教育業(学習塾・教室)の消費税とインボイス:学校の授業料は非課税、塾の月謝は課税、教材とオンライン講座
学校教育法1条の学校(幼稚園・小学校・中学校・高校・大学など)、専修学校、一定の要件を満たす各種学校などの授業料・入学金・施設設備費・入学検定料などは、消費税が非課税です。これらに当たらない学習塾・予備校や、英会話・音楽・スポーツなどの教室、カルチャースクール、企業研修の受講料は、国内で行う限り課税(10%)です。この記事では、これらを学習塾・教室の取引に当てはめ、当会の計算例とあわせて説明します。
授業料・月謝などに消費税はかかるか【確定】
| 支払先と料金 | 消費税 |
|---|---|
| 学校教育法1条の学校(幼稚園・小学校・中学校・高校・大学など)の授業料・入学金・施設設備費・入学検定料など | 非課税 |
| 専修学校(専門学校など)と、修業年限1年以上などの要件を満たす各種学校の同じ料金 | 非課税 |
| 上の学校等に当たらない学習塾・予備校、英会話・音楽・スポーツなどの教室、カルチャースクールの月謝・入会金・講習料 | 課税(10%) |
| 検定済教科書など(教科用図書)の販売 | 非課税 |
| 参考書・問題集などの補助教材の販売(学校が指定したものを含む) | 課税(10%) |
根拠は消費税法別表第二第11号・第12号と消費税法基本通達6-11-1・6-12-1・6-12-3です(非課税になる範囲の詳しい説明)。国外に住む受講者へのオンライン講座は、日本の消費税がかからない場合があります(オンライン講座と国外の受講者)。
【確定】2026年10月1日からの変更(令和8年度税制改正)
令和8年度税制改正(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号。2026年3月31日成立)により、学習塾・教室を営む事業者にも関係する次の見直しが、2026年10月1日に施行されます。
- 2割特例は延長されず、2026年9月30日を含む課税期間で終わります。個人事業者は令和8年分(2026年分)が最後です。
- 要件を満たす個人事業者は、令和9年分・令和10年分に3割特例(納付税額を売上税額の3割にする特例)を使えます。法人は使えません。
- 免税事業者など、インボイスを発行できない講師や業者からの仕入れは、2026年10月1日以後の分から、仕入税額相当額の70%を控除できます(9月30日までの分は80%)。
目次
学校の授業料が非課税になる範囲と、学習塾・教室が課税になる理由
【確定】消費税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う取引にかかります。そのうち、教育に関する役務の提供で、次の学校等が授業料などの決められた料金を受け取るものは、非課税とされています(消費税法別表第二第11号、消費税法基本通達6-11-1)。非課税になるかどうかは、授業の内容ではなく、どの学校等が、その学校等における教育として行うかで決まります。
非課税になる学校等と料金
| 区分 | 対象 | 要件 |
|---|---|---|
| 学校(学校教育法1条) | 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校 | その学校の設置者が、その学校における教育として行うもの |
| 専修学校(学校教育法124条) | 高等課程、専門課程(専門学校)、一般課程、専攻科 | その専修学校の設置者が、その課程などの教育として行うもの |
| 各種学校(学校教育法134条1項) | 各種学校 | 修業年限1年以上など、下の6つの要件をすべて満たすもの |
| その他の施設 | 国や地方公共団体、職業訓練法人が設置する職業能力開発校など、一定の施設 | 各種学校と同じ要件を満たすもの |
非課税になる料金は、授業料、入学金・入園料、施設設備費、入学・入園のための試験の検定料、在学証明・成績証明などの手数料です(消費税法基本通達6-11-1〜6-11-3)。施設設備費には、施設費、設備費、図書費、暖房費などの名称で受け取るものも含まれます(6-11-2)。
各種学校が非課税になる6つの要件
- 修業年限が1年以上であること
- 1年間の授業時間数が680時間以上であること(普通科・専攻科などの区別がある場合は、それぞれの授業時間数)
- 施設(教員数を含む)が、同時に授業を受ける生徒数に比べて十分であること
- 授業が年2回を超えない一定の時期に始まり、終わりの時期が明確に定められていること
- 学年または学期ごとに成績の評価を行い、その結果を成績考査に関する表簿などに記載していること
- 所定の技術などを習得したかどうかの成績の評価を行い、その評価に基づいて卒業証書または修了証書を授与していること
予備校や語学学校であっても、専修学校や、この6つの要件を満たす各種学校として行う授業であれば、その授業料などは非課税です。反対に、学校法人が運営する講座であっても、学校や要件を満たす各種学校などにおける教育として行うものでなければ、非課税の範囲には入りません(6-11-1の「学校を設置する者が当該学校における教育として行う役務の提供」という定めからの当会の整理)。
学習塾・予備校・教室の月謝や入会金は課税
【確定】上の学校等に当たらない学習塾・予備校、英会話・音楽・スポーツ・書道などの教室、カルチャースクール、資格講座、企業向けの研修の受講料は、非課税の範囲に含まれていないため、国内で行う限り課税です。税率は10%です。軽減税率(8%)の対象は飲食料品と定期購読契約による週2回以上発行の新聞で、授業や教材は含まれません(国税庁 タックスアンサー No.6102)。
