酒税の仕組みと2026年10月1日の税率改正:ビール系の一本化と手持品課税

2026年10月1日から、ビール・発泡酒・いわゆる新ジャンル(第三のビール)の酒税は1klあたり155,000円(350mlあたり54.25円)にそろいます。ビールは下がり、麦芽比率25%未満の発泡酒と新ジャンルは上がります。チューハイなどの「その他の発泡性酒類」は1klあたり100,000円(350mlあたり35円)に上がり、清酒・果実酒は変わりません。酒販店や飲食店は10月1日午前0時の在庫を確認し、税率が上がる酒類の在庫が合計2,000L以上あれば、2026年11月2日(月)までに手持品課税の申告が必要です。

350mlあたりの酒税額(2026年10月1日の改正前後)

区分改正前改正後増減
ビール63.35円54.25円9.1円の引下げ
発泡酒(麦芽比率25%未満)・新ジャンル約46.99円54.25円約7.26円の引上げ
チューハイ・ハイボールなど28円35円7円の引上げ
清酒・果実酒35円35円変わらない

1klあたりの税率に0.35(L)をかけ、1,000で割って当会が計算しました。46.9875円は約46.99円、7.2625円は約7.26円と表示しています。発泡酒・新ジャンル・チューハイなどは、アルコール分10度未満のものの税額です。区分ごとの詳しい表は改正前後の税率と350mlあたりの税額にあります。焼酎・ウイスキー・ブランデーなど、発泡性がなくアルコール分10度以上の蒸留酒の税率は変わりません(変わるのは、発泡性がなくアルコール分10度未満のものなどです。ほかに税率が変わる酒類を参照)。

【確定】手持品課税の申告が必要な人と期限(2026年10月1日実施分)

10月1日午前0時に、税率が上がる酒類を販売のために合計2,000L以上所持している酒販店・飲食店等は、申告書兼届出書を2026年11月2日(月)までに提出し、差額が納付になる場合は2027年3月31日(水)までに納付します。2,000L未満でも、ビールなど税率が下がる酒類の差額の還付を受けるには、同じ11月2日(月)までの提出が必要です。期限を過ぎてから更正の請求をしても、還付は受けられません。申告書は、酒類を所持している貯蔵場所ごとに、その所在地を所轄する税務署長に提出します。詳しくは手持品課税(戻税)の申告と納付で説明しています。

目次
  1. 酒税の仕組み
  2. 2026年10月1日の税率改正
  3. 手持品課税(戻税)の申告と納付
  4. 酒販店・飲食店が確認すること
  5. 消費税との関係
  6. よくある質問
  7. 出典・参考資料
  8. 改訂履歴

酒税の仕組み

【確定】2026年10月1日以後の制度(2026年9月25日時点の法令等に基づく)。2026年9月30日までの税率との違いは、改正前後の税率と350mlあたりの税額の表にまとめています。

酒類の定義と4つの分類

酒税法でいう「酒類」は、アルコール分1度以上の飲料です。薄めたり溶かしたりしてアルコール分1度以上の飲料にできるものも含みます(酒税法2条1項)。酒税法は、酒類を製造方法や性状に着目して4種類に分類し、分類ごとに基本税率を定めたうえで、品目ごとに異なる税率を定めています(財務省「酒税に関する資料」)。

酒類の4つの分類(醸造酒類・蒸留酒類・混成酒類は、いずれもその他の発泡性酒類に当たるものを除きます。財務省「酒税に関する資料」の備考、酒税法2条・3条による)
分類含まれる品目
発泡性酒類ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビール・発泡酒以外で発泡性があり、アルコール分が10度未満のもの。2026年10月1日からは11度未満(酒税法3条3号、国税庁 手持品課税等Q&A 問1)。チューハイなど)
醸造酒類清酒、果実酒、その他の醸造酒
蒸留酒類連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
混成酒類合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

だれが、何に対して納めるか

酒税を納めるのは、酒類の製造者(製造場から移出した酒類について)と、酒類を保税地域から引き取る者(引き取る酒類について)です(酒税法6条)。課税標準は、製造場から移出し、または保税地域から引き取る酒類の数量で(同法22条)、税額は「1klあたりの税率×数量」で決まり、販売価格には左右されません。税率は品目やアルコール分などで決まります。

酒販店や飲食店が仕入れる酒類は、すでに酒税が課されたものです。税率が変わる日に流通している在庫について新旧税率の差額を調整するのが、後で説明する手持品課税です(国税庁 手持品課税等Q&A 問3)。

主な税率の一覧(2026年10月1日以後)

