課税売上割合の計算方法と95%ルール:分子・分母に入れるもの、端数、計算例

課税売上割合は、課税期間中の課税売上高(輸出などの免税売上高を含みます)を、それに非課税売上高を加えた総売上高で割った割合です。金額はどれも税抜きで、返品・値引き・割戻しは差し引き、給与や補助金などの不課税の収入と国外取引は入れません。課税期間中の課税売上高が5億円以下で、課税売上割合が95%以上なら、課税仕入れ等の税額を全額控除できます(95%ルール)。どちらかを満たさないときは、個別対応方式か一括比例配分方式で、課税売上げに対応する部分だけを控除します。

課税売上割合と95%ルールの要点

項目内容
計算式(国内の課税売上高+免税売上高)÷(国内の課税売上高+免税売上高+非課税売上高)。税抜きで計算し、返品・値引き・割戻しは差し引きます
分母にだけ入る収入非課税売上高(土地の譲渡・貸付け、住宅の家賃、預貯金や貸付金の利子など)。株式などの有価証券の譲渡は、売却代金の5%だけが分母に入ります
どちらにも入らない収入不課税の収入(給与、補助金、保険金、配当金など)と国外取引
全額控除できる条件課税売上高が5億円以下で、かつ、課税売上割合が95%以上。課税期間が1年に満たないときは、課税売上高を年換算して5億円を判定します
条件を満たさないとき個別対応方式か一括比例配分方式で、課税売上げに対応する部分だけを控除します
割合の端数原則として処理しません。切り捨てて計算することは認められ、四捨五入は認められません

根拠は、消費税法30条2項・6項、消費税法施行令48条、消費税法基本通達11-5-6、国税庁のタックスアンサー No.6405とNo.6401です。取引ごとの扱いは分子・分母に入れるもの、入れないもの、数値例は計算例にあります。

【確定】先に確認する3点

  • 95%ルールの条件は2つです。課税売上高5億円以下と課税売上割合95%以上の両方が必要です。割合が99%でも、課税売上高が5億円を超えると全額控除できません(全額控除できる条件)。
  • 95%以上かどうかは、本来の課税売上割合で判定します。「課税売上割合に準ずる割合」の承認を受けていても同じです(課税売上割合に準ずる割合)。
  • リバースチャージの申告が必要になるのは、一般課税で課税売上割合が95%未満の課税期間だけです(当分の間)。簡易課税・2割特例・3割特例の課税期間は、申告が不要です(リバースチャージとの関係)。
目次
  1. 課税売上割合の計算式
  2. 分子・分母に入れるもの、入れないもの
  3. 端数の処理:原則は処理しない、切捨ては認められる
  4. 95%ルール:仕入れの税額を全額控除できる条件
  5. 計算例(4例)
  6. 課税売上割合の計算が要らない事業者
  7. リバースチャージとの関係
  8. 課税売上割合に準ずる割合(概要)
  9. 課税売上割合が著しく変動した場合の調整(概要)
  10. よくある質問
  11. 出典・参考資料
  12. 改訂履歴

課税売上割合の計算式

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。

基本の計算式

課税売上割合は、その課税期間に国内で行った資産の譲渡等の対価の額の合計のうち、課税資産の譲渡等の対価の額の合計が占める割合です。消費税法30条6項と消費税法施行令48条が定めています。国税庁は次の式で示しています(国税庁 タックスアンサー No.6405)。

課税売上割合 = 課税期間中の課税売上高(税抜き)÷ 課税期間中の総売上高(税抜き)

分子と分母に入る金額
区分入る金額
分子(課税売上高)国内で行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計。輸出などの免税売上高を含みます
分母(総売上高)国内で行った資産の譲渡等の対価の額の合計。課税売上高、免税売上高、非課税売上高の合計です

