個人事業主の確定申告はいくらから必要か:所得の目安、副業20万円ルール、申告期間(令和8年分)
個人事業主の所得税の確定申告が必要かどうかは、売上ではなく所得(収入から必要経費を引いた金額)で決まります。令和8年分(2026年分)の基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円に上がるため、ほかに所得控除がなければ、所得(青色申告特別控除を受ける人は、それも引いた後の金額)が104万円を超えると申告が必要です。会社員の副業のように給与がある人は、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の申告は不要ですが、住民税の申告は別に必要です。令和8年分の申告期間は、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。
個人事業主の確定申告はいくらから必要か(令和8年分の目安)
| 知りたいこと | 目安 |
|---|---|
| 所得税の申告が必要になる目安 | 所得が、基礎控除(令和8年分は合計所得金額489万円以下で104万円)などの所得控除の合計を超えるとき。売上の額では決まりません |
| 会社員の副業 | 給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の申告は不要(給与の収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受けているなどの条件つき)。住民税の申告は別に必要です |
| 申告が不要でも出したほうがよい場合 | 源泉徴収された税の還付を受けたいとき、青色申告で赤字を繰り越したいとき、国民健康保険料などの算定のために所得の申告が必要なとき |
| 令和8年分の申告期間 | 2027年2月16日(火)〜3月15日(月)。納付の期限も3月15日です |
| 申告しなかったとき | 納める税があれば、無申告加算税(調査の事前通知の前に自分から期限後申告をした場合は5%)と延滞税がかかります |
| 別の基準になる税 | 消費税は前々年の課税売上高1,000万円超またはインボイス登録、住民税は前年の合計所得金額45万円超(東京23区の単身者)、個人事業税は事業主控除の年290万円を超える所得です |
基礎控除の額は令和8年分の基礎控除、売上と所得の関係は売上がいくらを超えると所得税がかかり始めるか、副業の20万円は会社員の副業、期間は令和8年分の申告期間で説明しています。表の金額のうち当会が計算したものには「(当会計算)」と付けています。
【確定】令和8年分(2027年2〜3月に申告する分)で押さえる3点
- 基礎控除は最高104万円:令和8年分・令和9年分は、合計所得金額489万円以下で104万円です。令和8年法律第12号による改正で、規定は2026年12月1日に施行されます(令和8年分の基礎控除)。
- 申告期間は2027年2月16日(火)から3月15日(月):所得税の申告と納付の期限は3月15日です。個人事業者の消費税は別の日で、3月31日(水)です(令和8年分の申告期間)。
- 副業の20万円は所得税だけの基準:給与以外の所得が20万円以下でも、住民税の申告は別に必要です。給与のない個人事業主には、この20万円の基準は使えません(会社員の副業)。
目次
所得税の確定申告が必要になる基準
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
売上ではなく所得で決まる
所得税の確定申告が必要かどうかは、売上(総収入金額)の大きさではなく、所得の大きさで決まります。個人事業主の所得(事業所得)は、売上などの収入から必要経費を引いた金額です。青色申告特別控除を受ける人は、さらにその額を引いた金額が所得になります(国税庁 タックスアンサー No.2072)。売上が大きくても、経費が大きければ所得は小さくなります。所得の計算の流れは、個人事業主の税金一覧の「計算の流れ」で説明しています。
申告が必要になる条件
所得税法は、1月1日から12月31日までの所得の合計が所得控除の合計を超え、その超える額に対する税額が配当控除の額より大きいときに、確定申告書を提出するよう定めています(所得税法120条1項、国税庁 No.2020)。配当所得のない個人事業主では、「所得から所得控除を引いて、課税所得が残るかどうか」で判断できます(当会の整理)。
- 所得控除には、基礎控除のほか、社会保険料控除(国民年金保険料・国民健康保険料など)、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除などがあります(国税庁 No.1100、No.1130)。
