業種別の消費税・インボイス:10業種の論点と簡易課税の事業区分

以下の10業種について、消費税とインボイスで確認が必要な点を業種ごとに要約し、解説ページへ案内します。後半では、2割特例の終了、3割特例、免税事業者などからの仕入れの70%控除、簡易課税の事業区分など、業種共通の論点をまとめています。内容は2026年9月26日時点の法令等に基づきます。

10業種の論点と解説ページ

業種名から、各業種の解説ページに移動できます。簡易課税の事業区分は、10業種をまとめて事業区分の一覧表に載せています。

飲食業

店内での飲食は10%、持ち帰りと出前は8%で、酒類はどちらも10%です。2026年10月1日の酒税改正では、税率が上がる酒類の在庫が合計2,000L以上ある酒場・料飲店(該当するのは一部の店に限られます)は、2026年11月2日までに酒類の手持品課税の申告が必要です。

小売業

レシートは適格簡易請求書(簡易インボイス)として交付でき、飲食料品(酒類を除く)の8%と、それ以外の10%を税率ごとに区分します。免税店(輸出物品販売場制度)は、2026年11月1日からリファンド方式に移ります。

建設業

一般課税では、インボイス発行事業者でない下請(一人親方など)への外注費は、2026年10月1日以後の仕入れから仕入税額相当額の70%だけを控除できます(70%控除の説明)。簡易課税の区分は、工事を請け負うか、材料を持たずに人的役務だけを提供するかで変わります。

製造業

輸出は、輸出許可書などを保存すれば消費税が免除され、仕入れにかかった消費税は控除できます(輸出入と消費税)。2026年10月1日以後の輸出で代金を現金などで受け取る場合は、輸出先の税関が発行する輸入許可書なども保存が必要です。国内向けの取引だけの場合も、自社の原材料で製造すると簡易課税は第3種(70%)ですが、他の事業者の原材料に加工を施して加工賃を受け取る場合は第4種(60%)になります(事業区分の一覧表)。

IT・Web制作業

簡易課税では、ソフトウェア業・情報処理サービス業・インターネット附随サービス業などが第5種(50%)です。海外の顧客への売上は、日本で行うWeb制作やシステム開発の提供なら輸出免税、SaaSなどの電気通信利用役務の提供なら国外取引(不課税)に区分します。国外事業者から受けるインターネット広告の配信などはリバースチャージ方式の対象ですが、申告が必要なのは一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間だけです。

運輸・物流業

軽油代に含まれる軽油引取税(2026年4月1日から1Lあたり15円)は、特約店などの特別徴収義務者が販売し、請求書などで区分されていれば消費税の対象外で、仕入税額控除の対象にもなりません。海外との取引がある場合、国内と国外にわたる貨物や旅客の輸送は輸出免税の対象です。

医療業

健康保険などの保険診療は非課税で、美容整形などの自由診療は課税です。課税事業者かどうかは保険診療の収入を除いた課税売上高で判定し、一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間は、仕入れの消費税を全額は控除できません(非課税の売上がある業種の注意点)。

教育・スクール業

学校教育法の学校、専修学校、一定の要件を満たす各種学校の授業料や入学金は非課税で、学習塾、英会話教室、カルチャースクールの受講料は課税です。2026年4月1日から、専修学校の専攻科の授業料なども非課税に加わりました。

不動産業

土地の譲渡・貸付けと住宅の貸付けは非課税(1か月未満の貸付けなどを除く)で、事務所・店舗の賃料、建物の譲渡、仲介手数料は課税です。2026年10月1日以後、非居住者に対して行う国内の不動産の売買や賃貸の仲介などは、輸出免税の対象から外れて課税されます(2026年3月31日までに結んだ契約に基づくものを除く)。

フリーランス・個人事業主

インボイス発行事業者の個人事業者が2割特例を使えるのは、令和8年分(2026年分)までです。令和9年分・令和10年分は、要件を満たせば3割特例・簡易課税・一般課税から選べます。簡易課税の区分は、業務の内容で決まります。