酒税の税率(酒税法23条関係)1klあたり
品目アルコール分等税率
発泡性酒類
ビール発泡性の有無を問わない155,000円
発泡酒―155,000円
その他の発泡性酒類ビール・発泡酒以外で、アルコール分11度未満で発泡性があるもの100,000円
醸造酒類(その他の発泡性酒類に当たるものを除く。以下同じ)
清酒、果実酒、その他の醸造酒―100,000円
蒸留酒類
連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、原料用アルコール21度未満200,000円
同上21度以上200,000円に、20度を超える1度ごとに10,000円を加算
ウイスキー、ブランデー、スピリッツ37度未満370,000円
同上37度以上370,000円に、37度を超える1度ごとに10,000円を加算
混成酒類
合成清酒―100,000円
みりん―20,000円
甘味果実酒、リキュール13度未満120,000円
同上13度以上120,000円に、12度を超える1度ごとに10,000円を加算
粉末酒―390,000円
雑酒みりん類似20,000円
同上21度未満200,000円
同上21度以上200,000円に、20度を超える1度ごとに10,000円を加算

このほか、発泡性のない連続式蒸留焼酎・単式蒸留焼酎・ウイスキー・ブランデー・スピリッツでアルコール分13度未満のもの、リキュールで12度未満のものには特例の税率があり、2026年10月1日以後は、11度未満が100,000円、11度以上は100,000円に10度を超える1度ごとに10,000円を加算した額です(租税特別措置法87条の2)。出典:国税庁「酒税率一覧表(令和8年10月1日〜)」(PDF)

1本あたりの酒税額の例

2026年10月1日以後の税率による計算例(当会計算)
例計算酒税額
ビール(500ml)155,000円×0.5L÷1,00077.5円
清酒(1.8L)100,000円×1.8L÷1,000180円
果実酒(750ml)100,000円×0.75L÷1,00075円
単式蒸留焼酎・アルコール分25度(1.8L)(200,000円+10,000円×5)×1.8L÷1,000450円
ウイスキー・アルコール分40度(700ml)(370,000円+10,000円×3)×0.7L÷1,000280円

上の税率表から当会が計算した1本あたりの酒税額で、販売価格を示すものではありません。焼酎とウイスキーの例は、2026年10月1日の改正の前後で同じ額です。小規模な製造者に対する軽減措置(租税特別措置法87条など)の対象となる酒類は、これより少なくなります。

2026年10月1日の税率改正

【確定】平成29年度税制改正で決定済み。施行日は2026年10月1日です。

財務省は、改正の目的を「類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の税負担の公平性を回復する」ことなどとし、税収を増減させない形(税収中立)で行うと説明しています。ビール系飲料の税率は2020年10月から3段階で、清酒・果実酒などの醸造酒類の税率は2020年10月から2段階で見直されてきました。2026年10月1日は、ビール系飲料の3段階の見直しの最終段階で、チューハイなど(その他の発泡性酒類)の税率もこの日に引き上げられます。あわせて、低アルコール分の蒸留酒類とリキュールの特例税率も引き上げられます(財務省「酒税に関する資料」)。

改正前後の税率と350mlあたりの税額(早見表)

2026年10月1日の改正前後の比較
区分1klあたりの税率(改正前 → 改正後)350mlあたり(改正前)350mlあたり(改正後)350mlあたりの増減
ビール181,000円 → 155,000円63.35円54.25円9.1円の引下げ
発泡酒(麦芽比率50%以上、またはアルコール分10度以上)、「発泡酒③」と表示された酒類181,000円 → 155,000円63.35円54.25円9.1円の引下げ
発泡酒(麦芽比率25%以上50%未満、アルコール分10度未満)155,000円(変更なし)54.25円54.25円変わらない
発泡酒(麦芽比率25%未満、アルコール分10度未満)134,250円 → 155,000円約46.99円54.25円約7.26円の引上げ
いわゆる新ジャンル(「発泡酒②」と表示、アルコール分10度未満)134,250円 → 155,000円約46.99円54.25円約7.26円の引上げ
その他の発泡性酒類(チューハイ・ハイボールなど、アルコール分10度未満)80,000円 → 100,000円28円35円7円の引上げ
清酒、果実酒100,000円(変更なし)35円35円変わらない

350mlあたりの額は当会の計算です。改正前は2023年10月1日から2026年9月30日までの税率です。350mlあたりの額は、1klあたりの税率×350÷1,000,000で計算し、小数第3位以下がある場合は「約」を付けて小数第2位までにしています。引上げ・引下げの額は、国税庁のリーフレットが示す1Lあたりの額(約21円・20円・26円)と一致します。出典:国税庁「酒税率一覧表(令和5年10月1日〜令和8年9月30日)」(PDF)、同(令和8年10月1日〜)(PDF)、国税庁 手持品課税のリーフレット(PDF)

