飲食業の消費税とインボイス:店内飲食10%とテイクアウト8%、簡易課税の第4種、経過措置70%
飲食店の売上にかかる消費税は、店内で食べてもらう「外食」とケータリングが標準税率の10%、持ち帰り(テイクアウト)と出前・宅配が軽減税率の8%です。酒類は持ち帰りでも10%です。この記事では、判定のしかたと簡易課税の事業区分、2026年10月からの改正の影響を、当会の計算例とあわせて説明します。
飲食店の取引と消費税率【確定】
| 取引 | 税率 | 理由 |
|---|---|---|
| 店内飲食 | 10% | 飲食設備のある場所での食事の提供(外食)。立食のカウンターや、缶・ペットボトル飲料をそのまま店内で出す場合も含みます |
| テイクアウト | 8% | 飲食料品の譲渡(持ち帰り用の容器に入れて販売) |
| 出前・宅配 | 8% | 飲食料品の譲渡(指定の場所まで届けるだけの場合) |
| ケータリング | 10% | 指定の場所で調理・盛り付け・配膳などを伴う提供。出張料理も含みます |
| 酒類 | 10% | 酒類は軽減税率の対象外。店内・持ち帰りとも10% |
判定は料理を提供する時点で、店内で食べるか持ち帰るかを確認して行います(国税庁 No.6102)。2027年4月からの飲食料品1%案(法案未成立)が実施された場合も、店内飲食・ケータリング・酒類は10%のままで、テイクアウトと出前・宅配が1%になる内容です(1%案で飲食店に関わること)。
【確定】2026年10月1日から飲食店に関わる変更
令和8年度税制改正(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号。2026年3月31日成立)により、インボイス発行事業者でない仕入先からの仕入れについて控除できる割合が、2026年10月1日以後の仕入れから70%になります。2割特例は2026年9月30日を含む課税期間が最後で、要件を満たす個人事業者は2027年分・2028年分に3割特例を使えます(国税庁 令和8年度税制改正特集)。同じ10月1日に酒税の税率も改正され、税率が上がる酒類を販売のために合計2,000リットル以上持っている飲食店は、手持品課税の申告が必要です(酒類の仕入れと酒税改正)。
目次
店内飲食は10%、テイクアウト・出前は8%:判定のしかた
【確定】軽減税率(8%)の対象は「飲食料品(酒類を除く)」の譲渡で、外食とケータリング等は含まれません。国税庁は、外食を「飲食店業等の事業を営む者が飲食に用いられる設備がある場所において行う食事の提供」、ケータリング等を「相手方が指定した場所において行う加熱、調理または給仕等の役務を伴う飲食料品の提供」と説明しています(国税庁 No.6102)。テイクアウトのように、持ち帰りのための容器に入れたり包装したりして行う譲渡は、外食に含まれません(軽減税率Q&A(個別事例編) 問58)。
判定は提供する時点で、客に確認して行う
税率は、料理を提供する時点で判定します(No.6102)。店内で食べるか持ち帰るかを客に確認する方法が基本で、外食事業者では「テイクアウトの場合はお申し出ください」といった掲示で確認する方法でも差し支えないとされています(軽減税率Q&A(個別事例編)問121)。飲食設備は、テーブルだけ、椅子だけ、カウンターだけでも当たります(問64)。
迷いやすい例
| 例 | 税率 | Q&A |
|---|---|---|
| 店内で食べるために出した料理の残りを、折り詰めにして持ち帰る | 10% | 問59 |
| ハンバーガーとドリンクのセット(一つの商品)で、ドリンクだけ店内で飲む | セット全体が10% | 問60 |
| 回転寿司で、店内用に出した寿司を客がパック詰めして持ち帰る | 10% | 問61 |
| 回転寿司で、持ち帰り用として注文を受けてパック詰めする | 8% | 問61 |
| 飲食店のレジ前で菓子を販売する | 8% | 問62 |
| 缶・ペットボトル飲料を、コップに移さずそのまま店内で出す | 10% | 問63 |
| カウンターだけの立食形式の店で提供する | 10% | 問64 |
| そばの出前、宅配ピザ(届けるだけ) | 8% | 問77 |
| 会社の会議室へ飲み物を届けるだけ | 8% | 問78 |
| 会社の会議室へ飲み物を届けた後に給仕もする | 10% | 問78 |
| 味噌汁付きの弁当を届け、味噌汁を器に注ぐ(取り分け) | 全体が8% | 問79 |
| 客の自宅で調理して提供する出張料理 | 10% | 問75 |
