輸出免税の要件と消費税還付、輸入消費税の仕組み

輸出として行う商品の販売などは消費税が免除され(輸出免税)、控除しきれない仕入れの消費税は申告によって還付されます。輸出免税の要件と証明書類、還付の計算例、輸入消費税の計算と控除を、国税庁・税関の資料に基づいて整理します。

要点【確定】(2026年9月26日時点)

項目内容
免除の対象輸出として行う資産の譲渡・貸付け、国際輸送、国際通信・国際郵便、非居住者に対する無体財産権の譲渡・貸付けと役務の提供(国内で直接便益を受けるものなどを除く)
要件課税事業者であること、輸出許可書などの証明書類を7年間保存すること。2026年10月1日以後、代金を現金などで受け取る輸出は、仕向国の輸入許可書なども保存が必要
還付仕入れにかかった消費税は控除でき、控除しきれない分は還付される。還付を受けるには一般課税で申告する(簡易課税・2割特例・3割特例では、通常、還付は生じない)
輸入輸入申告をした事業者が輸入消費税を納め、輸入許可書等と帳簿を保存して仕入税額控除をする(インボイスは不要)

詳しくは、輸出免税を受けるための5つの要件、取引の区分ごとの証明書類、還付の計算例、輸入消費税の計算例で説明しています。

監修について
本記事は井手政紀税理士(井手政紀税理士事務所/元 新宿税務署長(第84代)/新宿間税会 税理士部会員)の監修内容を反映しています。2026年9月26日、令和8年度税制改正等に合わせて全面改訂し、2026年9月28日に監修者の確認が完了しました。

【確定】2026年10月1日から変わる輸出免税の取扱い

令和8年度税制改正により、2026年10月1日以後の取引から次の2点が変わります。1つ目は、輸出の代金を現金など、取引相手からの支払いであることが明らかでない方法で受け取る場合に、輸出許可書などに加えて、仕向国(輸出先の国)の輸入許可書などの保存が必要になることです(代金を現金等で受け取る輸出の書類)。2つ目は、非居住者に対して行う国内の不動産の売買・賃貸などの仲介が、輸出免税の対象から外れて課税されることです(非居住者向けの不動産の仲介)。

目次
  1. 輸出に消費税がかからない理由と「免税」の意味
  2. 輸出免税の対象になる取引・ならない取引
  3. 輸出免税の要件と保存する書類
  4. 消費税の還付の仕組みと計算例
  5. 還付申告の手続き
  6. 輸入取引の消費税(輸入消費税)
  7. 国外事業者から受けるサービス(リバースチャージ方式)
  8. 2026年以降の改正と施行日
  9. よくある質問
  10. まとめ
  11. 出典・参考資料

輸出に消費税がかからない理由と「免税」の意味

国外で消費されるものには課税しない

消費税は国内で消費されるものに負担を求める税(内国消費税)です。外国で消費されるものには課税しないという考え方から、輸出取引は消費税が免除されます(消費税法7条、国税庁 No.6551 輸出取引の免税)。

一方で、輸出する商品の仕入れや、輸出のための事務用品・交際費・広告宣伝費などの経費には消費税がかかっています。輸出取引に対応するこれらの消費税は、申告のときに仕入税額控除ができます。そのため、売上げの多くが輸出の事業者は、売上げにかかる消費税より控除する消費税が多くなり、差額が還付されます。

輸出免税を受けられるのは課税事業者だけです。自分が課税事業者か免税事業者かの判定は、課税事業者と免税事業者の違いで説明しています。

免税・非課税・不課税の違い

「消費税がかからない」取引には、免税・非課税・不課税の3つがあり、課税売上割合の計算と、仕入れの消費税を控除できるかどうかが違います(国税庁 No.6205、No.6209)。

区分主な例課税売上割合の計算その取引のための仕入れの消費税
免税商品の輸出、国際輸送、非居住者に対する役務の提供分子と分母の両方に入れる控除できる
非課税土地や有価証券の譲渡、預貯金の利子、社会保険医療分母だけに入れる原則として控除できない
不課税(課税対象外)国外取引、対価のない寄附や単なる贈与、出資に対する配当分子にも分母にも入れない―

免税は、課税の対象になる取引について、一定の要件を満たしたときに消費税を免除するものです。そのため、輸出のための仕入れの消費税は控除できます。非課税の取引のための仕入れの消費税は、原則として控除できません。

輸出の還付金は、仕入れで負担した消費税の精算

輸出で還付されるのは、輸出する事業者が仕入れや経費の支払いのときに負担した消費税です。売上げの消費税より仕入れの消費税が多いときに、控除しきれない分が申告によって戻る仕組みで、還付を受けられるのは課税事業者に限られます(国税庁 No.6613 還付を受けるための申告)。

輸出免税の対象になる取引・ならない取引

対象になる取引

課税事業者が次の取引を行った場合は、消費税が免除されます(No.6551、国税庁「消費税のあらまし」4 免税される輸出取引は?、消費税法基本通達7-2-1)。

区分内容
輸出国内からの輸出として行われる資産の譲渡・貸付け(典型的な輸出取引)
外国貨物外国貨物の譲渡・貸付け(上の輸出に当たるものを除く)
国際輸送国内と国外の間の旅客や貨物の輸送
国際通信・国際郵便国内と国外の間の通信、郵便、信書便
外航船舶等船舶運航事業者等に対する外航船舶・航空機の譲渡・貸付け、船舶運航事業者等の求めに応じて行う修理、国際輸送用コンテナーの譲渡・貸付け・修理、水先・誘導など入出港の補助
外国貨物の荷役等外国貨物の荷役、運送、保管、検数、鑑定などの役務の提供
無体財産権非居住者に対する鉱業権、工業所有権(特許権など)、著作権、営業権などの譲渡・貸付け
役務の提供非居住者に対する役務の提供(国内で直接便益を受けるものなどを除く。次の表を参照)

