消費税申告書の書き方:第一表・第二表・付表の記載例(原則課税・簡易課税・2割特例)

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消費税の確定申告書は、課税方式ごとに決まった付表で税額を計算し、その結果を第二表と第一表に転記して作ります。原則課税(一般課税)は付表1-3と付表2-3、簡易課税は付表4-3と付表5-3、2割特例は付表6を使います。この記事では、個人事業者と法人の経理担当者向けに、様式の選び方、作成の順番、欄番号付きの記載例を、2026年9月26日時点の法令と国税庁の様式に基づいて説明します。

課税方式ごとの様式と作成の順番【確定】

課税方式第一表付表と作成の順番
原則課税一般用付表1-3(①②)→ 付表2-3 → 付表1-3(③〜⑬)→ 第二表 → 第一表
簡易課税簡易課税用付表4-3(①〜③・⑤)→ 付表5-3 → 付表4-3(④・⑥〜⑬)→ 第二表 → 第一表
2割特例簡易課税制度選択届出書を出していれば簡易課税用、出していなければ一般用付表6 → 第二表 → 第一表(2026年9月30日を含む課税期間まで)
3割特例2割特例と同じ選び方で、令和8年10月1日以後に開始する課税期間用を使う付表6(小規模個人事業者用)→ 第二表 → 第一表(個人事業者の令和9年分・令和10年分)

第二表(課税標準額等の内訳書)は、どの方式でも第一表と一緒に提出します。旧税率(3%・4%・6.3%)の取引がある課税期間は付表1-1・1-2などを使います。控除不足還付税額がある申告書には「消費税の還付申告に関する明細書」を添付します(国税庁「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」、国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」(PDF))。

監修について
本記事は井手政紀税理士(井手政紀税理士事務所/元 新宿税務署長(第84代)/新宿間税会 税理士部会員)の監修内容を反映しています。2026年9月26日、令和8年度税制改正等に合わせて全面改訂し、2026年9月28日に監修者の確認が完了しました。

【確定】令和8年分の申告で押さえること(2026年9月26日時点)

  • 個人事業者の2割特例は、令和8年分(申告期限は2027年3月31日)が最後です。令和9年分・令和10年分は、要件を満たせば3割特例を選べます。
  • 免税事業者などインボイス発行事業者以外の者からの仕入れで控除できる割合は、2026年10月1日以後の仕入れから80%が70%になります。付表2-3の⑫欄の計算に関係します。
  • 第一表・第二表は、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から新しい様式になります。個人事業者の令和8年分は、従来の「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」を使います。
  • 2026年9月24日の国税システムの更改に伴う様式の変更で、申告書の控用はなくなりました。10月1日からは、税務署の総合窓口の受付時間が原則9時〜15時になり、用紙コーナーは設置されなくなります。

税制の改正は「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号。2026年3月31日成立)によるものです(財務省 第221回国会提出法律、国税庁 インボイス制度 令和8年度税制改正特集)。詳しくは令和8年度税制改正で申告書に関係することで説明しています。

この記事は、申告書と付表の各欄に何を書くかを扱います。e-Taxや確定申告書等作成コーナーで申告書を作って送信する手順はe-Taxで消費税申告するやり方、税額の計算の考え方は消費税の計算方法(事業者が納める消費税額の計算)、期限と納付の詳しい扱いは消費税の納付期限と納付方法で説明しています。

目次
  1. 申告書の全体像:提出する書類と作成の順番
  2. 申告と納付の期限、中間申告、納付書
  3. 一般用(原則課税)の書き方と記載例
  4. 簡易課税用の書き方と記載例
  5. 2割特例の書き方と記載例(個人事業者は令和8年分が最後)
  6. 令和8年度税制改正で申告書に関係すること
  7. 提出前のチェックリスト
  8. よくある質問
  9. まとめ
  10. 出典・参考資料

申告書の全体像:提出する書類と作成の順番

【確定】様式の名称と使い分けは、国税庁「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」に掲載されている様式と、国税庁の書き方・手引きに基づきます。

提出する書類

申告書は「第一表」と「第二表」の2枚で1組です。第一表は納める税額(還付を受ける税額)をまとめる様式で、一般用と簡易課税用があります。第二表は、課税標準額と消費税額の税率ごとの内訳を書く様式です。税額は付表で計算し、その結果を第二表と第一表に移します。

課税方式ごとに使う付表(標準税率7.8%と軽減税率6.24%の取引だけの場合)
課税方式付表付表の名称
原則課税付表1-3税率別消費税額計算表 兼 地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
付表2-3課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表
簡易課税付表4-3税率別消費税額計算表 兼 地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
付表5-3控除対象仕入税額等の計算表
2割特例付表6税率別消費税額計算表〔小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用〕
3割特例付表6税率別消費税額計算表〔小規模個人事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用〕

このほかに、次の書類が必要になる場合があります。

  • 消費税の還付申告に関する明細書:控除不足還付税額がある申告書に添付します。中間納付税額の還付だけの申告書には添付する必要はありません(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。個人事業者用と法人用があります。
  • 本人確認書類:個人番号(マイナンバー)を書いた申告書を書面で提出するときは、その都度、本人確認書類の提示か写しの添付が必要です(国税庁「番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い」)。

作成の順番

様式の組み合わせと作成の順番は、冒頭の表のとおりです。付表どうしで数字を受け渡すため、この順番が決まっています。原則課税では、付表1-3で売上の消費税額(②)を出し、付表2-3で控除対象仕入税額(㉖)を計算して、その金額を付表1-3の④欄に戻します。付表1-3で差引税額と地方消費税額まで出したら、第二表、第一表の順に転記します。詳しい書き方は、原則課税は国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」(PDF)、簡易課税は国税庁「法人用 申告書(簡易課税用)の書き方」(PDF)、2割特例は国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」(令和7年11月版、PDF)を参照してください。