塾・教室が受け取る講習料やテスト代も、非課税となる学校等の料金ではないので課税です。入会金について、国税庁の通達は、会員に役務を提供する事業者が会員の資格を与えるのと引換えに受け取る入会金(返還しないもの)は対価に当たるとしています(消費税法基本通達5-5-5)。塾・教室が入会のときに受け取る返還しない入会金も、同じ考え方で課税の対象になると考えられます(当会の当てはめ)。
学校でも課税になるもの
学校等が受け取るものでも、次のものは非課税になりません。
- 学校給食や、他の者から委託を受けて行う調査・研究など、教育に関する役務の提供に当たらないもの(6-11-4)
- 入学試験に備えるために広く一般から参加者を募って行う、いわゆる公開模擬学力試験の検定料(6-11-6)
- 参考書・問題集などの補助教材の販売(学校が指定したものも含みます。6-12-3)
- 教科書の供給業者などが配送などの対価として受け取る手数料(6-12-2)
月謝の料金表示(総額表示)
【確定】課税事業者が不特定かつ多数の者に対して、あらかじめ料金を表示するときは、消費税額と地方消費税額を含めた税込みの価格を表示しなければなりません(消費税法63条)。チラシ、ウェブサイト、教室の掲示など、表示の媒体は問いません。例えば「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」のように表示します。口頭で伝える価格は対象外で、専ら他の事業者に提供する場合(企業研修など)も対象外です。免税事業者は、この義務の対象ではありません(国税庁 タックスアンサー No.6902、消費税法63条)。
教科書・教材の販売
【確定】教科書は非課税、それ以外の教材は課税です。塾・教室が販売するテキストや教材セットも、非課税の範囲に含まれないため課税です。
| 教材 | 消費税 | 根拠 |
|---|---|---|
| 文部科学大臣の検定を経た教科書(検定済教科書)と、文部科学省が著作の名義を有する教科書 | 非課税 | 消費税法別表第二第12号、基本通達6-12-1 |
| 学校教育法附則9条により当分の間使用できることとされている教科用図書 | 課税(10%) | 基本通達6-12-1 |
| 参考書・問題集などの補助教材(学校が指定したものを含む) | 課税(10%) | 基本通達6-12-3 |
| 塾・教室が販売するテキスト・プリント・教材セット | 課税(10%) | 非課税の範囲(別表第二)に含まれない |
簡易課税では、教材の販売は授業と事業区分が分かれる
簡易課税の事業区分は、原則として売上(課税資産の譲渡等)ごとに判定します(消費税法基本通達13-2-1)。教育、学習支援業はサービス業等として第5種事業(みなし仕入率50%)です(消費税法基本通達13-2-4)。一方、他の者から購入した教材を、性質や形状を変えずに販売する場合は、授業とは別に、生徒・保護者など消費者への販売は第2種事業(小売業、80%)、事業者への販売は第1種事業(卸売業、90%)に当たります(消費税法基本通達13-2-2)。
2種類以上の事業を営む事業者が売上を事業ごとに区分していない場合は、区分していない部分に、その中で一番低いみなし仕入率が適用されます(国税庁 タックスアンサー No.6505)。教材の販売代金を授業料と分けて記帳していないと、教材の販売にも第5種の50%が適用されます。設例Aでは、区分した場合と区分しない場合の差が年9,200円です。
塾・教室が自ら作成した教材を、印刷などを委託して販売する場合は、いわゆる製造問屋や書籍の発行・出版として第3種事業(70%)に当たることがあります(消費税法基本通達13-2-5)。どれに当たるかは作り方と販売の方法によるため、判断に迷う場合は所轄の税務署に確認してください。事業区分の全体は簡易課税の事業区分とみなし仕入率で説明しています。
オンライン講座と国外の受講者
【確定】国税庁は、インターネットを介して行う英会話教室を「電気通信利用役務の提供」の例に挙げています。インターネットを通じた映像の配信も同じく例に挙げられています(国税庁リーフレット「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について(国内事業者の皆さまへ)」(令和8年6月改訂、PDF))。
電気通信利用役務の提供が国内取引かどうかは、提供する側の所在地ではなく、受講者(役務の提供を受ける者)の住所または居所(居所は、現在まで引き続いて1年以上居住する場所)で判定します。法人の場合は、本店・主たる事務所の所在地で判定します(消費税法4条3項3号)。
| 受講者 | 判定 | 日本の消費税 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 国内に住所がある個人 | 国内取引 | 課税(10%) | 消費税法4条3項3号 |
| 国外に住所がある個人 | 国外取引 | かからない(不課税) | Q&A 問10 |
| 国内に住所・居所がない外国人旅行者が、日本に滞在中に受講 | 国外取引 | かからない(不課税) | Q&A 問11 |
| 国内に住所がある人が、海外旅行先で受講 | 国内取引 | 課税(10%) | Q&A 問11 |
| 国内に本店がある法人(海外支店の社員向けの研修を含む) | 国内取引 | 課税(10%) | Q&A 問12 |
| 国外に本店がある法人(日本国内の支店が受ける場合を含む) | 国外取引 | かからない(不課税) | Q&A 問12 |
Q&Aは、国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A」(令和8年6月改訂、PDF)です。
住所等が国内かどうかは、提供する事業者が客観的かつ合理的な基準で判定します。国税庁は、申込みのときに届け出られた住所とクレジットカードの発行国の情報を照合する方法を例に挙げています(Q&A 問9、消費税法基本通達5-7-15の2)。国外取引として扱う受講者については、判定に使った申込みの情報を残しておくと、後から判定の理由を説明できます。
