---|
| 本体価格 | 500L × 130円 | 65,000円 | 課税仕入れ |
| 消費税(10%) | 65,000円 × 10% | 6,500円 | 控除の計算に入れる |
| 軽油引取税 | 500L × 15円 | 7,500円 | 課税仕入れにならない |
| 支払額の合計 | 65,000 + 6,500 + 7,500 | 79,000円 |
一般課税で控除の計算に入れる課税仕入れの額(税込)は71,500円で、国の消費税分は71,500円 × 7.8/110 = 5,070円です。軽油引取税の7,500円は入れません。同じ500Lを2026年3月31日以前に引き取っていれば、軽油引取税は500L × 32.1円 = 16,050円で、今より8,550円多くなります。
荷主から受け取る燃料サーチャージ
運賃に加えて受け取る燃料サーチャージは、運送の対価の一部です。国内の運送なら課税、国際輸送の運賃の一部なら免税で、運賃本体と同じ扱いになります(消費税法28条1項)。No.6313で課税標準に含めないとされているのは、特別徴収義務者が利用者から預かる軽油引取税そのものです。運送事業者が燃料費の変動分などの名目で運賃に上乗せする金額は、これに当たりません(当会の整理)。
国際輸送の輸出免税:免税になる輸送とならない輸送
【確定】国内と国外にわたって行われる貨物の輸送は、消費税が免除されます(消費税法7条1項3号)。免税の売上げには消費税がかかりませんが、その売上げのための仕入れの消費税は控除できます。輸出免税が適用されるのは課税事業者の取引で、免税事業者の取引には適用されません(同項)。どの輸送が免税になるかは、消費税法基本通達 第7章第2節で次のように整理されています。
| 輸送・作業 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 日本から外国へ、外国から日本への貨物の輸送(国際輸送) | 免税 | 消費税法7条1項3号、基通7-2-1(3) |
| 国際輸送の一部として行う国内区間の輸送で、国際輸送の契約でその一環であることが明らかにされているもの | 免税 | 基通7-2-5 |
| 輸出する事業者(荷主)から、工場から港・空港までの国内の運送だけを請け負うもの | 課税 | 基通7-2-2(2) |
| 外国貨物(輸出の許可を受けた貨物と、外国から到着して輸入の許可を受ける前の貨物)の荷役・運送・保管 | 免税 | 消費税法施行令17条2項4号、関税法2条1項3号 |
| 指定保税地域等にある、輸出しようとする貨物や輸入の許可を受けた貨物の荷役・運送・保管・通関手続など | 免税 | 消費税法施行令17条2項4号、基通7-2-13 |
| 輸入の許可を受けた貨物を、保税地域の外にある国内の倉庫や納品先へ運ぶ運送で、国際輸送の一環とされないもの | 課税 | 基通7-2-5 |
| 海外の荷主(非居住者)から請け負う、国内にある貨物の運送や保管 | 課税 | 基通7-2-16(1) |
| 国内で積んで国内で降ろす運送 | 課税 | 消費税法4条 |
「基通」は消費税法基本通達です。外国貨物の定義は関税法2条1項3号によります。指定保税地域等の中での作業と、そこから外へ運ぶ運送とで扱いが分かれることがあるため、契約と作業の内容で確認します。基通7-2-2(2)は「輸出取引を行う事業者に対して行う国内での資産の譲渡等」が輸出免税の対象にならないと定めるもので、運送を名指ししたものではありませんが、資産の譲渡等には役務の提供を含むため(消費税法2条1項8号)、国内区間だけの運送もこれに当たります。
同じ車両に輸出向けの貨物と国内向けの貨物を載せる場合も、免税かどうかは請け負った輸送ごとに、契約の内容で判定します。請求書と帳簿では、免税の運賃と課税の運賃を分けておきます。輸出取引全般の要件や還付の手続きは、輸出入と消費税で説明しています。
免税を受けるための帳簿・書類
【確定】国際輸送の免税を受けるには、次の事項を記載した帳簿または書類を整理し、その取引をした日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間、納税地などに保存します(消費税法施行規則5条1項3号、基通7-2-23(2))。
- 役務の提供をした年月日(課税期間内の一定の期間分をまとめて作る場合は、その期間)
- 提供した役務の内容
- 役務の提供の対価の額
- 相手方の氏名または名称と住所等
外国貨物の荷役・運送・保管などは、相手方との契約書その他の書類で、自社と相手方の氏名または名称・住所等、年月日、内容、対価の額が記載されたものを保存します(同項4号)。どちらも、法令は記載する事項を定めていて、書類の種類は指定していません。