国税庁の「書き方」は法人向けですが、第一表・第二表と付表は個人事業者・法人共通の様式です。

付表1-3と付表1-1・1-2の違い

付表の番号の「-3」は、課税期間中の取引が標準税率7.8%と軽減税率6.24%だけの場合に使う様式です。旧税率(3%・4%・6.3%)が適用された取引がある課税期間は、付表1-1・1-2(原則課税の付表2は2-1・2-2、簡易課税は4-1・4-2と5-1・5-2)を使い、「-2」を作ってから「-1」を作ります(国税庁「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」)。旧税率の取引があって2割特例を選ぶ場合は、付表6ではなく付表4-1・4-2・5-1・5-2を使います(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)。

令和8年10月1日以後に開始する課税期間は新しい第一表・第二表

【確定】国税庁は、第一表と第二表を「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」と「令和8年10月1日以後に開始する課税期間用」に分けて掲載しています。個人事業者の令和8年分の申告は、「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」を使うよう案内しています(国税庁「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」)。付表1-3・2-3・4-3・5-3は、同じページで区分されていません(2026年9月26日確認)。付表6は、2割特例用と3割特例用が別の様式です。

どちらの第一表・第二表を使うか(課税期間を短縮していない場合)
事業者課税期間使う第一表・第二表
個人事業者令和8年分(2026年1月1日〜12月31日)令和8年9月30日以前に開始した課税期間用
令和9年分(2027年1月1日〜12月31日)以後令和8年10月1日以後に開始する課税期間用
3月決算の法人2026年4月1日〜2027年3月31日令和8年9月30日以前に開始した課税期間用
2027年4月1日〜に始まる事業年度以後令和8年10月1日以後に開始する課税期間用
9月決算の法人2025年10月1日〜2026年9月30日令和8年9月30日以前に開始した課税期間用
2026年10月1日〜に始まる事業年度以後令和8年10月1日以後に開始する課税期間用
12月決算の法人2026年1月1日〜12月31日令和8年9月30日以前に開始した課税期間用
2027年1月1日〜に始まる事業年度以後令和8年10月1日以後に開始する課税期間用

表は、国税庁の様式の区分(課税期間の開始日)を当会が決算月に当てはめたものです。免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の1億円の上限も、同じ「令和8年10月1日以後に開始する課税期間」から適用されます。

様式の見分け方:従来の様式の右端には「令和五年十月一日以後終了課税期間分」と印刷されており、国税庁のページではこれを「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」として掲載しています。新しい様式には「令和八年十月一日以後開始する課税期間分」と印刷されています(従来の第一表(一般用、PDF)、新しい第一表(一般用、PDF))。

当会が両方の第一表(一般用・簡易課税用)を見比べた範囲では、次の点が変わっています。

  • ①〜㉖の欄番号と欄の名称は同じです。
  • 参考事項の「課税標準額に対する消費税額の計算の特例の適用」欄が、「売上税額の積上げ計算の適用」欄になりました。
  • 「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」欄が、「(個人の方)税額控除に係る経過措置の適用(3割特例)」欄になりました。
  • 欄外の注記が「2割特例による申告の場合」から「3割特例による申告の場合」に変わりました(⑱欄に⑨欄の金額を書き、⑱欄×22/78で計算した金額を⑳欄に書く、という内容は同じです)。

第二表は、欄の番号と名称に違いは見当たらず、様式IDが異なります。新しい様式の「売上税額の積上げ計算の適用」欄の書き方を説明した国税庁の資料は、2026年9月26日時点で当会はまだ確認できていません。

様式の入手方法と、2026年10月からの税務署の窓口

  • 国税庁ホームページ:「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」から、第一表・第二表と付表をダウンロードできます。
  • 確定申告書等作成コーナー(個人事業者):画面の案内に沿って金額を入力すると申告書を作成でき、e-Taxで提出できます(国税庁 確定申告書等作成コーナー)。
  • 税務署:総合窓口で請求すれば交付を受けられます。2026年10月1日から、全国の税務署で総合窓口の受付時間は原則として午前9時から午後3時になります。受付時間外でも、開庁時間(午前8時30分から午後5時)内に来署した場合は対応するとされています(国税庁「令和8年10月1日からの税務署総合窓口の受付時間について」)。
  • 用紙コーナーの廃止:同じ日から、税務署の窓口付近の用紙コーナーは、確定申告の時期を含めて通年で設置されなくなります。用紙は総合窓口での請求のほか、国税庁ホームページからのダウンロードや、コンビニエンスストアのマルチコピー機でも入手できます。新宿税務署長から当会に周知の依頼があった内容で、税務署の総合窓口の受付時間の変更と用紙コーナー廃止(当会のお知らせ)にまとめています。

書面で提出する場合は、次の点に注意します。

申告と納付の期限、中間申告、納付書

【確定】期限と中間申告は国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)に基づきます。

申告と納付の期限

事業者原則の期限例
個人事業者翌年3月31日令和8年分:2027年3月31日(水)
法人課税期間の末日の翌日から2か月以内9月決算の2026年9月期:2026年11月30日(月)
12月決算の2026年12月期:2027年3月1日(月)
3月決算の2027年3月期:2027年5月31日(月)

納付の期限も申告の期限と同じ日です(国税庁 タックスアンサー No.6601)。期限が土曜日・日曜日・祝日などの休日や12月29日〜31日にあたるときは、その翌日(翌日も休日ならさらに翌日)が期限になります(国税通則法10条2項)。12月決算の例は、2027年2月28日が日曜日のため3月1日(月)です。例の日付は当会で計算しました。