10業種に共通する2026年10月前後の変更

項目内容確定度
2割特例2026年9月30日を含む課税期間で終わり、延長はありません。個人事業者は令和8年分が最後で、申告期限は2027年3月31日です。確定
3割特例個人事業者に限り、令和9年分・令和10年分の納付税額を売上税額の3割にできます。法人は使えません。確定(2026年10月1日施行)
免税事業者などからの仕入れ一般課税では、2026年10月1日以後の仕入れについて仕入税額相当額の70%を控除できます(2028年9月30日まで)。同じ仕入先から年1億円を超える部分は対象外です。確定
簡易課税の届出2割特例・3割特例を使った翌課税期間から簡易課税にする場合は、その翌課税期間の確定申告期限までに届出書を出せば間に合います。確定
飲食料品の税率2027年4月1日から2年間、1%にする案があります。閣議決定・法案未成立

詳しい説明は全業種に共通する論点にあります。1億円の上限は2026年10月1日以後に開始する課税期間(個人事業者は2027年分)から適用されます。簡易課税の届出期限は、翌課税期間が2026年10月1日以後に終わる場合の扱いです。

監修について
業種別ガイド(このページと10業種の各ページ)は、井手政紀税理士(井手政紀税理士事務所/元 新宿税務署長(第84代)/新宿間税会 税理士部会員)に監修を依頼しています。監修は完了しておらず、記事の内容は新宿間税会の責任で作成しています。2026年9月26日、令和8年度税制改正等に合わせて全面改訂しました(改訂部分は監修者の確認中です)。
目次
  1. 10業種の論点と解説ページ
  2. 全業種に共通する論点
  3. よくある質問
  4. 出典・参考資料
  5. 改訂履歴と監修について

全業種に共通する論点

業種にかかわらず関係する制度です。法律が成立しているものは【確定】、閣議決定の段階のものは【予定・法案未成立】と表示しています。

2割特例は2026年9月30日を含む課税期間で終わる

【確定】2割特例は、インボイス発行事業者の登録などを機に免税事業者から課税事業者になった事業者が、納付税額を売上税額の2割にできる経過措置です。使えるのは令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日を含む課税期間で、延長はされていません。個人事業者は令和8年分(申告期限2027年3月31日)が最後、法人は2026年9月30日を含む事業年度が最後です。業種による違いはなく、事前の届出も要りません。法人の決算月ごとの最後の事業年度は、2割特例の決算月別の早見表で確認できます。

個人事業者は令和9年分・令和10年分に3割特例を選べる

【確定・2026年10月1日施行】3割特例は、個人事業者に限り、令和9年分(2027年分)と令和10年分(2028年分)の納付税額を売上税額の3割にできる経過措置です。2割特例と同じく、登録(または課税事業者選択届出書の提出)がなければ免税事業者になる年分が対象で、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることなどが要件です。事前の届出は不要で、法人は使えません。要件と計算例は3割特例の要件・計算・簡易課税との比較で説明しています。

2割特例・3割特例を使った課税期間の翌課税期間から簡易課税にする場合は、その翌課税期間の確定申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出せば間に合います。翌課税期間が2026年9月30日以前に終わる場合は、その課税期間の末日までです(国税庁 タックスアンサー No.6505)。

免税事業者などからの仕入れは2026年10月1日から70%控除

【確定】一般課税で申告する事業者が、インボイス発行事業者でない相手(免税事業者や、登録していない課税事業者など)から仕入れた場合、一定の事項を記載した帳簿と請求書等を保存すれば、仕入税額相当額の一定割合を控除できます。割合は仕入れた日(商品は原則として引渡しを受けた日、役務は原則として全部が完了した日)で判定し、次のように変わります。

免税事業者などからの仕入れで控除できる割合
仕入れた日控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日以後控除できない

出典:国税庁 令和8年度税制改正特集、インボイスQ&A 問113-3。

2026年10月1日以後に開始する課税期間(個人事業者は2027年分)からは、同じ仕入先からの仕入れがその年(法人はその事業年度)に税込1億円を超えると、超えた部分にはこの経過措置を使えません(改正前は10億円)。簡易課税・2割特例・3割特例で申告する事業者の納付税額には影響しません。一人親方や個人の外注先、傭車先など、インボイス発行事業者でない相手への支払いがある場合に確認が必要です。計算例と帳簿の書き方は、免税事業者等からの仕入れの経過措置(70%控除と1億円上限)にまとめています。