国外取引の売上は、課税売上割合の計算では分母にも分子にも入れません(国税庁 タックスアンサー No.6209)。免税事業者になるかどうかや、簡易課税を使えるかどうかを判定する基準期間の課税売上高にも含めません(消費税法9条2項は「国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額」と定めています)。国外の受講者に相手国の付加価値税などがかかるかどうかは、日本の消費税とは別に、その国の制度によります。
講座販売サイト(プラットフォーム)を通じて販売する場合
2025年4月1日から、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う消費者向け電気通信利用役務の提供について、国税庁長官の指定を受けた特定プラットフォーム事業者が申告・納税する「プラットフォーム課税」が始まっています。国内事業者がデジタルプラットフォームを介して行う提供は、プラットフォーム課税の対象になりません(上の国税庁リーフレット)。
国内の塾・教室が講座販売サイトを通じて講座を販売する場合、受講者に講座を提供するのが自社なのか、サイトの運営者なのかは、サイトの利用規約や契約によって異なり、それによって消費税の扱いも変わります。規約を確認し、判断に迷う場合は所轄の税務署に確認してください。
国外の事業者から受けるサービスとリバースチャージ
【確定】リバースチャージ方式は、国外事業者から一定のサービスを受けた(仕入れた)国内の事業者が、そのサービスにかかる消費税を申告・納税する仕組みです。国内の塾・教室が国外の受講者に講座を提供する取引(売上)には関係しません。
対象は「特定課税仕入れ」で、国外事業者から受けた次の2つです(国税庁 タックスアンサー No.6118、No.6451)。
- 事業者向け電気通信利用役務の提供:国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質や取引条件から、通常、事業者だけが受けるもの。国税庁は、インターネット広告の配信や、取引の当事者間で個別に交渉して固有の契約を結び、事業として利用することが契約で明らかなクラウドサービスなどを例に挙げています。
- 特定役務の提供:国外事業者が国内で他の事業者に対して行う、俳優・音楽家その他の芸能人や職業運動家としての役務の提供(不特定かつ多数の者に対して行うものを除きます)。例えば、国外の音楽家に国内で演奏してもらう場合です。非居住者である監督・コーチが行う競技指導は、職業運動家としての役務の提供ではないため当たりません(Q&A 問38-1・問38-2)。
リバースチャージの申告が必要な事業者
| その課税期間の申告の方法 | 申告 | 扱い |
|---|---|---|
| 一般課税で、課税売上割合が95%未満 | 必要 | 特定課税仕入れの支払額を課税標準額に含め、その消費税額を仕入税額控除の対象にします |
| 一般課税で、課税売上割合が95%以上 | 不要 | 当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされ、仕入税額控除もできません |
| 簡易課税、2割特例、3割特例 | 不要 | 同上 |
| 免税事業者 | 不要 | 確定申告をする必要がないため |
出典:国税庁 タックスアンサー No.6118、国税庁リーフレット「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について(国内事業者の皆さまへ)」。3割特例は2割特例と同じ根拠規定(平成28年改正法附則51の2・51の3)に基づく経過措置として新設されたもので、リバースチャージの申告についても2割特例と同様に扱われると考えられます(当会の整理)。
授業料などの課税売上だけで非課税売上がない学習塾・教室は、課税売上割合が100%になるので、一般課税で申告していてもリバースチャージの申告は要りません(課税売上割合の計算方法からの当会の当てはめ)。預金の利子のような非課税の収入がある場合は、課税売上割合を計算して95%以上かどうかを確かめます。非課税の授業料を受け取る学校法人などは、課税売上割合が95%未満になれば申告が必要です(学校法人などの注意点)。
国外の講師やサービスと契約するときの確認
- 契約の相手方(請求書の発行者)が国外事業者かどうか。国内の法人と契約している場合は、国外事業者からの仕入れには当たりません。
- 国外に住む講師と個別に交渉して契約し、塾・教室の授業をオンラインで行ってもらう場合は、取引条件から事業者向け電気通信利用役務の提供に当たることがあります(国税庁が示す判断基準からの当会の当てはめ)。
- 事業者向け電気通信利用役務の提供を行う国外事業者には、リバースチャージ方式の対象であることをあらかじめ表示する義務があります。請求書や利用規約の表示を確認します(国税庁リーフレット)。
- 広く消費者も申し込める国外のクラウドサービスなどは「消費者向け電気通信利用役務の提供」で、国外事業者が申告・納税します。仕入税額控除には、その国外事業者が交付するインボイスの保存が必要で、免税事業者等からの仕入れの経過措置(80%・70%など)は使えません。少額特例(税込1万円未満の課税仕入れ)は、要件を満たせば使えます(国税庁リーフレット)。
電気通信利用役務の提供や特定役務の提供に当たらないサービスは、リバースチャージ方式の対象ではありません。仕訳や帳簿の書き方はリバースチャージ方式の仕組みと申告で説明しています。
講師への報酬と仕入税額控除
【確定】一般課税で申告する塾・教室では、講師への支払が課税仕入れになるかどうかで、納める税額が変わります。