- 所得が所得控除の合計以下なら課税所得はなく、所得税の確定申告をする義務はありません。課税所得は1,000円未満を切り捨てて計算します(国税庁 No.2260)。
- 申告の要否は、所得の金額で決まります。開業届を出したかどうかでは決まりません(所得税法120条、当会の整理)。
- 源泉徴収された税額が、年間の所得に対する税額より多いときは、申告の義務はありませんが、申告すると差額の還付を受けられます(源泉徴収された税の還付)。
令和8年分の基礎控除は最高104万円
【確定・2026年12月1日施行】基礎控除は、合計所得金額(所得の合計。事業所得なら、収入から必要経費と青色申告特別控除を引いた後の金額を含みます)に応じて決まる所得控除です。令和7年度の税制改正で、本則の額が48万円から58万円に上がりました(財務省「令和7年度税制改正の大綱」)。令和8年度の税制改正(令和8年法律第12号、2026年3月31日成立)では、本則がさらに4万円上がって62万円になり、特例の加算額も見直されました(財務省「令和8年度税制改正の大綱」(PDF))。
令和8年分・令和9年分は、本則の62万円に、合計所得金額489万円以下なら42万円、489万円超655万円以下なら5万円の加算があります。合計は、489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円です(62万円+42万円、62万円+5万円。当会計算)。
| 合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 | 令和10年分以後 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 | 99万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 | 62万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 | 62万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 | 62万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 | 62万円 |
合計所得金額が2,350万円を超える場合は、2,400万円以下48万円、2,450万円以下32万円、2,500万円以下16万円、2,500万円超0円です(各年分共通)。出典:国税庁 タックスアンサー No.1199(令和8年4月1日現在法令等)、財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」(第221回国会)。
令和8年分の基礎控除の規定は、2026年12月1日に施行されます(国税庁 No.1199、国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(PDF))。2026年10月6日時点では施行前ですが、令和8年分の所得税に適用されるため、2027年2〜3月の確定申告では改正後の額で計算します。令和7年分(2026年2〜3月に申告した分)の最高額は95万円でした。税制改正の全体は令和8年度税制改正の確定事項で説明しています。
売上がいくらを超えると所得税がかかり始めるか
ほかに所得がなく、所得控除が基礎控除の104万円だけの個人事業主の目安です。「売上−経費−青色申告特別控除」が104万円を超えると、課税所得が生じて所得税がかかり始め、申告が必要になります。
| 必要経費 | 青色申告特別控除なし(白色申告など) | 青色申告特別控除10万円 | 青色申告特別控除65万円 |
|---|---|---|---|
| 0 | 104 | 114 | 169 |
| 50 | 154 | 164 | 219 |
| 100 | 204 | 214 | 269 |
| 200 | 304 | 314 | 369 |
| 300 | 404 | 414 | 469 |
| 500 | 604 | 614 | 669 |
売上=必要経費+青色申告特別控除の額+104万円として当会が計算しました。55万円・65万円の青色申告特別控除は、期限内に確定申告書を出して受ける控除です(国税庁 No.2072)。65万円の列は、期限内に申告して控除を受けた場合の目安です。合計所得金額が489万円を超えると基礎控除は67万円以下に下がるため、この表は所得が489万円以下の範囲で使えます。
国民年金保険料や国民健康保険料などの社会保険料控除があれば、その額だけ、かかり始める売上も上がります。たとえば社会保険料控除が60万円(仮の数値)なら、所得控除の合計は104万円+60万円=164万円です。青色申告特別控除65万円を受ける人は、「売上−必要経費」が229万円以内なら、所得税はかかりません(当会計算)。