ほかに税率が変わる酒類

2026年10月1日から、「その他の発泡性酒類」の範囲が、アルコール分10度未満から11度未満に広がります。このため、アルコール分10度以上11度未満で発泡性がある酒類は、品目によって税率が上がるものと下がるものがあります。また、発泡性のない低アルコールの蒸留酒類とリキュールの特例税率も上がります。

税率が変わるそのほかの酒類(国税庁のリーフレット・手引による)
対象となる酒類1Lあたり350mlあたり
連続式蒸留焼酎・単式蒸留焼酎・ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュールで、発泡性がなく、アルコール分9度未満のもの(1klあたり80,000円 → 100,000円)20円の引上げ7円の引上げ
同上で、アルコール分9度以上10度未満のもの10円の引上げ3.5円の引上げ
発泡性があり、アルコール分10度以上11度未満で、品目がみりん・雑酒(みりん類似)に当たるもの(その他の発泡性酒類に変わる)80円の引上げ28円の引上げ
発泡性があり、アルコール分10度以上11度未満で、品目が連続式蒸留焼酎・単式蒸留焼酎・甘味果実酒・ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュール・雑酒(みりん類似を除く)に当たるもの(その他の発泡性酒類に変わる)20円〜270円の引下げ(品目による)7円〜94.5円の引下げ

アルコール分10度以上11度未満の発泡性の酒類の引下げ額は、改正前の税率(1klあたり焼酎・雑酒200,000円、甘味果実酒・リキュール120,000円、ウイスキー・ブランデー・スピリッツ370,000円)と改正後の100,000円の差です。出典:国税庁 手持品課税のリーフレット(PDF)、国税庁「酒類の手持品課税(戻税)の申告等の手引(令和8年10月1日分)」(PDF)

清酒・果実酒は2023年10月に一本化済み

清酒と果実酒などの醸造酒類の税率は、2023年10月1日に1klあたり100,000円(350mlあたり35円)に一本化されており、2026年10月1日の改正では変わりません。清酒は120,000円から、果実酒は80,000円から、2段階でこの税率にそろえられました(財務省「酒税に関する資料」。下の経緯の表を参照)。

ただし、アルコール分10度未満で発泡性がある清酒など、容器に「清酒(発泡性)」のように表示されたものは、醸造酒類ではなく「その他の発泡性酒類」に当たります。これらは1klあたり80,000円から100,000円に上がります(国税庁 手持品課税等Q&A 問5)。

改正の経緯:2020年10月から3段階

税率の推移1klあたり(かっこ内は350mlあたり)
区分2020年9月30日まで2020年10月1日から2023年10月1日から2026年10月1日から
ビール220,000円
(77円)
200,000円
(70円)
181,000円
(63.35円)
155,000円
(54.25円)
発泡酒(麦芽比率25%未満)134,250円
(約46.99円)
134,250円
(約46.99円)
134,250円
(約46.99円)
155,000円
(54.25円)
いわゆる新ジャンル80,000円
(28円)
108,000円
(37.8円)
134,250円
(約46.99円)
155,000円
(54.25円)
その他の発泡性酒類(チューハイなど)80,000円
(28円)
80,000円
(28円)
80,000円
(28円)
100,000円
(35円)
清酒120,000円110,000円100,000円100,000円
果実酒80,000円90,000円100,000円100,000円

財務省「酒税に関する資料」の図は、ビール系飲料とチューハイ等の税率を350mlあたり(ビール77円・70円・63.35円・54.25円、新ジャンル28円・37.8円・46.99円・54.25円など)、清酒・果実酒の税率を1klあたりで示しています。1klあたりの額はこれを1klに直したもので、国税庁 手持品課税等Q&A 問1の表と一致します。46.99円は46.9875円を四捨五入した額です。いわゆる新ジャンルは、2023年10月1日から品目が「その他の発泡性酒類」から発泡酒に変わりました。出典:財務省「酒税に関する資料」、国税庁「手持品課税・手持品戻税に関するQ&A」(PDF) 問1

在庫の区分は容器の表示で確かめる

手持品課税の計算では、在庫をこの区分ごとに数えます。国税庁は、容器の表示で次のように見分けるよう案内しています。「○○(発泡性)」ではなく「○○(炭酸ガス含有)」「○○(炭酸ガス入り)」などと表示されている場合もあります。