「課税資産の譲渡等」は、資産の譲渡等のうち非課税とされるもの以外です(消費税法2条1項9号)。輸出免税の取引は、免税であって非課税ではないため課税資産の譲渡等に当たり、分子にも入ります(国税庁 No.6205)。国外事業者が行う事業者向け電気通信利用役務の提供など「特定資産の譲渡等」は、分子にも分母にも入れません。課税・非課税・不課税・免税の違いは、課税・非課税・不課税・免税の違いで説明しています。

計算の単位:事業者全体で、課税期間ごとに

  • 事業者全体で計算します。事業所ごと、事業部ごとに別々の割合を計算することはできません(消費税法基本通達11-5-1)。
  • 課税期間ごとに計算します。課税期間は、個人事業者は1月1日から12月31日まで、法人は事業年度です。「課税期間の特例」の届出をしていれば、3か月ごと、または1か月ごとになります(消費税法19条)。
  • 10%と8%の売上げが混在していても、税抜きにして合計し、1つの割合を計算します(国税庁「消費税及び地方消費税の申告書(一般用)の書き方(法人用)」の付表2-3)。

分子・分母に入れるもの、入れないもの

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。

取引ごとの扱い(早見表)

課税売上割合の計算上の取引の扱い(2026年10月6日時点)
取引・収入の例分子分母根拠
国内の課税売上(物品の販売、サービスの提供、事務所・店舗の家賃など)入れる入れるNo.6405
輸出免税の売上(商品の輸出、国際輸送など)入れる入れるNo.6405、基通11-5-4
国内で譲渡すれば非課税になる資産の輸出(輸出の証明があるとき)入れる入れる消費税法31条、施行令51条2項
非課税売上(土地の譲渡・貸付け、住宅の家賃、預貯金・貸付金の利子、社会保険診療、学校の授業料など)入れない入れるNo.6209、No.6201、No.6221
株式などの有価証券、貸付金・預金などの金銭債権の譲渡入れない売却代金の5%施行令48条5項、No.6405
合名・合資・合同会社の社員の持分、協同組合等の持分の譲渡入れない売却代金の全額質疑応答事例
自社の売上代金として取得した売掛金などの譲渡、銀行券・小切手などの支払手段の譲渡入れない入れない施行令48条2項
暗号資産の譲渡(2026年10月6日時点)入れない入れないNo.6405
不課税の収入(給与、補助金、保険金、配当金など)入れない入れないNo.6157、No.6209
国外取引(国外にある資産の譲渡など)入れない入れないNo.6210、基通11-5-4
売上げの返品・値引き・割戻し課税売上に係る分を差し引く課税・免税・非課税の全てについて差し引く施行令48条1項、No.6405

「No.」は国税庁タックスアンサー(6405、6209、6201、6221、6157、6210)、「基通」は消費税法基本通達11-5です。持分の譲渡は質疑応答事例によります。有価証券・支払手段・金銭債権そのものの輸出は、消費税法31条の輸出取引等に含まれません(施行令51条1項)。

非課税売上は分母にだけ入ります(預金の利子も同じ)

非課税の取引は、課税売上割合では分母にだけ入ります。不課税の取引は、そもそも消費税の対象ではないため、分母にも分子にも入りません。預貯金や貸付金の利子は非課税なので分母に入り、株式の配当金は不課税なので入りません。利子の金額が小さければ、割合への影響はわずかです。たとえば、課税売上高42,500,000円の飲食店が預金利子4,800円を受け取っても、課税売上割合は99.98…%です(当会計算)。

住宅の家賃、土地の譲渡・貸付け、社会保険診療などの非課税売上が大きい事業者は、割合が95%を下回りやすくなります。業種ごとの注意点は、不動産業の消費税(住宅の家賃や土地の売却がある場合)と医療業の消費税(課税売上割合と仕入税額控除)で説明しています。

有価証券・金銭債権の譲渡は、売却代金の5%だけ分母に入れます

株式などの有価証券の譲渡と、貸付金・預金などの金銭債権の譲渡は非課税で、分子には入りません。分母に入れる金額は、譲渡の対価の額(売却代金)の5%です(消費税法施行令48条5項)。基準は売却代金で、売却益ではありません。数値例は例1です。

