消費税の課税・非課税・不課税・免税の違い:取引ごとの区分一覧と判定の順番
消費税の取引は、課税・非課税・不課税・免税の4つに分かれます。国内で事業者が事業として対価を得て行う取引が課税の対象で、そのうち、土地の譲渡・貸付け、住宅の家賃、保険診療、学校の授業料など消費税法別表第二の13項目は非課税、輸出などは免税(消費税が免除されます)、残りが課税(標準税率10%、軽減税率8%)です。給与、寄附金、補助金、株式の配当、国外取引のように、そもそも課税の対象にならない取引が不課税で、これは条文にある区分名ではなく、課税の対象外の取引の呼び名です。課税売上割合の計算では、課税と免税は分子・分母の両方、非課税は分母だけに入り、不課税は入れません。
課税・非課税・不課税・免税の違い
| 区分 | 消費税 | 主な例 | 課税売上割合の計算 |
|---|---|---|---|
| 課税 | かかる(標準10%、軽減8%) | 商品の販売、事務所・店舗の家賃、自由診療、学習塾の月謝 | 分子と分母の両方 |
| 免税 | 免除される(課税事業者が行う輸出等で、証明があるとき) | 商品の輸出、国際輸送 | 分子と分母の両方 |
| 非課税 | かからない(別表第二に列挙された取引) | 土地の譲渡・貸付け、住宅の家賃、保険診療、学校の授業料、預金の利子 | 分母だけ |
| 不課税 | かからない(課税の対象にならない取引) | 給与、寄附金、補助金、株式の配当、国外取引 | 分子にも分母にも入れない |
「不課税」は消費税法の条文にない呼び名です。取引を分ける手順は判定の順番、非課税の一覧は非課税取引の一覧、迷いやすい取引は間違えやすい取引の区分表、計算例は課税売上割合の計算での扱いの違いにあります。
【確定】先に押さえる3点(2026年10月6日時点)
目次
4つの区分の意味
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等(商品の販売、資産の貸付け、役務の提供)にかかります(消費税法2条1項8号・4条1項、国税庁 タックスアンサー No.6105)。この課税の対象になる取引のうち、別表第二に掲げるものが非課税、輸出などで要件を満たすものが免税、残りが課税です。課税の対象にならない取引を、不課税と呼びます。税率は、標準税率が10%(うち地方消費税2.2%)、軽減税率が8%(うち地方消費税1.76%)です(No.6101)。軽減税率の対象は軽減税率の対象品目と見分け方で説明しています。
免税と非課税の違いは、仕入れの消費税の扱い
免税は、課税の対象になる売上げについて、一定の要件のもとで消費税を免除する取引なので、その取引のための課税仕入れの消費税は、原則として控除できます。非課税は消費税を課さない取引で、そのための課税仕入れの消費税は、原則として控除できません(国税庁 No.6205)。控除の方式は仕入税額控除で説明しています。
「不課税」は条文にない呼び名
消費税法の条文に「不課税」という語はありません(当会がe-Gov法令検索の条文で確認しました)。法律が定めているのは、課税の対象(4条)、非課税(6条)、輸出免税等(7条)です。国税庁は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引に当たらない取引を、一般に不課税取引と呼んでいると説明しています(国税庁 No.6209)。不課税には一覧表がないため、課税の対象になる条件(国内、事業者、事業として、対価、資産の譲渡等)のどれかに当たらない取引が不課税になります。
「免税」という言葉の3つの意味
- 免税事業者:基準期間の課税売上高が1,000万円以下などで、納税義務が免除されている事業者です(消費税法9条1項)。課税取引をしても申告・納付は要りません。消費税の基本で説明しています。
- 免税取引(輸出免税等):課税事業者が行う輸出などの売上げについて、消費税が免除される取引です(同7条)。免税(輸出免税等)の要点で説明します。
- 免税店(輸出物品販売場):許可を受けた店が、外国人旅行者などに、輸出するために一定の物品を販売する場合の免税です(同8条)。免税店(輸出物品販売場)制度で説明しています。
判定の順番:4つの質問
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
取引がどの区分になるかは、次の順番で確認します。