所得別の早見表(令和8年分)
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
売上と必要経費の組み合わせ別に、所得税と復興特別所得税がいくらになるかを、次の条件で計算しました(当会計算)。
- 令和8年分(2026年1月〜12月)の所得で計算します。ほかの所得はなく、所得控除は基礎控除だけの単身者です(社会保険料控除などがあれば、実際の税額はこれより低くなります)。
- 青色申告特別控除は65万円を受けるものとします。
- 所得税と復興特別所得税(所得税額の2.1%)の合計です。住民税・個人事業税・消費税は含みません。
| 売上 | 必要経費 | 売上−経費 | 青色65万円控除後の所得 | 基礎控除 | 課税所得 | 所得税・復興特別所得税(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 150 | 30 | 120 | 55 | 104 | 0 | 0 |
| 200 | 30 | 170 | 105 | 104 | 1 | 500 |
| 300 | 60 | 240 | 175 | 104 | 71 | 36,200 |
| 500 | 150 | 350 | 285 | 104 | 181 | 92,400 |
| 800 | 300 | 500 | 435 | 104 | 331 | 239,400 |
| 1,000 | 400 | 600 | 535 | 67 | 468 | 519,100 |
所得税は、課税所得(1,000円未満切捨て)に国税庁 No.2260の速算表の税率をかけて計算し、復興特別所得税(2.1%)は1円未満、合計は100円未満を切り捨てました。基礎控除は国税庁 No.1199の額です。売上と必要経費は、計算の例として当会が仮に置いた数値で、実在の事業者の数値ではありません。
最後の行(売上1,000万円・経費400万円)は、青色申告特別控除を引いた後の所得が535万円で489万円を超えるため、基礎控除が104万円から67万円に下がっています。売上800万円・経費300万円の行は所得が435万円で、489万円以下なので104万円です。
基礎控除が令和7年分の額のままなら、税額はもっと大きくなります。たとえば所得175万円の行では、令和7年分の基礎控除88万円で計算すると44,400円、令和8年分の104万円で計算すると36,200円です(当会計算)。住民税・個人事業税も含めた税額の早見表は、個人事業主の税金一覧の所得別の税額の目安にあります。
会社員の副業:20万円以下なら所得税の申告は不要
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
20万円以下で申告が不要になる条件
会社員やアルバイトなど給与を受けている人が、副業で個人事業の所得を得るときは、次の全部に当てはまれば、所得税の確定申告は不要です(所得税法121条1項1号、国税庁 No.1900、No.2020)。
- その年の給与の収入金額が2,000万円以下であること
- 給与を1か所から受けていて、その給与の全部について源泉徴収(年末調整を含む)がされていること
- 給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であること
「給与所得と退職所得以外の所得」には、事業所得、雑所得、不動産所得、譲渡所得、一時所得、配当所得などが入ります。確定申告をしないことを選んだ上場株式の配当や、源泉分離課税の預貯金の利子などは、この合計に含めません(国税庁 No.1900)。給与を2か所以上から受けている場合は、年末調整されなかった給与の収入金額と給与以外の所得の合計で判定する別の規定があります(国税庁 No.1900)。
20万円は売上ではなく所得
20万円は、収入(売上)ではなく所得(収入−必要経費)で判定します。次の例のように、収入が20万円を超えていても、所得が20万円以下なら所得税の申告は不要です。
| 副業の収入 | 必要経費 | 所得 | 所得税の確定申告 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 20万円 | 30万円 | 必要(所得が20万円を超える) |
| 30万円 | 15万円 | 15万円 | 不要(住民税の申告は別) |
| 25万円 | 0円 | 25万円 | 必要(所得が20万円を超える) |
| 100万円 | 85万円 | 15万円 | 不要(住民税の申告は別) |