「非居住者」は、国内に住所または居所を持たない個人と、国内に主たる事務所を持たない法人です。非居住者の国内の支店・出張所などは居住者とみなされます(No.6551)。国際輸送として行う貨物の輸送に国内の輸送区間が含まれていても、国際輸送の一環であることが契約で明らかなら、国際輸送として扱われます(消費税法基本通達7-2-5)。

輸出免税にならない主な取引

次の取引は、相手が非居住者や輸出業者であっても輸出免税になりません(国税庁 No.6567 非居住者に対する役務の提供、消費税法基本通達7-2-2・7-2-6、No.6209)。

区分扱い(詳細)
非居住者に対する国内での飲食・宿泊等非居住者に対する、国内にある資産の運送・保管や、国内での飲食・宿泊は課税です。これらに準じて国内で直接便益を受けるサービス(国内の不動産の管理・修理、建物の建築請負、電車・バス・タクシーなどの旅客運送、理容・美容、医療・療養、劇場・映画館での観劇、非課税とされていない日本語学校などでの語学教育など)も同様に課税です。
非居住者向け国内不動産の仲介(2026年10月1日以後)非居住者に対する、国内にある不動産の売買・交換・貸借の代理・媒介は課税です。2026年3月31日までに結んだ契約に基づくものは、改正前の規定により免税です。
国内に支店等がある非居住者への役務の提供原則として、その支店等を通じて行ったものとして課税されます。
輸出する物品の製造のための加工委託課税です。
輸出する事業者(商社など)への国内での販売課税です。輸出免税を受けるのは、実際に輸出する事業者です。
海外パック旅行のうち国内での事務代行旅行業者が主催する海外パック旅行のうち、国内輸送や旅券の交付申請などの事務代行の部分は課税です。国外での輸送・宿泊・案内などは不課税です。
対価を受け取らない輸出(無償のサンプルなど)不課税です(輸出免税ではありません)。

一方、非居住者に対する腕時計の修理や、弁護士などが行う法律相談は、国内で行われるサービスでも、その効果が国内だけで終わらず帰国後も続くため、輸出免税の対象です(No.6567)。

【2026年10月1日から】非居住者向けの国内不動産の仲介は課税

【確定】2026年10月1日以後に非居住者に対して行う、国内にある不動産(不動産の上に存する権利を含みます)の売買・交換・貸借の代理や媒介(仲介)などは、サービスを受ける人の居住地にかかわらず消費税の課税対象になり、輸出免税の対象から外れます。例えば、海外に住む人から依頼を受け、その人が国内に持つ不動産を売却したときに受け取る仲介手数料は、これまで輸出免税の対象でしたが、改正後は課税されます。2026年3月31日までに結んだ契約に基づくものは、改正前の規定により輸出免税の対象です(No.6567、国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」)。

海外に住む顧客の仲介を扱う事業者は、2026年10月1日以後に行う仲介について、契約書や請求書で消費税をどう扱うかを確認する必要があります。

三国間貿易と、保税地域を経由する転売

国外で買った商品を日本に持ち込まずに他へ売る、いわゆる三国間貿易は、国外にある資産の譲渡なので国外取引に当たり、経理処理にかかわらず課税の対象外(不課税)です。輸出免税ではありません(国税庁 No.6210 国外取引)。

これに対し、国外で買った貨物を国内の保税地域に陸揚げし、輸入手続をせずに再び国外へ売る場合は、関税法の積戻しの手続によるため、輸出免税の対象になります(消費税法基本通達7-2-3)。

免税店(輸出物品販売場)での販売

【確定】外国人旅行者など免税購入対象者への免税店での販売は、消費税法8条の輸出物品販売場の制度で免除されます。2026年11月1日からは、免税店は税込価格で販売し、購入日から90日以内の出国時に税関で持ち出しが確認された後で、消費税相当額を返金する「リファンド方式」に移ります(消費税のあらまし)。同じ日以後、免税購入対象者が販売場で運送契約を結び、その場で運送事業者に商品を引き渡す方式(いわゆる直送制度)で輸出免税を受けるには、一定の事項を記載した運送契約書等の保存が必要です(No.6551)。制度の詳細は免税店制度とリファンド方式で説明しています。

輸出免税の要件と保存する書類

輸出免税を受けるための要件

消費税法7条により、次のすべてに当てはまる取引は消費税が免除されます。

  1. 課税事業者が行う取引であること(免税事業者は対象外)
  2. 国内で行う取引であること
  3. 課税資産の譲渡等(事業として対価を得て行う取引で、非課税でないもの)であること
  4. 輸出取引等(対象になる取引の表)に当たること
  5. 輸出取引等であることが、財務省令で定める書類で証明されていること(7条2項)