| 順番 | 確認すること | 結論 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 国内で行う取引か | 国外取引なら不課税。国内取引なら2へ | 消費税法4条3項 |
| 2 | 事業者が、事業として、対価を得て行う資産の譲渡・貸付け・役務の提供か | 当てはまらなければ不課税。当てはまれば3へ | 消費税法2条1項8号・4条1項 |
| 3 | 別表第二に掲げる取引か | 当てはまれば非課税。当てはまらなければ4へ | 消費税法6条1項 |
| 4 | 輸出免税等に当たり、課税事業者が行い、証明があるか | 当てはまれば免税。当てはまらなければ課税 | 消費税法7条、基本通達7-1-1 |
根拠は消費税法(e-Gov法令検索)、課税の対象は国税庁 No.6105、免税の要件は基本通達7-1-1です。
- 1 国内取引か:資産の譲渡・貸付けは、それが行われる時にその資産があった場所で判定します。役務の提供は、役務が行われた場所で判定します。インターネットなどを介して行う電気通信利用役務の提供(電子書籍・音楽・広告の配信など)は、サービスを受ける人の住所・居所(法人は本店・主たる事務所の所在地)で判定します(消費税法4条3項、国税庁 No.6210)。
- 2 事業として対価を得て行う取引か:「事業として」は反復・継続・独立して行うこと、「対価を得て」は反対給付を受けることです。交換、代物弁済、現物出資、負担付き贈与は、金銭を受け取らなくても反対給付があるので、対価を得て行う取引です。単なる贈与、寄附金、補助金は、原則として対価を得て行う取引に当たりません(No.6113、消費税法施行令2条1項)。
- みなし譲渡:個人事業者が自分の商品を家庭で消費・使用した場合と、法人が資産を役員に贈与した場合は、事業として対価を得て行われたものとみなされ、課税の対象になります(消費税法4条5項)。
- 3・4 非課税と免税:非課税は別表第二に掲げるものに限られ、別表第二にない取引は、国内で事業として対価を得て行うものであれば課税です(当会の整理)。免税は課税資産の譲渡等のうち輸出などに当たるものなので、非課税の取引は、輸出であっても非課税のままです。
| 取引 | 判定の経過 | 区分 |
|---|---|---|
| 事務所を貸して家賃を受け取る | 国内の取引で、事業として対価を得ている。住宅の貸付けではないので別表第二に当たらず、輸出でもない | 課税 |
| 居住用のマンションを貸して家賃を受け取る | 国内の取引で、事業として対価を得ている。契約で居住用と明らかな住宅の貸付けで、別表第二第13号に当たる | 非課税 |
| 会社員が自家用車を売る | 給与所得者がたまたま自家用車を売る行為は、事業として行う取引に当たらない | 不課税 |
| 国内にある商品を海外の取引先に輸出する | 商品が国内にある時点の譲渡なので国内取引。別表第二に当たらず、輸出として課税事業者が輸出許可書などで証明していれば、法7条1項1号の免税 | 免税 |
取引の区分と、その事業者に納税義務があるかどうかは、別の問題です。基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者(インボイス発行事業者を除く)は、課税取引をしても納税義務が免除されます(消費税法9条1項)。基準期間の課税売上高には、輸出免税の売上げは含め、非課税と不課税の売上げは含めません(同9条2項、基本通達1-4-2)。輸出免税を受けられるのは、課税事業者だけです(同7条1項)。
非課税取引の一覧(別表第二の13項目)
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
非課税は、消費税法別表第二に掲げる13項目に限られます(消費税法6条1項)。国税庁のNo.6201 非課税となる取引は、これを17に分けて説明しています。項目ごとの主な例と、非課税にならない主な例外は次のとおりです。
| 号 | 非課税になる取引 | 主な例 | 非課税にならない主な例外 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 第1号 | 土地(土地の上に存する権利を含む)の譲渡・貸付け | 土地の売買、地代、借地権の設定・譲渡、借地権の更新料・名義書換料 | 貸付期間が1か月未満の貸付け、駐車場その他の施設の利用に伴って土地を使わせる場合。土地の売買の仲介手数料は課税 | 令8条、基通6-1 |