所得は、収入から必要経費を引いて当会が計算しました。収入と必要経費は計算の例として仮に置いた数値で、ほかの所得はないものとします。
青色申告の承認を受けている人は、10万円の青色申告特別控除を引いた後の金額で判定します。たとえば、控除前の所得が29万円なら、10万円を引いた19万円で判定し、20万円以下なので申告は不要です(国税庁 質疑応答事例「青色申告特別控除(10万円)と確定申告の要否」)。法令の規定により、確定申告書の提出などを条件に受ける特例は、この判定の計算では適用しないとされています(所得税基本通達121-6)。55万円・65万円の青色申告特別控除は、期限内の確定申告書の提出が条件なので、この判定では引かない取扱いになると読めます(当会の読み。迷うときは税務署に確認してください)。
住民税の申告は別に必要
20万円の基準は、所得税の確定申告だけの話です。住民税は、所得税の確定申告をしない人でも、給与以外の所得があれば申告が必要です。
- 地方税法は、1月1日に住所がある人に、3月15日までに住民税の申告書を出すよう定めています。例外は、給与や公的年金だけで、給与所得・公的年金等以外の所得がない人などです。この例外に、20万円以下の副業所得を持つ人は当たりません(地方税法317条の2第1項、当会の整理)。
- 新宿区は、住民税の申告が必要な人を、1月1日現在区内に住所があり、前年に所得があった人とし、不要な人として、税務署に所得税の確定申告をする人、年末調整が終わった給与のほかに所得がない人、公的年金等の所得だけで各種控除を受けない人を挙げています(新宿区「住民税について」)。
- 所得税の確定申告書を出した場合は、住民税の申告書が出されたものとみなされます(地方税法317条の3第1項)。
住民税の仕組みと金額は、個人事業主の住民税で説明しています。
個人事業主が本業のときは、20万円の基準は使えない
この20万円の基準は、給与所得がある人(所得税法121条1項)と、公的年金等を受けている人(同条3項。年金の収入が400万円以下で、全部が源泉徴収され、年金以外の所得が20万円以下)のための規定です。給与も年金もなく、事業所得だけの個人事業主は、所得が20万円以下でも申告が不要になるわけではありません。所得が所得控除の合計を超えるかで判断します(当会の整理)。
事業のほかにアルバイトなどの給与も受けている個人事業主は、給与以外の所得、つまり事業所得などが20万円以下かどうかで判定します。事業所得が20万円を超えれば、所得税の確定申告が必要です。
申告が不要でも、申告したほうがよい場合
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
所得が所得控除の合計以下で、所得税の申告の義務がない人でも、申告することで受けられるものがあります。ここでは、国税庁や新宿区の案内で確認できたものだけを挙げます。
| 場面 | 申告するとどうなるか | 出典 |
|---|---|---|
| 報酬から所得税が源泉徴収されている | 源泉徴収された税が、年間の所得に対する税額より多ければ、差額の還付を受けられます。翌年1月1日から5年間、出せます | 国税庁 No.2030 |
| 赤字になった(青色申告) | 赤字を翌年以後3年間繰り越して、各年の所得から差し引けます | 国税庁 No.2070 |
| 青色申告特別控除(55万円・65万円)を受けたい | 期限内に確定申告書を出すことが、控除を受ける条件です | 国税庁 No.2072 |
| 国民健康保険料・児童手当などの手続がある | 住民税の申告が、保険料の算定や手続の資料になります。確定申告をすれば、住民税の申告は不要です | 新宿区「保険料」、「住民税について」 |
| 所得金額の証明書がほしい | 確定申告書などを提出した場合に、納税証明書(その2)で所得金額を証明してもらえます | 国税庁 納税証明書の交付請求手続 |
源泉徴収された税の還付
原稿料や講演料などの報酬は、支払う側が所得税と復興特別所得税を源泉徴収します。1回の支払金額が100万円以下の部分の割合は10.21%です(国税庁 No.2795)。源泉徴収の対象になる報酬・料金は、原稿料や講演料のほか、一定のものに限られます(国税庁 No.2792)。フリーランスの源泉徴収は、フリーランス・個人事業主の消費税とインボイスの「源泉徴収と消費税の関係」の節で説明しています。
たとえば、1回の支払が100万円以下の原稿料が年間で合計90万円、必要経費が10万円、白色申告の人を考えます。ほかの所得や所得控除はないものとします。所得は80万円で、基礎控除の104万円以下なので、所得税は0円です。源泉徴収された90万円×10.21%=91,890円は、還付申告をすれば全額戻ります(当会計算)。