課税売上割合:国際輸送の売上げは割合を下げない
【確定】一般課税では、課税期間の課税売上高が5億円以下で、課税売上割合が95%以上なら、課税仕入れの消費税を全額控除できます。どちらかに当てはまらない場合は、個別対応方式か一括比例配分方式で、課税売上げに対応する部分だけを控除します。課税期間が1年に満たない場合、5億円の判定は年換算した金額で行います(国税庁 タックスアンサー No.6401)。
- 国際輸送などの輸出免税の売上げは、分子と分母の両方に入ります(No.6405)。
- 受取利息や、従業員に社宅として貸す住宅の家賃などの非課税売上げは、分母だけに入ります。
- 保険金、損害賠償金、補助金などの不課税の収入は、分子にも分母にも入りません。
- 保険料などの支払いは、割合の計算に関係しません。
当会の計算例(架空の設例):国際輸送がある運送会社
3月決算の法人で、一般課税で申告する場合です。国内の運送収入(税込)2億2,000万円、国際輸送の運賃(免税)1億円、受取利息50万円、車両事故の保険金200万円、課税仕入れ(税込)1億1,000万円(インボイス発行事業者への傭車費7,700万円、軽油引取税を除く軽油代2,750万円、修理費など550万円)とします。
| 手順 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| ① 課税売上高(税抜) | 220,000,000 × 100/110 + 100,000,000 | 300,000,000円 |
| ② 総売上高 | 300,000,000 + 500,000(受取利息。保険金は入れない) | 300,500,000円 |
| ③ 課税売上割合 | ① ÷ ② | 約99.8% |
| ④ 課税標準額 | 220,000,000 × 100/110(免税の運賃は入れない。千円未満切捨て) | 200,000,000円 |
| ⑤ 消費税額 | 200,000,000 × 7.8% | 15,600,000円 |
| ⑥ 控除対象仕入税額 | 110,000,000 × 7.8/110(③が95%以上、①が5億円以下なので全額) | 7,800,000円 |
| ⑦ 差引税額 | 15,600,000 − 7,800,000(百円未満切捨て) | 7,800,000円 |
| ⑧ 地方消費税 | 7,800,000 × 22/78(百円未満切捨て) | 2,200,000円 |
| ⑨ 納付額 | ⑦ + ⑧ | 10,000,000円 |
仕入れの消費税は、税込の仕入額から割り戻して計算しています。申告での計算の手順は、消費税の計算方法の「事業者が納める消費税額の計算」で説明しています。
仕入れが同じで、国内の運送収入(税込)が5,500万円、国際輸送の運賃が2億5,000万円だった場合は、⑤の消費税額が3,900,000円、⑥の控除対象仕入税額が7,800,000円になり、控除しきれない3,900,000円と地方消費税分の1,100,000円(3,900,000 × 22/78)、合計5,000,000円が還付されます。課税売上割合は同じ約99.8%です。還付を受けられるのは一般課税で申告した場合です。簡易課税・2割特例・3割特例では、控除する額を売上げの消費税額に一定の割合を掛けて計算するため、原則として還付にはなりません。
保険料・保険金・車検費用の扱い
【確定】保険料を対価とする役務の提供は非課税です(国税庁 タックスアンサー No.6201)。事故で受け取る保険金や共済金は、資産の譲渡などの対価ではないため、消費税の課税の対象外(不課税)です(No.6157)。
| 支払い・受取り | 区分 | 一般課税での扱い |
|---|---|---|
| 自賠責保険料、任意保険(自動車保険)の保険料 | 非課税 | 課税仕入れにならない |
| 運送する貨物にかける保険(運送保険)の保険料 | 非課税 | 課税仕入れにならない |
| 車両事故などで受け取る保険金・共済金 | 課税の対象外(不課税) | 売上げにも、課税売上割合の計算にも入れない |
| 事故の相手方などから受け取る損害賠償金 | 原則として課税の対象外(不課税) | 同上(損害を受けた棚卸資産を、そのまま使える状態で加害者に引き渡す場合などは課税) |
| 荷物の事故などで荷主に支払う損害賠償金 | ― | 課税仕入れにならない |
| 車検の自動車重量税 | 税金 | 課税仕入れにならない |
| 車検の検査・登録の手数料(法令に基づく行政手数料) | 非課税 | 課税仕入れにならない |
| 整備・部品代、事故車の修理代、車検の代行手数料 | 課税 | 課税仕入れ(インボイスの保存が必要) |