| 店内・持ち帰りのどちらにも使えるコーヒーチケット | チケットの販売時ではなく、コーヒーを提供する時に判定 | 問57 |
出典:国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(PDF)(問57〜問79)。
酒類は持ち帰りでも10%
酒税法に規定する酒類(アルコール分1度以上の飲料)は、軽減税率の対象の飲食料品から除かれているため、店内でも持ち帰りでも10%です(No.6102、軽減税率Q&A(個別事例編) 問12)。料理の原材料に使うワインなどの酒類も10%です(問13)。本みりんは酒類なので10%、塩などを加えて飲めないようにした料理酒などの発酵調味料と、アルコール分1度未満のみりん風調味料は酒類に当たらず8%です(問14)。ノンアルコールビールや甘酒のように酒類に当たらない飲料を持ち帰り用に販売する場合は8%です(問15)。酒類の税率の一覧は酒税の解説の「酒類は軽減税率の対象外で10%」にもまとめています。
メニューの価格表示
課税事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示するときは、税込価格を表示する義務があります(総額表示。消費税法63条、No.6902)。「1,100円」「1,100円(税込)」「1,100円(税抜価格1,000円)」のような表示が認められています。価格を表示していない場合や、口頭で伝える価格は対象外です。
店内飲食と持ち帰りで税込価格が異なる場合の表示について、国税庁の軽減税率Q&A(個別事例編)問121は、関係省庁の資料をもとに次の方法を示しています。
- 店内飲食と持ち帰りの両方の税込価格を表示する。
- どちらか一方の税込価格だけを表示し、もう一方は税率が異なるため別の価格になることを、店内の目立つ場所に掲示する。一方だけの表示は総額表示の義務には違反しませんが、安いほうの価格が持ち帰りの価格であることを明らかにしないまま表示すると、景品表示法の有利誤認に当たるおそれがあるとされています。
- 税抜価格を調整して、両方を同じ税込価格にする(例:テイクアウトの税抜102円(8%)と店内飲食の税抜100円(10%)で、どちらも税込110円)。
簡易課税の事業区分:店内飲食は第4種、自家製料理の持ち帰り販売は第3種
【確定】簡易課税は、基準期間(個人事業者は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、届出をした課税事業者が選べる計算方法です。売上税額に、事業区分ごとのみなし仕入率を掛けた額を仕入税額として控除します(国税庁 No.6505)。飲食店の取引は、国税庁の通達(消費税法基本通達13-2-8の2ほか)で次のように区分されます。
| 取引 | 事業区分(みなし仕入率) | 根拠 |
|---|---|---|
| 店内飲食(食堂、レストラン、喫茶店、そば店、バー、酒場など、飲食設備で客に飲食させる事業) | 第4種 (60%) | 13-2-8の2 |
| 店で出すものと同じ種類の調理済みの料理の出前 | 第4種 (60%) | 13-2-8の2(注)1 |
| 自分で調理した料理の持ち帰り販売(テイクアウト) | 第3種 (70%) | 13-2-8の2(注)1(製造小売業) |
| 飲食設備を設けず、自分で調理した料理を宅配だけで販売 | 第3種 (70%) | 13-2-8の2(注)2 |
| 仕入れた商品を、加工せずにそのまま消費者に販売 | 第2種 (80%) | 13-2-2・13-2-4 |
| 店で使っていた厨房機器・備品などの売却 | 第4種 (60%) | 13-2-9 |
根拠の番号は消費税法基本通達の番号です。仕入れた商品をそのまま販売する事業は、事業者に販売すれば第1種、消費者に販売すれば第2種です(消費税法施行令57条6項)。
2種類以上の事業を営む場合は、事業区分ごとにみなし仕入率を当てはめるのが原則です。売上を事業区分ごとに区分していないと、区分していない部分には、その中で最も低いみなし仕入率が適用されます。1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上なら、その事業のみなし仕入率を全体に当てはめる計算もできます(No.6505)。
当会の計算例(架空の設例):テイクアウトがある店
前提:簡易課税を選んでいる飲食店。1年間の税抜売上は、店内飲食6,000,000円(10%)と、自分で調理した料理の持ち帰り販売2,000,000円(8%)。売上の返還や貸倒れはないものとします。
| 計算の手順 | 事業区分ごとに区分した場合 | 区分していない場合 |
