消費税の計算方法:税込・税抜・消費税額の計算式(10%・8%)

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消費税10%の計算式は、税込価格=税抜価格×1.1、消費税額=税込価格×10/110、税抜価格=税込価格−消費税額です。8%のときは、1.1を1.08に、10/110を8/108に置き換えます。金額を入れて計算するときは、下の計算機を使えます。

消費税の計算式(10%・8%)

求めたいもの10%8%(軽減税率)
税抜 → 税込税抜 × 1.1税抜 × 1.08
税込 → 消費税額税込 × 10/110税込 × 8/108
税込 → 税抜税込 − 消費税額
(または 税込 ÷ 1.1)
税込 − 消費税額
(または 税込 ÷ 1.08)

税込価格を決めるときの1円未満の端数は、切捨て・四捨五入・切上げのどれにするかを事業者が決めます(財務省「総額表示に関する主な質問」Q9)。請求書や申告の端数処理には決まりがあります(端数処理のルール)。

監修について
本記事は井手政紀税理士(井手政紀税理士事務所/元 新宿税務署長(第84代)/新宿間税会 税理士部会員)の監修内容を反映しています。2026年9月25日、令和8年度税制改正等に合わせて全面改訂し、2026年9月28日に監修者の確認が完了しました。

消費税計算機(10%・8%)

事業者の方は、年間の納税額をシミュレーションできます(原則課税・簡易課税・2割特例の比較)。申告での計算手順は事業者が納める消費税額の計算で説明しています。

【確定】令和8年度税制改正(2026年9月25日時点)

インボイスのない仕入先(免税事業者など)からの仕入れで控除できる割合は、2026年10月1日から80%から70%に下がります。2割特例の終了と3割特例の新設もあわせて、「2026年10月1日から変わること」にまとめています。

目次
  1. 税込・税抜・消費税額の計算式(10%・8%)
  2. 金額別の早見表(10%・8%)
  3. 8%(軽減税率)の計算と、10%・8%が混ざったレシート
  4. 端数処理(1円未満)のルールは場面で違う
  5. 電卓での計算方法
  6. Excel・スプレッドシートでの計算方法
  7. 事業者が納める消費税額の計算(申告の手順)
  8. 2026年10月1日から変わること(確定分のみ)
  9. 【予定・法案未成立】食料品の消費税が1%になった場合の計算
  10. よくある質問
  11. 出典・参考資料

税込・税抜・消費税額の計算式(10%・8%)

消費税の税率は、標準税率の10%と、軽減税率の8%の2つです。どちらの税率でも考え方は同じで、税抜価格に税率をかけると税額が、税込価格に10/110(8%なら8/108)をかけると、税込価格に含まれる税額が出ます。

税抜価格から税込価格を出す

税込価格 = 税抜価格 × 1.1(8%は × 1.08)
計算例:税抜1,000円の場合、10%は 1,000 × 1.1 = 1,100円、8%は 1,000 × 1.08 = 1,080円です。

1円未満の端数が出る場合は、上乗せする税額を切り捨てるか、四捨五入するか、切り上げるかで税込価格が変わります。どれにするかは、値付けをする事業者が決めます(財務省「総額表示に関する主な質問」Q9)。

端数が出る例:税抜1,234円の場合
10%:税額 1,234 × 10/100 = 123.4円 → 切捨てで123円、税込1,357円
8%:税額 1,234 × 8/100 = 98.72円 → 切捨てで98円、税込1,332円(四捨五入なら99円、税込1,333円)

税込価格から消費税額を出す(×10/110、×8/108)

消費税額 = 税込価格 × 10/110(8%は × 8/108)
計算例:
税込1,100円 → 1,100 × 10/110 = 100円
税込1,000円 → 1,000 × 10/110 = 90.90…円 → 切捨てで90円(四捨五入なら91円)
税込1,080円(8%)→ 1,080 × 8/108 = 80円

税込価格から税抜価格を出す(税額を先に出して引く)

税抜価格 = 税込価格 − 消費税額
計算例:税込1,000円(10%)
消費税額 1,000 × 10/110 = 90.90…円 → 切捨てで90円
税抜価格 1,000 − 90 = 910円

税込価格を1.1で割っても税抜価格は出せますが、端数を切り捨てると1円ずれることがあります。上の例では 1,000 ÷ 1.1 = 909.09…円 → 909円となり、×10/110で出した税額90円と足すと999円で、税込価格と合いません。