  • 5%になるのは、金融商品取引法の有価証券(ゴルフ場利用株式等を除きます)、株主・出資者となる権利などと、貸付金・預金・売掛金などの金銭債権の譲渡です。
  • 合名会社・合資会社・合同会社の社員の持分や協同組合等の持分の譲渡は、5%ではなく、売却代金の全額を分母に入れます(国税庁 質疑応答事例「非課税となる有価証券の範囲と課税売上割合の関係」)。
  • 自社が売上げの代金として取得した売掛金を譲渡した場合は、分母にも分子にも入れません(施行令48条2項2号)。国債等の現先取引や償還差損益には、別の定めがあります(同条2項3号・3項・6項)。

返品・値引き・貸倒れ、輸出と国外取引

売上げの返品・値引き・割戻しは、売上高から差し引きます。課税売上に係る分は分子と分母の両方から、非課税売上に係る分は分母から差し引くため、課税・免税・非課税のそれぞれで返品等の金額を区分して集計します(施行令48条1項、国税庁「申告書(一般用)の書き方(法人用)」)。売上げが貸倒れになっても、その売上高は控除せず、含めたままにします。

輸出免税の売上は分子にも分母にも入るため、輸出が増えても課税売上割合は下がりません。国外で行う取引は不課税で、入れません。国内で譲渡すれば非課税となる資産を輸出した場合や、国外で譲渡・使用するために自社の資産を輸出した場合は、免税売上と同じように分子・分母の両方に入れます(消費税法31条、施行令51条2項・3項)。輸出と消費税の全体は、輸出と消費税で説明しています。

暗号資産の譲渡は、将来、売却代金の5%を分母に入れる扱いに変わります

【確定・開始日未定】2026年10月6日時点では、暗号資産の譲渡は分母にも分子にも入れません。令和8年度の税制改正で、暗号資産の譲渡は引き続き非課税とし、課税売上割合の計算では譲渡の対価の額の5%を分母に入れることになりました(財務省「令和8年度税制改正の大綱」、国税庁「消費税法改正のお知らせ」令和8年4月)。適用は、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)の施行の日の属する年の翌年の1月1日からです(令和8年政令第96号の附則)。この法律の施行の日は、公布の日(2026年7月23日)から起算して1年を超えない範囲内で政令で定める日とされています。その日を定める政令は、2026年10月6日時点で当会は確認できていません。このため、適用開始日が2027年1月1日になるか2028年1月1日になるかは、確定していません(施行の日が2026年中なら2027年1月1日、2027年中なら2028年1月1日です)。e-Gov法令検索の消費税法施行令には、2026年10月6日時点で2028年1月1日が施行予定日として表示されていますが、これは予定の表示で、確定した日ではありません。

端数の処理:原則は処理しない、切捨ては認められる

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。

課税売上割合の端数について、消費税法30条6項と消費税法施行令48条には、処理の方法を定める規定が見当たりません(当会が条文で確認しました)。取扱いは、消費税法基本通達11-5-6と国税庁の質疑応答事例が示しています。

  • 原則として、端数の処理は行いません。
  • 事業者が任意の位以下を切り捨てて計算しているときは、それを認めます。
  • 四捨五入は認められません。

質疑応答事例は、実際の割合が94.856…%の事業者が、小数点以下を四捨五入して95%とし、全額を控除できるかを尋ねたものです。回答は、四捨五入は認められず、95%に満たないものとして扱うというものです(国税庁 質疑応答事例「課税売上割合の端数処理」、基通11-5-6)。国税庁の申告書の書き方も、付表2-3の課税売上割合について、端数処理は原則として行わず、任意の位で切り捨てることは認められると説明しています。

実際の割合が94.9208…%のとき(例3)の端数の扱いと判定
端数の扱い用いる割合95%以上か
端数処理をしない(原則)94.9208…%95%に満たない
小数第3位以下を切り捨てる94.92%95%に満たない
小数第1位以下を切り捨てる94%95%に満たない
四捨五入する95%認められません