| 講師との契約 | 消費税の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 雇用契約(またはこれに準ずる契約)に基づく給与(アルバイト講師を含む) | 課税仕入れにならず、仕入税額控除の対象外 | 消費税法2条1項12号、基本通達11-1-2、No.6451 |
| 業務委託(請負)の報酬で、講師がインボイス発行事業者 | 課税仕入れ。インボイスと帳簿の保存で控除できる | No.6451、No.6498 |
| 業務委託の報酬で、講師が免税事業者など(インボイスがない) | 課税仕入れ。仕入税額相当額の一定割合を控除できる(2026年10月1日以後に完了した役務は70%) | インボイスQ&A 問113 |
給与か業務委託の報酬かは、契約の名称ではなく、雇用契約またはこれに準ずる契約に基づく対価かどうかで判断します。はっきりしないときは、①ほかの人が代わりに行えるか、②事業者の指揮監督を受けるか、③まだ引き渡していない成果が不可抗力で失われた場合でも、すでに行った分の報酬を請求できるか、④材料や用具を支給されているか、などを総合して判定します(消費税法基本通達1-1-1)。
免税事業者の講師からの仕入れ:控除できる割合の推移
| 講師の役務が完了した日 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日以後 | 控除できない |
割合は、支払日ではなく、役務が完了した日で判定します。9月21日に始まり10月20日に完了した役務は、日割りせず、全体に70%を適用します(インボイスQ&A 問113-3)。適用を受けるには、区分記載請求書等と同じ事項が書かれた請求書などと、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨(例:「80%控除対象」「免」)を書いた帳簿の保存が必要です(問113)。2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、同じ仕入先からの仕入れが年1億円(税込み)を超える部分には使えません。
例えば、免税事業者の講師への年間の支払が税込み4,400,000円(すべて10%)の場合、控除できる国の消費税分は、80%なら249,600円、70%なら218,400円です(4,400,000 × 7.8/110 × 割合。当会の計算)。計算方法や記帳例は免税事業者等からの仕入れの経過措置(70%控除と1億円上限)で説明しています。
この割合が影響するのは、一般課税で申告する事業者だけです。簡易課税・2割特例・3割特例で申告する塾・教室では、講師がインボイス発行事業者かどうかは納める税額に影響しません。講師が登録するかどうかは、講師自身が判断することです。
学習塾・教室のインボイス対応
インボイスを交付しなければならない相手
【確定】インボイス発行事業者には、取引の相手方(課税事業者に限ります)から求められたときに、インボイスを交付する義務があります(消費税法57条の4第1項、国税庁 タックスアンサー No.6498)。受講者が消費者(生徒・保護者)であれば、交付の義務はありません(インボイスQ&A 問24-3)。会社が研修として受講料を払う場合など、課税事業者から求められたときは交付します。
記載事項を簡略にした適格簡易請求書を使えるか
適格簡易請求書を交付できるのは、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業(不特定かつ多数の者に対するもの)と、これらに準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業です(インボイスQ&A 問24)。国税庁は、会員から広く参加者を募って開くセミナーを該当する例に挙げる一方、相手方を一意に特定したうえで契約を行い、その契約に基づいて個々に行う取引は、一般的には該当しないとしています(問24-2)。月謝制で生徒ごとに契約する塾・教室が該当するかは、この基準に照らして判断します。判断に迷う場合は、交付を受ける事業者の氏名・名称を含む適格請求書の記載事項をそろえて交付すれば、要件を満たします。
個人の教室・講師がインボイスの登録をするか
登録は義務ではありません。基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下で、特定期間(前年1月1日〜6月30日)の課税売上高(または給与等の支払額)も1,000万円以下なら、登録しなければ免税事業者のままです(国税庁 タックスアンサー No.6501)。登録すると、基準期間の課税売上高にかかわらず課税事業者になり、消費税の申告が必要になります(No.6498)。
受講者が消費者だけであれば、受講者の側で仕入税額控除をすることはないので、登録の有無は受講者の税額に影響しません。企業研修や、塾から授業を請け負う講師のように、課税事業者から受講料や報酬を受け取る取引では、その取引先が一般課税で申告している場合、インボイスがないと取引先の控除が経過措置の割合(2026年10月1日以後は70%)に限られます。取引先が簡易課税・2割特例・3割特例で申告している場合は影響しません。登録の手続きはインボイスの登録申請の手続き、制度の全体はインボイス制度の概要で説明しています。
納める税額の計算方法の選び方(2割特例・3割特例・簡易課税・一般課税)
【確定】各方法の要件と期間は、国税庁の令和8年度税制改正特集とタックスアンサー No.6505 に基づきます。
| 方法 | 使える事業者・期間 | 授業(第5種事業)の売上だけの場合の納付税額 | 手続き |
|---|---|---|---|