- 還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間出せます。令和8年分は2027年1月1日からで、2031年12月31日までです(当会計算。国税庁 No.2030)。
- 源泉徴収された税や予定納税をした税がない人は、申告しても還付される税はありません(国税庁 No.2030)。
- 55万円・65万円の青色申告特別控除を受けるときは、還付申告でも期限(翌年3月15日)までに出す必要があります(国税庁 No.2030、No.2072)。
赤字のとき
赤字(所得がマイナス)の年は、所得税は0円で、申告の義務もありません。ただし、申告すると次のような取扱いを受けられます。
- 青色申告の純損失の繰越し:損益通算をしてもなお引ききれない赤字(純損失)を、翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年分の所得から差し引けます(国税庁 No.2070、所得税法70条1項)。令和8年分の赤字は、令和9年分から令和11年分の所得から差し引けます(当会計算)。損失が生じた年分の確定申告書を出し、その後も毎年連続して確定申告書を出していることが条件です(所得税法70条4項)。
- 純損失の繰戻し:前年も青色申告をしている場合は、繰越しの代わりに、前年分の所得に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます(国税庁 No.2070)。
- 白色申告の場合:繰り越せるのは、変動所得の損失と、災害による被災事業用資産の損失などに限られます(所得税法70条2項)。
- 給与のある人の副業の赤字:事業所得の損失は、給与所得などの他の所得から差し引く損益通算ができます。雑所得の損失は、他の所得から差し引けません(国税庁 No.2250)。
令和9年分から青色申告特別控除の要件が変わります。簡易な簿記で記帳し、前々年分の事業所得(または事業的規模の不動産所得)に係る収入金額が1,000万円を超える人は、10万円の控除も受けられなくなります(国税庁リーフレット「令和9年分から青色申告特別控除はどう変わる?」(PDF))。詳しくは個人事業主の税金一覧の令和9年分以後の控除額にまとめています。
国民健康保険料・手当・証明のために
新宿区は、国民健康保険料の算定基礎額を住民税の課税内容に基づいて計算しています。世帯の全員が所得の申告を行うと、保険料の均等割額の減額などを受けられることがあり、減額の判定には、世帯主を含む加入者全員の前年中の所得が分かっていることが必要です。区は、前年中に所得がないなど、税法上は所得の申告が不要な人にも、住民税の申告を求めています(新宿区「保険料」、2026年6月5日更新)。
新宿区の住民税の案内でも、収入がなく申告が必要ではない人が出した申告書は、国民健康保険・介護保険・国民年金・児童手当などの事務の資料や、課税(非課税)証明書などを交付するための資料になると説明されています(新宿区「住民税について」、「令和8年度住民税の申告について」)。なお、所得税の確定申告をした人は、住民税の申告をする必要はありません。
税務署では、確定申告書などを提出した場合の所得金額を証明する納税証明書(その2)を請求できます(国税庁「納税証明書の交付請求手続」)。提出先がどの書類を求めるかは、提出先に確認してください。
令和8年分の申告期間と期限
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
所得税の確定申告の期間は、法律で「その年の翌年2月16日から3月15日まで」と定められています(所得税法120条1項)。令和8年分は、2027年2月16日(火)から3月15日(月)です。申告と納付の期限は、どちらも3月15日です(国税庁 No.2020)。
2027年2月16日と3月15日は、土曜日・日曜日・祝日のいずれでもありません(内閣府「国民の祝日について」で確認)。期限が休日にあたるときは翌日になりますが(国税通則法10条2項)、令和8年分ではこの繰下げはありません。参考として、令和7年分は3月15日が日曜日だったため、法定納期限は2026年3月16日(月)でした(国税庁「延滞税の計算方法」)。
国税庁の確定申告特集ページで、2026年10月6日時点に確認できたのは令和7年分のもので、令和8年分の案内は確認できませんでした(国税庁「確定申告特集」)。会場の開設日などの案内が出たら、そちらで確認してください。
| 手続 | 期間・期限 | 出典 |
|---|---|---|
| 所得税の確定申告と納付 | 2027年2月16日(火)〜3月15日(月)。納付の期限も3月15日(月) | 所得税法120条、国税庁 No.2020 |