|---|---|---|
| 売上税額(国) | 10%分 468,000円(6,000,000円×7.8%)+8%分 124,800円(2,000,000円×6.24%)=592,800円 | 592,800円 |
| 仕入控除税額 | 468,000円×60%+124,800円×70%=368,160円 | 592,800円×60%=355,680円 |
| 差引税額(百円未満切捨て) | 224,600円 | 237,100円 |
| 地方消費税(差引税額×22/78、百円未満切捨て) | 63,300円 | 66,800円 |
| 納付税額の合計 | 287,900円 | 303,900円 |
当会の計算です。課税標準額(千円未満切捨て)は、10%分が6,000,000円、8%分が2,000,000円です。
区分していない場合は、区分した場合より16,000円多くなります。この例では店内飲食の売上がちょうど75%なので、全体に60%を当てはめる計算も選べますが、結果は区分していない場合と同じ303,900円で、区分して計算したほうが少なくなります。
簡易課税を使うときの注意
- 原則として、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出します。2割特例・3割特例を使った課税期間の翌課税期間から簡易課税にする場合は、その翌課税期間の確定申告期限までに出せば、その翌課税期間から適用されます(翌課税期間が2026年9月30日以前に終わる場合は、その課税期間の末日まで)(No.6505)。
- 簡易課税を選んだら、事業を廃止した場合を除き、届出の効力が生じた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、やめる届出(選択不適用届出書)を出せません(No.6505)。
- 基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間は、届出を出していても簡易課税を使えません。その後、基準期間の課税売上高が1,000万円超5,000万円以下の課税期間になれば、選択不適用届出書を出していない限り、再び簡易課税が適用されます(No.6505)。
- 簡易課税の控除額は売上税額にみなし仕入率を掛けて計算するため、改装や設備の購入で実際の仕入税額が売上税額を上回る年でも、還付は受けられません。大きな投資を予定している年は、一般課税で計算した場合と比べてから届出の要否を判断します。
事業区分の判定の考え方と一覧は、簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率で説明しています。
一般課税・簡易課税・2割特例・3割特例の比較(当会の計算例)
【確定】消費税の計算方法は次の4つです。どれを使えるかは、事業者と課税期間によって決まります(国税庁 No.6505、国税庁 令和8年度税制改正特集)。
| 方法 | 納付税額の考え方 | 使える事業者・期間 |
|---|---|---|
| 一般課税(原則課税) | 売上税額 − 実際の仕入税額(インボイスなどの保存が必要) | すべての課税事業者 |
| 簡易課税 | 売上税額 − 売上税額 × みなし仕入率(店内飲食は60%) | 基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、届出をした事業者 |
| 2割特例 | 売上税額 × 20% | インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者など。2026年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は2026年分まで) |
| 3割特例 | 売上税額 × 30% | インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者など。2027年分・2028年分。法人は使えません |
当会の計算例(架空の設例):店内飲食だけの個人経営の店
前提:個人事業者。1年間の税抜売上は店内飲食8,000,000円(すべて10%)。課税仕入れ(税抜)は、食材2,400,000円(8%、税込2,592,000円)、酒類600,000円(10%、税込660,000円)、家賃・水道光熱費・消耗品など1,800,000円(10%、税込1,980,000円)。従業員の給与2,000,000円は課税仕入れになりません。仕入先はすべてインボイス発行事業者、一般課税は割戻し計算とし、2割特例・3割特例は要件(基準期間の課税売上高1,000万円以下など)を満たすものとします。売上税額(国)は、課税標準額8,000,000円×7.8%=624,000円です。