財務省は、税込価格に含まれる消費税額を「税込価格 × 10/110(8%は8/108)」で求める方法を原則的な考え方として示しています(財務省「総額表示に関する主な質問」Q9(注2))。税額を先に出して税込価格から引く方法なら、「税抜価格 + 消費税額 = 税込価格」が必ず一致します。

なお、税抜910円に1.1をかけると1,001円となり、元の税込価格には戻りません。税込価格から出す税抜価格は、税込価格を本体と税額に分けたときの本体の金額と考えてください。

なぜ「110分の10」なのか

税込価格は「税抜価格 × 110/100」です。税額は「税抜価格 × 10/100」なので、税込価格を基準にすると、税額はその10/110にあたります。

税額 = 税抜 × 10/100 =(税込 × 100/110)× 10/100 = 税込 × 10/110

よくある誤りは、税込価格に0.1をかけることです。0.1は税抜価格にかける率なので、税込1,100円 × 0.1 = 110円は誤りで、正しい税額は100円です。同じように、税込1,100円 × 0.9 = 990円も税抜価格にはなりません(正しくは1,000円)。

10%と8%の内訳(国と地方)

税率消費税(国)地方消費税主な対象
10%(標準税率)7.8%2.2%8%の対象以外の商品・サービス
8%(軽減税率)6.24%1.76%飲食料品(酒類・外食を除く)、週2回以上発行される新聞の定期購読

地方消費税は、国の消費税額の22/78です(7.8% × 22/78 = 2.2%、6.24% × 22/78 = 1.76%)。根拠は国税庁 タックスアンサー No.6303、消費税法29条、地方税法72条の83です。

内税・外税と総額表示

「内税」は税込価格で示す表示、「外税」は税抜価格に消費税を別に加える表示を指す言い方です。課税事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合は、税込価格の表示(総額表示)が義務になっています(消費税法63条)。消費者向けでない事業者間の取引や、口頭で伝える価格は対象外です(国税庁 タックスアンサー No.6902)。

税込価格が表示されていれば、「11,000円(税抜価格10,000円)」のように税抜価格を併せて書くこともできます(同 No.6902)。

課税事業者と免税事業者の違いなど、消費税の仕組みは消費税の基本で説明しています。

金額別の早見表(10%・8%)

よく使う金額の計算結果です。表にない金額は、上の計算機で計算できます。1円刻み・10円刻みなど、もっと細かい金額は税込・税抜の早見表(金額別一覧)で引けます。

表A 税抜 → 税込
税抜10%の税込8%の税込
100円110円108円
500円550円540円
1,000円1,100円1,080円
3,000円3,300円3,240円
5,000円5,500円5,400円
10,000円11,000円10,800円
50,000円55,000円54,000円
100,000円110,000円108,000円
表B 税込 → 消費税額(1円未満切捨て)と税抜(税込 − 税額)単位:円
税込10%8%
税額税抜税額税抜
100円991793
500円4545537463
1,000円9091074926
3,000円2722,7282222,778
5,000円4544,5463704,630
10,000円9099,0917409,260
50,000円4,54545,4553,70346,297
100,000円9,09090,9107,40792,593
  • 税込1,100円(10%)は税額100円・税抜1,000円、税込1,080円(8%)は税額80円・税抜1,000円、税込108円(8%)は税額8円・税抜100円です。
  • 税込価格を ÷1.1(8%は ÷1.08)して1円未満を切り捨てると、表Bのどの行でも税抜が1円小さくなります(例:税込1,000円 → 909円)。
  • 四捨五入にすると、税込1,000円(10%)の税額は91円、税抜は909円です。

8%(軽減税率)の計算と、10%・8%が混ざったレシート

8%になるもの・ならないもの

  • 8%になるもの:飲食料品(酒類を除く)と、週2回以上発行される新聞の定期購読
  • 10%のもの:酒類、外食、ケータリング(出張料理など)
  • 医薬品・医薬部外品は飲食料品に含まれないため、10%です。
  • 一体資産(おもちゃ付きのお菓子のように、食品と食品以外が一体になった商品)は、税抜価額が1万円以下で、食品の価額の割合が3分の2以上の場合に限り、全体が8%です。