当会計算。実際の割合は114,000,000円÷120,100,000円です。切り捨てた割合を使うと、個別対応方式の共通分や一括比例配分方式で使う割合が小さくなり、控除できる額も少し小さくなります。どの位で切り捨てるかを定める規定は、通達や質疑応答事例には見当たりません。

95%ルール:仕入れの税額を全額控除できる条件

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。

全額控除できる条件は2つ

一般課税の課税事業者は、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等の税額を控除します(仕入税額控除)。次の2つをどちらも満たす課税期間は、課税仕入れ等の税額の全額を控除できます。これを一般に「95%ルール」と呼びます(消費税法30条1項・2項、国税庁 No.6401)。5億円の条件は、平成24年(2012年)4月1日以後に開始する課税期間から適用されています(国税庁 質疑応答事例「課税売上高が5億円超の場合の仕入税額控除の計算」)。

全額控除できる2つの条件(どちらも必要)
条件判定に使う数値根拠
課税売上高が5億円以下その課税期間の課税売上高。課税期間が1年に満たないときは、年換算した金額消費税法30条2項・6項、基通11-5-10
課税売上割合が95%以上本来の課税売上割合。「課税売上割合に準ずる割合」では判定しません消費税法30条2項、基通11-5-9

2つの条件を満たしていても、控除できるのは、帳簿と請求書等(インボイスなど)の保存の要件を満たす課税仕入れ等の税額です(消費税法30条7項。インボイス制度の概要(買い手の仕入税額控除))。

5億円の判定と、1年に満たない課税期間の年換算

5億円の判定に使う課税売上高は、課税期間中に国内で行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計から、売上げに係る税抜きの返品・値引き・割戻しの金額を引いた額です(消費税法30条6項)。輸出などの免税売上高は含みます。消費税法31条で課税資産の譲渡等とみなされる非課税資産の輸出等の対価は、課税売上割合の計算では分子と分母に入れますが、5億円の判定に使う課税売上高には含まれません(基通11-5-10は、課税売上高に含まれる範囲を基通1-4-2と同じとしています)。

課税期間が1年に満たないときは、課税売上高を課税期間の月数で割り、12を掛けた金額(年換算した金額)で5億円を判定します。月数は暦に従って数え、1か月に満たない端数は1か月とします。年換算するのは5億円の判定に使う課税売上高だけで、課税売上割合は年換算しません(消費税法30条6項、国税庁 No.6401、当会の整理)。

課税期間が1年に満たないときの5億円の判定(当会計算)
課税期間の例月数課税売上高年換算した金額5億円を超えるか
通常の1年12か月520,000,000円520,000,000円超える
法人の設立1期目(2026年4月15日〜9月30日)6か月(5か月と16日)270,000,000円540,000,000円超える
課税期間の特例で3か月ごと3か月110,000,000円440,000,000円超えない

2行目は、課税売上高が270,000,000円でも、年換算すると5億円を超えます。

非課税売上がどこまでなら95%以上か

他に分母に入る収入がないとき、非課税売上が課税売上高の19分の1(約5.26%)を超えると、課税売上割合は95%を下回ります。課税売上高をT、非課税売上をNとすると、T÷(T+N)が95%以上になる条件が、N≦T÷19になるためです。課税売上高が100,000,000円なら非課税売上は5,263,157円まで、500,000,000円なら26,315,789円までです(当会計算、1円未満切捨て)。預金利子のような少額なら収まりますが、住宅の家賃や土地の売却代金があると超えることがあります。有価証券の譲渡は売却代金の5%で数えます。

条件を満たさないとき:個別対応方式か一括比例配分方式

課税売上高が5億円を超えるとき、または課税売上割合が95%に満たないときは、全額は控除できません。次のどちらかの方式で計算した金額を控除します(消費税法30条2項、No.6401)。