| 方法 | 計算 | 納付税額(国と地方の合計) |
|---|---|---|
| 一般課税 | 仕入税額:食材2,592,000円×6.24/108=149,760円、酒類・家賃など2,640,000円×7.8/110=187,200円、合計336,960円。差引税額287,000円、地方消費税80,900円 | 367,900円 |
| 簡易課税(第4種) | 624,000円×60%=374,400円を控除。差引税額249,600円、地方消費税70,400円 | 320,000円 |
| 2割特例(2026年分まで) | 624,000円×80%=499,200円を控除。差引税額124,800円、地方消費税35,200円 | 160,000円 |
| 3割特例(個人事業者の2027年分・2028年分) | 624,000円×70%=436,800円を控除。差引税額187,200円、地方消費税52,800円 | 240,000円 |
当会の計算です。差引税額と地方消費税(差引税額×22/78)は百円未満を切り捨てています。食材は軽減税率8%、酒類と家賃などは10%の仕入れとして税率ごとに計算しています。
店内飲食だけの店では、簡易課税の納付税額は売上税額の40%、2割特例は20%、3割特例は30%にあたるため、要件を満たす期間は2割特例・3割特例のほうが少なくなります(業種別の比較は3割特例の業種別の比較表)。一般課税の納付税額は仕入れの内容で変わり、この例では簡易課税より47,900円多くなりますが、課税仕入れの割合が高い店や、大きな改装をした年は逆になることがあります。
自分の店の数字で試算するときは、消費税計算ツール(飲食業)で一般課税・簡易課税・2割特例を比べられます(3割特例には対応していません)。2割特例の最後の課税期間は2割特例はいつまで使えるか(個人・法人の決算月別)、3割特例の要件は3割特例(令和9年分・令和10年分の個人事業者)で確認できます。
仕入先がインボイス発行事業者でない場合:2026年10月から控除は70%
【確定・2026年10月1日施行】一般課税で申告する場合、インボイス発行事業者でない仕入先(免税事業者など)からの食材・酒類・備品などの仕入れは、インボイスがないため本来は仕入税額控除ができませんが、経過措置により仕入税額相当額の一定割合を控除できます。割合は、仕入れた日(サービスは提供が完了した日)で判定します(国税庁 令和8年度税制改正特集、インボイスQ&A 問113-3)。
| 仕入れた日 | 割合 | 食材 税込108,000円(8%)の控除額の目安 | 酒類 税込110,000円(10%)の控除額の目安 |
|---|---|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% | 6,400円 | 8,000円 |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% | 5,600円 | 7,000円 |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% | 4,000円 | 5,000円 |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% | 2,400円 | 3,000円 |
| 2031年10月1日以後 | 0% | 0円 | 0円 |
金額は当会の計算で、国と地方の合計の目安(税込の仕入額×8/108または10/110×割合)です。申告で使う国の消費税分は、税込の仕入額×6.24/108または7.8/110×割合で計算します(インボイスQ&A 問130)。例えば70%の期間なら、食材は4,368円、酒類は5,460円です。
- 経過措置を受けるには、区分記載請求書等と同じ記載事項のある請求書等と、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨(「70%控除対象」など)を書いた帳簿の保存が必要です(インボイスQ&A 問113)。
- 簡易課税・2割特例・3割特例で申告する場合は、仕入税額を実際の仕入れから計算しないため、この割合は納付税額に影響しません。
- 同じ仕入先からの仕入れが年1億円(税込み)を超える場合、超えた部分には経過措置を使えません。2026年10月1日以後に開始する課税期間から適用され、個人事業者は2027年分からです(それまでの上限は10億円)。