5つ目の証明がないと、実際に輸出していても輸出免税は受けられません。

取引の区分ごとの証明書類

保存する書類は、取引の区分によって次のように決まっています(No.6551)。

取引の区分保存する書類
輸出の許可を受ける貨物輸出許可書(税関長が証明した書類)
郵便物として輸出(価額20万円超)輸出許可書(税関長が証明した書類)
郵便物として輸出(価額20万円以下・小包郵便物またはEMS郵便物)日本郵便株式会社から交付を受けた郵便物の引受けを証する書類と、発送伝票等の控え。控えには、①輸出した事業者の氏名・名称と住所等、②品名と品名ごとの数量・価額、③受取人の氏名・名称と住所等、④日本郵便株式会社による引受けの年月日が記載されていること
郵便物として輸出(価額20万円以下・通常郵便物)日本郵便株式会社から交付を受けた郵便物の引受けを証する書類(品名と品名ごとの数量・価額を追記したもの)
国際通信・国際郵便・信書便一定の事項を記載した帳簿または書類
非居住者に対する無体財産権の譲渡・貸付け、役務の提供一定の事項を記載した契約書その他の書類
  • 郵便物の「価額」は、FOB価格(本船渡し条件の価額)で、原則として現実の決済金額(例えば輸出する物品の販売金額)です。20万円を超えるかどうかは、原則として郵便物1個ごとに判定し、同じ受取人に2個以上に分けて送る場合は合計額で判定します(No.6551)。
  • 20万円以下の郵便物の書類は、2021年(令和3年)10月1日以後の輸出から上の表の内容になりました(国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和3年4月)」)。

【2026年10月1日から】代金を現金等で受け取る輸出は、仕向国の輸入許可書等も保存

【確定】2026年10月1日以後に行う輸出(資産の譲渡・貸付け)のうち、代金を現金、または取引相手からの支払いであることが明らかでない方法で受け取るものは、上の表の書類に加えて、仕向国(輸出先)の税関が発行する輸入許可書など、輸入の事実を証する書類(電磁的記録を含みます)の保存が必要です(No.6551、国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」)。

代金の受け取り方仕向国の輸入許可書等
現金で受け取る必要
暗号資産交換業者を介さずに暗号資産で受け取る必要
取引相手以外の者から銀行振込などで受け取る(保証人など、代金の支払義務を負うことが明らかな者からの場合を除く)必要
取引相手からの銀行振込、荷為替手形による決済不要(従来の書類だけでよい)

この書類は輸出先の国で発行されるものなので、代金を現金などで受け取る取引では、輸入許可書やその写しを受け取れるよう、あらかじめ取引相手と取り決めておく必要があります。免税店の直送制度で、代金を現金などで受け取る場合も、同じ書類の保存が加わります(e-Gov 消費税法施行規則等の一部を改正する省令要旨)。

保存期間と保存の方法

証明書類は、取引の区分に応じて整理し、納税地などに7年間保存します。輸出許可書などには、その電磁的記録(電子データ)も含まれます(No.6551)。輸出に対応する仕入れの消費税を控除するには、別に、仕入れの帳簿とインボイス(適格請求書)などの保存も必要です(No.6551、No.6496)。

輸出代行(名義貸し)を使う場合

商社などが輸出申告書に輸出者として名前を出し、実際の輸出は別の事業者が行う場合があります。この場合、次の措置をとることを条件に、輸出申告書の名義にかかわらず、実際に輸出した事業者が輸出免税を受けられます(国税庁 質疑応答事例「輸出取引に係る輸出免税の適用者」)。

  • 実際の輸出者は、輸出申告書等の原本を保存し、名義を貸した事業者に「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」などを交付する
  • 名義を貸した事業者は、確定申告書を出すときに、交付を受けた書類の写しを所轄の税務署に提出する(その課税期間に輸出免税をまったく受けていない場合を除く)

名義貸しの手数料は、実際の輸出者に対する課税取引の対価で、輸出免税の対象にはなりません。

消費税の還付の仕組みと計算例

計算の考え方

一般課税の納付税額は、売上げの消費税額から仕入れの消費税額を差し引いて計算します。国の消費税は税率7.8%(軽減税率は6.24%)で計算し、地方消費税はその22/78です。輸出の売上げは消費税が免除されるので、売上げの消費税額に入りません。差し引いた結果がマイナスになると、その分が還付されます。計算の手順の全体は消費税の計算方法で説明しています。

納付税額 = 売上げの消費税額 − 仕入れの消費税額
(マイナスになれば、その分が還付)

計算例1:輸出だけの場合

前提:課税期間中の売上げは輸出だけで10,000,000円(免税)。国内での課税仕入れは、商品の仕入れ6,600,000円と経費2,200,000円(いずれも税込み・税率10%)。仕入先はすべてインボイス発行事業者で、インボイスを保存しています。金額は当会で計算しました。

手順計算金額
① 売上げの消費税額輸出は免除(国内の課税売上げはない)0円
② 仕入れの消費税額(6,600,000 + 2,200,000)× 7.8/110624,000円
③ 課税売上割合10,000,000 ÷ 10,000,000100%
④ 控除する仕入税額課税売上高5億円以下・課税売上割合95%以上なので全額624,000円
⑤ 消費税の還付額① − ④ = −624,000624,000円
⑥ 地方消費税の還付額624,000 × 22/78176,000円
⑦ 還付の合計624,000 + 176,000800,000円

還付の合計は、仕入れの税込金額に含まれる消費税と地方消費税(8,800,000 × 10/110 = 800,000円)と同じです。

計算例2:国内の売上げと輸出がある場合

前提:計算例1に、国内の課税売上げ3,300,000円(税込み・税率10%)を加えた場合です。

手順計算金額
① 課税標準額3,300,000 × 100/110(千円未満切捨て)3,000,000円
② 売上げの消費税額3,000,000 × 7.8%234,000円
③ 仕入れの消費税額8,800,000 × 7.8/110624,000円
④ 課税売上割合(3,000,000 + 10,000,000)÷(3,000,000 + 10,000,000)100%
⑤ 消費税の還付額② − ③ = −390,000390,000円
⑥ 地方消費税の還付額390,000 × 22/78110,000円
⑦ 還付の合計390,000 + 110,000500,000円