根拠は国税庁 タックスアンサー No.6102です。対象品目の判定は軽減税率についてで詳しく説明しています。

税込価格 = 税抜価格 × 1.08 / 消費税額 = 税込価格 × 8/108

混在レシートは税率ごとに合計して計算する

10%と8%の商品を一緒に買ったレシートは、税率ごとに合計してから、それぞれの計算式で税額を出します。

計算例:食品 税込1,000円(8%)と日用品 税込550円(10%)
8%分:1,000 × 8/108 = 74.07…円 → 切捨てで74円
10%分:550 × 10/110 = 50円
消費税額の合計:74 + 50 = 124円(支払総額1,550円)

合計額と消費税額しか分からないときの内訳の出し方

8%対象(税込)= 総額 × 5.4 − 消費税額 × 59.4
10%対象(税込)= 総額 − 8%対象

この式は、「8%対象 + 10%対象 = 総額」と「8%対象 × 8/108 + 10%対象 × 10/110 = 消費税額」の2つの式(連立方程式)を解いて導いたものです。

計算例:総額8,238円、消費税額678円
8%対象:8,238 × 5.4 − 678 × 59.4 = 44,485.2 − 40,273.2 = 4,212円(税額 4,212 × 8/108 = 312円)
10%対象:8,238 − 4,212 = 4,026円(税額 4,026 × 10/110 = 366円)
検算:312 + 366 = 678円

ただし、レシートの税額は税率ごとに1円未満を処理しているため、この式の答えは数円ずれることがあります。たとえば上の食品と日用品の例(総額1,550円、消費税額124円)を式に入れると、8%対象は1,004.4円となり、実際の1,000円とずれます。レシートに税率ごとの合計が印字されていれば、その金額を使ってください。

端数処理(1円未満)のルールは場面で違う

1円未満の端数をどう処理するかは、場面によって決まりが違います。「いつでも自由に選べる」わけではありません。

場面ルール根拠
① 税込価格を決めるとき切捨て・切上げ・四捨五入は事業者が決める財務省Q9
② 請求書(インボイス)の税額請求書1枚につき、税率ごとに1回だけ処理する。方法は任意。商品ごとに処理して合計するのは不可消費税法施行令70条の10、No.6371、インボイスQ&A 問57
③ 仕入税額の帳簿積上げ(仕入れのつど税額を帳簿に記載する方法)仕入れのつど税額を計算して帳簿に記載し、1円未満は切捨てか四捨五入のみ(切上げは不可)消費税法施行令46条②、No.6351
④ 申告課税標準額は千円未満切捨て。差引税額と地方消費税は百円未満切捨て国税通則法118条①・119条①、地方税法20条の4の2③、No.6371

請求書の例(インボイスQ&A 問57)

10%対象の合計が60,000円、8%対象の合計が40,000円(いずれも税込)の請求書では、税率ごとに1回だけ端数を処理します。

10%:60,000 × 10/110 = 5,454.5…円 → 5,454円(切捨ての場合)
8%:40,000 × 8/108 = 2,962.9…円 → 2,962円(切捨ての場合)

商品ごとに税額を出して端数を処理し、それを合計して請求書の消費税額とする方法は認められていません(インボイスQ&A 問57、No.6371)。請求書の記載事項は適格請求書の書き方で説明しています。

「1円ずれる」ときの考え方

計算の結果が1円ずれる原因は、主に次の2つです。

  • ÷1.1 と ×10/110 の違い:÷1.1の結果を切り捨てると1円小さくなることがあります(税込価格から税抜価格を出すを参照)。
  • 品目ごとの計算と、税率ごとの計算の違い:たとえば税込1,000円(10%)の商品3点の場合、品目ごとに税額を出して切り捨てると 90円 × 3 = 270円、合計3,000円から計算すると 3,000 × 10/110 = 272.7…円 → 272円です。請求書(インボイス)では、税率ごとの合計から1回で計算します。

電卓での計算方法

一般的な電卓では、次の順に打ちます(10%の場合)。

求めたいもの打ち方例(1,000円)
税込価格(税抜から)金額 × 1.1 =1,000 × 1.1 = 1,100
消費税額(税込から)金額 × 10 ÷ 110 =1,000 × 10 ÷ 110 = 90.90…
税抜価格(税込から)金額 ÷ 1.1 =1,000 ÷ 1.1 = 909.09…