- 店舗の家賃も同じで、貸主がインボイス発行事業者でなければ、家賃にかかる消費税相当額はこの割合でしか控除できません。
割合を判定する日の考え方、帳簿の書き方、1億円の上限の当てはめ方は、免税事業者等からの仕入れの経過措置(80%・70%・50%・30%と1億円上限)で詳しく説明しています。
経費の消費税で間違えやすいもの
【確定】一般課税では、仕入れや経費の消費税を税率ごとに区分して記帳し、控除できるものとできないものを分けます(国税庁 No.6102)。飲食店でよくある支出の扱いは次のとおりです。
| 支出 | 消費税の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 食材(酒類を除く飲食料品) | 8%の課税仕入れ | No.6102 |
| 酒類(料理に使うワインなども含む) | 10%の課税仕入れ | 軽減税率Q&A(個別事例編)問12・問13 |
| 食品添加物として販売される炭酸ガス(ボンベの対価を別に請求されない場合はボンベを含む) | 8%の課税仕入れ | 同 問22 |
| 従業員の給与・賞与 | 課税仕入れにならない | 消費税法2条1項12号 |
| 通勤手当(通勤に通常必要と認められる部分) | 課税仕入れ(帳簿の保存だけで控除できる) | インボイスQ&A 問108 |
| クレジットカードの加盟店手数料 | 非課税(仕入税額控除の対象外) | 質疑応答事例「クレジット手数料」 |
| フードデリバリーサービスに支払う手数料(出前・宅配の配達代行の利用料など) | 10%の課税仕入れ(飲食料品の譲渡ではなく、配達を代行するサービスの対価のため) | No.6102 |
| 店舗(事業用の建物)の家賃 | 10%の課税仕入れ(非課税になるのは住宅の貸付け) | No.6201 |
| 敷金・保証金のうち、契約の終了時に返還されるもの | 資産の譲渡等の対価に当たらない(課税の対象外) | 消費税法基本通達5-4-3 |
| 礼金・更新料と、敷金・保証金のうち返還されないもの | 10%の課税仕入れ | 同上 |
出典:軽減税率Q&A(個別事例編)問12・問13・問22、インボイスQ&A(令和8年5月改訂)問108、国税庁 質疑応答事例「クレジット手数料」、No.6201、消費税法基本通達5-4-3、消費税法。
食材は8%、酒類は10%と税率が分かれるため、仕入れをまとめて10%で計算すると控除額が過大になります。上の計算例でも、食材は6.24/108、酒類と家賃などは7.8/110で計算しています。
Uber Eatsや出前館などのフードデリバリーサービスを利用して出前・宅配を行う場合に支払う手数料も、クレジットカードの加盟店手数料とは異なり非課税ではなく、10%の課税仕入れです。控除には、その配達代行事業者が交付するインボイス(適格請求書)の保存が必要です。
飲食料品1%案で飲食店に関わること(予定・法案未成立)
【予定・法案未成立】2026年9月26日時点の状況
2026年9月15日に「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」が閣議決定されました。2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の税率を1%(国0.78%+地方0.22%)にする内容です。法案はまだ成立しておらず、国税庁の資料も、今後、法案が国会に提出され、審議を経たうえで可決・成立した場合の内容として公表されています。国会の審議で内容が変わることや、成立しないこともあり得ます(内閣官房 大綱(PDF)、国税庁 消費税率引下げ特設サイト)。
| 取引 | 現在 | 1%案の期間(2027年4月1日〜2029年3月31日) |
|---|---|---|
| 店内飲食(外食) | 10% | 10% |
| ケータリング・出張料理 | 10% | 10% |
| テイクアウト | 8% | 1% |
| 出前・宅配 | 8% | 1% |
| 酒類(店内・持ち帰りとも) | 10% | 10% |
| 食材の仕入れ(酒類を除く飲食料品) | 8% | 1% |
出典:国税庁 消費税率引下げのパンフレット(令和8年9月、PDF)、国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(PDF) 問1-1・問1-2。