個別対応方式と一括比例配分方式の概要
方式計算使える場合
個別対応方式課税仕入れ等の税額を、課税売上げにのみ要するもの(イ)、非課税売上げにのみ要するもの(ロ)、共通して要するもの(ハ)に分け、イ+ハ×課税売上割合を控除しますイ・ロ・ハの区分が明らかにされている場合に限ります
一括比例配分方式課税仕入れ等の税額の合計×課税売上割合を控除します区分をしていない場合、または区分していても選ぶ場合に使えます

一括比例配分方式を選んだ場合は、その課税期間の初日から2年を経過する日までに開始する各課税期間で継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変えられません(消費税法30条5項)。2つの方式の選び方と区分の考え方は、仕入税額控除の記事で説明しています。計算の流れ全体は、消費税の計算方法(原則課税の手順)をご覧ください。

計算例(4例)

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。

次の4例は、当会が作成した架空の設例です。金額はすべて税抜きで、課税売上割合の計算だけを示します。割合は、判定を端数処理の前の数値で行い、表示だけ小数第3位以下を切り捨てています。金額と割合は、当会が再計算して確認しています。

例1:株式を売却した会社(売却代金の5%と配当金)

例1の課税売上割合(当会計算)
収入分子に入る額分母に入る額
商品の販売 80,000,000円(課税)80,000,000円80,000,000円
預金の利子 40,000円(非課税)―40,000円
上場株式の売却代金 20,000,000円(非課税)―1,000,000円(5%)
受取配当金 600,000円(不課税)――
課税売上割合分子 80,000,000円 ÷ 分母 81,040,000円 = 98.71…%

95%以上で、課税売上高は5億円以下なので、全額控除できます。売却代金20,000,000円を全額分母に入れると、80,000,000円 ÷ 100,040,000円 = 79.96…%となり、95%未満と誤って判定します。売却益ではなく売却代金の5%を入れる点と、配当金は入れない点が要点です。

例2:輸出・返品・国外取引・不課税の収入が混じる製造業

例2の課税売上割合(当会計算)
収入分子に入る額分母に入る額
国内の課税売上 60,000,000円60,000,000円60,000,000円
輸出免税の売上 25,000,000円25,000,000円25,000,000円
国内の課税売上に係る返品・値引き 2,000,000円△2,000,000円△2,000,000円
遊休地の貸付け(地代)3,000,000円(非課税)―3,000,000円
国外の倉庫にある在庫の国外での販売 4,000,000円(国外取引)――
補助金収入 1,500,000円(不課税)――
課税売上割合分子 83,000,000円 ÷ 分母 86,000,000円 = 96.51…%

5億円の判定に使う課税売上高は83,000,000円(輸出を含み、返品・値引きを差し引いた額)で、5億円以下です。割合も95%以上なので、全額控除できます。

例3:95%に届かない境目の事業者

例3の課税売上割合(当会計算)
収入分子に入る額分母に入る額
事務所・店舗の家賃 114,000,000円(課税)114,000,000円114,000,000円
住宅の家賃 6,100,000円(非課税)―6,100,000円
課税売上割合分子 114,000,000円 ÷ 分母 120,100,000円 = 94.92…%

94.92…%は95%に満たないため、全額控除はできず、個別対応方式か一括比例配分方式で計算します。四捨五入して95%とすることは認められません(端数の処理)。

例4:課税売上割合60%のときの控除額(95%以上との比較)

課税仕入れが税込77,000,000円(税率10%のみ)で、課税売上割合が60%、課税売上高が5億円以下の場合です。内訳は、課税売上げにのみ要するものが税込33,000,000円、非課税売上げにのみ要するものが11,000,000円、共通して要するものが33,000,000円とします。国税分(7.8%)だけを比べます。税込金額に7.8/110を掛けた国税分の税額は、順に2,340,000円、780,000円、2,340,000円で、合計5,460,000円です。