容器の表示と、2026年10月1日の改正での扱い
容器の表示の例区分改正での扱い(1Lあたり)
「ビール」ビール引下げ(26円)
「発泡酒」で「麦芽使用率50%以上」、またはアルコール分10度以上の発泡酒発泡酒引下げ(26円)
「発泡酒③」(「その他の醸造酒(発泡性)③」「スピリッツ(発泡性)③」などの以前の表示を含み、「甘味果実酒(発泡性)③」を除く)発泡酒引下げ(26円)
「発泡酒」で「麦芽使用率25%以上50%未満」(アルコール分10度未満)発泡酒変わらない
「発泡酒」で「麦芽使用率25%未満」(アルコール分10度未満)発泡酒引上げ(約21円)
「発泡酒②」(「その他の醸造酒(発泡性)②」「リキュール(発泡性)②」の以前の表示を含む)いわゆる新ジャンル引上げ(約21円)
「リキュール(発泡性)」「スピリッツ(発泡性)」「清酒(発泡性)」など「○○(発泡性)」「○○(発泡性)①」の表示、「甘味果実酒(発泡性)③」(アルコール分10度未満)その他の発泡性酒類引上げ(20円)
品目の後に発泡性の表示がない焼酎・ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュールで、アルコール分10度未満のもの低アルコール分の蒸留酒類等引上げ(9度未満は20円、9度以上10度未満は10円)

出典:国税庁 手持品課税等Q&A(PDF) 問5、国税庁 手持品課税の手引(PDF)

手持品課税(戻税)の申告と納付

【確定】国税庁の案内(リーフレット・手引は2026年9月、Q&Aは2026年9月2日更新)に基づく

この節と次の節の「問」は、国税庁「手持品課税・手持品戻税に関するQ&A」(2026年9月2日更新)の問番号です。

手持品課税・手持品戻税とは

酒税は製造場から出荷されたときに課されるため、2026年10月1日より前に出荷されて流通している酒類には、改正前の税率で酒税が課されています。そこで、10月1日午前0時の時点で流通段階にある課税済みの酒類について、新旧税率の差額を調整します。税率が上がる酒類(引上対象酒類)には差額を課税し(手持品課税)、税率が下がる酒類(引下対象酒類)には差額を戻します(手持品戻税)。

申告する人は、課税額と戻税額を差し引きし、課税額が多ければ納付、戻税額が多ければ還付の申告をします(国税庁「酒類の手持品課税(戻税)について」)。

申告が必要な人:引上対象酒類が合計2,000L以上

次の①に当たる人は申告が必要です。②に当たる人は、届出をすれば申告できます(国税庁 手持品課税のリーフレット、同Q&A 問2・問4)。

  1. 2026年10月1日に、引上対象酒類を販売のために所持している酒類の販売業者等(酒場・料飲店等を経営する人を含みます)で、その数量が2,000L以上の人。酒類の製造者が、製造場・保税地域以外の場所で販売のために所持している場合も含みます。
  2. ①に当たらない人で、新旧税率の差額を計算した結果、引下げ額のほうが多く、差額の還付を受けようとする人(届出が必要です)。

2,000Lの判定のポイントは次のとおりです。

  • 数えるのは、引上対象酒類(麦芽比率25%未満の発泡酒、いわゆる新ジャンル、その他の発泡性酒類、低アルコール分の蒸留酒類等)の数量です。ビールなどの引下対象酒類は、2,000Lの判定に含めません。
  • 多店舗経営や倉庫がある場合など、複数の場所で所持しているときは、全ての場所の数量を合計して判定します。酒類販売場と飲食店の両方を経営している場合も合計します(問7・問9-3)。
  • 沖縄県内の貯蔵場所の酒類は、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(沖特法)の適用を受ける酒類とそれ以外に分けて、それぞれ2,000Lを判定し、申告もそれぞれ行います(国税庁 手持品課税の手引)。
  • 数量は、10月1日午前0時の実際の所持数量です。実地棚卸などで把握します(問6)。深夜営業で午前0時に棚卸ができない場合は、営業終了後や前後の日に実地棚卸をし、帳簿に記帳した受入れ・払出しの数量を加味した数量によることができます。POSシステム等で午前0時の数量が把握でき、適正に記帳されていれば、その数量でもかまいません(問13)。
  • 2020年と2023年の手持品課税の基準は1,800Lでしたが、2026年10月1日分は2,000Lです(問2・問4)。

2,000Lの目安(当会計算)

350ml缶に換算すると、2,000,000ml÷350ml=5,714.28…本です。5,714本では1,999.9Lなので、5,715本以上で2,000Lに達します。24本入りのケースでは、238ケース(1,999.2L)では届かず、239ケース(2,007.6L)で2,000Lを超えます。