法人税の申告期限の延長の特例を受けている法人が「消費税申告期限延長届出書」を提出している場合は、事業年度終了の日を含む課税期間の申告期限が1か月延びます。延長された期間の分は、利子税をあわせて納付します(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。

中間申告と第一表の⑩欄

直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない年税額)中間申告の回数
48万円以下原則として不要(任意の中間申告制度あり)
48万円超400万円以下年1回
400万円超4,800万円以下年3回
4,800万円超年11回

中間申告の期限は、原則として各中間申告の対象期間の末日の翌日から2か月以内です(国税庁 タックスアンサー No.6609)。

確定申告書の第一表の「中間納付税額⑩」欄と「中間納付譲渡割額㉑」欄には、その課税期間の中間申告書で申告した税額の合計を書きます。納付した税額ではありません(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。

納付の方法と納付書

国税庁の書き方は、次の納付方法を案内しています(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。

  • ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替。初回は届出が必要で、使えるまで1か月程度かかります)
  • インターネットバンキングやATMを利用した電子納税
  • クレジットカード納付(納付額に応じた決済手数料がかかり、1,000万円未満まで)
  • スマホアプリ納付(30万円以下)
  • 個人事業者は、確定申告分について振替納税も使えます(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)

金融機関や税務署の窓口で現金で納める場合は、納付書を使います。金融機関の窓口に一般用の納付書が備え付けられていない場合は、所轄の税務署に連絡します。2026年9月下旬以降に税務署の窓口で交付される納付書は、「整理番号」欄(8桁)が「お問い合わせ番号又は法人番号」欄(13桁)に変わりました。お問い合わせ番号の印字がない場合、法人は13桁の法人番号を書き、個人は記載不要です。「納期等の区分」欄などに元号の記載欄が、住所欄に郵便番号欄が加わりました。整理番号欄のある従来の納付書も、当分の間使えます(国税庁「現金に納付書を添えて納付(金融機関又は税務署の窓口)」)。延滞税や振替日などは、消費税の納付期限と納付方法で説明しています。

e-Taxでの提出が義務の法人

事業年度開始の時の資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人などは、付表を含めて、消費税の申告書をe-Taxで提出することが義務付けられています。消費税では、国と地方公共団体も対象です(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。操作の手順はe-Taxで消費税申告するやり方で説明しています。

一般用(原則課税)の書き方と記載例

【確定】欄番号と転記先は、「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」の第一表(一般用)、付表1-3・付表2-3の様式と、国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」(令和7年11月作成)によります。数値は当会の設例で、法定の端数処理で計算しました。

設例:小売業の個人事業者(令和8年分)

項目軽減税率(8%)標準税率(10%)
課税売上高(税込み)3,245,6708,812,340
インボイス発行事業者からの課税仕入れ(税込み)2,160,0003,300,000
インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れ(税込み):2026年1月〜9月―440,000
同:2026年10月〜12月―220,000

単位は円です。ほかの条件:免税売上・非課税売上・売上や仕入れの返品などはありません。売上税額・仕入税額とも割戻し計算です。基準期間(令和6年分)の課税売上高は10,800,000円で、簡易課税制度選択届出書は出していません。中間申告はありません。インボイス発行事業者以外の者からの仕入れは、経過措置の適用を受けるための帳簿と請求書等の保存の要件を満たしているものとします(要件は免税事業者等からの仕入れの経過措置:帳簿と請求書等)。

手順1 付表1-3の①〜②欄:課税標準額と消費税額

欄計算A 6.24%適用分B 7.8%適用分C 合計
①-1 課税資産の譲渡等の対価の額税込み×100/108(Bは100/110)、1円未満切捨て3,005,2508,011,21811,016,468
① 課税標準額①-1の千円未満切捨て3,005,0008,011,00011,016,000
② 消費税額①×6.24%(Bは7.8%)187,512624,858812,370

単位は円です。課税標準額の千円未満の切捨ては国税通則法118条1項、付表の計算で出る1円未満の端数の切捨ては様式の注意書き(金額の計算においては1円未満の端数を切り捨てる)によります。

手順2 付表2-3:課税売上割合と控除対象仕入税額

欄計算A 6.24%適用分B 7.8%適用分C 合計
① 課税売上額(税抜き)税込み×100/108(Bは100/110)3,005,2508,011,21811,016,468
④ 課税資産の譲渡等の対価の額①+②+③(免税売上などはなし)――11,016,468
⑦ 資産の譲渡等の対価の額⑤+⑥(非課税売上はなし)――11,016,468
⑧ 課税売上割合④÷⑦――100%
⑨ 課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)インボイス発行事業者からの仕入れ2,160,0003,300,0005,460,000
⑩ 課税仕入れに係る消費税額⑨×6.24/108(Bは7.8/110)124,800234,000358,800
⑪ 経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)インボイス発行事業者以外の者からの仕入れ―660,000660,000
⑫ 経過措置により課税仕入れに係る消費税額とみなされる額下の計算―35,88035,880
⑰ 課税仕入れ等の税額の合計額⑩+⑫(⑭〜⑯はなし)124,800269,880394,680
⑱ 課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上の場合⑰の金額124,800269,880394,680
㉖ 差引・控除対象仕入税額⑱の金額(調整額はなし)124,800269,880394,680

単位は円です。㉖の金額を、付表1-3の④欄に移します。

⑫欄は仕入れた日で割合を分けます。免税事業者など、インボイス発行事業者以外の者からの仕入れで控除できる割合は、2026年9月30日までの仕入れが80%、2026年10月1日から2028年9月30日までの仕入れが70%です(国税庁 令和8年度税制改正特集)。個人事業者の令和8年分のように、1つの課税期間に両方の仕入れがある場合は、それぞれの割合で計算した金額を合計します。