| 第2号 | 有価証券等・支払手段の譲渡 | 国債・株式・社債の譲渡、貸付金・売掛金などの金銭債権の譲渡、銀行券・小切手・暗号資産の譲渡 | 株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権の譲渡、収集品・販売用の支払手段の譲渡 | 令9条、基通6-2 |
| 第3号 | 利子・保証料・保険料など | 預貯金・貸付金・国債などの利子、信用保証料、保険料、共済掛金、公社債投資信託の信託報酬 | 保険代理店の代理店手数料、損害調査・鑑定の手数料は課税 | 令10条、基通6-3 |
| 第4号 | 郵便切手類・印紙・証紙・物品切手等の譲渡 | 郵便局などでの切手・はがき・印紙の販売、地方公共団体などの証紙、商品券・ギフト券・プリペイドカードの販売 | 金券ショップなどが売る切手・印紙・証紙は課税。商品券を使って商品を買うときは課税 | 令11条、基通6-4 |
| 第5号 | 国等の行政手数料、外国為替業務 | 登記・登録・許可・免許・検査・証明・公文書の交付などで法令に基づく手数料、外国為替取引 | 法令に根拠のない手数料、令12条で除かれる一部の検査・試験・講習の手数料、外国為替業務の周辺業務 | 令12条・13条、基通6-5 |
| 第6号 | 社会保険医療など | 健康保険・国民健康保険などによる診療、労災保険・自賠責保険・公費負担医療による療養 | 美容整形などの自由診療、差額ベッド料(財務大臣が定める金額を超える部分)、市販薬の販売 | 令14条、基通6-6 |
| 第7号 | 介護保険サービス、社会福祉事業等 | 介護保険法による居宅サービス・施設サービス、保育所、障害福祉サービス | 利用者が選んだ特別な居室・食事・送迎・交通費などの対価、授産施設などで生産活動として行う作業に基づく販売 | 令14条の2・14条の3、基通6-7 |
| 第8号 | 助産 | 妊娠の検査、分娩の介助、出産後2か月以内の母体の回復検診、新生児の検診・入院(保険が使えなくても非課税。妊娠中・出産後の入院のうち基通6-8-2に当たるものは、差額ベッド料も全額非課税) | ― | 基通6-8 |
| 第9号 | 埋葬料・火葬料 | 墓地、埋葬等に関する法律に定める埋葬・火葬の料金(改葬を含む) | 葬儀の費用、墓石の販売など、埋葬料・火葬料以外は別表第二にないので課税(当会の整理) | 基通6-9 |
| 第10号 | 身体障害者用物品の譲渡・貸付け等 | 義肢、車椅子、点字器、視覚障害者用安全つえ、身体障害者用に特殊な構造の自動車など、告示で指定されたものとその修理 | 指定された物品以外(購入者が身体障害者でも課税)、部分品 | 令14条の4、基通6-10 |
| 第11号 | 学校教育に関する役務の提供 | 学校教育法1条の学校、専修学校、要件を満たす各種学校の授業料・入学金・施設設備費・入学検定料・在学証明等の手数料 | 学習塾・予備校・自動車教習所など学校等に当たらないもの、学校給食、公開模擬学力試験の検定料 | 令14条の5・15条・16条、基通6-11 |
| 第12号 | 教科用図書の譲渡 | 文部科学大臣の検定を経た教科書、文部科学省が著作の名義を有する教科書 | 参考書・問題集などの補助教材(学校が指定したものも含む)、教科書の配送手数料 | 基通6-12 |
| 第13号 | 住宅の貸付け | 契約で居住用と明らかな住宅(一戸建て、マンション、アパート、社宅、寮など)の家賃。共益費、返還しない礼金・敷金も家賃に含む | 貸付期間1か月未満、旅館業に当たる施設(ホテル・旅館・民泊・ウィークリーマンションなど)、事務所・店舗として貸す場合 | 令16条の2、基通6-13 |
出典:消費税法別表第二(e-Gov法令検索)、消費税法施行令、国税庁 No.6201、消費税法基本通達の第6章(目次から各節へ)。「基通6-1」は6-1-1〜6-1-7の節を指します。業種別の詳しい説明は、医療、教育業、不動産業の各ガイドにあります。
外国から輸入する場合も、保税地域から引き取る外国貨物には消費税がかかります(消費税法4条2項)。ただし、有価証券等、郵便切手類、印紙、証紙、物品切手等、身体障害者用物品、教科用図書の引取りには課されません(同6条2項、別表第二の二)。
不課税の典型例
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