数量に含めるもの・含めないもの

在庫の状態ごとの扱い(国税庁 手持品課税等Q&Aによる)
在庫の状態扱いQ&A
10月1日午前0時に輸送中の酒類荷受人が、荷受先の貯蔵場所で所持しているものとして扱います。卸売業者と販売業者の間で、どちらが手持品課税等を行うかを確認書等で事前に明らかにしている場合は、それによることもできます(確認書等は帳簿とともに保存)。問8
他の者が所有しているもの、自己の用に供しているもの(個人的消費、試験研究用、展示見本など)その事実が帳簿等で明らかで、他の酒類と区分して置いていれば、数量に含めなくてかまいません。問9
パチンコ店等が景品交換用に所持する酒類販売のための所持ではないため、対象になりません。問10
ホテル・旅館の客室の冷蔵庫や、自動販売機の中の酒類販売のための所持なので、対象になります。問11
酒場・料理店で客がボトルキープしている酒類寄託関係が明確なものは、開栓していなくても対象になりません。問12
一部を消費済みの樽商品など残りの数量を合理的な方法で明確にできないものは、数量に含めません。重量の差、瓶の入味線の高さ、別の容器に移しての実測などで残量を明らかにできるものは含めます。問14

申告期限・納付期限と提出先

2026年10月1日実施分の手続
提出する書類「手持品課税等対象酒類の酒税納税申告書兼酒税の手持品課税等の適用を受ける旨の届出書」(申告と届出の兼用様式)。品目ごとの課税額・戻税額を計算する「税額算出表」を添付します(問16)。
提出先酒類を所持している貯蔵場所(製造場・保税地域以外で酒類を所持している場所)ごとに、その所在地を所轄する税務署長。同じ税務署の管内にある複数の場所は、「所持場所ごとの所持数量の内訳書」を添付してまとめて申告できます(問9-2・問15)。
申告期限2026年11月2日(月)
納期限2027年3月31日(水)
納付先と方法申告書を提出した税務署(貯蔵場所の所轄税務署)に納付します。法人税や所得税を納めている税務署と異なる場合があります。e-Taxによるダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード、スマホアプリ、金融機関や税務署の窓口で納付できます(問36・問37)。
注意申告書を提出した後、税務署から納税通知などのお知らせは届きません。申告期限から納期限まで約5か月あるので、納付を忘れないよう国税庁が注意を呼びかけています(問2・問36)。
申告の方法e-Taxを利用できます。国税庁の手続の案内に、申告書兼届出書(PDF・Word)と、税額算出表・所持場所ごとの所持数量の内訳書(PDF・Excel)の様式があります(国税庁「令和8年10月1日現在の手持品課税等対象酒類の納税申告等手続」)。申告書の作成ツール(Excel)は、国税庁「酒類の手持品課税(戻税)について」のページにあります。
災害による期限の延長令和8年熊本地震に伴い国税の期限延長の地域指定を受けた熊本県の一部の地域(八代市、宇土市、宇城市、八代郡氷川町)では、手持品課税等の届出・申告等にもこの期限延長が適用され、別途告示される期限までに申告等をすればよいとされています。それ以外の地域でも、この地震で被災して申告・納付等ができない場合は、所轄の税務署に申請して期限の延長を受けられます(問41)。

2,000L未満の場合と、還付を受けるときの届出

引上対象酒類が2,000L未満なら、手持品課税の申告義務はありません。ただし、ビールなど引下対象酒類の在庫が多く、差額の還付を受けたい場合は、2026年11月2日(月)までに上の申告書兼届出書を提出すれば申告できます(問17)。次の点に注意します。

  • 届出をすると、引上対象酒類を所持する全ての場所について申告が必要になります。たとえば、下の例1の店舗(還付4,500円)のほかに、低アルコール分の蒸留酒類(発泡性がなくアルコール分9度未満)100Lを所持する店舗Bがある場合、届出をすると店舗Bも納税2,000円の申告が必要になり、それぞれの所轄税務署に提出します(国税庁の手引の例)。
  • 期限までに提出しなかった場合、後から「更正の請求書」を出して還付を受けることはできません(問20)。
  • 還付を見込んで提出した後、計算し直して納付になると分かっても、原則として取り下げられません。申告期限までに取下書を提出した場合に限り、取り下げられます(問21)。
  • 引上対象酒類が2,000L以上の人でも、引下対象酒類だけを所持している貯蔵場所について還付を受けるには、その場所の所轄税務署長への届出が必要です(問18)。
  • 引上対象酒類を持たず、引下対象酒類だけを持っている人が還付を受ける場合も、その場所ごとに届出が必要です(問4)。