- 税率の差が広がる:店内飲食と持ち帰りの税率の差は、2ポイント(10%と8%)から9ポイント(10%と1%)に広がります。税抜500円の料理なら、現在は店内550円・持ち帰り540円、1%の期間は持ち帰りが505円になります(当会の計算)。店内と持ち帰りを同じ税込価格にしている店は、税率差が広がった後の税抜価格を確認しておく必要があります。
- 一般課税の店は、控除できる仕入税額が減る:食材の仕入れが1%になると、売上(店内飲食は10%)の税額から差し引ける仕入税額が減ります。仕入先が税抜価格を変えない場合、税抜100,000円の食材は、支払額が108,000円から101,000円に、控除できる税額が8,000円から1,000円に変わります(当会の計算。国と地方の合計)。店内飲食の売上が同じなら、納める消費税は7,000円増え、仕入先への支払いは7,000円減ります。
- 簡易課税・2割特例・3割特例の計算の特例:1%の対象になる売上(テイクアウト・出前など)の売上税額と同じ額を仕入税額として控除する特例が示されています。その部分からは納付税額が生じない計算です。75%の特例の判定は、1%の対象の売上を除いて行います(国税庁Q&A 問3-6・問3-7)。
- 中間申告の特例:国税庁のQ&Aは、仕入れが1%で売上げが10%となる飲食店などでは、引下げの終了後に仕入税額が増えて中間納付税額が過大になることを想定しています。引下げの開始時と終了時に、直前の課税期間の飲食料品に新しい税率を当てはめて計算した額で、仮決算による中間申告ができる特例が示されています(問3-8)。
- 総額表示の特例:総額表示にすぐ対応することが難しい事情がある場合、2027年2月1日から5月31日までは、誤認させない掲示などを条件に、飲食料品について8%・1%のどちらで計算した税込価格の表示でもよいとする特例が示されています(問3-9)。
対象品目、届出の特例、飲食店・食品小売店での注意点は飲食料品の消費税1%案の解説(飲食店・食品の小売店での注意点)にまとめています。現行の8%の対象品目は軽減税率の対象品目、1%になった場合の税込価格の計算は消費税の計算方法で説明しています。
酒類の仕入れと2026年10月1日の酒税改正
【確定】2026年10月1日に酒税の税率が改正されます。ビールは税率が下がり、麦芽比率25%未満でアルコール分10度未満の発泡酒、いわゆる新ジャンル、チューハイ・ハイボールなどの「その他の発泡性酒類」、アルコール分10度未満の発泡性のない蒸留酒類・リキュールなどは税率が上がります(国税庁「酒類の手持品課税(戻税)の申告等の手引(令和8年10月1日分)」(PDF))。
税率が変わる酒類のうち、10月1日午前0時に販売のために持っている分には、新旧の税率の差額を調整する手持品課税(戻税)が行われます。国税庁は、酒類の免許業者のほか、酒場・料飲店等を経営する人も対象に含まれるとしています。税率が上がる酒類(引上対象酒類)の所持数量が、すべての店舗・倉庫の合計で2,000リットル以上の場合は、2026年11月2日(月)までに申告書兼届出書を出し、納付になる場合は2027年3月31日(水)までに納めます。2,000リットル未満でも、税率が下がる酒類の戻税(還付)を受けるには、同じ期限までに届出が必要です(国税庁「酒類の手持品課税(戻税)について」、手持品課税等Q&A(PDF) 問2)。
数量に含めるもの・含めないもの(客のボトルキープなど)や申告書の書き方は、酒税の解説の「手持品課税(戻税)の申告と納付」で説明しています。
飲食店に関わる主な日付(2026年10月〜2029年)
| 日付 | 内容 | 確定度 |
|---|---|---|
| 2026年10月1日(木) | 経過措置の割合が70%に。酒税の税率改正。2割特例は、前日(9月30日)を含む課税期間が最後 | 確定 |
| 2026年11月2日(月) | 酒類の手持品課税の申告書兼届出書の提出期限 | 確定 |
| 2026年12月31日(木) | 個人事業者が2027年分から簡易課税を選ぶ場合の届出期限(原則)。2026年分に2割特例を使った場合は、2027年分の申告期限の2028年3月31日(金)まで | 確定 |
| 2027年2月1日(月)〜5月31日(月) | 飲食料品の総額表示の特例の期間 | 予定・法案未成立 |
| 2027年3月31日(水) | 個人事業者の2026年分の消費税の申告・納付期限(2割特例を使える最後の年分)。酒類の手持品課税の納期限 | 確定 |
| 2027年4月1日(木) | 飲食料品の税率1%の開始 | 予定・法案未成立 |
| 2027年分・2028年分 | 要件を満たす個人事業者の3割特例 | 確定 |