不課税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う取引に当たらないため、課税の対象にならない取引です。非課税のように列挙されていないので、取引ごとに、国内か、事業か、対価があるか、資産の譲渡等か、を確認します。国税庁が具体例として挙げているものを中心に、例外とあわせて整理します(国税庁 No.6157)。
| 取引 | 不課税になる理由 | 課税になる例外・注意 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 給与・賃金 | 雇用契約に基づく労働の対価で、事業として行う取引ではない | 給与等を対価とする役務の提供は、支払う側の課税仕入れにもならない(消費税法2条1項12号) | No.6157 |
| 寄附金、祝金、見舞金 | 対価を得て行う取引ではない | 商品の代金とは別名目でも、実質が対価と認められるものは課税 | No.6157、基通5-2-14 |
| 国・地方公共団体からの補助金、助成金 | 特定の政策目的の給付で、対価ではない | ― | No.6157、基通5-2-15 |
| 無償の試供品・見本品の提供 | 対価を得て行う取引ではない | 個人事業者の家事消費、法人から役員への贈与は、みなし譲渡で課税 | No.6157、法4条5項 |
| 保険金・共済金、株式の配当金、出資の分配金 | 保険事故の発生や株主・出資者の地位に基づいて受けるもので、資産の譲渡等の対価ではない | 支払う保険料は非課税(第3号)、株式を売却した代金は非課税(第2号) | No.6157、基通5-2-4・5-2-8 |
| 損害賠償金(心身・資産への損害に伴うもの) | 通常は資産の譲渡等の対価に当たらない | 実質が対価のものは課税。例:損害を受けた棚卸資産が加害者に引き渡され、そのまま(または軽微な修理で)使える場合、無体財産権の侵害で使用料に相当する場合、事務所の明渡しの遅れで賃料に相当する場合 | No.6157、基通5-2-5 |
| 国外取引 | 国内で行う取引ではない | 電気通信利用役務の提供は、受け手の住所等が国内なら国内取引 | No.6210、法4条3項 |
| 返還する敷金・保証金、中途解約の違約金、立退料 | 預り金や、逸失利益などの損害賠償・補償で、対価ではない | 返還しない礼金・更新料(事務所・店舗)や、敷金から差し引く原状回復工事の費用は課税 | No.6225、No.6261、基通5-2-7 |
出典:国税庁 No.6157、No.6210、No.6225、No.6261、消費税法基本通達の5-2、消費税法2条1項12号・4条3項・4条5項(e-Gov法令検索)。
みなし譲渡と、金銭を受け取らない取引(交換、代物弁済、現物出資、負担付き贈与)は、判定の順番の質問2で説明したとおり課税の対象です。国外事業者から受ける事業者向けの電気通信利用役務の提供などは、受ける側の事業者が特定課税仕入れとして扱う(リバースチャージ方式)場合があります(リバースチャージ方式)。
免税(輸出免税等)の要点
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
免税は、課税事業者が国内で行う課税資産の譲渡等のうち、輸出などに当たるものについて消費税を免除する制度です(消費税法7条、国税庁 No.6551 輸出取引の免税)。外国で消費されるものには課税しないという考え方に基づきます。証明書類や還付の計算は輸出免税の要件と消費税還付・輸入消費税で説明しています。免税になるのは、次の5つの要件をすべて満たす取引です(基本通達7-1-1)。
- 課税事業者が行う取引であること
- 国内で行う取引であること
- 課税資産の譲渡等であること(法31条の特例を受ける非課税資産の輸出等を除く)
- 法7条1項各号に掲げる取引であること
- その取引であることについて、証明があること
証明は、輸出許可書などの書類や、輸出の事実を記載した帳簿・書類を、納税地などに7年間保存して行います(No.6551)。
| 取引 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 輸出、外国貨物の譲渡・貸付け | 国内からの輸出として行う資産の譲渡・貸付け、外国貨物の譲渡・貸付け | 法7条1項1号・2号 |
| 国際輸送・国際通信 | 国内と国外の間の旅客・貨物の輸送、通信、郵便・信書便 | 法7条1項3号、令17条2項5号 |
| 外航船舶等・コンテナー | 国際輸送に使う船舶・航空機・コンテナーの譲渡・貸付け・修理で、船舶運航事業者等に対するもの。水先・入出港の補助など | 法7条1項4号・5号、令17条 |