税額の計算方法と計算例

国税庁の手引による計算の手順は次のとおりです(国税庁 手持品課税の手引 11〜13ページ)。

  1. 10月1日午前0時の所持数量を、品目ごとにミリリットル単位で出します(10ml未満の端数は切捨て)。
  2. 所持数量に新税率をかけた額と、旧税率をかけた額を、それぞれ出します(1円未満の端数は切捨て)。1mlあたりの税率は、1klあたりの税率を1,000,000で割った値です(例:155,000円/kl → 0.155円/ml)。
  3. 新税率による額から旧税率による額を引いて、品目ごとの差引酒税額を出し、合計します。
  4. 合計がプラスなら納付です。100円未満の端数を切り捨てた額を納めます。合計がマイナスなら還付で、端数は切り捨てません。

例1:国税庁の手引の例 その他の発泡性酒類(アルコール分10度未満)100L、ビール200L、発泡酒(発泡酒③)50Lを、1か所で販売のために所持している場合

例1:国税庁の手引の例(1か所で所持)
品目所持数量新税率による税額旧税率による税額差引酒税額
その他の発泡性酒類(アルコール分10度未満)100,000ml10,000円8,000円2,000円
ビール200,000ml31,000円36,200円−5,200円
発泡酒(発泡酒③)50,000ml7,750円9,050円−1,300円
合計48,750円53,250円−4,500円

引上対象酒類は100Lで2,000L未満なので、申告義務はありません。11月2日(月)までに申告書兼届出書を提出すれば、4,500円の還付を受けられます。

例2:当会の試算(在庫数量は仮の例) 1か所の酒販店で、いわゆる新ジャンル(350ml缶)100ケース、チューハイ(350ml缶・アルコール分10度未満)150ケース、ビール(350ml缶)50ケースを所持している場合(いずれも24本入り)

例2:当会の試算(1か所の酒販店、在庫数量は仮の例)
品目所持数量新税率による税額旧税率による税額差引酒税額
いわゆる新ジャンル(350ml×24本×100ケース)840,000ml130,200円112,770円17,430円
その他の発泡性酒類(チューハイ、350ml×24本×150ケース)1,260,000ml126,000円100,800円25,200円
ビール(350ml×24本×50ケース)420,000ml65,100円76,020円−10,920円
合計321,300円289,590円31,710円

引上対象酒類は840L+1,260L=2,100Lで2,000L以上なので、申告が必要です。差引酒税額の合計31,710円から100円未満の10円を切り捨てた31,700円を、2027年3月31日(水)までに納付します。

酒販店・飲食店が確認すること

【確定】国税庁の案内に基づく確認事項です。

国税庁は、酒場・料飲店等を経営する人を含む全ての酒類の販売業者等に、10月1日時点の在庫数量の確認を求めています。申告が必要になるかどうかにかかわらず、次の順に確認します。

手持品課税の確認の手順
手順確認すること期限・根拠
1酒類を置いている場所(店舗、倉庫、飲食店のバックヤードなど)を全て挙げる。深夜営業の店は、午前0時の数量をどう把握するか(POS、営業終了後の棚卸と受払いの記帳)を決めるQ&A 問7・問9-3・問13
2引上対象酒類と引下対象酒類の在庫を、容器の表示ごとに数えて記帳する10月1日午前0時の時点(問6・問23)
3ボトルキープ、自己用、他の者の所有物など、数量に含めないものを区分して置き、帳簿で分かるようにする問9・問12
4全ての場所の引上対象酒類の合計が2,000L以上かを判定する問4・問7
52,000L未満でビールなどの在庫が多い場合は、還付を受けるかどうかを決める届出は11月2日(月)まで(問17・問20)
6(申告する場合)申告書兼届出書と税額算出表を、貯蔵場所ごとの所轄税務署に提出する11月2日(月)まで(問15・問16)
7(納付になる場合)納付する(納税通知は届かない)2027年3月31日(水)まで(問36・問37)

店頭やメニューの価格を改定する場合は、消費税を含めた総額で表示します(国税庁 タックスアンサー No.6902)。

酒類の販売業者(酒場・料飲店等を含みます)は、酒税法により、受け入れた酒類と払い出した酒類の品目・税率の適用区分ごとに、数量や価格などを帳簿に記載する必要があります。手持品課税のために特別な記帳をする必要はありませんが、10月1日午前0時の所持数量は確実に記帳するよう、国税庁は求めています(問23)。

飲食店・小売店の消費税の論点は、飲食業の消費税・インボイスの解説と小売業の消費税・インボイスの解説にまとめています。

消費税との関係

【確定】現行の制度(2026年9月25日時点の法令等に基づく)