| 2028年9月30日(土) | 経過措置70%の最後の日(10月1日から50%) | 確定 |
| 2029年3月31日(土) | 飲食料品の税率1%の最後の日(4月1日から8%に戻る内容) | 予定・法案未成立 |
法人の消費税の申告・納付期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内、個人事業者は翌年3月31日です(国税庁 No.6601)。曜日は当会で確認しました。
よくある質問
同じ料理でも、店内飲食とテイクアウトで税率が違うのはなぜですか。
店内飲食は飲食設備のある場所での「食事の提供(外食)」なので10%、テイクアウトは「飲食料品の譲渡」なので8%です。どちらに当たるかは、料理を提供する時点で、店内で食べるか持ち帰るかを確認して判定します。確認は口頭のほか、「テイクアウトの場合はお申し出ください」といった掲示でもかまいません。〔国税庁 No.6102、軽減税率Q&A(個別事例編)問121〕
店内で食べ残した料理を持ち帰る場合、税率は8%になりますか。
なりません。店内で食べるために提供した時点で外食(10%)に当たるため、残りを折り詰めにして持ち帰っても10%のままです。〔軽減税率Q&A(個別事例編)問59〕
酒類を持ち帰り用に販売する場合の税率は何%ですか。
10%です。酒税法に規定する酒類は軽減税率の対象の飲食料品から除かれているため、持ち帰りでも10%です。本みりんも酒類なので10%、塩などを加えて飲めないようにした料理酒などの発酵調味料は酒類に当たらず8%です。〔国税庁 No.6102、軽減税率Q&A(個別事例編)問12・問14〕
簡易課税で、テイクアウトの売上は第何種になりますか。
飲食店が自分で調理した料理を持ち帰り用に販売する部分は、製造小売業として第3種(みなし仕入率70%)です。店内飲食と、店で出す料理と同じ種類の調理済みの料理の出前は第4種(60%)です。売上を事業区分ごとに区分していないと、区分していない部分には低いほうの60%が適用されます。〔消費税法基本通達13-2-8の2、国税庁 No.6505〕
飲食店は、2割特例と簡易課税のどちらが納める税額が少なくなりますか。
店内飲食(第4種)だけの店なら、簡易課税の納付税額は売上税額の40%、2割特例は20%なので、2割特例のほうが少なくなります。ただし2割特例は2026年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は2026年分まで)です。要件を満たす個人事業者は2027年分・2028年分に3割特例(売上税額の30%)を選べ、第4種なら簡易課税より少なくなります。法人は3割特例を使えません。〔国税庁 令和8年度税制改正特集、国税庁 No.6505〕
インボイス発行事業者でない仕入先から食材や酒類を仕入れた場合、どれだけ控除できますか。
一般課税で申告する場合、仕入れた日に応じて、2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%、2030年9月30日までは50%、2031年9月30日までは30%を控除でき、2031年10月1日以後は控除できません。経過措置の適用を受ける旨を書いた帳簿などの保存が必要です。簡易課税・2割特例・3割特例で申告する場合は、この割合は納付税額に影響しません。〔国税庁 令和8年度税制改正特集、インボイスQ&A 問113〕
クレジットカードの加盟店手数料は、仕入税額控除の対象になりますか。
なりません。カード会社(信販会社)が加盟店から譲り受ける債権の額と加盟店への支払額との差額(加盟店手数料)は、非課税とされています。〔国税庁 質疑応答事例「クレジット手数料」〕
メニューの価格は税込で表示しなければなりませんか。
課税事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合は、税込価格の表示(総額表示)が必要です。「1,100円」「1,100円(税込)」「1,100円(税抜価格1,000円)」などの表示が認められます。店内飲食と持ち帰りで税込価格が異なる場合は、両方を表示する方法、一方だけを表示して税率が異なる旨を掲示する方法、税抜価格を調整して同じ税込価格にする方法が示されています。〔国税庁 No.6902、軽減税率Q&A(個別事例編)問121〕
食料品の消費税が1%になると、店内飲食も1%になりますか。
なりません。2026年9月15日に閣議決定された大綱では、2027年4月1日から2029年3月31日まで飲食料品の税率を1%にするとしていますが、店内飲食(外食)、ケータリング等、酒類は10%のままです。テイクアウトと出前・宅配は1%になります。法案はまだ成立しておらず、国会で成立した場合の内容です。〔国税庁 消費税率引下げのパンフレット、内閣官房 大綱〕