2026年1月〜9月の仕入れ:440,000 × 7.8/110 = 31,200円 → × 80% = 24,960円
2026年10月〜12月の仕入れ:220,000 × 7.8/110 = 15,600円 → × 70% = 10,920円
⑫B欄:24,960 + 10,920 = 35,880円

仕入れた日の判定(商品は原則として引渡しの日、役務は原則として提供が完了した日)と、2026年10月1日以後に開始する課税期間から適用される1億円の上限は、免税事業者等からの仕入れの経過措置(2026年10月から70%)で説明しています。仕入税額を積上げ計算している場合は、経過措置の対象となる仕入れも積上げ計算で計算します(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。

課税売上高が5億円を超えるか、課税売上割合が95%未満の場合は、⑰の全額を控除することはできません。個別対応方式なら⑲〜㉑欄、一括比例配分方式なら㉒欄で計算し、第一表の参考事項の「控除税額の計算方法」欄で、使った方式を示します(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。

手順3 付表1-3の③〜⑬欄:差引税額と地方消費税額

欄計算A 6.24%適用分B 7.8%適用分C 合計
④ 控除対象仕入税額付表2-3の㉖124,800269,880394,680
⑦ 控除税額小計④+⑤+⑥124,800269,880394,680
⑨ 差引税額②+③−⑦=417,690、百円未満切捨て――417,600
⑪ 地方消費税の課税標準となる消費税額(差引税額)⑨の金額――417,600
⑬ 譲渡割額(納税額)⑪×22/78=117,784…、百円未満切捨て――117,700

単位は円です。差引税額の百円未満の切捨ては国税通則法119条1項、地方消費税の百円未満の切捨ては地方税法20条の4の2第3項によります。⑦が②+③より大きいときは、差額を⑧控除不足還付税額(地方消費税は⑩と⑫)に書きます。

手順4 第二表への転記

第二表の欄転記元設例の金額
① 課税標準額付表1-3の①C11,016,000
⑤ 課税資産の譲渡等の対価の額の合計額(6.24%適用分)付表1-3の①-1A3,005,250
⑥ 同(7.8%適用分)付表1-3の①-1B8,011,218
⑦ 同(②〜⑥の合計)付表1-3の①-1C11,016,468
⑪ 消費税額付表1-3の②C812,370
⑮ ⑪の内訳(6.24%適用分)付表1-3の②A187,512
⑯ ⑪の内訳(7.8%適用分)付表1-3の②B624,858
⑳ 地方消費税の課税標準となる消費税額付表1-3の⑪C417,600
㉓ 同(6.24%及び7.8%適用分)付表1-3の⑪C417,600

単位は円です。売上げの返品や値引きがある場合は、付表1-3の⑤C・⑤-1Cを第二表の⑰・⑱欄に移します。第二表の②〜④、⑫〜⑭、㉑・㉒は旧税率の欄、⑧〜⑩・⑲は課税売上割合が95%未満で特定課税仕入れがある事業者だけが書く欄です。

手順5 第一表への転記

第一表の欄転記元・計算設例の金額
① 課税標準額第二表の①11,016,000
② 消費税額第二表の⑪812,370
④ 控除対象仕入税額付表1-3の④C394,680
⑦ 控除税額小計付表1-3の⑦C394,680
⑨ 差引税額付表1-3の⑨C417,600
⑩ 中間納付税額中間申告で申告した税額なし
⑪ 納付税額⑨−⑩417,600
⑮ 課税資産の譲渡等の対価の額付表2-3の④C11,016,468
⑯ 資産の譲渡等の対価の額付表2-3の⑦C11,016,468
⑱ 地方消費税の課税標準となる消費税額(差引税額)付表1-3の⑪C417,600
⑳ 譲渡割額(納税額)付表1-3の⑬C117,700
㉒ 納付譲渡割額⑳−㉑117,700
㉖ 消費税及び地方消費税の合計(納付又は還付)税額(⑪+㉒)−(⑧+⑫+⑲+㉓)535,300

単位は円です。⑮⑯は課税売上割合の計算に使う金額で、この課税期間の課税売上高を書く欄ではありません(簡易課税用の第一表とは⑮⑯の内容が違います)。㉖が還付になる場合は、数字の前にマイナス「−」を付け、「△」は使いません(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。

欄以外の記載は次のとおりです。

  • 課税期間:個人事業者は暦年(令和8年1月1日〜12月31日)、法人は事業年度を書きます。年の途中でインボイス発行事業者の登録を受けて課税事業者になった個人事業者も、暦年を書きます(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)。
  • 付記事項:割賦基準、延払基準等、工事進行基準、現金主義会計の適用の有無を書きます。設例はいずれも「無」です。
  • 参考事項の「控除税額の計算方法」:設例は課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95%以上なので「全額控除」です。
  • 参考事項の「基準期間の課税売上高」:千円単位で書きます。設例は10,800千円です。基準期間の課税売上高(税抜き)から売上げの返品などの金額(税抜き)を引き、免税売上高を加えた金額です(国税庁「法人用 申告書(一般用)の書き方」)。
  • 「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」欄:原則課税で申告するので、何も書きません。

計算の考え方を先に確認したい場合は、割戻し計算と積上げ計算、税率の区分は軽減税率(8%)の対象品目をご覧ください。輸出などで仕入税額が売上税額より多くなる場合の還付は、輸出入と消費税で扱っています。

簡易課税用の書き方と記載例

【確定】欄番号と転記先は、「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」の第一表(簡易課税用)、付表4-3・付表5-3の様式と、国税庁「法人用 申告書(簡易課税用)の書き方」(令和7年11月作成)によります。