| 外国貨物の荷役・運送・保管など | 外国貨物の荷役、運送、保管、検数、鑑定などの役務の提供 | 令17条2項4号 |
| 非居住者への無体財産権の譲渡・貸付け | 鉱業権、工業所有権(特許権など)、著作権、営業権などの無体財産権を、非居住者に譲渡・貸付けする取引 | 令17条2項6号 |
| 非居住者への役務の提供 | 国内で直接便益を享受するものなどを除く役務の提供 | 令17条2項7号 |
出典:国税庁 No.6551、基本通達7-2-1、消費税法施行令17条。国際輸送の一環として行う国内の輸送区間も、契約でその一環であることが明らかにされていれば免税です(旅客輸送は、乗継地の到着から出発までが定期路線時刻表上で24時間以内などの要件があります。基本通達7-2-4・7-2-5)。
免税にならない主な取引
- 輸出する物品の製造のための加工委託や、輸出を行う事業者に対して国内で行う資産の譲渡等(基本通達7-2-2)。輸出する貨物でも、港までの国内の運送だけを請け負う場合は、原則として課税です。
- 非居住者に対する役務の提供のうち、国内にある資産の運送・保管、国内にある不動産の売買・交換・貸借の代理・媒介、国内での飲食・宿泊、これらに準じて国内で直接便益を享受するもの(令17条2項7号)。具体例は、国内の不動産の管理・修理、建物の建築請負、電車・バス・タクシーなどの旅客運送、理容・美容、医療・療養、観劇、国内間の電話・郵便、日本語学校などでの語学教育です(国税庁 No.6567、基本通達7-2-16)。
- 国内に支店・出張所などがある非居住者への役務の提供は、原則として、その支店などを通じて行ったものとして扱われ、免税になりません(基本通達7-2-17)。
2026年10月1日からの変更
【確定】2026年10月1日以後の取引から、次の2点が変わりました。
- 非居住者に対する国内の不動産の仲介:国内にある不動産の売買・交換・貸借の代理・媒介は、役務の提供を受ける者の居住地にかかわらず、免税の対象外(課税)になりました。2026年3月31日までに締結された契約に基づくものは、改正前の取扱いで免税です(No.6551、No.6567)。非居住者向けの不動産の仲介で説明しています。
- 代金を現金などで受け取る輸出:輸出として行う資産の譲渡・貸付けの代金を、現金や、支払いが取引相手からのものと明らかでない方法で受け取る場合は、輸出許可書などに加えて、輸出先の税関が発行する輸入許可書など、輸入の事実を証する書類の保存が必要になりました。銀行振込や荷為替手形による決済は、これに当たりません(No.6551)。代金を現金等で受け取る輸出の書類で説明しています。
免税店(輸出物品販売場)は別の制度
外国人旅行者などの免税購入対象者が、土産品などを国外へ持ち帰るために、許可を受けた輸出物品販売場で購入する場合は、消費税が免除されます(消費税法8条)。国税庁は、2026年11月1日から、この制度を「リファンド方式」に移行するとしています(輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し)。許可の手続や販売の方法は、免税店(輸出物品販売場)制度で説明しています。
課税売上割合の計算での扱いの違い
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
課税売上割合は、分母を総売上高(課税売上高、輸出などの免税売上高、非課税売上高の合計)、分子を課税売上高(免税売上高を含む)として計算します。区分ごとの扱いは次のとおりです(国税庁 No.6405、No.6209)。
| 区分 | 分子 | 分母 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 課税 | 入れる | 入れる | 税抜きの対価の額(消費税法28条1項)で計算し、返品・値引き・割戻しは控除する |
| 免税 | 入れる | 入れる | 輸出による免税売上高は課税売上高に含まれる |
| 非課税 | 入れない | 入れる | 有価証券等の譲渡対価は、その5%に相当する額だけを分母に入れる。支払手段(暗号資産を含む)の譲渡は含めない |
| 不課税 | 入れない | 入れない | 国外取引、補助金、保険金など |
非課税資産を輸出し、輸出取引等として証明されたもの(消費税法31条)は、課税売上割合の計算上、その輸出額が分子と分母の両方に入ります(国税庁 No.6405)。