| 2割特例 | インボイス発行事業者の登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者で、基準期間の課税売上高が1,000万円以下など。2026年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は令和8年分まで) | 売上税額の20% | 届出は不要(申告書に付記) |
| 3割特例 | 同じ条件を満たす個人事業者の令和9年分・令和10年分。法人は使えない | 売上税額の30% | 届出は不要(申告書に付記) |
| 簡易課税 | 基準期間の課税売上高が5,000万円以下 | 売上税額の50%(みなし仕入率50%) | 原則として適用を受ける課税期間の初日の前日までに届出(下の特例あり)。原則2年間は継続 |
| 一般課税 | すべての課税事業者 | 売上税額 − 仕入税額(実額) | 届出は不要。インボイスと帳簿の保存が必要 |
授業の売上だけの教室なら、2割特例(20%)と3割特例(30%)は、簡易課税(50%)より納付税額が少なくなります。一般課税とどちらが少ないかは、家賃や業務委託の講師への報酬などの課税仕入れの多さで変わるため、計算して比べます(当会の計算例)。2割特例の最後の課税期間は2割特例はいつまで使えるか(個人・法人の決算月別)、3割特例の要件と業種別の比較は3割特例と簡易課税の業種別比較で説明しています。
2割特例・3割特例を使った課税期間の翌課税期間から簡易課税に移る場合は、翌課税期間の確定申告期限までに簡易課税制度選択届出書を出せば、その翌課税期間から簡易課税を使えます。翌課税期間が2026年9月30日以前に終わる場合は、その課税期間の末日までです(No.6505)。例えば、令和8年分に2割特例を使った個人事業者が令和9年分から簡易課税にする場合は2028年3月31日まで、令和10年分に3割特例を使い令和11年分から簡易課税にする場合は2030年4月1日までです。
教室の開設や改装などで、仕入れの消費税額が売上の消費税額を上回る課税期間は、一般課税で申告すれば還付を受けられます。2割特例・3割特例・簡易課税では、通常、還付は生じません(インボイスQ&A 問117-2・問117-3)。ただし、一般課税で高額特定資産などを仕入れると、その後の課税期間に2割特例・3割特例を使えなくなることがあります(2割特例を使えない課税期間)。
当会の計算例(架空の設例)
次の2つは、当会が作成した架空の設例で、実在の事業者の数値でも、業種の平均的な数値でもありません。金額はすべて当会の計算で、2026年9月26日時点の法令等に基づき、法定の端数処理(課税標準額は千円未満、差引税額と地方消費税は百円未満を切り捨て)で計算しています。仕入税額は割戻し計算です。
設例A:個人の英会話教室(授業料と教材の販売)
- 個人事業者。インボイス発行事業者の登録を機に免税事業者から課税事業者になり、2割特例・3割特例の要件を満たす(基準期間・特定期間の課税売上高は1,000万円以下)
- 年間の売上(税込み、すべて10%):授業料 7,700,000円、仕入れた教材をそのまま生徒に販売した代金 330,000円、合計 8,030,000円
- 年間の課税仕入れ(税込み、すべてインボイスあり):事業用の教室の家賃 1,320,000円、教材の仕入れ 220,000円、広告・その他の経費 660,000円、合計 2,200,000円
- 毎年同じ金額とします。簡易課税を使う場合は、届出を済ませているものとします。
課税標準額は 8,030,000 × 100/110 = 7,300,000円、消費税額(国)は 7,300,000 × 7.8% = 569,400円です。
| 計算方法 | 控除する額 | 差引税額(国) | 地方消費税 | 納付税額 |
|---|---|---|---|---|
| 2割特例(令和8年分まで) | 569,400 × 80% = 455,520 | 113,800 | 32,000 | 145,800 |
| 3割特例(令和9年分・令和10年分) | 569,400 × 70% = 398,580 | 170,800 | 48,100 | 218,900 |
| 簡易課税(授業と教材を区分して記帳) | 273,000 + 18,720 = 291,720 | 277,600 | 78,200 | 355,800 |
| 簡易課税(区分していない) | 569,400 × 50% = 284,700 | 284,700 | 80,300 | 365,000 |
| 一般課税 | 2,200,000 × 7.8/110 = 156,000 | 413,400 | 116,600 | 530,000 |
差引税額は、消費税額(国)から控除する額を引いて百円未満を切り捨てた額です(例:2割特例は113,880円を切り捨てて113,800円)。地方消費税は、差引税額 × 22/78 の百円未満を切り捨てた額です(例:2割特例は113,800 × 22/78 = 32,097.4…円を切り捨てて32,000円)。簡易課税(区分して記帳)の控除する額は、授業の消費税額 7,000,000 × 7.8% = 546,000円の50%(273,000円)と、教材の販売の消費税額 300,000 × 7.8% = 23,400円の80%(18,720円)の合計です。授業の売上が全体の75%以上(約95.9%)なので、全体に50%を適用する計算(284,700円)も選べますが、控除する額が少なくなるため使いません(No.6505)。
この設例では、納付税額は2割特例(145,800円)が最も少なく、3割特例(218,900円)、簡易課税(355,800円)、一般課税(530,000円)の順に多くなります。教材の販売を授業料と区分して記帳すると、区分しない場合より簡易課税の納付税額が9,200円少なくなります。