8%の場合は、1.1を1.08に、「× 10 ÷ 110」を「× 8 ÷ 108」に置き換えます。電卓には小数まで表示されるので、1円未満は自分で処理します。税込価格から税抜価格を出すときは、税額を先に出して税込価格から引くと、1円のずれが出ません(上の例では 1,000 − 90 = 910円)。

「税込」「税抜」のキーがある電卓は、使う前に税率の設定が必要な機種があります。操作は機種の取扱説明書で確認してください。

Excel・スプレッドシートでの計算方法

税込価格を出す式ではA2に税抜価格を、消費税額・税抜価格を出す式ではA2に税込価格を入れます。Googleスプレッドシートでも同じ式が使えます。

目的式
税込価格(A2=税抜、10%、税額は切捨て)=ROUNDDOWN(A2*110/100,0)
消費税額(A2=税込、10%)=ROUNDDOWN(A2*10/110,0)
税抜価格(A2=税込、10%)=A2-ROUNDDOWN(A2*10/110,0)
8%の場合式の110を108に、10を8に置き換える(例:=ROUNDDOWN(A2*8/108,0))
四捨五入・切上げROUNDDOWN を ROUND(四捨五入)または ROUNDUP(切上げ)に置き換える
  • 「A2*1.1」のように小数をかけるより、「A2*110/100」のように整数をかけてから割るほうが、小数の内部誤差の影響を受けにくくなります(実務上のすすめです)。
  • INT と ROUNDDOWN は、マイナスの値で結果が違います。返品などで負の金額を扱う場合、INT(-90.9) は -91、ROUNDDOWN(-90.9,0) は -90 になります。

事業者が納める消費税額の計算(申告の手順)

ここからは、課税事業者が申告で納める消費税額の計算です。価格の計算とは違い、申告では国の消費税(7.8%・6.24%)で計算し、法律で決まった端数処理をしてから、地方消費税を出します。

まず確認:課税事業者かどうか

  • 基準期間(個人は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として免税事業者です。
  • ただし、特定期間(個人は前年1月1日〜6月30日、法人は原則として前事業年度の開始の日から6か月間)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります(課税売上高の代わりに、給与等の支払額で判定することもできます)。
  • インボイス発行事業者の登録をすると、売上高にかかわらず課税事業者です。

根拠は消費税法9条・9条の2、国税庁 タックスアンサー No.6501です。判定の詳細は消費税の基本をご覧ください。

原則課税(一般課税)の手順(申告書の順)

原則課税では、売上にかかった消費税から、仕入れや経費にかかった消費税を差し引いて、納める額を出します(この差引きを仕入税額控除といいます)。

  1. 課税標準額:税込の課税売上 × 100/110(8%は100/108)。税率ごとに出し、千円未満を切り捨てます。
  2. 売上税額:課税標準額 × 7.8%(8%の分は6.24%)
  3. 仕入税額:割戻し計算なら税込の課税仕入れ × 7.8/110(8%の分は6.24/108)。積上げ計算ならインボイスに書かれた税額の合計 × 78/100
  4. 差引税額:売上税額 − 仕入税額。百円未満を切り捨てます。
  5. 地方消費税:差引税額 × 22/78。百円未満を切り捨てます。
  6. 納付額:差引税額 + 地方消費税

課税期間は、原則として個人は1月1日から12月31日まで、法人は事業年度です。根拠はNo.6351、No.6383、No.6371です。国税庁の申告書の記載例(PDF)でも、同じ順で計算しています。申告書への書き方は消費税申告書の書き方で説明しています。

計算例①(10%のみ・端数なし・1年分)

税込の課税売上が22,000,000円、税込の課税仕入れが13,200,000円の場合です(仕入れはすべて10%の課税仕入れで、全額を控除できるものとします)。

手順計算金額
① 課税標準額22,000,000 × 100/11020,000,000円
② 売上税額20,000,000 × 7.8%1,560,000円
③ 仕入税額(割戻し)13,200,000 × 7.8/110936,000円
④ 差引税額1,560,000 − 936,000624,000円
⑤ 地方消費税624,000 × 22/78176,000円
⑥ 納付額624,000 + 176,000800,000円

この例は端数が出ないため、「税抜売上20,000,000円 × 10% − 税抜仕入12,000,000円 × 10%」で概算した800,000円と一致します。

計算例②(10%と8%・端数あり)