| 売上げ | 区分 | 金額 | 分子 | 分母 |
|---|---|---|---|---|
| 国内の商品販売 | 課税 | 7,000 | 7,000 | 7,000 |
| 海外への輸出 | 免税 | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
| 住宅の家賃 | 非課税 | 1,200 | 0 | 1,200 |
| 預金の利子 | 非課税 | 300 | 0 | 300 |
| 補助金 | 不課税 | 500 | 0 | 0 |
| 合計 | ― | 10,000 | 8,000 | 9,500 |
課税売上割合は、8,000 ÷ 9,500 = 約84.2%です(当会計算)。補助金(不課税)を誤って分母に入れると80.0%、輸出の免税売上を分子に入れ忘れると約73.7%になります(当会計算)。この例の課税売上高(免税売上を含む)は8,000万円で5億円以下ですが、課税売上割合が95%未満なので、仕入れの消費税の全額は控除できません。個別対応方式か一括比例配分方式で計算します(国税庁 No.6401)。詳しくは課税売上割合と95%ルールと仕入税額控除で説明しています。
間違えやすい取引の区分表
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
検索でよく調べられる取引を、不動産、医療・教育、金融・運送・その他に分けて整理します。条件によって区分が変わる取引は、区分の欄に条件を書いています。
不動産・駐車場
| 取引 | 区分 | 理由・根拠 |
|---|---|---|
| 契約で居住用と明らかな住宅の家賃(共益費、返還しない礼金・更新料を含む) | 非課税 | 別表第二第13号、基通6-13-9。用途を契約で決めていなくても、借主が個人で居住用に使われていないことを貸主が把握していない場合などは非課税(基通6-13-11) |
| 事務所・店舗の家賃(共益費、返還しない礼金・更新料・保証金を含む) | 課税 | 住宅の貸付けではないため。土地代と建物代に分けて請求しても、総額が建物の貸付けの対価(基通6-1-5注2) |
| 貸付期間が1か月未満の住宅・土地、ホテル・旅館・民泊・ウィークリーマンション | 課税 | 旅館業に当たる施設は、1か月以上でも非課税にならない。令8条、令16条の2、基通6-13-4 |
| 地面の整備、フェンス、区画、建物の設置をした駐車場や、車両を管理している駐車場の使用料 | 課税 | 施設の利用に伴って土地を使う場合。基通6-1-5 |
| 整備も車両の管理もしない土地を、駐車場として貸す(1か月以上) | 非課税 | 土地の貸付け。基通6-1-5注1 |
| 集合住宅の駐車場(車の保有の有無にかかわらず1戸1台分以上が割り当てられ、家賃に含まれる) | 非課税 | 住宅の貸付けに含まれる。これ以外の場合や、家賃とは別に請求する場合は、駐車場料を区分して課税。基通6-13-3、質疑応答事例 |
| 土地と建物を一括して売る | 土地は非課税、建物は課税 | 代金は時価の比率などで合理的に区分する |
出典:国税庁 No.6213、No.6225、No.6226、No.6301のQ&A、質疑応答事例(集合住宅の家賃、共益費、管理料等)、質疑応答事例(テナントから領収するビルの共益費)。詳しくは不動産業の消費税(駐車場)で説明しています。
医療・教育
| 取引 | 区分 | 理由・根拠 |
|---|---|---|
| 健康保険を使った診療(窓口の一部負担金を含む) | 非課税 | 別表第二第6号イ、基通6-6-3 |
| 保険証がなく、資格証明書で受診して全額を自己負担した診療 | 非課税 | 国民健康保険法に基づく診療なので、自己負担でも非課税(質疑応答事例) |
| 労災保険・自賠責保険の対象になる療養 | 非課税 | 別表第二第6号ホ・ヘ、基通6-6-1 |
| 美容整形などの自由診療(自費診療)、差額ベッド料(財務大臣が定める金額を超える部分) | 課税 | No.6201、基通6-6-3注。妊娠中・出産後の入院(基通6-8-2に当たるもの)の差額ベッド料は全額非課税(基通6-8-3) |
| 人間ドック・健康診断 | 課税 | 基通6-6-1が挙げる非課税の範囲に含まれない(当会の整理)。厚生労働省は、特定健康診査の対価にも消費税が課されるとしている |
| 妊娠の検査、分娩の介助、新生児の検診 | 非課税 | 保険が使えなくても非課税。基通6-8-1 |