控除できる国税分の額(課税売上割合60%の場合、当会計算)
計算方法計算控除できる額
全額控除(95%以上かつ5億円以下の場合)5,460,000円5,460,000円
一括比例配分方式5,460,000円 × 60%3,276,000円
個別対応方式2,340,000円 + 2,340,000円 × 60%3,744,000円

全額控除できる場合に比べて、一括比例配分方式では2,184,000円、個別対応方式では1,716,000円、控除できる国税分が少なくなります。地方消費税は、国税の差引税額に22/78を掛けて別に計算します。どちらの方式が有利かは、区分の内訳によって変わります。

課税売上割合の計算が要らない事業者

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。

課税売上割合を使うのは、一般課税で仕入控除税額を計算するときです。次の事業者・申告方法では、計算する必要がありません。

申告の方法ごとの課税売上割合の計算
事業者・申告の方法課税売上割合の計算理由
免税事業者不要納税義務が免除され、仕入税額控除もありません(消費税法9条1項、30条1項、国税庁 No.6501)。判定は課税事業者と免税事業者の違いをご覧ください
簡易課税制度を適用する課税期間不要売上げに係る消費税額にみなし仕入率を掛けた金額を、仕入れに係る消費税額とします(国税庁 No.6505)。仕組みは簡易課税制度で説明しています
2割特例・3割特例を適用する課税期間不要納付税額を売上げに係る消費税額の2割(3割特例は3割)とします。2割特例では、実際の課税仕入れ等の税額を計算する必要がありません(国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」)
一般課税必要95%ルールの判定と、個別対応方式・一括比例配分方式の計算に使います

2割特例が使えなくなって一般課税に移ると、課税売上割合の計算が必要になります。使える期間は、2割特例と3割特例で説明しています。

リバースチャージとの関係:申告が必要なのは課税売上割合95%未満の課税期間だけ

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。

リバースチャージ方式は、国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」(インターネット広告の配信など)や「特定役務の提供」を、受けた事業者が申告・納税する仕組みです。この申告が必要なのは、一般課税で申告し、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者に限られます。「当分の間」の経過措置です(国税庁 国境を越えた役務の提供Q&A(令和8年6月改訂)の問5、国税庁 No.6118)。仕組み・対象取引・仕訳・申告書の欄は、リバースチャージ方式の記事で説明しています。

課税期間の状況ごとのリバースチャージの申告
自社のその課税期間課税売上割合の計算リバースチャージの申告
一般課税で、課税売上割合が95%未満必要必要(仕入税額控除は個別対応方式か一括比例配分方式で計算)
一般課税で、課税売上割合が95%以上必要不要(特定課税仕入れはなかったものとされ、仕入税額控除もできません)
簡易課税・2割特例・3割特例不要不要(同上)
免税事業者不要不要

出典:国税庁 国境を越えた役務の提供Q&Aの問5・問24・問25・問26。詳しい表は、リバースチャージ方式の記事の「申告が必要な事業者」にあります。

  • 課税売上割合は課税期間ごとに判定します。課税期間が終わるまで確定しないため、特定課税仕入れは、他の課税仕入れと区分して記録しておくと集計しやすくなります(課税売上割合95%の判定で注意すること)。
  • 課税売上割合の計算に、特定課税仕入れの金額は入れません(Q&A問28)。
  • 「課税売上割合に準ずる割合」の承認を受けていて、その割合が95%以上でも、課税売上割合が95%未満なら、申告が必要です(Q&A問22)。
  • 通達は、この経過措置の条件を「課税売上割合が95%以上の課税期間」と書いており、課税売上高5億円の条件は書いていません(基通5-8-1の注)。このため、課税売上高が5億円を超える課税期間でも、課税売上割合が95%以上なら、特定課税仕入れはなかったものとされます(通達の文言による当会の整理)。

課税売上割合に準ずる割合(概要)

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。承認の可否や割合の合理性は個別の事情で変わるため、ここでは仕組みの概要だけを説明します。