根拠:No.6201(保険料、印紙、国等が法令に基づいて行う検査・登録などの手数料)、No.6157(保険金・共済金、損害賠償金)、国税庁「令和7年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き 個人事業者用(一般用)」46ページの科目別の課否判定表(租税公課、損害保険料、運送保険料、行政手数料、損害賠償金、修繕費)。
保険料が多くても、課税売上割合は売上げだけで計算するため、割合は変わりません。保険料・税金・行政手数料を課税仕入れに含めて控除すると、控除のしすぎになります。
外注ドライバー・傭車先との取引とインボイス
【確定】一般課税で傭車費や個人ドライバーへの委託料の消費税を控除するには、原則として、相手方が交付したインボイス(適格請求書)と帳簿の保存が必要です(消費税法30条7項)。相手方がインボイス発行事業者でない場合は、次の経過措置の範囲で控除します。インボイス制度の全体はインボイス制度の概要で説明しています。
免税事業者などからの仕入れの経過措置(2026年10月から70%)
【確定・2026年10月1日施行】インボイス発行事業者以外の者(消費者、免税事業者、登録を受けていない課税事業者)からの課税仕入れは、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等と、経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存すれば、仕入税額相当額の一定割合を控除できます(インボイスQ&A 問113)。
| 仕入れた日(役務は完了した日) | 控除できる割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日以後 | 0%(控除できない) |
- 割合を判定する日:支払日ではなく、課税仕入れを行った日です。役務の提供を受けた場合は、原則として、約した役務の全部が完了した日になります(インボイスQ&A 問113-3)。たとえば、2026年9月中に完了した運送の委託料を10月に支払う場合は80%、10月1日以後に完了した運送は70%です。
- 帳簿:通常の記載事項に加えて、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を記載します(国税庁のQ&Aの例は「80%控除対象」「免」など)。
- 請求書等:書類の作成者の氏名または名称、取引の年月日、取引の内容、税率ごとに合計した税込価額、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称が必要です。
- 1億円の上限:2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、一の仕入先からの経過措置の対象となる課税仕入れの合計額が、その年またはその事業年度で税込み1億円を超える場合、超えた部分に経過措置を使えません(改正前は10億円)。個人事業者の課税期間は暦年(1月1日開始)なので、この上限が実際にかかるのは2027年分からです。
判定日の考え方や帳簿の書き方は、免税事業者等からの仕入れの経過措置(80%・70%・50%・30%と1億円上限)で詳しく説明しています。
当会の計算例(架空の設例):未登録の個人ドライバーへの委託料
3月決算の法人(一般課税)が、インボイス発行事業者でない個人ドライバーに、毎月550,000円(税込み)の委託料を支払っている場合です。運送は毎月末までに完了し、翌月に支払うものとします。
| 区分 | 1か月あたりの控除額(国の消費税分) | 事業年度の合計 |
|---|---|---|
| インボイス発行事業者に同じ額を支払った場合 | 550,000 × 7.8/110 = 39,000円 | 468,000円 |
| 2026年9月30日までに完了した分(80%) | 39,000 × 80% = 31,200円 | ― |
| 2026年10月1日以後に完了した分(70%) | 39,000 × 70% = 27,300円 | ― |
| 2026年4月〜2027年3月の事業年度(80%が6か月、70%が6か月) | 31,200 × 6 + 27,300 × 6 | 351,000円 |
この事業年度では、インボイスがある場合より、国の消費税分で117,000円、地方消費税を含めた目安で150,000円、控除が少なくなります。支払額が同じなら、12か月すべてが同じ割合の期間に入る年の控除額(国と地方の合計の目安)は、次のとおりです。
| 割合 | 控除できる額 | 控除できない額 |