| 学校(幼稚園から大学まで)・専修学校の授業料、入学金、施設設備費、入学検定料 | 非課税 | 別表第二第11号、基通6-11-1・6-11-2 |
| 学習塾・予備校・英会話教室・自動車教習所の授業料、入学金 | 課税 | 学校等に当たらないため。各種学校の要件(修業年限1年以上、年間680時間以上など)を満たすものは非課税(質疑応答事例) |
| 公開模擬学力試験の検定料、学校給食、参考書・問題集 | 課税 | 基通6-11-6・6-11-4・6-12-3。検定済教科書は非課税(基通6-12-1) |
出典:国税庁 No.6201、質疑応答事例「自己の負担で行う保険診療」、「学習塾等の授業料」、「予備校等の授業料」、厚生労働省「消費税率変更に伴う特定健康診査・特定保健指導に係る費用の取扱いに関するQ&A」(令和元年8月7日版、PDF)。詳しくは医療の消費税(課税になるもの)と教育業の消費税(学習塾・教室)で説明しています。
金融・運送・輸出入
| 取引 | 区分 | 理由・根拠 |
|---|---|---|
| 保険料(自賠責保険・任意保険など)の支払い | 非課税 | 支払う側の課税仕入れにならない。基通6-3-1 |
| 商品券・ギフト券・プリペイドカードの販売/金券ショップが売る切手・印紙 | 非課税/課税 | No.6229、基通6-4-1 |
| 国内の運送の運賃(旅客・貨物) | 課税 | 別表第二にないため(当会の整理)。国内の旅客運送が免税にならないことは、No.6567 |
| 日本と外国の間の貨物・旅客の輸送(国際輸送)、国際輸送の一環として行う国内の運送区間 | 免税 | 法7条1項3号、基通7-2-1・7-2-4・7-2-5。国内区間は、契約で国際輸送の一環と明らかな場合 |
| 輸出する貨物の、港までの国内の運送だけを請け負う | 原則課税 | 基通7-2-2 |
出典:国税庁 No.6229、No.6567、No.6210、消費税法基本通達の6-3・6-4・7-2、消費税法施行令。運送業の詳しい扱いは運輸・物流業の消費税(国際輸送の輸出免税)で説明しています。
よくある質問
非課税と不課税の違いは何ですか?
どちらも消費税がかかりませんが、理由が違います。不課税は、国内で事業者が事業として対価を得て行う取引に当たらないため、課税の対象にならない取引です(給与、寄附金、補助金、国外取引など)。非課税は、課税の対象になる取引のうち、課税になじまないものや社会政策的な配慮から、別表第二で課税しないとされた取引です(土地の譲渡・貸付け、住宅の家賃、保険診療など)。課税売上割合の計算では、非課税は分母だけに入り、不課税は分子にも分母にも入れません。〔国税庁 No.6209、No.6201〕
不課税とは何ですか?どんな取引が当たりますか?
不課税は、課税の対象にならない取引を指す呼び名で、消費税法の条文にある区分名ではありません。国税庁は、国外取引、対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与、出資に対する配当などを例に挙げ、具体例として、給与・賃金、祝金・見舞金、補助金・助成金、無償の試供品、保険金・共済金、資産の廃棄・盗難・滅失も示しています。損害賠償金も通常は不課税ですが、実質が対価に当たるものは課税です。〔国税庁 No.6209、No.6157〕
免税取引とは何ですか?非課税との違いは何ですか?
免税取引は、課税事業者が行う輸出や国際輸送などの売上げについて、消費税が免除される取引です。課税の対象になる取引なので、そのための仕入れの消費税は原則として控除できます。非課税は課税しない取引で、そのための仕入れの消費税は原則として控除できません。課税売上割合では、免税は分子と分母の両方、非課税は分母だけに入ります。納税義務が免除される免税事業者とは別の制度です。〔国税庁 No.6205、No.6551〕
非課税取引にはどんなものがありますか?一覧を教えてください。
消費税法別表第二の13項目です。土地の譲渡・貸付け、有価証券等・支払手段の譲渡、利子・保証料・保険料、郵便切手類・印紙・証紙・物品切手等の譲渡、国等の行政手数料・外国為替業務、社会保険医療等、介護保険サービス・社会福祉事業等、助産、埋葬料・火葬料、身体障害者用物品、学校教育、教科用図書、住宅の貸付けです。それぞれに例外があるので、非課税取引の一覧の表で確認してください。〔消費税法6条・別表第二、国税庁 No.6201〕
事務所の家賃や駐車場代は課税ですか、非課税ですか?