売上と仕入れに10%と8%が混ざり、端数が出る場合です(仕入れはすべて控除できるものとします)。

手順10%8%合計
税込の課税売上16,543,2105,432,100
税抜に換算(×100/110、×100/108)15,039,2815,029,722
① 課税標準額(千円未満切捨て)15,039,0005,029,000
② 売上税額(×7.8%、×6.24%)1,173,042313,8091,486,851
税込の課税仕入れ8,765,4303,210,980
③ 仕入税額(×7.8/110、×6.24/108)621,548185,523807,071
④ 差引税額(百円未満切捨て)679,780 → 679,700
⑤ 地方消費税(×22/78、百円未満切捨て)191,710 → 191,700
⑥ 納付額871,400円

単位は円です。計算途中の1円未満は切り捨てています。課税標準額の千円未満と、差引税額・地方消費税の百円未満の切捨ては、法律で決まっています(No.6371)。

同じ数字を「売上 × 10/110 + 売上 × 8/108 − 仕入 × 同じ率」で概算すると871,598円になり、正式な手順より198円多くなります。「売上の10% − 仕入の10%」は目安として使い、申告では上の手順で計算します。

割戻し計算と積上げ計算

割戻し計算は、税率ごとの合計額から税額を出す方法です。積上げ計算は、インボイス(請求書・レシート)に書いた税額を合計し、78/100をかけて国の消費税額を出す方法です。仕入税額は、受け取ったインボイスの税額を積み上げるほか、仕入れのつど税額を計算して帳簿に記載し(1円未満は切捨てか四捨五入)、その合計に78/100をかける方法も認められます(帳簿積上げ計算、No.6351)。売上税額と仕入税額で、使える組合せが決まっています。

売上税額の計算使える仕入税額の計算
割戻し計算(原則)積上げ計算・割戻し計算のどちらでも可
積上げ計算(一部に使う場合を含む)積上げ計算のみ

売上税額は、取引先ごとに割戻し計算と積上げ計算を併用できます。仕入税額は、積上げ計算と割戻し計算を併用できません(No.6351、No.6383、インボイスQ&A 問118・問126(PDF)、消費税法施行令46条③)。

違いが出る例:税込1,000円(10%)のレシートを1年に1,000枚発行した場合の売上税額(国の消費税)
割戻し計算:1,000,000 × 100/110 = 909,090.90…円 → 千円未満切捨てで909,000円 × 7.8% = 70,902円
積上げ計算(レシートの税額を切捨てで90円):90,000 × 78/100 = 70,200円
積上げ計算(レシートの税額を四捨五入で91円):91,000 × 78/100 = 70,980円

この例では、税額を切り捨てたレシートで積上げ計算にすると、割戻し計算より国の消費税が702円少なくなります。四捨五入したレシートでは、逆に78円多くなります。

簡易課税(要約)

簡易課税は、実際の仕入税額の代わりに、売上税額に事業の種類ごとの「みなし仕入率」をかけて控除額を出す方法です。使うための条件と注意点は次のとおりです。

  • 基準期間の課税売上高が5,000万円以下であること
  • 「消費税簡易課税制度選択届出書」を、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに出すこと(2割特例・3割特例を使った事業者には期限の特例があります。後述)
  • いったん選ぶと、原則として2年間はやめられないこと
  • 仕入れが多くても、還付は受けられないこと
事業区分主な業種みなし仕入率
第1種事業卸売業90%
第2種事業小売業、農林漁業(飲食料品の譲渡)80%
第3種事業農林漁業(飲食料品の譲渡以外)、製造業、建設業など70%
第4種事業その他の事業(飲食店業など)60%
第5種事業サービス業など50%
第6種事業不動産業40%
納付税額(国)= 売上税額 − 売上税額 × みなし仕入率
計算例:飲食店(第4種事業)、税抜の課税売上30,000,000円
売上税額:30,000,000 × 7.8% = 2,340,000円
控除額:2,340,000 × 60% = 1,404,000円
差引税額:2,340,000 − 1,404,000 = 936,000円
地方消費税:936,000 × 22/78 = 264,000円
納付額:936,000 + 264,000 = 1,200,000円

2種類以上の事業がある場合は、事業ごとのみなし仕入率で計算する(加重平均)のが原則です。ただし、1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上なら、その事業のみなし仕入率を全体に使えます。事業ごとに区分していない売上には、その中で最も低いみなし仕入率が適用されます。