|---|---|---|
| インボイスがある場合(100%) | 600,000円 | 0円 |
| 70% | 420,000円 | 180,000円 |
| 50% | 300,000円 | 300,000円 |
| 30% | 180,000円 | 420,000円 |
| 0%(2031年10月1日以後) | 0円 | 600,000円 |
当会の計算です。国の消費税分は「税込の支払額 × 7.8/110 × 割合」、国と地方の合計の目安は「税込の支払額 × 10/110 × 割合」で計算しています(年間の支払額6,600,000円 × 10/110 = 600,000円)。1億円の上限には届かない金額です。
取引条件を見直すときの注意(独占禁止法・取適法)
【確定】財務省・公正取引委員会・経済産業省・中小企業庁・国土交通省の「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(2026年1月30日改正。公正取引委員会の掲載ページ)は、次の考え方を示しています。
- 控除が制限される分について再交渉し、免税事業者の仕入れや経費にかかる消費税も考えたうえで、双方が納得して取引価格を決めれば、結果として価格が下がっても独占禁止法上の問題にはならない。
- 再交渉が形式的なもので、買い手の都合だけで著しく低い価格にし、免税事業者が仕入れの際に支払った消費税も払えないような価格にすると、優越的地位の濫用として問題になる。
- 取適法の対象になる取引で、仕入先の責めに帰すべき理由がないのに発注時に決めた代金を減らすことは、禁止されている代金の減額として問題になる。仕入先が免税事業者であることは、その理由に当たらない。
- 取引先に課税事業者になるよう要請すること自体は問題ないが、ならなければ価格を引き下げる、取引を打ち切るなどと一方的に通告することは、問題になるおそれがある。
取適法の対象になるかどうかは、取引の内容と、委託する側・受託する側の資本金または従業員数で決まります。運送の再委託などの役務提供委託に加えて、2026年1月1日からは特定運送委託も対象取引になりました(公正取引委員会「取適法・振興法」)。
給与か外注費か
【確定】雇用契約またはこれに準ずる契約に基づいて支払う給与は、課税仕入れになりません。請負による報酬は、課税仕入れになります。どちらに当たるかは、雇用契約またはこれに準ずる契約に基づく対価かどうかで判定し、明らかでないときは次の点を総合して判定します(消費税法基本通達1-1-1)。
- その契約に係る役務の提供の内容が、他人が代わって行えるものかどうか
- 役務の提供に当たり、事業者の指揮監督を受けるかどうか
- まだ引渡しを終えていない完成品が不可抗力で滅失した場合などでも、既に提供した役務に係る報酬を請求できるかどうか
- 役務の提供に係る材料や用具などを供与されているかどうか
個人ドライバー側の申告:2割特例・3割特例・簡易課税
【確定】個人事業者のドライバーが消費税の申告で使える方法は、要件によって次のとおりです(国税庁 令和8年度税制改正のリーフレット、No.6505)。
| 方法 | 使える年分・主な要件 | 納付税額(国の消費税分)の計算 |
|---|---|---|
| 2割特例 | 2026年分まで。インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者で、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下など | 売上げの消費税額 × 20% |
| 3割特例 | 2027年分・2028年分(個人事業者のみ)。免税事業者がインボイス発行事業者になったこと、または課税事業者選択届出書を出したことで免税事業者でなくなる年分に限る | 売上げの消費税額 × 30% |
| 簡易課税(第5種事業) | 基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、届出書を出している | 売上げの消費税額 × (1 − 50%) |
| 一般課税 | 要件なし | 売上げの消費税額 − 仕入れの消費税額 |
2割特例の要件と使えない課税期間は消費税の2割特例はいつまで、3割特例は3割特例とは、事業区分は簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率で説明しています。
当会の計算例(架空の設例):個人の軽貨物ドライバー