酒類は軽減税率の対象外で10%

酒税法に規定する酒類は、軽減税率(8%)の対象である「飲食料品」から除かれているため、酒類の販売には標準税率の10%がかかります(消費税法2条1項9号の2、別表第1第1号)。何が8%になるかは、軽減税率(8%)の対象品目と見分け方で説明しています。

酒類と、酒類に似たものの税率(国税庁 軽減税率制度Q&A(個別事例編)による)
品目税率理由
ビール・清酒・ワインなど酒類の販売(持ち帰りを含む)10%酒類は「飲食料品」から除かれる(問12)
料理の原材料にするワインなどの酒類10%原材料用でも酒類に当たる(問13)
本みりん(酒税法上のみりん)10%酒類に当たる(問14)
料理酒などの発酵調味料(塩などを加えて飲めないようにしたもの)、みりん風調味料(アルコール分1度未満)8%酒類に当たらない(問14)
ノンアルコールビール、甘酒(アルコール分1度未満)8%酒類に当たらない(問15)
飲食店の店内での飲食10%外食は軽減税率の対象外(No.6102)

出典:国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」(PDF) 問12〜問15

【予定・法案未成立】飲食料品の消費税率1%と酒類(2026年9月25日時点)

2026年9月15日に閣議決定された「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」では、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を1%(国と地方の合計)に引き下げるとしています。対象の飲食料品は今の軽減税率の対象と同じ範囲で、酒類は含まれないため、この案でも酒類の販売は10%のままです。店内での飲食(外食)も対象外です。法案はまだ成立しておらず、国会に提出され、成立した場合の内容です(大綱(内閣官房、PDF)、国税庁 消費税率引下げのパンフレット(PDF)、国税庁 飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A(PDF))。1%になった場合の計算は、消費税の計算方法の「食料品の消費税が1%になった場合の計算」で説明しています。

酒税は消費税の課税標準に含まれる

酒税やたばこ税などの個別消費税は、メーカーなどが納税義務者となって負担する税で、販売価格の一部を構成します。そのため、消費税の課税標準に含まれ、酒税の分を差し引いて消費税を計算することはありません(国税庁 タックスアンサー No.6313、消費税法基本通達10-1-11)。

一方、軽油引取税・ゴルフ場利用税・入湯税は、利用者などが納税義務者となる税で、その税額に相当する金額を請求書や領収証等で相手方に明らかにし、預り金または立替金等の科目で経理するなど明確に区分している場合は、課税標準に含まれません(国税庁 タックスアンサー No.6313)。酒税はこれらと扱いが違います。税込価格からの消費税額の出し方は、消費税の計算方法(税込・税抜・消費税額の計算式)で説明しています。

よくある質問

ビールの酒税は2026年10月1日からいくらになりますか?

1klあたり181,000円から155,000円に下がります。350mlあたりでは63.35円から54.25円になり、9.1円の引下げです(当会計算)。発泡酒やいわゆる新ジャンルも同じ155,000円になり、ビール系飲料の税率はこの日に一本化されます。〔財務省「酒税に関する資料」、国税庁「酒税率一覧表(令和8年10月1日〜)」〕

発泡酒と新ジャンル(第三のビール)の酒税はいくら上がりますか?

麦芽比率25%未満でアルコール分10度未満の発泡酒と、いわゆる新ジャンル(容器に「発泡酒②」と表示)は、1klあたり134,250円から155,000円に上がります。350mlあたりでは約46.99円から54.25円で、約7.26円の引上げです(当会計算)。麦芽比率25%以上50%未満の発泡酒は、すでに155,000円なので変わりません。〔国税庁 手持品課税のリーフレット、国税庁 手持品課税等Q&A 問1・問5〕

チューハイやハイボールの缶の酒税はどうなりますか?

ビール・発泡酒以外で発泡性があり、アルコール分10度未満の酒類(その他の発泡性酒類)は、1klあたり80,000円から100,000円に上がります。350mlあたりでは28円から35円で、7円の引上げです(当会計算)。〔財務省「酒税に関する資料」〕

日本酒やワインの酒税は変わりますか?

清酒と果実酒は、2023年10月1日に1klあたり100,000円(350mlあたり35円)にそろっており、2026年10月1日の改正では変わりません。ただし、アルコール分10度未満で発泡性があり、容器に「清酒(発泡性)」のように表示されたものは「その他の発泡性酒類」に当たり、1klあたり80,000円から100,000円に上がります。〔財務省「酒税に関する資料」、国税庁 手持品課税等Q&A 問1・問5〕

焼酎やウイスキーの酒税は変わりますか?