75%ルールの例:小売(第2種)税抜800万円と、サービス(第5種)税抜200万円
売上税額:小売624,000円、サービス156,000円、合計780,000円
原則の計算:控除額 624,000 × 80% + 156,000 × 50% = 577,200円 → 差引税額202,800円、地方消費税57,200円、納付額260,000円
75%ルール(小売が売上の80%):控除額 780,000 × 80% = 624,000円 → 差引税額156,000円、地方消費税44,000円、納付額200,000円

根拠は国税庁 タックスアンサー No.6505、No.6509、消費税法37条、消費税法施行令57条です。事業区分の判定や届出の詳細は簡易課税制度で説明しています。

2割特例(2026年9月30日を含む課税期間まで)

納付税額(国)= 売上税額 × 20%

2割特例は、インボイス発行事業者の登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者が、2023年10月1日から2026年9月30日までの日を含む課税期間に使える特例です。事前の届出は不要で、申告書に適用を受ける旨を書いて使います。

計算例:税抜の課税売上5,000,000円
売上税額 5,000,000 × 7.8% = 390,000円 → 納付税額(国)390,000 × 20% = 78,000円
地方消費税 78,000 × 22/78 = 22,000円 → 納付額 100,000円
2割特例の対象となる事業者で、税抜の課税売上が2,000万円なら、納付額は 400,000円(国312,000円+地方88,000円)です。「経費を引いた後の2割」ではありません。

対象となる事業者の要件は、2割特例の記事と国税庁の2割特例のページでご確認ください。

3割特例(個人事業者のみ・2027年分と2028年分)

納付税額(国)= 売上税額 × 30%

令和8年度税制改正で新しく設けられた特例です。インボイス発行事業者の登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者のうち、要件を満たす人が、2027年分(令和9年分)と2028年分(令和10年分)に使えます。法人は使えません。事前の届出は不要で、申告書に適用を受ける旨を書いて使います。

計算例:税抜の課税売上5,000,000円
売上税額 390,000円 × 30% = 117,000円、地方消費税 117,000 × 22/78 = 33,000円 → 納付額 150,000円

使える事業者の要件は、国税庁のリーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について(PDF)」でご確認ください。

インボイスのない仕入先からの仕入れ(経過措置)

インボイス発行事業者以外(免税事業者や消費者など)からの仕入れは、インボイスがないため本来は仕入税額控除ができませんが、経過措置により、仕入税額に相当する額の一定割合を控除できます。

仕入れた日控除できる割合税込110,000円の場合(国+地方の目安)国の消費税分(×7.8/110×割合)
2023年10月1日〜2026年9月30日80%8,000円6,240円
2026年10月1日〜2028年9月30日70%7,000円5,460円
2028年10月1日〜2030年9月30日50%5,000円3,900円
2030年10月1日〜2031年9月30日30%3,000円2,340円
2031年10月1日以後0%0円0円
  • 割合は、仕入れた日で決まります。サービスの提供を受けた場合は、提供が完了した日で判定します(インボイスQ&A 問113-3)。
  • 正式な計算は「税込の仕入額 × 7.8/110(8%の分は6.24/108)× 割合」です(インボイスQ&A 問130)。控除を受けるには、区分記載請求書と同様の事項が書かれた請求書等と、経過措置の適用を受ける旨(「80%控除」や「7・5・3割控除」を受ける課税仕入れである旨)を書いた帳簿の保存が必要です(インボイスQ&A 問113、国税庁 令和8年度税制改正特集)。
  • 同じ仕入先からの仕入れが年1億円を超える場合、超えた部分には経過措置を使えません(2026年10月1日以後に開始する課税期間から。それまでは10億円)。
  • このほか、基準期間の課税売上高が1億円以下(または特定期間の課税売上高が5,000万円以下)の事業者は、税込1万円未満の仕入れについて、2029年9月30日まで帳簿の保存だけで控除できます(少額特例)。また、3万円未満の公共交通機関の運賃など、帳簿の保存だけで控除できる一定の取引があります(No.6496)。
  • 受け取ったインボイスは、課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年間保存します(No.6498)。

2026年10月1日から変わること(確定分のみ)

【確定】令和8年度税制改正(2026年9月25日時点)