課税売上割合の計算に使う売上高は税抜きの金額です。輸出の売上げは分子と分母の両方に入るので、国内の売上げと輸出だけの事業者の課税売上割合は100%になります。

輸出の売上げと、課税売上高・課税売上割合

輸出の売上げ(免税売上高)は、次のように扱います。

  • 課税売上割合:分子(課税売上高)と分母(総売上高)の両方に入ります(国税庁 No.6405)。
  • 仕入税額の全額控除:その課税期間の課税売上高(輸出の売上げを含む)が5億円以下で、かつ課税売上割合が95%以上の場合だけ、仕入れの消費税を全額控除できます。課税売上高が5億円を超えるか、課税売上割合が95%未満の場合は、個別対応方式か一括比例配分方式で計算します(No.6401)。例えば、輸出の売上げ10,000,000円のほかに非課税の売上げ(住宅の家賃など)が1,000,000円あれば、課税売上割合は10,000,000 ÷ 11,000,000 = 約90.9%で、95%未満になります。
  • 基準期間・特定期間の課税売上高:免税点(1,000万円)や簡易課税(5,000万円)を判定する基準期間の課税売上高と、特定期間の課税売上高にも、輸出の売上げは含まれます(消費税法基本通達1-4-2)。
  • 非課税資産の輸出など(消費税法31条):非課税となる資産の譲渡等のうち輸出取引等に当たるものや、国外で販売するため・自分で使うために資産を輸出した場合は、証明があれば課税売上割合の分子と分母の両方に入れます(No.6405)。ただし、基準期間の課税売上高には含めません(通達1-4-2)。

還付を受けられない場合と、その対応

還付を受けられるのは課税事業者で、一般課税で申告した場合です。簡易課税、2割特例、3割特例は、売上げの消費税額をもとに納付税額を計算する方法なので、通常、還付は生じません(No.6613、国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」、インボイスQ&A 問117-3)。

立場・申告の方法還付還付を受けたい場合の対応
免税事業者受けられない「消費税課税事業者選択届出書」を出して課税事業者になる。原則として、届出書を出した課税期間の翌課税期間から課税事業者になり、2年間は免税事業者に戻れない。インボイス発行事業者の登録を受けていれば、すでに課税事業者
簡易課税通常、生じない一般課税にしたい課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出す。簡易課税を選んだ場合は2年間続けて適用するので、その期間はやめられない
2割特例(令和8年9月30日を含む課税期間まで)通常、生じない事前の届出なしに申告のときに選ぶ特例なので、簡易課税を選んでいなければ、2割特例を使わずに一般課税で申告できる
3割特例(個人事業者の令和9年分・令和10年分)通常、生じない申告のときに選ぶ特例なので、還付を受けたい年分は3割特例を使わずに一般課税で申告する

課税事業者選択届出書を出して課税事業者になった事業者が、課税事業者になった日から2年以内に始まる課税期間中に、税抜き100万円以上の固定資産(調整対象固定資産)を買い、その課税期間を一般課税で申告した場合は、原則として3年間は免税事業者に戻れません(国税庁 No.6501)。届出の時期はNo.6505で確認できます。

それぞれの制度は、簡易課税制度のしくみ、2割特例はいつまで使えるか、個人事業者の3割特例で説明しています。どの方法で申告すると納付額(還付額)がどうなるかは、消費税計算ツール(一般課税・簡易課税・2割特例の比較)で試算できます。

輸出する商品の仕入先に、インボイス発行事業者でない事業者(免税事業者など)がいる場合、その仕入れの消費税は経過措置により一部だけ控除でき、控除できる割合は2026年10月1日から70%です(免税事業者等からの仕入れの経過措置)。その分、還付額も少なくなります。

還付申告の手続き

申告の期限

還付を受ける場合も、申告の期限は納付がある場合と同じです(国税庁 No.6601、No.6610)。

  • 法人:課税期間の終了の日の翌日から2か月以内。法人税の申告期限の延長の特例を受ける法人が「消費税申告期限延長届出書」を出した場合は、事業年度終了の日を含む課税期間の申告期限が1か月延びます(延びた期間の納付には利子税がかかります)。
  • 個人事業者:翌年3月31日まで。

課税売上げがなく納付税額もない課税期間でも、仕入れの消費税や中間納付額があれば還付申告ができます(No.6601)。期限の延長と納付の方法は消費税の納付期限と延長で説明しています。

申告書と添付書類

申告書の第一表と第二表に、該当する付表(標準税率7.8%・軽減税率6.24%の取引だけなら付表1-3と付表2-3)を添付します。還付申告書(中間還付を除く)を出す場合は、「消費税の還付申告に関する明細書」(法人用・個人事業者用)も添付します(国税庁 消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等)。

法人用の明細書の主な記載事項は次のとおりです(明細書(法人用)の様式、記載要領)。金額は千円単位(千円未満切捨て)で書きます。

  1. 還付申告となった主な理由(輸出等の免税取引の割合が高い、設備投資、その他)
  2. 主な課税資産の譲渡等(輸出取引等を除き、取引金額100万円以上のものを上位10番目まで)
  3. 主な輸出取引等の明細(取引先の氏名・名称と住所、取引金額、主な取引商品等、所轄税関(支署)名。取引金額の合計の上位10番目まで)
  4. 輸出取引等に利用する主な金融機関と主な通関業者
  5. 仕入金額等の明細、主な棚卸資産・原材料等の取得(100万円以上を上位5番目まで)、主な固定資産等の取得(1件100万円以上を上位10番目まで)
  6. 当課税期間中の特殊事情(顕著な増減事項とその理由)