簡易課税を使える事業者

基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を出している事業者です。届出書の提出期限は、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日で、選択したら原則として2年間は続けて適用します(国税庁 令和8年度税制改正特集、国税庁 タックスアンサー No.6505)。2割特例・3割特例を使った翌課税期間から簡易課税にする場合の届出期限の特例は、簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例で説明しています。届出の手続きは簡易課税制度の届出と手続きをご覧ください。

事業区分とみなし仕入率
事業区分みなし仕入率
第1種事業(卸売業)90%
第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る))80%
第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業)70%
第4種事業(第1種・第2種・第3種・第5種・第6種以外の事業)60%
第5種事業(運輸通信業、金融業・保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く))50%
第6種事業(不動産業)40%

国税庁 令和8年度税制改正特集の表によります。どの事業区分に当たるかの判定は、簡易課税の事業区分で説明しています。

設例:小売業(第2種)の個人事業者(令和8年分)

課税売上高は税込み22,000,000円(すべて10%)、基準期間(令和6年分)の課税売上高は19,500,000円で、簡易課税制度選択届出書を出しています。売上げの返品や貸倒れ、中間申告はありません。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えているので、この事業者は2割特例を使えません。

様式と欄計算・転記元金額
付表4-3 ①-1 課税資産の譲渡等の対価の額(B)22,000,000×100/11020,000,000
付表4-3 ① 課税標準額(B)①-1の千円未満切捨て20,000,000
付表4-3 ② 消費税額(B)①×7.8%1,560,000
付表5-3 ① 課税標準額に対する消費税額付表4-3の②1,560,000
付表5-3 ④ 控除対象仕入税額の計算の基礎となる消費税額①+②−③1,560,000
付表5-3 ⑤ 1種類の事業の専業者の場合の控除対象仕入税額④×みなし仕入率80%1,248,000
付表4-3 ④ 控除対象仕入税額付表5-3の⑤1,248,000
付表4-3 ⑦ 控除税額小計④+⑤+⑥1,248,000
付表4-3 ⑨ 差引税額②+③−⑦、百円未満切捨て312,000
付表4-3 ⑪ 地方消費税の課税標準となる消費税額⑨の金額312,000
付表4-3 ⑬ 譲渡割額(納税額)⑪×22/78、百円未満切捨て88,000

単位は円です。付表4-3の③は「貸倒回収に係る消費税額」で、一般用の付表1-3の③(控除過大調整税額)とは内容が違います。

第一表(簡易課税用)の主な欄
第一表の欄転記元設例の金額
① 課税標準額第二表の①(付表4-3の①C)20,000,000
② 消費税額第二表の⑪(付表4-3の②C)1,560,000
④ 控除対象仕入税額付表4-3の④C1,248,000
⑦ 控除税額小計付表4-3の⑦C1,248,000
⑨ 差引税額付表4-3の⑨312,000
⑪ 納付税額⑨−⑩312,000
⑮ この課税期間の課税売上高課税売上高(税抜き)−売上げの返品などの金額(税抜き)+免税売上高20,000,000
⑯ 基準期間の課税売上高基準期間の課税売上高19,500,000
⑱ 地方消費税の課税標準となる消費税額(差引税額)付表4-3の⑪312,000
⑳ 譲渡割額(納税額)付表4-3の⑬88,000
㉒ 納付譲渡割額⑳−㉑88,000
㉖ 消費税及び地方消費税の合計(納付又は還付)税額(⑪+㉒)−(⑧+⑫+⑲+㉓)400,000

単位は円です。第二表は、①に20,000,000、⑥と⑦に20,000,000、⑪と⑯に1,560,000、⑳と㉓に312,000を書きます。

参考事項の「事業区分」欄には、事業区分ごとの課税売上高(免税売上高を除き、千円未満四捨五入)と売上割合を書きます(国税庁「法人用 申告書(簡易課税用)の書き方」)。設例は第2種事業だけなので、第2種の欄が20,000千円・100%になります。

2種類以上の事業を営む場合

付表5-3のⅢ(⑥〜㊲欄)で、事業区分ごとの課税売上高と消費税額を分けて計算します。原則は、事業区分ごとの消費税額にそれぞれのみなし仕入率を掛けて合計する計算です。1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合は、その事業のみなし仕入率を全体に適用する特例計算(2種類の事業で75%以上の場合の特例もあります)を使えます。原則計算と、要件を満たす特例計算のうちから選んだ金額を㊲欄に書き、付表4-3の④欄に移します。税率ごとに異なる計算方法を選ぶことはできません(国税庁「法人用 申告書(簡易課税用)の書き方」)。

2割特例の書き方と記載例(個人事業者は令和8年分が最後)

【確定】国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」(令和7年11月版)と、付表6・第一表の様式に基づきます。

使える課税期間

2割特例は、インボイス発行事業者の登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者(消費税課税事業者選択届出書の提出で課税事業者になった免税事業者を含みます)が、納付税額を売上税額の2割にできる経過措置です。使えるのは「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間」で、2026年9月30日で打ち切られるのではなく、その日を含む課税期間の終わりまで使えます。個人事業者は令和8年分が最後で、法人は2026年9月30日を含む事業年度が最後です(国税庁「2割特例の概要」)。

基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税期間など、登録と関係なく課税事業者になる課税期間や、課税期間を短縮している課税期間などは使えません。使えない課税期間の一覧と、決算月別の最後の事業年度は、消費税の2割特例はいつまで使えるかで説明しています。

使う様式

  • 第一表:簡易課税制度選択届出書を出している事業者は簡易課税用、出していない事業者は一般用です(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)。
  • 付表6:「税率別消費税額計算表〔小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用〕」です。手引きには、貸倒れなどがない場合に使える簡易版の付表6が載っています。簡易版では特別控除税額が⑥欄、通常版では⑦欄です。以下の設例は簡易版の欄番号で説明します。
  • 第二表:付表6の金額を移します。