項目内容
① 経過措置の控除割合インボイスのない仕入先からの仕入れの控除割合が、80%から70%になります(2026年10月1日〜2028年9月30日の仕入れ)。その後は50%、30%と下がり、2031年10月1日以後は控除できません。
② 経過措置の上限同じ仕入先からの仕入れについて、上限が年10億円から1億円になります(2026年10月1日以後に開始する課税期間から。個人は2027年分から)。
③ 2割特例の終了2026年9月30日を含む課税期間が最後です。個人は2026年分、12月決算の法人は2026年12月期、3月決算の法人は2027年3月期までです。
④ 3割特例の新設インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者は、要件を満たせば、2027年分(令和9年分)と2028年分(令和10年分)に、売上税額の30%を納める特例を使えます。
⑤ 簡易課税の届出期限の特例2割特例・3割特例を使った課税期間の次の課税期間は、その課税期間の申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出せば、その課税期間から簡易課税を使えます(通常は、課税期間が始まる前日までの届出が必要です)。ただし、次の課税期間が2026年9月30日以前に終わる場合は、その課税期間の末日までに届出が必要です(No.6505)。

根拠は「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号。2026年3月31日成立。インボイス関係は2026年10月1日施行)です(財務省 第221回国会提出法律、財務省「令和8年度税制改正の解説」消費税法等の改正(PDF)、国税庁 インボイス制度 令和8年度税制改正特集)。②の上限は、与党の令和8年度税制改正大綱で、さらに引き下げることを検討するとされています。

税込1万円未満の仕入れについての少額特例(2029年9月30日まで)は、今回の改正で変わっていません。

【予定・法案未成立】食料品の消費税が1%になった場合の計算

2026年9月25日時点の状況

2026年9月15日に「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ等に関する大綱」が閣議決定されました。法案が国会で可決・成立した場合に、2027年4月1日から2029年3月31日まで実施されます。現時点では確定していません。成立を確認したら、この記事を更新します。

この大綱では、今の軽減税率の対象の飲食料品(酒類・外食を除く)の税率を1%(国0.78%+地方0.22%)にするとしています。0.78% × 22/78 = 0.22% なので、地方消費税が国の消費税額の22/78という関係は変わりません。

税込価格 = 税抜価格 × 1.01 / 消費税額 = 税込価格 × 1/101
計算例(成立した場合):税抜1,000円の食品は、8%の1,080円が1%では1,010円になります。税込101円の食品の消費税額は1円です。

新聞の定期購読は8%のままとされているため、実施されると税率は10%・8%・1%の3つになります。この記事の計算機への1%の追加は、法案の成立後に行います。値札や価格表の準備には、予定の税率で計算する飲食料品1%の価格表メーカーを使えます。

事業者向けには、次の特例も示されています(いずれも法案が成立した場合の内容です)。

  • 簡易課税・2割特例・3割特例を使う場合に、飲食料品の売上税額と同じ額を控除できる特例
  • 総額表示の特例:2027年2月1日〜5月31日などに誤認防止の措置をとれば、8%と1%のどちらの税込価格で表示してもよい

詳しくは国税庁 消費税率引下げ特設サイト、財務省の説明ページ、大綱本文(内閣官房、PDF)をご覧ください。

よくある質問

消費税10%の計算式は?

税込価格=税抜価格×1.1、消費税額=税込価格×10/110、税抜価格=税込価格−消費税額です。税込価格÷1.1でも税抜価格は出せますが、1円未満を切り捨てると1円ずれることがあります。〔財務省「総額表示に関する主な質問」Q9〕

税込1,000円の消費税額と税抜価格は?

1,000×10/110=90.90…円です。切捨てなら税額90円・税抜910円、四捨五入なら税額91円・税抜909円です。請求書(インボイス)に書く税額の端数処理は、1枚につき税率ごとに1回で、方法は事業者が選べます。〔財務省「総額表示に関する主な質問」Q9(注2)、国税庁 No.6371〕

税込価格×0.1で消費税額を出してはいけないのはなぜ?

0.1は税抜価格にかける率だからです。税込1,100円×0.1=110円となりますが、正しい税額は1,100×10/110=100円です。

8%の計算式と、8%になるものは?

税込価格=税抜価格×1.08、消費税額=税込価格×8/108です。8%の対象は、酒類と外食を除く飲食料品と、週2回以上発行される新聞の定期購読です。〔国税庁 タックスアンサー No.6102〕

1円未満の端数は、切捨て・四捨五入・切上げのどれ?