事務所・店舗の家賃は課税で、契約で居住用と明らかな住宅の家賃は非課税です。駐車場は、地面の整備やフェンス・区画・建物の設置をして使わせる場合や、車両を管理している場合は課税で、整備も管理もしない土地の貸付け(1か月以上)は非課税です。集合住宅の駐車場は、車の保有の有無にかかわらず1戸1台分以上が割り当てられ、家賃に含まれていて別料金がなければ、住宅の貸付けに含まれて非課税です。〔国税庁 No.6213、No.6226〕
自由診療・自費診療や人間ドックは課税ですか?
美容整形などの自由診療、差額ベッド料(財務大臣が定める金額を超える部分)、市販薬の販売は課税です。人間ドック・健康診断も、基本通達6-6-1が挙げる非課税の医療の範囲に含まれず、厚生労働省は特定健康診査の対価に消費税が課されるとしています。一方、国民健康保険料の滞納などで保険証がなく、資格証明書で受診して全額を自己負担した場合も、国民健康保険法に基づく診療なので非課税です。分娩の介助などの助産は、保険が使えなくても非課税です。〔国税庁 No.6201、基本通達6-6〕
学校の授業料や塾の月謝、入学金に消費税はかかりますか?
学校教育法1条の学校、専修学校、要件を満たす各種学校の授業料・入学金・施設設備費・入学検定料は非課税です。学習塾・予備校・英会話教室・自動車教習所などは、各種学校の要件を満たさない限り、授業料も入学金も課税(10%)です。公開模擬学力試験の検定料、学校給食、参考書などの補助教材の販売も、学校が行うものを含めて課税です。〔基本通達6-11、質疑応答事例(学習塾等の授業料)〕
運送費や国際輸送、自賠責に消費税はかかりますか?
国内の運送の運賃は課税です。日本と外国の間の貨物・旅客の輸送(国際輸送)は免税で、契約で国際輸送の一環と明らかにされた国内の区間も免税です(旅客輸送は乗継ぎ24時間以内などの要件があります)。輸出貨物の港までの国内の運送だけを請け負う場合は、原則として課税です。自賠責保険料の支払いは非課税で、自賠責保険の支払の対象になる被害者の療養は、非課税の医療に含まれます。〔基本通達7-2、6-3-1〕
非課税の売上があると、仕入れの消費税の控除はどうなりますか?
一般課税では、課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95%以上なら、仕入れの消費税の全額を控除できます。課税売上高が5億円超か、課税売上割合が95%未満なら、課税売上げに対応する部分だけを控除し、個別対応方式か一括比例配分方式で計算します。非課税売上は分母に入るので割合を下げ、不課税の収入は割合に影響しません。〔国税庁 No.6401、No.6405〕
出典・参考資料
いずれも2026年10月6日に内容を確認しました。
国税庁
- タックスアンサー:No.6101 消費税の基本的なしくみ、No.6105 課税の対象、No.6113 「対価を得て行われる」の意義、No.6157 不課税の具体例、No.6201 非課税となる取引、No.6205 非課税と免税の違い、No.6209 非課税と不課税の違い、No.6210 国外取引、No.6213 駐車場の使用料など、No.6225 地代・家賃・権利金など、No.6226 住宅の貸付け、No.6229 商品券やプリペイドカードなど、No.6261 違約金・原状回復工事費用など、No.6301のQ&A 建物と土地の一括譲渡、No.6401 仕入控除税額の計算方法、No.6405 課税売上割合の計算方法、No.6551 輸出取引の免税、No.6567 非居住者に対する役務の提供
- 消費税法基本通達:目次、1-4、5-2、6-6、6-11、6-13、7-1、7-2(このほか6-1〜6-13の各節も、目次から開いて確認しました)
- 質疑応答事例:自己の負担で行う保険診療、学習塾等の授業料、予備校等の授業料、集合住宅の家賃、共益費、管理料等、テナントから領収するビルの共益費
- 輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し
法令(e-Gov法令検索)
厚生労働省
法令は、2026年10月1日施行の改正を反映した版で確認しました。消費税法基本通達は、国税庁のウェブサイトに掲載されている現行のものを確認しました。
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年10月6日:公開(同日時点の法令等と、国税庁・厚生労働省の資料、e-Gov法令検索の条文に基づく)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。取引の課税・非課税などの区分は、契約の内容や取引の実態によって変わることがあります。個別の判断については、所轄の税務署や、税理士などの専門家にご相談ください。