事前の届出は不要で、第一表の「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」欄に「○」を付けて適用を受けます(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)。

設例:令和5年10月に登録した個人事業者(令和8年分)

令和8年分の課税売上高は、税込みで10%の分が3,852,500円、8%(持ち帰りの飲食料品)の分が1,296,300円です。登録前は免税事業者で、基準期間(令和6年分)の課税売上高は6,200,000円、特定期間の課税売上高も1,000万円以下です。簡易課税制度選択届出書は出しておらず、売上げの返品や貸倒れ、中間申告はありません。

付表6(簡易版)
欄計算A 6.24%適用分B 7.8%適用分C 合計
① 課税資産の譲渡等の対価の額税込み×100/108(Bは100/110)、1円未満切捨て1,200,2773,502,2724,702,549
② 課税標準額①の千円未満切捨て1,200,0003,502,0004,702,000
③ 課税標準額に対する消費税額②×6.24%(Bは7.8%)74,880273,156348,036
⑤ 控除対象仕入税額の計算の基礎となる消費税額③−④(返品などはなし)――348,036
⑥ 特別控除税額⑤×80%=278,428.8、1円未満切捨て――278,428

単位は円です。第二表には、①に4,702,000、⑤に1,200,277、⑥に3,502,272、⑦に4,702,549、⑪に348,036、⑮に74,880、⑯に273,156、⑳と㉓に69,600を書きます。

第一表(一般用)
第一表の欄転記元・計算設例の金額
① 課税標準額第二表の①(付表6の②C)4,702,000
② 消費税額第二表の⑪(付表6の③C)348,036
④ 控除対象仕入税額付表6の⑥(特別控除税額)278,428
⑦ 控除税額小計④+⑤+⑥278,428
⑨ 差引税額②+③−⑦=69,608、百円未満切捨て69,600
⑪ 納付税額⑨−⑩69,600
⑮⑯ 課税売上割合の欄2割特例の場合は記載不要―
⑱ 地方消費税の課税標準となる消費税額(差引税額)⑨の金額69,600
⑳ 譲渡割額(納税額)⑱×22/78=19,630…、百円未満切捨て19,600
㉒ 納付譲渡割額⑳−㉑19,600
㉖ 消費税及び地方消費税の合計(納付又は還付)税額(⑪+㉒)−(⑧+⑫+⑲+㉓)89,200

単位は円です。参考事項の「基準期間の課税売上高」は6,200千円です。基準期間に免税事業者だった場合は、その年の売上げに消費税が含まれていないので、税抜きにせずにそのまま書きます(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)。

  • 2割特例では付表1-3がないため、第一表の欄外の注記のとおり、⑱欄に⑨欄の金額を書き、⑱欄×22/78で計算した金額を⑳欄に書きます。中間納付税額がある場合も、⑱欄には⑨欄の金額を書きます。還付になる場合(⑧欄に金額がある場合)は、⑰欄に⑧欄の金額を書きます(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)。
  • 簡易課税用の第一表を使う場合は、参考事項の「事業区分」欄と「この課税期間の課税売上高⑮」欄は記載不要で、「基準期間の課税売上高⑯」欄は書きます(同手引き)。
  • 国税庁の手引きは、2割特例による納付税額の目安を売上げの約1.8%(飲食料品の場合は約1.5%)としています。設例の89,200円は、税込売上5,148,800円の約1.7%です。

2割特例を選ぶかどうかの確認

  • 簡易課税を選択していて卸売業(第1種、みなし仕入率90%)を営む場合は、一般的に簡易課税のほうが納付税額が少なくなると、国税庁の手引きは説明しています。みなし仕入率80%の第2種事業なら、簡易課税でも2割特例でも同じ額です。
  • 多額の設備投資などで仕入れが売上げより多い場合は、原則課税で申告すると還付を受けられることがあります。2割特例と簡易課税では、通常、還付税額は生じません(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)。
  • 2割特例を適用して(又は適用せずに)申告した後で、修正申告や更正の請求によって適用しないこと(又は適用すること)に変えることは、原則としてできません(同手引き)。

年間の売上と仕入を入れて原則課税・簡易課税・2割特例の納税額を比べる場合は、消費税計算ツールを使えます(3割特例の比較は、3割特例と簡易課税・一般課税の業種別比較をご覧ください)。

令和8年度税制改正で申告書に関係すること

【確定】「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号。2026年3月31日成立)による改正で、インボイス関係は2026年10月1日に施行されます。内容は国税庁のインボイス制度 令和8年度税制改正特集とリーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(PDF)に基づきます。

3割特例の申告書(個人事業者の令和9年分・令和10年分)

3割特例は、インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業者が、令和9年分・令和10年分の申告で、納付税額を売上税額の3割にできる特例です。主な要件は、個人事業者であること、基準期間(令和9年分なら令和7年、令和10年分なら令和8年)の課税売上高が1,000万円以下であること、インボイス発行事業者の登録を受けていることです。法人は使えません。要件と使えない年分の一覧は3割特例(令和9年分・令和10年分の個人事業者の消費税計算)で説明しています。

国税庁は、3割特例の申告に次の様式を掲載しています(国税庁「消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等」)。

  • 第一表・第二表:「令和8年10月1日以後に開始する課税期間用」。簡易課税制度選択届出書を出していない事業者は一般用、出した事業者は簡易課税用です。
  • 付表6:「税率別消費税額計算表〔小規模個人事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用〕」(PDF)。欄の構成は2割特例用の付表6(通常版)と同じで、⑦特別控除税額が「⑥×70%」になっています。
  • 第一表の「(個人の方)税額控除に係る経過措置の適用(3割特例)」欄に記載して、適用を受ける旨を付記します。