設例B:法人の学習塾(講師への支払の扱いで比べる)
- 9月決算の法人。事業年度は2026年10月1日〜2027年9月30日(法人の2割特例は2026年9月30日を含む事業年度までで、3割特例は法人は使えない)
- 基準期間の課税売上高は5,000万円以下(簡易課税を選べる)。非課税売上はなく、課税売上割合は100%
- 年間の売上(税込み、すべて10%):授業料・入会金・講習料など 33,000,000円。教材は授業料に含めて渡しており、教材だけの販売はない(売上はすべて第5種事業として計算)
- 課税仕入れ(税込み、すべてインボイスあり):教室の家賃 7,920,000円、広告宣伝費 2,640,000円、教材・消耗品 1,320,000円、その他の経費 1,320,000円、合計 13,200,000円
- 講師への支払 9,900,000円。①業務委託で、インボイス発行事業者の講師に 6,600,000円、免税事業者の講師に 3,300,000円(役務はすべて2026年10月1日以後に完了し、帳簿などの要件を満たす。同じ講師への支払は1億円の上限に達しない)。または②全員が雇用契約の講師で、給与として 9,900,000円
課税標準額は 33,000,000 × 100/110 = 30,000,000円、消費税額(国)は 30,000,000 × 7.8% = 2,340,000円です。
| 計算方法 | 控除する額 | 差引税額(国) | 地方消費税 | 納付税額 |
|---|---|---|---|---|
| 一般課税(①講師が業務委託) | 936,000 + 468,000 + 163,800 = 1,567,800 | 772,200 | 217,800 | 990,000 |
| 一般課税(②講師が雇用) | 936,000 | 1,404,000 | 396,000 | 1,800,000 |
| 簡易課税 | 2,340,000 × 50% = 1,170,000 | 1,170,000 | 330,000 | 1,500,000 |
控除する額の内訳:インボイスのある課税仕入れ 13,200,000 × 7.8/110 = 936,000円、インボイス発行事業者の講師 6,600,000 × 7.8/110 = 468,000円、免税事業者の講師 3,300,000 × 7.8/110 × 70% = 163,800円。給与は課税仕入れにならないため、②では講師への支払を控除に含めません。免税事業者の講師の役務が2026年9月30日までに完了していた場合は、80%で187,200円となり、①の納付税額は960,000円です。
講師への支払が業務委託の報酬なら一般課税(990,000円)のほうが簡易課税(1,500,000円)より少なく、雇用契約に基づく給与なら簡易課税(1,500,000円)のほうが一般課税(1,800,000円)より少なくなります。給与が課税仕入れにならないためです。この比較は計算方法の選び方を示すためのもので、雇用と業務委託のどちらを選ぶべきかを示すものではありません。講師との契約が給与と業務委託のどちらに当たるかは、契約の実態で判断されます(講師への報酬と仕入税額控除)。簡易課税を選ぶと原則として2年間は続ける必要があるため、講師の契約や設備投資の予定も含めて比べます。
設例Bの①の一般課税では、国の消費税の年税額が772,200円で48万円を超えるため、翌事業年度は中間申告が年1回必要になります(直前の課税期間の確定消費税額が48万円超400万円以下の場合。国税庁 タックスアンサー No.6609)。
自分の数字で試算するときは、消費税計算ツール(教育・スクール業の設定)で、年間の売上と仕入れから計算方法ごとの納税額の目安を比べられます。事業区分が2種類以上ある場合の簡易課税や、免税事業者の講師からの仕入れ(経過措置)は、上の設例の手順で計算してください。
学校法人など、非課税の授業料がある事業者の注意点
【確定】非課税の授業料などを受け取る学校法人、専修学校・各種学校の設置者は、次の点が学習塾・教室と異なります。
- 課税事業者になるかどうかを判定する基準期間の課税売上高(1,000万円)には、非課税の授業料などは含めません(消費税法9条2項)。
- 授業料などの非課税の取引だけを行う場合は、インボイスの交付義務はありません(インボイスQ&A 問23)。学校給食や受託研究、補助教材の販売など課税となる取引では、インボイス発行事業者であれば、課税事業者から求められたときに交付します。
- 課税売上割合が95%未満の課税期間や、課税売上高が5億円を超える課税期間は、仕入れの消費税額を全額は控除できず、個別対応方式か一括比例配分方式で計算します(消費税法30条2項)。
- 一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間に、国外事業者からインターネット広告の配信などの事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合は、リバースチャージ方式の申告が必要です(No.6118)。
- 学校法人は消費税法別表第三に掲げる法人で、補助金などの特定収入がある場合は、仕入控除税額の計算に特例があります(消費税法60条4項、国税庁「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」)。
2026年9月以後の主な期限
【確定】日付の元になる規定は、すべて成立し、施行日も決まっています。「当会計算」とした日付は、そのルールに当てはめて当会が計算したものです。法人の日付は、申告期限の延長の特例を受けていない場合です。
| 日付 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2026年9月30日(水) | この日を含む課税期間までが2割特例の対象 | 国税庁 |