個別対応方式で、課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等の税額を計算するときは、原則として課税売上割合を使います。課税売上割合だと事業の実態を反映しない場合には、税務署長の承認を受けて、より合理的な「課税売上割合に準ずる割合」を使えます(消費税法30条3項、国税庁 No.6417)。

課税売上割合に準ずる割合の概要
項目内容根拠
使える場面個別対応方式の、共通して要する課税仕入れ等の税額の計算だけです。一括比例配分方式では使えません消費税法30条2項・3項
条件と割合の例事業の種類や費用の種類に応じて合理的に算定した割合で、納税地の所轄税務署長の承認を受けたものです。使用人の数や従事日数、消費・使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合などが例です消費税法30条3項、基通11-5-7
適用の範囲事業の種類ごと、費用の種類ごと、事業場ごとに別の割合を使えます。ただし、使うすべての割合について承認が必要です基通11-5-8
申請「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を税務署長に出します。適用を受けたい課税期間の末日までに申請し、末日の翌日から末日以後1か月を経過する日までの間に承認を受けると、その課税期間の末日に承認があったものとみなされます施行令47条6項、No.6417
95%の判定・やめるとき95%以上かどうかは、準ずる割合ではなく本来の課税売上割合で判定します。やめる旨の届出書を出した日の属する課税期間以後は適用されません。特別の事情が生じたと認められるときは、税務署長が承認を取り消すことがあります基通11-5-9、消費税法30条3項ただし書、施行令47条3項

国税庁の質疑応答事例には、たまたま土地の譲渡があって課税売上割合が下がった場合の承認の考え方もあります。土地の譲渡が単発で、譲渡がなければ事業の実態に変動がないと認められる場合に限り、承認を与えて差し支えないとされています(国税庁 質疑応答事例「たまたま土地の譲渡があった場合の課税売上割合に準ずる割合の承認」)。

課税売上割合が著しく変動した場合の調整(概要)

【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。調整額の計算は別の論点です。ここでは、調整の対象になる場面と判定の考え方だけを説明します。

建物や機械などの高額な資産(調整対象固定資産)を買った後に、課税売上割合が大きく変わると、仕入控除税額を後から調整します。調整対象固定資産は、建物、構築物、機械、車両、器具備品など棚卸資産以外の資産で、一の取引単位の税抜価額が100万円以上のものです。この調整は、仕入れた課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間(第3年度の課税期間)の末日に、その資産を持っている場合に行います(消費税法33条、国税庁 No.6421)。

  • 対象になるのは、個別対応方式の共通分や一括比例配分方式など、課税売上割合を使って控除税額を計算した場合です。課税売上高5億円以下・課税売上割合95%以上で、全額を控除した場合も含まれます。
  • 仕入れた課税期間の課税売上割合と、仕入れた課税期間から第3年度の課税期間までを通算した課税売上割合(通算課税売上割合)を比べます。
  • 「著しく増加した」と判定されるのは、仕入れた課税期間の割合に対して、通算課税売上割合が50%以上増え、かつ、割合の差が5ポイント以上あるときです。「著しく減少した」も、同じ基準で減ったときです(消費税法施行令53条1項・2項)。

たとえば、仕入れた課税期間の課税売上割合が60%で、通算課税売上割合が90%なら、増加分は30ポイントで、60%の50%(30ポイント)以上であり、5ポイント以上でもあるため、著しく増加した場合に当たります。98%から100%への変化は、差が2ポイントなので当たりません(当会計算)。増加した場合は第3年度の仕入控除税額に加算し、減少した場合は控除します。計算方法は国税庁のNo.6421で確認できます。

このほか、調整対象固定資産を課税売上げ用から非課税売上げ用へ、またはその逆へ転用した場合にも、別の調整があります(消費税法34条・35条)。医療機関の高額な機器を例にした説明は、医療業の消費税の「第3年度の調整」にあります。

よくある質問

課税売上割合の計算式を教えてください。

課税売上割合は、課税期間中の課税売上高(税抜き、輸出などの免税売上高を含む)を、課税期間中の総売上高(課税売上高、免税売上高、非課税売上高の合計、税抜き)で割った割合です。返品・値引き・割戻しは売上高から差し引き、不課税の収入や国外取引は入れません。〔国税庁 No.6405〕

課税売上割合が95%以上なら、仕入れの消費税は全額控除できますか?