様式に印刷された計算式と転記先に当てはめると、令和9年分の課税売上高が税込み3,852,500円(すべて10%)の場合は次のとおりです(当会の設例)。

欄計算金額
付表6 ① 課税資産の譲渡等の対価の額3,852,500×100/110、1円未満切捨て3,502,272
付表6 ② 課税標準額①の千円未満切捨て3,502,000
付表6 ③ 課税標準額に対する消費税額②×7.8%273,156
付表6 ⑥ 控除対象仕入税額の計算の基礎となる消費税額③+④−⑤273,156
付表6 ⑦ 特別控除税額(第一表④へ)⑥×70%=191,209.2、1円未満切捨て191,209
第一表 ⑨ 差引税額②+③−⑦=81,947、百円未満切捨て81,900
第一表 ⑳ 譲渡割額(納税額)⑱(⑨の金額)×22/7823,100
第一表 ㉖ 合計税額⑪+㉒105,000

単位は円です。同じ売上げで2割特例を使えたとすると70,000円(差引税額54,600円、譲渡割額15,400円)で、3割特例では35,000円多くなります。3割特例の申告書の書き方を説明した国税庁の手引きは、2026年9月26日時点で当会はまだ確認できていません。公表されたら、この記事の記載と照らし合わせます。

免税事業者等からの仕入れの控除割合(80%から70%へ)

仕入れた日控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日以後0%(控除できない)

仕入税額相当額(税込み×7.8/110、軽減税率は6.24/108)に掛ける割合です。2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、同じ相手からの経過措置の対象となる課税仕入れが年1億円(税込み、改正前は10億円)を超える部分には適用できません(国税庁 令和8年度税制改正特集)。

申告書では付表2-3の⑪・⑫欄に関係します。書き方は手順2の設例のとおりです。判定の日や帳簿の書き方などの詳細は、経過措置の割合を判定する日で説明しています。

簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例

2割特例・3割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間から簡易課税を使う場合は、その翌課税期間の申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出せば、その課税期間から簡易課税を使えます。翌課税期間が2026年9月30日以前に終わる場合は、その課税期間の末日までです。申告期限の延長の特例を受けている法人は、延長後の期限が提出期限です(国税庁 令和8年度税制改正特集)。

特例を使った課税期間簡易課税を始める課税期間届出書の提出期限
個人:令和8年分に2割特例令和9年分2028年3月31日(金)
個人:令和10年分に3割特例令和11年分2030年4月1日(月)
12月決算の法人:2026年12月期に2割特例2027年12月期2028年2月29日(火)
3月決算の法人:2027年3月期に2割特例2028年3月期2028年5月31日(水)
9月決算の法人:2026年9月期に2割特例2027年9月期2027年11月30日(火)

個人の令和11年分と12月決算の法人の例は、国税庁のリーフレットに載っている例です。ほかは同じ決まりに当てはめて当会が計算した日付で、法人は申告期限の延長の特例を受けていない場合です。

【予定・法案未成立】飲食料品の税率を1%にする案

飲食料品の消費税率を2年間1%に引き下げる案は、2026年9月26日時点で法案が成立していません。申告書の様式や計算にどう影響するかは確定していないため、この記事の記載例には反映していません。計算の考え方は食料品の消費税が1%になった場合の計算で扱っています。

提出前のチェックリスト

  • 課税期間の開始日に合った第一表・第二表を使っているか(個人事業者の令和8年分は「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」)。
  • 課税方式に合った第一表(一般用・簡易課税用)と付表を使っているか。旧税率の取引があれば付表1-1・1-2などを使っているか。
  • 課税標準額は千円未満、差引税額と譲渡割額は百円未満を切り捨てているか。付表の計算で出る1円未満の端数は切り捨てているか。
  • 標準税率(7.8%)と軽減税率(6.24%)の金額を、付表と第二表のA・B欄に分けて書いているか。
  • 免税事業者等からの仕入れは、2026年9月30日までの分を80%、10月1日以後の分を70%で計算しているか。
  • 中間納付税額⑩・中間納付譲渡割額㉑は、納付した額ではなく申告した額を書いているか。
  • 2割特例を使う場合は「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」欄に「○」を付けているか。
  • 一般用の⑮⑯(課税売上割合の欄)と、簡易課税用の⑮⑯(課税売上高の欄)を取り違えていないか。
  • 還付申告の場合は、還付申告に関する明細書を添付し、還付を受けようとする金融機関等を書いているか。
  • 個人番号・法人番号を書いているか。書面で個人番号を書いた場合は、本人確認書類の提示か写しの添付をするか。
  • 書面で提出する場合、控えを自分で取ったか(控用はなくなり、控えに収受日付印も押されません)。

わからないときの相談先

個別の取引の扱いや、どの課税方式が有利かは、税理士か所轄の税務署に確認してください。新宿で使える無料の公的な相談窓口(国税庁の電話相談センター、税務署の面接相談、税理士会の相談など)は、新宿で税金の相談をしたいとき(無料の公的な相談窓口)にまとめています。

よくある質問

個人事業者の令和8年分の消費税の申告期限はいつですか。

2027年3月31日(水)です。納付の期限も同じ日です。個人事業者の12月31日を含む課税期間の申告と納付の期限は、翌年3月31日です。〔国税庁 タックスアンサー No.6601〕

2割特例は、2026年10月以降は使えなくなるのですか。

2026年9月30日を含む課税期間までは使えます。個人事業者は令和8年分(申告期限は2027年3月31日)が最後で、法人は2026年9月30日を含む事業年度が最後です。2026年9月30日で一律に終わるわけではありません。〔国税庁 2割特例の概要〕