還付金を受け取る口座は、明細書ではなく、申告書(第一表)の「還付を受けようとする金融機関等」欄に書きます(国税庁「消費税及び地方消費税の申告書(一般用)の書き方」法人用)。申告書と付表の各欄は消費税申告書の書き方、e-Taxでの提出はe-Taxで消費税の確定申告をする方法で説明しています。

還付までの期間

国税庁は、2月・3月の確定申告期間中に提出された所得税等と消費税等の還付申告について、支払手続におおむね1か月から1か月半程度かかるとしています。自宅や税理士事務所などからe-Taxで提出された還付申告は3週間程度で処理しているとしていますが、訂正申告など同じ人から複数回の申告がある場合や、書類の不備、書面による別送書類の提出がある場合は対象外です(国税庁 確定申告期Q&A【税金の還付】Q41)。これ以外の時期や法人の還付申告について、国税庁が公表している目安は、当会では確認できていません。

還付を早く受けたいとき:課税期間の短縮

課税期間は、届出によって3か月ごとまたは1か月ごとに短縮できます。短縮した課税期間ごとに申告するので、還付も課税期間ごとに受けられます(国税庁 No.6137)。

  • 適用を受けたい課税期間の開始の日の前日までに、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を所轄の税務署に出します。
  • 事業を廃止した場合を除き、2年間はやめられません。
  • 申告の回数が増えます(1か月ごとなら年12回)。課税期間の特例を受けている事業者は、中間申告の必要はありません(No.6609)。

輸入取引の消費税(輸入消費税)

輸入のときにかかる税

外国から到着した貨物を国内に引き取るには、税関に輸入申告をして、関税、消費税(国税)、地方消費税を納めます。酒類やたばこなど、消費税以外の個別の消費税(酒税・たばこ税など)がかかる貨物は、それらも納めます(税関 カスタムスアンサー1302、1111)。輸入消費税を納めるのは、外国貨物を保税地域から引き取る者です(消費税法5条2項)。酒税の税率は酒税の仕組みと2026年10月の税率改正で説明しています。

輸入消費税の計算方法と計算例

輸入消費税の課税標準は、関税の課税価格に、関税額と、消費税以外の個別の消費税(酒税・たばこ税など)の額を加えた金額です(消費税法28条4項)。関税の課税価格は、原則として、実際に支払う商品の代金に、輸入港に到着するまでの運賃・保険料などを加えた額(いわゆるCIF価格)です(税関 カスタムスアンサー1403)。端数は、課税価格と課税標準は千円未満、関税額と消費税額は百円未満を切り捨てます。地方消費税は、消費税額の22/78です(税関 カスタムスアンサー1111)。

前提:CIF価格1,000,000円の貨物(酒税などはかからないもの)。関税率10%は説明のための仮定で、実際の税率は品目ごとに税関の実行関税率表で確認します。金額は当会で計算しました。

手順計算金額
① 関税の課税価格(CIF価格)千円未満切捨て1,000,000円
② 関税1,000,000 × 10%(仮定。百円未満切捨て)100,000円
③ 消費税の課税標準1,000,000 + 100,000(千円未満切捨て)1,100,000円
④ 消費税(国税)1,100,000 × 7.8%(百円未満切捨て)85,800円
⑤ 地方消費税85,800 × 22/78(百円未満切捨て)24,200円
⑥ 輸入消費税の合計85,800 + 24,200110,000円
⑦ 輸入時に納める税の合計100,000 + 110,000210,000円

課税事業者が一般課税で申告する場合、④の消費税85,800円が仕入税額控除の対象になります。付表2-3では「課税貨物に係る消費税額」欄に記載します(国税庁「消費税及び地方消費税の申告書(一般用)の書き方」)。

納付の時期と納期限の延長

輸入消費税は、原則として課税貨物を保税地域から引き取る時までに納めます(No.6601)。税額に相当する担保の提供などを条件に、納期限を延ばす制度があります(税関 カスタムスアンサー1302)。

方式延長できる期間担保
個別延長方式輸入申告ごとに、輸入許可日の翌日から3か月以内必要
包括延長方式特定の月分をまとめて、その月の末日の翌日から3か月以内(申請はその月の前月末日まで)必要
特例延長方式特例輸入者・特例委託輸入者が特例申告をする場合に、特例申告書の提出期限から2か月以内特例輸入者は、関税等の保全のために必要な場合を除き不要

特例輸入者は、あらかじめ税関長の承認を受けた輸入者で、納税申告の前に貨物を引き取ることができます(税関 カスタムスアンサー1901)。

仕入税額控除の要件:輸入許可書等と帳簿(インボイスは不要)

輸入消費税を控除するには、次の2つを保存します(消費税法30条7項〜9項)。国内の仕入れと違い、インボイスは必要ありません。

  • 輸入許可書等:税関長から交付を受ける輸入の許可があったことを証する書類など。納税地を所轄する税関長、引き取ることができるようになった年月日、課税貨物の内容、課税標準の金額と消費税額・地方消費税額、交付を受ける事業者の氏名・名称が記載されたもの
  • 帳簿:課税貨物を引き取った年月日、課税貨物の内容、引取りにかかる消費税額と地方消費税額(またはその合計額)を記載したもの