課税期間中の課税売上高が5億円以下の場合に限ります。5億円以下で、かつ、課税売上割合が95%以上なら、課税仕入れ等の税額の全額を控除できます。課税売上高が5億円を超えるか、課税売上割合が95%未満のときは、個別対応方式か一括比例配分方式で、課税売上げに対応する部分だけを控除します。〔国税庁 No.6401、国税庁 質疑応答事例〕

株式などの有価証券を売ったとき、課税売上割合はどう計算しますか?

有価証券の譲渡は非課税で、分子には入りません。分母には、売却益ではなく、売却代金(譲渡の対価の額)の5%を入れます。たとえば売却代金が20,000,000円なら、分母に入れる額は1,000,000円です(当会計算)。預貯金の利子は分母に全額入り、配当金は不課税なので入りません。〔国税庁 No.6405、消費税法施行令48条5項〕

課税売上割合の端数は、切り捨てですか、四捨五入ですか?

原則として、端数の処理は行いません。任意の位以下を切り捨てて計算することは認められています。四捨五入は認められず、たとえば94.856…%を95%にして全額控除することはできません。切捨ての位を定める規定は、法令には見当たりません。〔消費税法基本通達11-5-6、国税庁 質疑応答事例「課税売上割合の端数処理」〕

リバースチャージの申告が必要かどうかは、課税売上割合で決まりますか?

一般課税の課税期間については、そのとおりです。課税売上割合が95%未満なら申告が必要で、95%以上なら申告も仕入税額控除もしません(当分の間)。判定は課税期間ごとで、特定課税仕入れの金額は課税売上割合の計算に入れません。簡易課税・2割特例・3割特例の課税期間は、割合に関係なく申告が不要です。〔国税庁 国境を越えた役務の提供Q&A 問5・問24・問28、国税庁 No.6118〕

「課税売上割合に準ずる割合」とは何ですか。95%以上かどうかの判定にも使えますか?

個別対応方式で、課税売上げと非課税売上げに共通して要する課税仕入れ等の税額を計算するときに、課税売上割合の代わりに使う合理的な割合です。納税地の所轄税務署長の承認が必要です。95%以上かどうかの判定には使えず、本来の課税売上割合で判定します。〔国税庁 No.6417、基通11-5-9〕

課税売上割合が著しく変動したときの調整とは何ですか?

100万円(税抜)以上の調整対象固定資産を仕入れた課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間(第3年度の課税期間)の末日にその資産を持っていて、通算課税売上割合が仕入れた課税期間の割合より著しく増減したときに、第3年度の課税期間の仕入控除税額を調整する制度です。著しく増減したかどうかは、50%以上の変動と5ポイント以上の差の両方で判定します。〔国税庁 No.6421、消費税法施行令53条〕

出典・参考資料

いずれも2026年10月6日に内容を確認しました。国税庁のタックスアンサーは「令和8年4月1日現在法令等」、質疑応答事例は「令和7年8月1日現在の法令・通達等」に基づく記載です。

国税庁(タックスアンサー)

国税庁(通達・質疑応答事例・パンフレット)

財務省

国会(参議院)

法令(e-Gov法令検索)

  • 消費税法(2条1項9号・9条・19条・30条・31条・33条〜35条)
  • 消費税法施行令(47条・48条・51条・53条。暗号資産に係る改正は令和8年政令第96号の附則)

改訂履歴

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2026年10月6日:公開(同日時点の法令等と、国税庁・財務省の資料、e-Gov法令検索の条文に基づく)

本記事は一般的な情報提供を目的としています。課税売上割合の計算、準ずる割合の承認、調整対象固定資産の調整など、個別の判断については、所轄の税務署や、税理士などの専門家にご相談ください。

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