2割特例を使うのに届出は必要ですか。

必要ありません。第一表の「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」欄に「○」を付け、付表6で計算します。第一表は、簡易課税制度選択届出書を出していれば簡易課税用、出していなければ一般用を使います。〔国税庁 2割特例用 確定申告の手引き〕

申告した後で、2割特例を使う・使わないを変えられますか。

2割特例を適用して(又は適用せずに)申告した後で、修正申告や更正の請求によって適用しないこと(又は適用すること)に変えることは、原則としてできません。〔国税庁 2割特例用 確定申告の手引き〕

3割特例の申告書はどう書きますか。

個人事業者の令和9年分・令和10年分の申告で、「令和8年10月1日以後に開始する課税期間用」の第一表と、付表6〔小規模個人事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する課税期間用〕を使います。付表6の⑦欄で売上税額の70%を特別控除税額として計算して第一表の④欄に移し、第一表の「(個人の方)税額控除に係る経過措置の適用(3割特例)」欄で適用を受ける旨を付記します。〔国税庁 申告書・添付書類等〕

令和8年10月からの新しい申告書は、いつから使いますか。

令和8年10月1日以後に開始する課税期間の申告から使います。個人事業者は令和9年分から、12月決算の法人は2027年1月1日に始まる事業年度から、9月決算の法人は2026年10月1日に始まる事業年度からです。個人事業者の令和8年分は「令和8年9月30日以前に開始した課税期間用」を使います。〔国税庁 申告書・添付書類等〕

付表1-3と付表1-1・1-2は、どう使い分けますか。

課税期間中の取引が標準税率7.8%と軽減税率6.24%だけなら、付表1-3と付表2-3を使います。旧税率(3%・4%・6.3%)が適用された取引があれば、付表1-2を作ってから付表1-1を作ります(付表2-2と2-1も同じ順です)。〔国税庁 申告書・添付書類等〕

2026年10月以降の免税事業者からの仕入れは、付表2-3にどう書きますか。

⑪欄に経過措置の対象となる仕入れの税込金額を、⑫欄に仕入税額相当額に割合を掛けた金額を書きます。割合は仕入れた日で判定し、2026年9月30日までの仕入れは80%、2026年10月1日から2028年9月30日までの仕入れは70%です。割合の違う仕入れがある場合は、それぞれの割合で計算した金額を合計します。〔国税庁 令和8年度税制改正特集〕

2割特例を使った翌年から簡易課税にするには、いつまでに届け出ればよいですか。

翌課税期間の申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出せば、その課税期間から簡易課税を使えます(翌課税期間が2026年10月1日以後に終わる場合)。令和8年分に2割特例を使った個人事業者が令和9年分から簡易課税にする場合は、2028年3月31日(金)までです。〔国税庁 令和8年度税制改正特集〕

申告書の用紙は税務署でもらえますか。

総合窓口で請求すれば交付を受けられます。2026年10月1日から総合窓口の受付時間は原則9時〜15時になり、窓口付近の用紙コーナーは設置されなくなります。国税庁ホームページからダウンロードすることもできます。〔国税庁 税務署総合窓口の受付時間、当会のお知らせ〕

申告書に押印は必要ですか。控えに受付印はもらえますか。

押印は必要ありません。令和7年1月から申告書等の控えに収受日付印は押されず、2026年9月24日の国税システムの更改に伴う様式の変更で申告書の控用もなくなりました。書面で出すときは提出用だけを出し、必要に応じて自分で写しを取って提出日を記録しておきます。〔国税庁 押印の取扱い、国税庁 収受日付印の押なつ、国税庁 国税システムの更改〕

消費税の納付書はどこで手に入りますか。

金融機関の窓口に一般用の納付書が備え付けられていない場合は、所轄の税務署に連絡します。2026年9月下旬以降に税務署の窓口で交付される納付書は、「整理番号」欄(8桁)が「お問い合わせ番号又は法人番号」欄(13桁)に変わりました。お問い合わせ番号の印字がない場合、法人は法人番号を書き、個人は記載不要です。〔国税庁 現金に納付書を添えて納付〕

まとめ

  • 申告書は第一表と第二表の2枚で1組です。税額は付表で計算し、第二表、第一表の順に転記します。
  • 付表は、原則課税が1-3と2-3、簡易課税が4-3と5-3、2割特例と3割特例が付表6です。旧税率の取引があれば「-1」「-2」の付表を使います。
  • 個人事業者の令和8年分は、従来の第一表・第二表を使う2割特例の最後の年です。申告と納付の期限は2027年3月31日です。
  • 2026年10月1日以後の免税事業者等からの仕入れは70%で計算し、令和8年10月1日以後に開始する課税期間からは新しい第一表・第二表を使います。
  • 書面で出す場合は、控えを自分で取っておきます。税務署の総合窓口の受付は、10月1日から原則9時〜15時です。

出典・参考資料

いずれも2026年9月25日から26日にかけて内容を確認しました。

国税庁 様式と書き方

国税庁 令和8年度税制改正・2割特例

国税庁 期限・納付・窓口・提出方法

財務省・法令

新宿間税会

改訂履歴と監修について

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2025年7月14日:公開
  • 2026年9月25日:一部の記述を訂正(2割特例の適用期間と対象、申告書の作成順序と転記元、端数処理、押印、経過措置の割合、税務署の窓口など)
  • 2026年9月26日:全面改訂(令和8年度税制改正と新しい第一表・第二表への対応、欄番号付きの記載例(一般用・簡易課税用・2割特例・3割特例)、様式の選び方、納付書、提出前のチェックリストを追加。原則課税と2割特例の数値が混在していた図と、根拠を示せない記述を削除)

監修の状況は、冒頭の「監修について」のとおりです。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。

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