インボイス登録を機に課税事業者になった個人の軽貨物ドライバーで、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合です。1年間の運送収入(税込)は6,600,000円、ガソリン車を使い、課税仕入れ(税込)は、ガソリン代660,000円、修理・部品・タイヤ220,000円、高速道路料金99,000円、通信費88,000円の合計1,067,000円とします。自動車保険の保険料は非課税なので入れません。
課税標準額は6,600,000 × 100/110 = 6,000,000円、売上げの消費税額は6,000,000 × 7.8% = 468,000円です。
| 方法 | 控除する額 | 差引税額 | 地方消費税 | 納付額 |
|---|---|---|---|---|
| 一般課税 | 75,660円 (1,067,000 × 7.8/110) | 392,300円 | 110,600円 | 502,900円 |
| 簡易課税(第5種) | 234,000円 (468,000 × 50%) | 234,000円 | 66,000円 | 300,000円 |
| 2割特例(2026年分まで) | 374,400円 (468,000 × 80%) | 93,600円 | 26,400円 | 120,000円 |
| 3割特例(2027年分・2028年分) | 327,600円 (468,000 × 70%) | 140,400円 | 39,600円 | 180,000円 |
差引税額(468,000 − 控除する額)と地方消費税(差引税額 × 22/78)は、百円未満を切り捨てています。
この設例では、2026年分は2割特例が最も少なく、2027年分・2028年分は3割特例(180,000円)が簡易課税(300,000円)より少なくなります。運輸業の簡易課税は第5種(みなし仕入率50%)なので、仕入れの額にかかわらず、3割特例のほうが納付税額は少なくなります。一般課税のほうが少なくなるのは、仕入れの消費税額が売上げの消費税額の70%(2割特例の年は80%)を超える場合で、車両の購入などで還付が見込まれる年がこれに当たります。
2026年分に2割特例を使い、2027年分から簡易課税に移る場合は、2027年分の確定申告期限(2028年3月31日)までに簡易課税制度選択届出書を出せば、2027年分から適用できます(No.6505)。3割特例は事前の届出が不要で、確定申告書にその旨を付記して使います。
簡易課税の事業区分と車両の買替え
運送業・倉庫業は第5種事業(みなし仕入率50%)
【確定】簡易課税では、運輸通信業は第5種事業で、みなし仕入率は50%です(No.6505)。国税庁の質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-F電気・ガス・熱供給・水道業、G情報通信業、H運輸業、郵便業)」では、一般貨物自動車運送業、特定貨物自動車運送業、貨物軽自動車運送業、集配利用運送業、倉庫業(冷蔵倉庫業を含む)、港湾運送業、貨物運送取扱業、こん包業などが第5種事業とされています。簡易課税を選べるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間で、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出書を出した場合です(No.6505)。
事業に使っていた車両やフォークリフトを売却したときの売上げは、第4種事業(みなし仕入率60%)になります(No.6509)。2種類以上の事業の売上げがあるのに事業ごとに区分していない場合は、区分していない売上げに、その中で最も低いみなし仕入率が適用されます(No.6505)。車両の売却は、運賃と分けて記録します。
車両を下取りに出したとき
【確定】車両を買い替える際に古い車両を下取りに出しても、販売店は、新しい車両の代金から下取り価額を差し引いた金額を売上げにすることはできません(消費税法基本通達10-1-17)。下取りに出した側では、古い車両の売却は業務用資産の売却として課税売上げ(簡易課税では第4種事業)になり、新しい車両の購入は課税仕入れになります(国税庁の確定申告の手引き、No.6509)。差額だけを記帳しないようにします。
税抜1,000万円以上の車両を買う年の注意(高額特定資産)
【確定】簡易課税と2割特例のどちらも使わない課税期間(一般課税で申告する課税期間がこれに当たります)に、一の取引の単位で税抜1,000万円以上の棚卸資産や調整対象固定資産(高額特定資産)を仕入れると、次の制限がかかります(国税庁 タックスアンサー No.6502)。
- 仕入れた課税期間の翌課税期間から、仕入れた課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免税事業者になりません。