通関業者に払う手数料や国内の運送料などは、輸入消費税とは別の取引です。国内で受けるサービスの対価が課税仕入れに当たる場合、その控除にはインボイスの保存が必要です(No.6496)。インボイスの仕組みはインボイス制度の概要で説明しています。

控除できるのは輸入申告をした者

輸入消費税を控除するのは、課税貨物を保税地域から引き取った者、つまり輸入申告をした者です。輸入代行業者が申告手続を代わりに行い、輸入消費税を一時的に立て替えても、控除するのは輸入申告者(通常は仕入書に荷受人と記載された輸入者)で、代行業者は控除できません(国税庁 質疑応答事例「輸入手続を委託した場合の仕入税額控除」)。

関税割当制度や関税の軽減・免除を受けるため、名義人の名で輸入申告をしなければならない「限定申告」で、名義人とは別に実質的な輸入者がいる場合は、実質的な輸入者が引取りにかかる消費税を負担し、名義人名義の輸入許可書と消費税の領収証書の原本を保存するなどの要件を満たせば、実質的な輸入者が控除します(消費税法基本通達11-1-6)。

簡易課税・2割特例・3割特例と輸入消費税

簡易課税では、仕入れの消費税を実際の額ではなく、売上げの消費税額にみなし仕入率を掛けて計算します(No.6505)。2割特例・3割特例も売上げの消費税額をもとに計算します。そのため、これらの方法で申告する課税期間は、輸入時に納めた消費税を実際の額で控除することはなく、多額の輸入があっても還付は生じません。

少額輸入貨物(1万円以下)と、2028年4月からの見直し

課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入は、関税と消費税が免除されます。ただし、酒税・たばこ税など消費税以外の内国消費税は免除されません。革製のかばん・ハンドバッグ・手袋、編物製の衣類、スキー靴、革靴などは、1万円以下でも免税になりません(税関 カスタムスアンサー1006)。

【確定・2028年4月1日施行】令和8年度税制改正により、通信販売で国外から国内に発送する、1つの資産の対価が1万円(税抜き)以下の資産の譲渡(特定少額資産の譲渡)について、2028年4月1日から次のように変わります。

  • 国内取引として課税:販売した事業者が、国内・国外を問わず申告・納税します(免税事業者を除く)。
  • 引取り時の消費税は原則免除:税務署長の登録を受けた「特定少額資産販売事業者」の貨物は、輸入申告書などに登録番号などを付記すれば、引取り時の消費税が免除されます(登録申請は2027年10月1日から受け付けます)。
  • プラットフォーム課税:対象の販売の対価の合計額が50億円を超えるなどの要件で国税庁長官の指定を受けた「第二種プラットフォーム事業者」は、そのプラットフォームを介して行われる国外事業者の国内での販売や特定少額資産の譲渡(対価をプラットフォーム事業者を介して受け取るもの)について、自ら販売したものとみなして申告・納税します。

根拠は国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」です。海外向け・海外からのネット販売の実務は越境ECの消費税と関税で扱っています。なお、個人が使用する輸入品にかかる関税の少額免税の特例(海外小売価格16,666円まで)は、これとは別に2028年3月末で廃止されます(消費税ではなく関税の特例のため、詳しくは税関の資料でご確認ください)。

外貨建ての価格を円に換算する為替レート

課税価格の計算では、外国通貨の価格を、輸入申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の週間平均値に基づき、税関長が毎週公示する為替相場で円に換算します(税関 カスタムスアンサー1406)。実際に決済したときの為替レートとは異なることがあります。

【予定・法案未成立】輸入する飲食料品の税率を1%にする案

2026年9月15日に閣議決定された大綱では、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の販売と、保税地域から引き取る飲食料品の消費税率を1%(国0.78%・地方0.22%)に引き下げる案が示されています。法律はまだ成立していません。国税庁の資料も、今後、法案が国会で可決・成立した場合の内容として説明しています(国税庁 消費税率引下げ特設サイト)。1%の対象になる飲食料品の範囲は、現在軽減税率(8%)の対象になっている飲食料品と同じとされています(新聞の定期購読は8%のまま)。

国外事業者から受けるサービス(リバースチャージ方式)

国外事業者から受けるサービスのうち、次の2つは、サービスを受けた国内の事業者が「特定課税仕入れ」として消費税を申告・納税します(リバースチャージ方式。国税庁 No.6118、No.6405)。

区分内容対象になった時期
事業者向け電気通信利用役務の提供国外事業者がインターネットなどを介して行う役務のうち、役務の性質や取引条件などから、受ける者が通常事業者に限られるもの平成27年10月1日以後
特定役務の提供国外事業者が行う、俳優・音楽家などの芸能人や職業運動家の役務の提供を主な内容とする事業として、他の事業者に対して行うもの(不特定多数の者に対して行うものを除く)平成28年4月1日以後

一般課税で課税売上割合が95%以上の課税期間、簡易課税の課税期間、2割特例・3割特例を適用する課税期間は、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされ、申告も仕入税額控除もしません(No.6118、国税庁「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係に関するQ&A」)。リバースチャージの対象になるサービスを行う国外事業者は、あらかじめ、サービスを受ける事業者に納税義務があることを表示しなければなりません(消費税法62条)。

それ以外の電気通信利用役務(いわゆる消費者向け)は、国外事業者が申告・納税します。2025年(令和7年)4月以降は、プラットフォーム課税の対象となるものについて、国税庁長官の指定を受けたプラットフォーム事業者が申告・納税します(No.6118)。仕訳や申告書の書き方はリバースチャージ方式の解説にあります。