焼酎・ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュールのうち、発泡性がなくアルコール分10度以上のものの税率は、2026年10月1日の改正では変わりません。たとえば、アルコール分25度の単式蒸留焼酎は1klあたり250,000円、40度のウイスキーは1klあたり400,000円で、改正の前後で同じです。変わるのは、発泡性がなくアルコール分10度未満のもの(9度未満は1klあたり80,000円から100,000円、9度以上10度未満は90,000円から100,000円)と、発泡性があってアルコール分10度以上11度未満のもの(その他の発泡性酒類に変わります)です。〔国税庁「酒税率一覧表(令和5年10月1日〜令和8年9月30日)」、同(令和8年10月1日〜)、国税庁 手持品課税等Q&A 問1、国税庁 手持品課税のリーフレット〕

手持品課税の申告が必要なのはどんな事業者ですか?

2026年10月1日午前0時に、税率が上がる酒類(引上対象酒類)を販売のために所持している酒類の販売業者等(酒場・料飲店等を含みます)で、その数量が合計2,000L以上の人です。店舗や倉庫が複数あるときは、全ての場所の数量を合計して判定します。ビールなど税率が下がる酒類は、この2,000Lに含めません。〔国税庁 手持品課税のリーフレット、国税庁 手持品課税等Q&A 問4・問7〕

飲食店も手持品課税の対象になりますか?

酒場・料飲店等も酒類の販売業者等に含まれるため、2026年10月1日午前0時に税率が上がる酒類を販売のために合計2,000L以上所持していれば、申告が必要です。2,000L未満なら申告の義務はありませんが、国税庁は、飲食店を含む全ての酒類の販売業者等に、10月1日時点の在庫数量を確認するよう求めています。なお、客がボトルキープしている酒類は、寄託関係が明確なものであれば、開栓していなくても対象になりません。〔国税庁 手持品課税のリーフレット、国税庁 手持品課税等Q&A 問4・問12〕

税率が上がる酒類の在庫が2,000L未満でも、還付の申告はできますか?

申告の義務はありませんが、税率が下がるビールなどの在庫が多く、差額の還付を受けたい場合は、2026年11月2日(月)までに申告書兼届出書を提出すれば申告できます。この場合、引上対象酒類を所持する全ての場所について申告が必要です。期限までに提出しなかった場合、後から更正の請求をして還付を受けることはできません。〔国税庁 手持品課税等Q&A 問4・問17・問20〕

手持品課税の申告期限と納付期限はいつですか?

申告(届出を含みます)の期限は2026年11月2日(月)、納付の期限は2027年3月31日(水)です。申告書は酒類を所持する貯蔵場所ごとに、その所在地を所轄する税務署長に提出し、納付もその税務署に対して行います。e-Taxでも申告できます。申告後に税務署から納税通知などは届かないので、期限までに自分で納付します。〔国税庁 手持品課税のリーフレット、国税庁 手持品課税等Q&A 問36・問37〕

酒類に軽減税率(8%)は適用されますか?

適用されません。酒税法に規定する酒類(アルコール分1度以上の飲料)は、軽減税率の対象である「飲食料品」から除かれているため、店頭で買って持ち帰る場合も10%です。一方、塩などを加えて飲めないようにした料理酒などの発酵調味料や、アルコール分1度未満のみりん風調味料・ノンアルコールビール・甘酒は、酒類に当たらないため8%です。〔国税庁 軽減税率制度Q&A(個別事例編) 問12・問14・問15〕

酒税は消費税の計算に含まれますか?

含まれます。酒税やたばこ税などの個別消費税は、メーカーなどが納税義務者となって負担する税で、販売価格の一部を構成するため、消費税の課税標準に含まれます。利用者などが納税義務者となる軽油引取税・ゴルフ場利用税・入湯税は、その税額に相当する金額を請求書や領収証等で相手方に明らかにし、預り金または立替金等の科目で経理するなど明確に区分している場合は課税標準に含まれず、酒税とは扱いが違います。〔国税庁 タックスアンサー No.6313〕

出典・参考資料

いずれも2026年9月25日に内容を確認しました。

財務省

国税庁(酒税・手持品課税)

国税庁(消費税)

内閣官房

法令(e-Gov法令検索)

改訂履歴

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2026年9月25日:公開(同日時点の法令等と、国税庁・財務省の資料に基づく)

本記事は一般的な情報提供を目的としています。手持品課税の申告の要否や計算など、個別の判断については、酒類の貯蔵場所を所轄する税務署や、税理士などの専門家にご相談ください。

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