- 仕入れた課税期間の初日から、同日以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までは、簡易課税制度選択届出書を出せません。
| 事業年度 | 免税事業者になれるか | 簡易課税を使えるか |
|---|---|---|
| 2027年4月〜2028年3月(仕入れた年度) | ― | 使っていない(一般課税で申告した年度) |
| 2028年4月〜2029年3月 | なれない | 使えない |
| 2029年4月〜2030年3月 | なれない | 使えない(届出書はこの年度中から出せる) |
| 2030年4月〜2031年3月 | 基準期間の課税売上高で判定 | 前の年度中に届出書を出していれば使える(基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合) |
車両の購入で還付を受けるために一般課税を選ぶ場合は、この制限に加えて、簡易課税をやめるには、やめようとする課税期間の初日の前日までに不適用届出書を出す必要があること、簡易課税は原則として2年間続けてからでないとやめられないことも確認します(No.6505)。2割特例・3割特例は、申告のときに一般課税と比べて選べます。
日程の早見表(2026年〜2031年)
| 日付 | 内容 | 確定度 |
|---|---|---|
| 2026年1月1日 | 取適法の施行(特定運送委託の追加、協議に応じない一方的な代金決定の禁止など) | 確定・施行済み |
| 2026年4月1日 | 軽油引取税が1Lあたり15.0円に(当分の間税率の廃止) | 確定・施行済み |
| 2026年9月30日(水) | 経過措置80%の最後の日。2割特例は、この日を含む課税期間まで | 確定 |
| 2026年10月1日(木) | 経過措置が70%に。この日以後に開始する課税期間から1億円の上限 | 確定 |
| 2027年3月31日(水) | 個人事業者の2026年分の消費税の申告・納付の期限(2割特例を使える最後の年分) | 確定 |
| 2027年分・2028年分 | 個人事業者は、要件を満たせば3割特例 | 確定 |
| 2028年3月31日(金) | 2026年分に2割特例を使った個人事業者が、2027年分から簡易課税にする場合の届出期限 | 確定 |
| 2028年10月1日 | 経過措置が50%に | 確定 |
| 2030年10月1日 | 経過措置が30%に | 確定 |
| 2031年10月1日 | 経過措置が終わり、免税事業者などからの仕入れは控除できなくなる | 確定 |
法人の2割特例の最後の事業年度は決算月によって違います。決算月別の表は2割特例の決算月別の早見表にあります。
よくある質問
軽油引取税は今いくらですか。いつから変わりましたか。
2026年4月1日以後の引取りなどから、1klあたり15,000円(1Lあたり15.0円)です。当分の間税率(旧暫定税率)が廃止され、2026年3月31日までの1klあたり32,100円(1Lあたり32.1円)から下がりました。〔東京都主税局「軽油引取税の当分の間税率(旧暫定税率)の廃止について」〕
軽油代の消費税は、軽油引取税の部分も含めて控除できますか。
軽油引取税が区分されていれば、その部分は除いて控除します。元売業者・特約業者(その販売の委託を受けたサービス・ステーション等を含みます)が販売し、請求書や領収書で軽油引取税が明確に区分されていれば、その部分は消費税の課税標準に含まれず、課税仕入れになりません。区分されていない場合や、特別徴収義務者に当たらないサービス・ステーション等が販売する場合は、軽油引取税の部分も課税標準に含まれます。〔国税庁 タックスアンサー No.6313〕
ガソリン代の揮発油税も、軽油引取税と同じように対象外にできますか。
できません。揮発油税や石油石炭税は、メーカーなどが納税義務者となる税で、販売価格の一部になっているため、消費税の課税標準に含まれます。ガソリン代は、これらの税を含む支払額の全体が課税仕入れです。〔国税庁 タックスアンサー No.6313、消費税法基本通達10-1-11〕
輸出する貨物を工場から港まで運ぶ運賃は、免税になりますか。
輸出する事業者から国内区間の運送だけを請け負う場合は、原則として課税(10%)です。国際輸送の契約の中で、その国内輸送が国際輸送の一環であることが明らかにされている場合は、国際輸送として免税になります。輸出の許可を受けた後の貨物(外国貨物)の荷役・運送・保管は免税です。〔消費税法基本通達7-2-2・7-2-5、消費税法施行令17条2項4号〕
国際輸送の売上げが多いと、課税売上割合は下がりますか。