2026年以降の改正と施行日

輸出入と消費税に関係する改正を、施行日の順にまとめました(2026年9月26日時点)。

日付内容状況
2026年9月30日2割特例を使える最後の日(この日を含む課税期間まで)確定
2026年10月1日代金を現金等で受け取る輸出は、仕向国の輸入許可書等の保存が必要に確定
2026年10月1日非居住者に対する国内の不動産の仲介などが課税に(2026年3月31日までの契約に基づくものは従前どおり免税)確定
2026年10月1日免税事業者などからの仕入れで控除できる割合が80%から70%に(一の相手からの仕入れの年1億円の上限は、同日以後に開始する課税期間から)確定
2026年11月1日免税店がリファンド方式に移行。直送制度では運送契約書等の保存が必要に確定
2027年分・2028年分個人事業者の3割特例(令和9年分・令和10年分)確定
2027年4月1日〜2029年3月31日飲食料品(輸入を含む)の税率を1%に引き下げる案予定・法案未成立
2027年10月1日特定少額資産販売事業者の登録申請の受付開始確定
2028年4月1日通信販売による1万円以下の少額輸入貨物の販売が国内取引として課税に。第二種プラットフォーム事業者による申告・納税が開始確定

出典:国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」、No.6551、国税庁 インボイス制度 令和8年度税制改正特集、消費税のあらまし、国税庁 消費税率引下げ特設サイト。

よくある質問

輸出の売上げは、課税売上高や課税売上割合に含まれますか。

含まれます。輸出による免税売上高は、課税売上割合の分子と分母の両方に入り、免税点(1,000万円)や簡易課税(5,000万円)を判定する基準期間の課税売上高にも含まれます。非課税資産の輸出など(消費税法31条)は、課税売上割合には含めますが、基準期間の課税売上高には含めません。〔国税庁 No.6405、消費税法基本通達1-4-2〕

簡易課税や2割特例で申告すると、輸出の還付は受けられますか。

簡易課税、2割特例、3割特例は、売上げの消費税額をもとに納付税額を計算するので、通常、還付は生じません。還付を受けるには一般課税で申告します。2割特例と3割特例は申告のときに選ぶ特例なので、簡易課税を選んでいなければ、使わずに一般課税で申告できます。簡易課税をやめるには、一般課税にしたい課税期間の初日の前日までに簡易課税制度選択不適用届出書を出します(簡易課税は2年間続けて適用します)。〔国税庁「2割特例用 確定申告の手引き」、No.6505〕

免税事業者が輸出の還付を受けるには、どうすればよいですか。

免税事業者は還付を受けられないので、消費税課税事業者選択届出書を出して課税事業者になります。原則として、届出書を出した課税期間の翌課税期間から課税事業者になり、2年間は免税事業者に戻れません。その間に税抜き100万円以上の固定資産(調整対象固定資産)を買って一般課税で申告した場合は、原則として3年間、免税事業者に戻れません。インボイス発行事業者の登録を受けていれば、すでに課税事業者です。〔国税庁 No.6613、No.6501〕

20万円以下の商品をEMSや小包で送った場合、何を保存すればよいですか。

日本郵便株式会社から交付を受けた郵便物の引受けを証する書類と、発送伝票等の控え(輸出した事業者の氏名・名称と住所等、品名と品名ごとの数量・価額、受取人の氏名・名称と住所等、日本郵便株式会社による引受けの年月日が記載されたもの)を7年間保存します。通常郵便物の場合は、引受けを証する書類に品名と品名ごとの数量・価額を追記したものを保存します。20万円はFOB価格(原則として現実の決済金額)で郵便物1個ごとに判定し、同じ受取人に分けて送る場合は合計額で判定します。〔国税庁 No.6551〕

2026年10月から、代金を現金で受け取る輸出は何が変わりますか。

2026年10月1日以後の輸出(資産の譲渡・貸付け)で、代金を現金、暗号資産交換業者を介さない暗号資産、取引相手以外の者からの振込(保証人など支払義務を負うことが明らかな者からのものを除く)など、取引相手からの支払いであることが明らかでない方法で受け取る場合は、輸出許可書などに加えて、仕向国の税関が発行する輸入許可書など輸入の事実を証する書類(電磁的記録を含みます)の保存が必要です。取引相手からの銀行振込や荷為替手形による決済は対象外です。〔国税庁 No.6551〕

輸出代行(名義貸し)を使った場合、輸出免税を受けるのは誰ですか。

一定の措置をとれば、輸出申告書に名義を貸した事業者ではなく、実際に輸出した事業者が受けられます。実際の輸出者は輸出申告書等の原本を保存して、名義を貸した事業者に「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」などを交付し、名義を貸した事業者は確定申告のときにその写しを税務署に提出します。名義貸しの手数料は課税され、輸出免税の対象になりません。〔国税庁 質疑応答事例「輸出取引に係る輸出免税の適用者」〕

輸入代行業者に通関を任せた場合、輸入消費税を控除できるのは誰ですか。

輸入申告をした者(通常は仕入書に荷受人と記載された輸入者)です。輸入代行業者が申告手続を代わりに行い、輸入消費税を一時的に立て替えても、代行業者は控除できません。名義人とは別に実質的な輸入者がいる「限定申告」の場合は、一定の要件を満たせば実質的な輸入者が控除します。〔国税庁 質疑応答事例「輸入手続を委託した場合の仕入税額控除」、消費税法基本通達11-1-6〕