| 2026年10月1日(木) | 免税事業者等からの仕入れの控除割合が80%から70%に。3割特例の規定と、2割特例・3割特例の後に簡易課税に移るときの届出期限の特例が施行。1億円の上限は、同日以後に開始する課税期間から | 国税庁 |
| 2026年11月30日(月) | 9月決算の法人の令和8年9月期(2割特例を使える最後の事業年度)の申告期限 | 当会計算 |
| 2027年3月31日(水) | 個人事業者の令和8年分(2割特例を使える最後の年分)の申告期限 | 国税庁 |
| 2028年3月31日(金) | 個人事業者の令和9年分(3割特例を使える最初の年分)の申告期限。令和8年分に2割特例を使い、令和9年分から簡易課税にする場合の届出期限 | 当会計算 |
| 2028年10月1日(日) | 免税事業者等からの仕入れの控除割合が70%から50%に | 国税庁 |
| 2030年10月1日(火) | 控除割合が50%から30%に | 国税庁 |
| 2031年10月1日(水) | 免税事業者等からの仕入れの経過措置が終わり、控除できなくなる | 国税庁 |
法人の決算月ごとの2割特例の最後の事業年度と申告期限は、2割特例の決算月別の早見表にあります。消費税の申告期限は、個人事業者は翌年3月31日、法人は課税期間の末日の翌日から2か月以内で、期限が土日・祝日などにあたるときはその翌日以後になります。中間申告は、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない年税額)が48万円を超える場合に必要です(No.6609)。
よくある質問
学習塾や習い事の教室の月謝に消費税はかかりますか。
かかります。学校教育法1条の学校、専修学校、一定の要件を満たす各種学校などの授業料・入学金などは非課税ですが、これらに当たらない学習塾・予備校や、英会話・音楽・スポーツなどの教室の月謝・入会金・講習料は、国内で行う限り課税(10%)です。〔消費税法別表第二第11号、消費税法基本通達6-11-1〕
予備校の授業料は非課税になりますか。
予備校であっても、専修学校や、修業年限1年以上・年間の授業時間数680時間以上などの要件をすべて満たす各種学校として行う授業なら、その授業料・入学金などは非課税です。これらに当たらない予備校の授業料は課税です。〔消費税法基本通達6-11-1〕
模擬試験の受験料は非課税ですか。
入学試験に備えるために広く一般から参加者を募って行う、いわゆる公開模擬学力試験の検定料は課税です。非課税になるのは、非課税となる学校等が行う入学・入園のための試験の検定料です。〔消費税法基本通達6-11-1・6-11-6〕
教科書や問題集の販売に消費税はかかりますか。
文部科学大臣の検定を経た教科書など(教科用図書)の譲渡は非課税です。参考書・問題集などの補助教材は、学校が指定したものでも課税で、税率は10%です。〔消費税法基本通達6-12-1・6-12-3〕
海外に住む生徒へのオンラインレッスンに消費税はかかりますか。
インターネットを介して行う英会話教室などは「電気通信利用役務の提供」に当たり、受講者の住所等が国外にあれば国外取引となるため、日本の消費税はかかりません。国内に住所がある人が海外旅行中に受講した場合や、国内に本店がある会社の海外支店が受講した場合は国内取引で、課税されます。〔国税庁 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A 問2-1・問10〜問12〕
学習塾でもリバースチャージの申告が必要ですか。
必要になるのは、国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供(インターネット広告の配信など)や特定役務の提供を受けた課税期間を一般課税で申告し、その課税期間の課税売上割合が95%未満の場合だけです。簡易課税・2割特例で申告する課税期間や、課税売上割合が95%以上の課税期間は必要ありません。3割特例は2割特例と同じ経過措置の枠組みで新設された制度のため、同様に不要になると考えられます(当会の整理)。国外の受講者に講座を提供する取引は、リバースチャージの対象ではありません。〔国税庁 タックスアンサー No.6118〕
アルバイト講師や業務委託の講師に払う報酬は、仕入税額控除の対象ですか。
雇用契約(またはこれに準ずる契約)に基づく給与は課税仕入れにならず、控除できません。業務委託(請負)の報酬は課税仕入れです。講師が免税事業者などでインボイスがない場合、一般課税では、2026年10月1日以後に完了した役務の分は仕入税額相当額の70%を控除できます(9月30日までに完了した分は80%)。〔消費税法基本通達1-1-1・11-1-2、インボイスQ&A 問113〕
個人で教室を開いています。インボイスの登録をしなければいけませんか。
登録は義務ではありません。基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下で、特定期間(前年1月〜6月)の課税売上高(または給与等の支払額)も1,000万円以下なら、登録しなければ免税事業者のままです。受講者が消費者だけなら、登録の有無は受講者の税額に影響しません。企業研修など、課税事業者が受講料を払う取引があり、その取引先が一般課税で申告している場合は、インボイスがないと取引先の控除が経過措置の割合に限られます。〔国税庁 タックスアンサー No.6501・No.6498〕
教室を営む個人事業者は2割特例や3割特例を使えますか。