税込価格を決めるときは、どの方法にするかを事業者が決めます。請求書(インボイス)の税額は任意の方法で、1枚につき税率ごとに1回処理します。仕入税額を帳簿の積上げ計算で出すときは、切捨てか四捨五入のみです。申告では、課税標準額の千円未満と、差引税額・地方消費税の百円未満を切り捨てることが法律で決まっています。〔財務省Q9、国税庁 No.6371、消費税法施行令46条②〕

請求書で、商品ごとに端数を処理して合計してもよい?

できません。請求書1枚につき、税率ごとに1回だけ端数を処理します。〔インボイスQ&A 問57、消費税法施行令70条の10〕

レシートに合計と消費税額しかない場合、8%分と10%分の内訳は?

8%対象(税込)=総額×5.4−消費税額×59.4で出せます。たとえば総額8,238円・消費税額678円なら、8%分は4,212円、10%分は4,026円です。レシートの税額は税率ごとに端数を処理しているため、数円ずれることがあります。

Excelで消費税を計算する式は?

A2に税込価格があるとき、消費税額は=ROUNDDOWN(A2*10/110,0)、税抜価格は=A2-ROUNDDOWN(A2*10/110,0)です(1円未満切捨ての場合)。8%は、10と110を8と108に置き換えます。

納める消費税は「売上の10%−仕入の10%」でよい?

目安にはなりますが、申告では国の消費税7.8%で計算し、課税標準額の千円未満と差引税額の百円未満を切り捨て、地方消費税を22/78で出します。そのため数百円ずれることがあります(本文の計算例②では198円)。〔国税庁 No.6351、No.6371〕

地方消費税はなぜ「22/78」? 8%でも同じ?

地方消費税の税率が、消費税額の22/78と定められているからです。10%は国7.8%+地方2.2%、8%は国6.24%+地方1.76%で、どちらも比率は22/78です。〔地方税法72条の83〕

2割特例はいつまで? その後は?

2026年9月30日を含む課税期間までです(個人事業者は2026年分まで)。個人事業者は、要件を満たせば2027年分と2028年分に3割特例を使えます。法人には3割特例がなく、原則課税か簡易課税で計算します。〔国税庁 令和8年度税制改正特集〕

2割特例は「経費を引いた後の2割」?

違います。売上税額の20%を納めます。2割特例を使える事業者で、税抜の課税売上が2,000万円なら、国31.2万円+地方8.8万円=40万円です。〔国税庁 2割特例用の手引き〕

2026年10月以降、インボイスのない仕入先からの仕入れはどれだけ控除できる?

2026年10月1日から2028年9月30日までの仕入れは70%で、その後は50%、30%と下がり、2031年10月1日以後は控除できません。割合は仕入れた日で判定します。同じ仕入先からの仕入れが年1億円を超える部分は対象外です(2026年10月1日以後に開始する課税期間から)。〔インボイスQ&A 問113-3、国税庁 令和8年度税制改正特集〕

積上げ計算と割戻し計算は自由に選べる?

組合せに決まりがあります。売上税額を積上げ計算にした場合は、仕入税額も積上げ計算にします。仕入税額の割戻し計算は、売上税額を割戻し計算している場合だけ使えます。〔国税庁 No.6351、インボイスQ&A 問118・問126〕

簡易課税はだれが使える?

基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出した事業者です(2割特例・3割特例を使った事業者には届出期限の特例があります)。原則として2年間はやめられず、還付も受けられません。〔国税庁 No.6505〕

食料品の消費税が1%になるのは確定? 計算は?

2026年9月25日時点では閣議決定の段階で、法案は成立していません。成立した場合、2027年4月1日から2029年3月31日までの飲食料品(酒類・外食を除く)は、税込価格=税抜価格×1.01、消費税額=税込価格×1/101で計算します。〔飲食料品消費税率の臨時的な引下げ等に関する大綱(2026年9月15日閣議決定)、国税庁 消費税率引下げ特設サイト〕

出典・参考資料

いずれも2026年9月25日に内容を確認しました。

国税庁 タックスアンサー

国税庁 インボイス制度・改正関係

財務省・内閣官房

法令(e-Gov法令検索)

改訂履歴と監修について

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2025年7月3日:公開
  • 2026年9月25日:全面改訂(令和8年度税制改正への対応、計算機と早見表の追加、端数処理と申告の計算手順の説明の追加、構成の変更)

監修の状況は、上部の「監修について」のとおりです。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。

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