輸入消費税の控除にインボイスは必要ですか。

必要ありません。税関長から交付を受けた輸入許可書等と、引き取った年月日・課税貨物の内容・引取りにかかる消費税額と地方消費税額を記載した帳簿を保存します。通関業者への手数料や国内の運送料など、国内で受けるサービスの対価が課税仕入れに当たる場合は、その控除にはインボイスが必要です。〔消費税法30条、国税庁 No.6496〕

三国間貿易は輸出免税ですか。

国外で買った商品を日本に持ち込まずに他へ売る三国間貿易は、国外取引なので消費税の課税対象外(不課税)で、輸出免税ではありません。国外で買った貨物を国内の保税地域に陸揚げし、輸入手続をせずに再び国外へ売る場合は、輸出免税の対象です。〔国税庁 No.6210、消費税法基本通達7-2-3〕

無償で海外に送るサンプル品の消費税は、どうなりますか。

対価を受け取らないので消費税の課税対象外(不課税)で、輸出免税ではありません。販売促進のために配るサンプル品の原材料などの課税仕入れは仕入税額控除の対象になり、個別対応方式では「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」に区分します。〔国税庁 No.6209、質疑応答事例「試作用、サンプル用資材の税額控除」〕

消費税の還付申告には、何を添付しますか。

申告書の第一表・第二表に、該当する付表(標準税率・軽減税率の取引だけなら付表1-3と付表2-3)を添付し、還付申告書(中間還付を除く)を出すときは「消費税の還付申告に関する明細書」(法人用・個人事業者用)も添付します。法人用の明細書には、還付申告となった主な理由、主な課税資産の譲渡等、主な輸出取引等の明細(取引先、取引金額、主な取引商品等、所轄税関)、輸出取引等に利用する主な金融機関と通関業者、仕入金額等の明細などを記載します。〔国税庁 消費税及び地方消費税の申告書・添付書類等、還付申告明細書(法人用)の記載要領〕

還付を早く受ける方法はありますか。

課税期間を3か月ごとまたは1か月ごとに短縮すると、短縮した課税期間ごとに申告するので、還付も課税期間ごとに受けられます。適用を受けたい課税期間の開始の日の前日までに「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を出します。事業を廃止した場合を除き2年間はやめられず、申告の回数も増えます。〔国税庁 No.6137〕

リバースチャージ方式の対象かどうかは、どう確かめればよいですか。

リバースチャージ方式の対象になるサービスを行う国外事業者は、あらかじめ、サービスを受ける事業者に納税義務があることを表示しなければなりません。請求書や契約書にその表示があるかを確認します。一般課税で課税売上割合が95%以上の課税期間や、簡易課税・2割特例・3割特例の課税期間は、特定課税仕入れはなかったものとされます。〔消費税法62条、国税庁 No.6118〕

まとめ

輸出するときの確認事項

  • 取引が輸出免税の対象か。国内で直接便益を受けるサービス、輸出する物品の加工委託、輸出業者への国内での販売、2026年10月1日以後の非居住者向けの国内不動産の仲介は課税されます。
  • 取引の区分に応じた証明書類を7年間保存しているか。20万円以下の郵便物は、引受けを証する書類と発送伝票等の控えが必要です。
  • 2026年10月1日以後、代金を現金などで受け取る輸出では、仕向国の輸入許可書などを入手できるか。
  • 還付を受けたい課税期間を一般課税で申告できるか。免税事業者は課税事業者選択届出書、簡易課税は不適用届出書の期限を確認します。
  • 還付申告に「消費税の還付申告に関する明細書」を添付したか。

輸入するときの確認事項

  • 輸入申告をするのは自社か(輸入代行業者の名義ではないか)。
  • 輸入許可書等と、引取りの年月日・貨物の内容・税額を記載した帳簿を保存しているか。
  • 課税標準に、CIF価格、関税、酒税などの個別の消費税を含めて計算しているか。
  • 通関業者の手数料などのインボイスを、輸入許可書等とは別に保存しているか。

出典・参考資料

いずれも2026年9月25日〜26日に内容を確認しました。国税庁タックスアンサーは令和8年4月1日現在法令等に基づくものです。

国税庁 タックスアンサー

国税庁 パンフレット・様式・Q&A

国税庁 通達・質疑応答事例

税関(財務省関税局)

法令

改訂履歴と監修について

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2025年7月11日:公開
  • 2026年9月25日:誤記を訂正(郵便物で輸出する場合の証明書類、2026年10月1日からの改正2件、輸入消費税の計算例、三国間貿易、全額控除の条件、無償サンプル、輸入時に保存する書類、還付申告明細書の記載事項、還付までの期間)
  • 2026年9月26日:全面改訂(令和8年度税制改正への対応、免税・非課税・不課税の比較表、輸出免税にならない取引の一覧、取引の区分ごとの証明書類の表、還付の計算例2つと輸入消費税の計算例を本文の表で掲載、還付を受けられない場合の対応、輸入消費税の控除の要件、改正と施行日の一覧を追加。図は表に置き換え、よくある質問を作り直し)

監修の状況は、冒頭の「監修について」のとおりです。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。公的な無料の相談先は新宿で税金の相談をしたいときにまとめています。

業種別の税務ガイド

飲食業・IT・建設・小売・医療・不動産・教育・製造・フリーランス・運輸の10業種について、業種ごとの計算例や年間の税務スケジュールをまとめています。

新宿間税会に入会しませんか?

消費税に関する知識習得、異業種との交流、税制への提言など、様々な活動に参加できます。

年会費は、2027年6月の定期総会までは正会員4,800円・賛助会員1,200円、定期総会の後は正会員8,000円・賛助会員6,000円で、入会金はかかりません。

入会のご案内