簡易課税の事業区分は取引ごとに判定する

【確定】簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間に、事前に届出をして使う制度です。売上を第1種から第6種の事業に区分し、区分ごとのみなし仕入率(第1種90%、第2種80%、第3種70%、第4種60%、第5種50%、第6種40%)で仕入税額を計算します。区分は業種の名前ではなく取引ごとに、おおむね日本標準産業分類を基礎として判定するため、同じ業種でも取引によって区分が変わります。10業種の主な区分は次のとおりです。

10業種の主な事業区分と、別の区分になる主な例
業種主な事業区分(みなし仕入率)別の区分になる主な例
飲食業第4種(60%):店内での飲食、飲食設備のある店の出前自店で製造した料理や菓子の持ち帰り販売は第3種(70%)、仕入れた商品をそのまま売る場合は第2種(80%)
小売業第2種(80%):仕入れた商品を性質・形状を変えずに消費者へ販売事業者への販売(帳簿などで明らかなもの)は第1種(90%)、性質・形状を変えて販売する場合は第3種(70%)
建設業第3種(70%):工事の請負(全部を外注する場合を含む)材料の支給を受けて工事の一部を行う場合や、材料を持たずに人的役務だけを提供する場合は第4種(60%)
製造業第3種(70%):製造、製造小売他の者の材料に加工を施して加工賃を受け取る場合は第4種(60%)
IT・Web制作業第5種(50%):ソフトウェア業、情報処理サービス業、インターネット附随サービス業ソフトウェアの設計を外注して納品する場合も第5種。デザイン業、広告業も第5種
運輸・物流業第5種(50%):貨物・旅客の運送、倉庫、こん包、運送代理店など事業で使っていた車両などの固定資産の売却は第4種(60%)
医療業第5種(50%):自由診療など課税となる医療保険診療などの非課税の売上は、簡易課税の計算に入らない
教育・スクール業第5種(50%):学習塾、教養・技能教授業など売店での文房具の販売など、物品の販売は第2種(80%)になることがある
不動産業第6種(40%):仲介、賃貸、管理他の事業者が建築した建物を買ってそのまま売る場合は第1種(90%)か第2種(80%)、自ら建築施工した建物(施主として建築業者に施工させたものを含む)や、中古住宅を修理・塗装して売る場合は第3種(70%)
フリーランス・個人事業主業務の内容で決まるデザイン業、ソフトウェア業、著述業、経営コンサルタント業などは第5種(50%)、建設工事は第3種(70%)か第4種(60%)

出典:国税庁 タックスアンサー No.6509、国税庁 質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分」(建設業、情報通信業・運輸業、卸売業・小売業、不動産業・専門サービス業・飲食サービス業、教育・医療)、「製造小売と喫茶店を兼業している場合の取扱い」。表は主な例です。個々の取引の区分は、事実関係によって判定します。

2種類以上の事業をしている場合は、事業ごとに区分して計算します。1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上なら、そのみなし仕入率を全体に使えます。区分していない売上には、その中で最も低いみなし仕入率が適用されます(国税庁 タックスアンサー No.6505)。判定の例と届出の手続きは、簡易課税の事業区分とみなし仕入率で説明しています。

簡易課税の納付税額は売上税額に「1 − みなし仕入率」をかけた額で、売上税額に対する割合は第1種の10%から第6種の60%までです。2割特例(20%)より簡易課税のほうが少なくなるのは第1種だけで、第2種は同じです。3割特例(30%)より簡易課税のほうが少なくなるのは第1種と第2種で、第3種は同じです(端数処理による差は除きます)。金額での比較は3割特例と簡易課税の業種別比較表にあります。

非課税の売上がある業種(医療・不動産・教育)の注意点

【確定】保険診療、土地の譲渡・貸付け、住宅の貸付け、学校の授業料などは非課税です(国税庁 タックスアンサー No.6201)。非課税の売上は、課税事業者かどうかを判定する課税売上高には含まれません。