下がりません。輸出免税の売上げは課税売上高に含め、分子と分母の両方に入れます。割合を下げるのは受取利息などの非課税売上げで、保険金などの不課税の収入は計算に入れません。課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95%以上なら、仕入れの消費税を全額控除できます。〔国税庁 タックスアンサー No.6405・No.6401〕
自賠責保険や任意保険の保険料は、仕入税額控除できますか。
できません。保険料は非課税で、課税仕入れになりません。事故で受け取る保険金は課税の対象外(不課税)で、売上げにも課税売上割合の計算にも入れません。〔国税庁 タックスアンサー No.6201・No.6157〕
免税事業者の個人ドライバーに支払う委託料は、2026年10月からどれだけ控除できますか。
2026年10月1日から2028年9月30日までに完了した運送の分は、仕入税額相当額の70%です。9月30日までに完了した分は、支払いが10月以後でも80%です。区分記載請求書等と同様の事項が書かれた請求書等と、経過措置の適用を受ける旨を書いた帳簿の保存が必要です。〔インボイスQ&A 問113・問113-3〕
インボイスに登録していないドライバーに、控除できない分の値下げを求めてもよいですか。
双方が十分に協議し、納得して取引価格を決め直すことは問題ありません。ただし、再交渉が形式だけで一方的に著しく低い価格にしたり、取適法の対象になる取引で発注時に決めた代金を減らしたり、協議の求めに応じずに一方的に価格を決めたりすると、独占禁止法や取適法(2026年1月1日施行)の問題になるおそれがあります。〔財務省・公正取引委員会ほか「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」〕
個人の軽貨物ドライバーは、2027年分からどの方法で申告できますか。
インボイス登録を機に課税事業者になり、2026年分まで2割特例を使っていた場合は、要件を満たせば2027年分・2028年分に3割特例(納付税額は売上げの消費税額の30%)を使えます。運輸業は簡易課税では第5種事業(みなし仕入率50%)なので、納付税額は3割特例のほうが少なくなります。車両の購入などで仕入れの消費税額が売上げの消費税額の70%を超える年は、一般課税のほうが少なくなります。〔国税庁 令和8年度税制改正のリーフレット、国税庁 タックスアンサー No.6505〕
ETCで支払った高速道路料金は、カードの利用明細書だけで控除できますか。
クレジットカードの利用明細書はインボイスに当たらないため、原則として、ETC利用照会サービスから利用証明書をダウンロードして保存します。利用が多く全部の保存が難しい場合は、利用明細書と、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書を保存すれば控除できます。高速道路会社が発行するETCコーポレートカードなどは、この問の対象外です。〔インボイスQ&A 問103〕
税抜1,000万円以上の車両を、一般課税で申告する年に買うとどうなりますか。
高額特定資産の特例により、仕入れた課税期間の翌課税期間から、仕入れた課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも免税事業者になりません。また、仕入れた課税期間の初日から、3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までは、簡易課税制度選択届出書を出せません。〔国税庁 タックスアンサー No.6502〕
まとめ
- 軽油引取税は、2026年4月1日以後の引取りなどから1Lあたり15.0円です。元売業者・特約業者が販売し、請求書などで区分されていれば消費税の課税標準に含まれず、控除の計算に入れません。ガソリンの揮発油税は課税標準に含まれます。
- 国内と国外にわたる貨物の輸送は輸出免税です。港や空港までの国内区間だけを請け負う運送は、国際輸送の契約でその一環とされていなければ課税です。免税を受けるには、規則で定める事項を記載した帳簿または書類を7年間保存します。
- 輸出免税の売上げは課税売上割合を下げません。割合を下げるのは受取利息などの非課税売上げです。
- 自賠責保険・任意保険・運送保険の保険料は非課税、受け取る保険金は不課税です。
- 免税事業者などへの委託料は、2026年10月1日以後に完了した分から70%の控除です。割合は支払日ではなく完了した日で判定します。
- 個人ドライバーは、2026年分まで2割特例、2027年分・2028年分は3割特例を選べます。どちらも簡易課税(第5種、50%)より納付税額は少なくなります。