インボイス発行事業者の登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者は、要件を満たせば、令和8年分(2026年分)まで2割特例を、令和9年分・令和10年分に3割特例を使えます。教室の授業は簡易課税では第5種事業(みなし仕入率50%)なので、売上税額に対する納付税額の割合は、2割特例20%、3割特例30%、簡易課税50%です。〔国税庁 令和8年度税制改正特集、消費税法基本通達13-2-4〕
学校法人もインボイスを交付する必要がありますか。
非課税の授業料・入学金などだけを受け取る取引には、インボイスの交付義務はありません。学校給食や受託研究、補助教材の販売など課税となる取引では、インボイス発行事業者であれば、課税事業者から求められたときに交付します。〔インボイスQ&A 問23、消費税法基本通達6-11-4〕
まとめ
- 非課税になるのは、学校教育法1条の学校、専修学校、要件を満たす各種学校などが、その学校等における教育として受け取る授業料・入学金・施設設備費・入学検定料などです。学習塾・予備校(学校等に当たらないもの)や教室の月謝・入会金・講習料は課税(10%)です。
- 検定済教科書などの教科用図書は非課税、参考書・問題集などの補助教材や塾の教材は課税です。簡易課税では、仕入れた教材の販売は授業(第5種)と事業区分が分かれるので、区分して記帳します。
- オンライン講座は、受講者の住所等が国外なら国外取引(不課税)です。リバースチャージは国外事業者からサービスを受けたときの制度で、申告が必要なのは一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間だけです。
- 雇用契約に基づく講師の給与は課税仕入れになりません。免税事業者の講師への業務委託の報酬は、一般課税では2026年10月1日以後に完了した分から70%を控除します。
- 授業が中心の教室では、納付税額は2割特例(令和8年分まで)、3割特例(個人の令和9年分・令和10年分)、簡易課税(50%)の順に多くなります。一般課税との比較は、講師への支払や家賃などの課税仕入れの額で変わります。
出典・参考資料
いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。
国税庁 通達・タックスアンサー
- 消費税法基本通達 第6章第11節 学校教育関係(6-11-1〜6-11-6)
- 消費税法基本通達 第6章第12節 教科用図書の譲渡関係(6-12-1〜6-12-3)
- 消費税法基本通達 1-1-1(個人事業者と給与所得者の区分)、11-1-2(給与等を対価とする役務の提供)、5-5-5(ゴルフクラブ等の入会金)、13-2-1〜13-2-5(簡易課税の事業区分)
- No.6201 非課税となる取引、No.6209 非課税と不課税の違い、No.6102 消費税の軽減税率制度
- No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係、No.6451 仕入税額控除の対象となるもの
- No.6501 納税義務の免除、No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)、No.6505 簡易課税制度、No.6609 中間申告の方法、No.6902 「総額表示」の義務付け
国税庁 パンフレット・Q&A
- 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について(国内事業者の皆さまへ)(令和8年6月改訂、PDF)
- 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A(令和8年6月改訂、PDF)(問2-1、問3-1、問9〜問12、問38-1・問38-2)
- 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(全文、PDF)(問23、問24・24-2・24-3、問113・113-3、問117-2・117-3)
- インボイス制度 令和8年度税制改正特集、リーフレット「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」(PDF)
- 国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税(令和8年6月)
法令
- 消費税法(2条1項8号の3・12号、4条3項、9条2項、30条2項、57条の4、60条4項、63条、別表第二第11号・第12号、別表第三)
- 財務省 第221回国会における財務省関連法律(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号)
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年5月15日:公開
- 2026年9月25日:国外の利用者向けオンライン講座の扱い(登録国外事業者制度・リバースチャージ方式の記述)と、2割特例の適用期間・3割特例の記述を訂正
- 2026年9月26日:全面改訂(非課税となる学校等の範囲を、専修学校・各種学校の要件を含めて訂正。教科用図書の非課税、公開模擬試験・補助教材・入会金の扱い、総額表示、オンライン講座の国内・国外の判定、リバースチャージの対象と申告が必要な事業者、講師への報酬の扱い、インボイス対応、学校法人の注意点、2026年9月以後の期限を追加。出典のない事業所数・市場規模・経費の割合の記述と、年間スケジュール・失敗事例・節税ポイントの節を削除。計算例を架空の設例として作り直し、法定の端数処理で計算。リンク切れの参考資料を差し替え)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。無料の公的な相談窓口は、新宿で税金の相談をしたいときの公的な相談窓口にまとめています。