一般課税では、課税売上割合(総売上高に占める課税売上高の割合)が95%未満の課税期間や、課税売上高が5億円を超える課税期間は、仕入れの消費税を全額は控除できず、個別対応方式か一括比例配分方式で計算します(No.6401)。課税売上割合が95%未満の課税期間は、国外事業者から受けた広告の配信などについて、リバースチャージ方式による申告も必要になります(No.6118)。

【予定・法案未成立】飲食料品の税率を2年間1%にする案

2026年9月15日に閣議決定された大綱では、2027年4月1日から2029年3月31日まで、軽減税率の対象になっている飲食料品の税率を1%(国0.78%、地方0.22%)にするとしています。酒類と、店内での飲食(外食)・ケータリングは10%のまま、定期購読の新聞は8%のままです。飲食業、小売業、食品の製造業などに関係します。2026年9月26日時点で法律は成立しておらず、国税庁の資料も、法案が国会で可決・成立した場合の内容として公表されています(大綱(内閣官房、PDF)、国税庁 消費税率引下げ特設サイト)。

事業者向けの特例案(簡易課税の計算の特例、課税事業者選択届出書の提出時期の特例など)は飲食料品の消費税1%の引下げ案と事業者の実務、1%になる品目の範囲は軽減税率の対象品目と1%案の状況で説明しています。

よくある質問

自分の業種が簡易課税の第何種に当たるかは、どう確認すればよいですか。

簡易課税の事業区分は、業種全体ではなく売上の取引ごとに、おおむね日本標準産業分類を基礎として判定します。国税庁の質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分」に、業種ごとの目安があります。2種類以上の事業をしている場合は事業ごとに区分して計算し、区分していない売上には、その中で最も低いみなし仕入率が適用されます。〔国税庁 タックスアンサー No.6505・No.6509〕

2割特例や3割特例は、業種によって使えないことがありますか。

業種による制限はありません。納付税額は、業種にかかわらず売上税額の2割(3割特例は3割)です。使えるかどうかは、登録(または課税事業者選択届出書の提出)がなければ免税事業者になる課税期間であるか、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であるかなどで判定します。3割特例は個人事業者だけが対象で、法人は使えません。〔国税庁 令和8年度税制改正特集〕

免税事業者に外注している場合、2026年10月から何が変わりますか。

一般課税で申告している場合、インボイス発行事業者でない相手からの仕入れで控除できる割合が、2026年10月1日以後の仕入れから80%から70%に下がります。割合は仕入れた日(役務の提供は原則として全部が完了した日)で判定します。2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、同じ相手からの仕入れがその年(法人はその事業年度)に税込1億円を超えると、超えた部分には経過措置を使えません。簡易課税・2割特例・3割特例で申告している場合、納付税額は変わりません。〔国税庁 令和8年度税制改正特集、インボイスQ&A 問113-3〕

自分の場合にどうなるかを、新宿間税会に相談できますか。

新宿間税会では、事務局・このWebサイトとも、個別の税務相談にはお答えしていません。個別のご相談は、税理士や、国税庁の電話相談センター、税務署などの窓口をご利用ください。新宿で利用できる窓口は新宿で税金の相談をしたいとき:無料の公的な相談窓口の案内にまとめています。

出典・参考資料

いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。

国税庁 タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)

国税庁 質疑応答事例(消費税・令和7年8月1日現在の法令・通達等)

国税庁 インボイス制度・令和8年度税制改正

国税庁 酒税・免税店・飲食料品の税率引下げ

内閣官房・財務省・法令

軽油引取税

改訂履歴と監修について

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2026年5月15日:公開
  • 2026年9月25日:飲食業とIT・Web制作業の紹介文を訂正(免税事業者等からの仕入れの経過措置の割合、リバースチャージの例示と海外の顧客向け取引の記述)
  • 2026年9月26日:全面改訂(令和8年度税制改正への対応。10業種の紹介文を消費税・インボイスの論点の要約に改め、2割特例の終了、3割特例、70%控除、簡易課税の事業区分、非課税の売上がある業種の注意点、飲食料品1%案の節と、事業区分の一覧表、よくある質問、出典を追加。業種ごとに1つだけ示していた事業区分を、取引によって区分が変わることが分かる一覧表に変更。「完全ガイド」などの表現と、根拠を確認できない記述を削除)

監修の状況は、冒頭の「監修について」のとおりです。

このページは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。

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