- 一般課税の課税期間に税抜1,000万円以上の車両を仕入れると、高額特定資産の特例で、その後しばらく免税事業者にならず、簡易課税も選べません。
出典・参考資料
いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。
軽油引取税
- 東京都主税局「軽油引取税の当分の間税率(旧暫定税率)の廃止について」(2026年4月1日)
- 東京都主税局「軽油引取税」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定。軽油引取税の当分の間税率の廃止)
国税庁 タックスアンサー・通達・質疑応答事例
- No.6313 酒税、たばこ税などの個別消費税の取扱い
- No.6201 非課税となる取引
- No.6213 駐車場の使用料など、No.6226 住宅の貸付け
- No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例
- No.6401 課税売上割合が95%未満の場合の仕入控除税額の計算、No.6405 課税売上割合の計算方法
- No.6502 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例
- No.6505 簡易課税制度、No.6509 簡易課税制度の事業区分
- 消費税法基本通達 第1章第1節(1-1-1 個人事業者と給与所得者の区分)
- 消費税法基本通達 第7章第2節 輸出免税等の範囲(7-2-1〜7-2-23)
- 消費税法基本通達 第10章第1節(10-1-11 個別消費税の取扱い、10-1-17 資産の下取り)
- 質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分(大分類-F電気・ガス・熱供給・水道業、G情報通信業、H運輸業、郵便業)」
- 令和7年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き 個人事業者用(一般用)
国税庁 インボイス制度(令和8年度税制改正)
- 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂、全文、PDF)
- 問103(高速道路利用料金に係る適格簡易請求書の保存方法)、問113(免税事業者等からの仕入れに係る経過措置)、問113-3(令和8年10月1日前後の取引)
- インボイス制度 令和8年度税制改正特集
- リーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(令和8年5月改訂、PDF)
法令
- 消費税法(4条・7条・28条・30条)
- 消費税法施行令(17条)
- 消費税法施行規則(5条)
- 関税法(2条)
- 財務省 第221回国会における財務省関連法律(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号)
取引条件(独占禁止法・取適法)
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年5月15日:公開
- 2026年9月25日:軽油引取税の税率(1Lあたり15.0円)と課税標準に含まれない条件、経過措置の割合、2割特例・3割特例、保険料の扱い、課税売上割合の計算、国際輸送の免税の範囲、簡易課税を選べる規模を訂正
- 2026年9月26日:全面改訂(軽油引取税が消費税の課税標準に含まれない条件と計算例、ガソリンの揮発油税との違い、国際輸送で免税になる輸送とならない輸送の表、免税の証明に必要な帳簿・書類、課税売上割合の計算例、保険料・保険金・車検費用の区分、2026年10月以後の経過措置と完了日による判定、取引条件の見直しと取適法、給与と外注費の区分、個人ドライバーの2割特例・3割特例・簡易課税の比較、車両の下取りと高額特定資産の特例、日程の早見表を追加。業界の事業所数・市場規模、「未登録のケースが多い」、プラットフォームの登録番号管理、「混在便は実態に応じて按分」、B/Lの保存を免税の条件とする記述、根拠のない節税の記述を削除。計算例を当会の計算例(架空の設例)として、申告の端数処理で計算し直し)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。計算例は当会が作成した架空の設例です。個別の取引の判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。無料で相談できる公的な窓口は、新宿で税金の相談をしたいときにまとめています。