まとめ
この記事の内容を踏まえて、次の点を確認しておくと安心です。
- 店内飲食・テイクアウト・出前・ケータリング・酒類を、取引の都度、税率ごとに区分して記帳できているか(判定のしかた)。
- 簡易課税を選んでいる場合、店内飲食・出前(第4種)と、自分で調理した料理の持ち帰り販売(第3種)を事業区分ごとに区分しているか(簡易課税の事業区分)。
- 2割特例を使っている場合、2026年9月30日を含む課税期間が最後であることを踏まえ、次の課税期間の計算方法(簡易課税や、個人事業者は3割特例)を決めているか(一般課税・簡易課税・2割特例・3割特例の比較)。
- インボイス発行事業者でない仕入先や貸主がいる場合、2026年10月1日からの仕入れで控除できる割合が70%に変わることを、帳簿の記載に反映しているか(経過措置)。
- 飲食料品1%案(法案未成立)の国会の審議状況を確認しているか(1%案で飲食店に関わること)。
出典・参考資料
いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。
国税庁 軽減税率・総額表示
- タックスアンサー No.6102 消費税の軽減税率制度
- 消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)問1〜問45(飲食料品の範囲、PDF)
- 同 問49〜問83(外食・ケータリング等の範囲、PDF)
- 同 問121(価格表示、PDF)
- タックスアンサー No.6902 「総額表示」の義務付け
国税庁 簡易課税・申告・非課税
- タックスアンサー No.6505 簡易課税制度
- 消費税法基本通達 第13章第2節 事業区分の判定(13-2-2・13-2-4・13-2-8の2・13-2-9)
- タックスアンサー No.6601 申告と納税
- タックスアンサー No.6201 非課税となる取引
- 消費税法基本通達 第5章第4節 資産の貸付け(5-4-3)
- 質疑応答事例「クレジット手数料」
国税庁 インボイス制度・令和8年度税制改正
- インボイス制度 令和8年度税制改正特集
- リーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(PDF)
- 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和8年5月改訂、PDF)(問108・問113)
- 問113-3(PDF)、問130(PDF)
飲食料品の消費税率引下げ(予定・法案未成立)
- 内閣官房「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(2026年9月15日閣議決定、PDF)
- 国税庁 消費税率引下げ特設サイト
- 国税庁 消費税率引下げのパンフレット(令和8年9月、PDF)
- 国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(令和8年9月、PDF)
国税庁 酒税
法令・財務省
- 消費税法(2条1項12号・37条・63条)
- 財務省 第221回国会における財務省関連法律(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号。2026年3月31日成立)
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年5月15日:公開
- 2026年9月25日:仕入れの経過措置の割合(令和8年度税制改正)、2割特例の期限、3割特例の記述を訂正
- 2026年9月26日:全面改訂(店内飲食・テイクアウト・出前・ケータリングの判定例、簡易課税の事業区分(自家製料理の持ち帰り販売は第3種)、飲食料品1%案(法案未成立)の影響、酒税改正と手持品課税を追加。食材の仕入れを10%で計算していた計算例、根拠を示せない業界の数値・比率、クレジットカードの加盟店手数料を課税仕入れとしていた記述、テイクアウトが増えても簡易課税の区分は変わらないとしていた記述を削除・訂正)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の取引の判断は、所轄の税務署や税理士にご確認ください。無料で相談できる公的な窓口は、新宿で税金の相談をしたいとき(公的な相談窓口の案内)にまとめています。