| 還付申告 | 2027年1月1日から5年間(2031年12月31日まで。当会計算)。55万円・65万円の青色申告特別控除を受けるなら3月15日まで | 国税庁 No.2030 |
| 青色申告承認申請書(令和9年分から青色申告にする場合) | 2027年3月15日(月)まで(その年の1月16日以後に事業を始めた場合は、始めた日から2か月以内) | 国税庁 No.2070 |
| 住民税の申告(所得税の確定申告をしない場合) | 法律上は3月15日まで。新宿区は令和8年度分を2026年2月9日(月)〜3月16日(月)に受け付けました。令和9年度分の日程は区の案内で確認してください | 地方税法317条の2、新宿区 |
| 個人事業者の消費税の申告と納付 | 2027年3月31日(水) | 国税庁 No.6601 |
曜日は、内閣府の祝日一覧と暦から当会が確認しました。振替納税の引落日は、国税庁の案内を待って確認してください。
申告の方法は、e-Taxで所得税を確定申告するやり方で説明しています。消費税の申告書は消費税申告書の書き方、e-Taxでの消費税の申告はe-Taxで消費税申告するやり方をご覧ください。
申告しなかったときの不利益
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
無申告加算税
納める税があるのに、期限までに確定申告をしないと、期限後に申告したとき、または税務署から所得金額の決定を受けたときに、納める税のほかに無申告加算税がかかります。割合は、税務署の調査の事前通知の前に自分から申告したかどうかなどで変わります(国税庁 No.2024)。
| 申告の時期 | 50万円まで | 50万円超300万円まで | 300万円超 |
|---|---|---|---|
| 税務署の調査の事前通知の前に、自主的に期限後申告をした | 5% | 5% | 5% |
| 調査の事前通知の後で、調査による決定を予知する前に期限後申告をした | 10% | 15% | 25% |
| 調査を受けた後に期限後申告をした、または決定を受けた | 15% | 20% | 30% |
出典:国税庁 タックスアンサー No.2024。過去に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合などは、さらに10%が加算されることがあります。
たとえば、納付すべき税額が20万円のときは、自主的な期限後申告なら5%の1万円、調査を受けた後の申告や決定なら15%の3万円です。納付すべき税額が100万円のときは、調査の事前通知の後の申告で、50万円までの部分の10%と、50万円を超える部分の15%を合わせて12.5万円、調査を受けた後の申告や決定で17.5万円です(いずれも当会計算)。
期限後の申告でも、次の全部を満たす場合は、無申告加算税はかかりません(国税庁 No.2024)。
- 法定申告期限から1か月以内に、自主的に期限後申告をしている
- 納付すべき税金の全額を、法定納期限までに納付している(口座振替納付の手続をした場合は、期限後申告書を提出した日まで)
- 期限後申告書を提出した日の前日から5年前までの間に、無申告加算税や重加算税を課されたことがなく、期限内申告をする意思があったと認められる場合の不適用を受けていない
無申告加算税は納付すべき税額に割合をかけて計算するため、所得が所得控除以下で納める税がなければ、対象になりません(当会の整理)。
延滞税
期限後に納める税には、法定納期限(令和8年分の所得税は2027年3月15日)の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に当たる延滞税もかかります。延滞税は税額(本税)にだけかかり、加算税にはかかりません(国税庁 No.9205)。
- 納期限までの期間と、納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間:年7.3%と「延滞税特例基準割合+1%」のうち低い割合
- 納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年14.6%と「延滞税特例基準割合+7.3%」のうち低い割合
- 期限後申告のときの納期限は、申告書を提出した日です。
2026年1月1日から12月31日までの割合は、年2.8%と年9.1%です。2027年の割合は、財務大臣が2026年11月30日までに告示する割合で決まります。2026年10月6日時点では、2027年の割合は決まっていません(国税庁 No.9205)。消費税の延滞税は、消費税の納付期限の「延滞税の割合」で計算例を説明しています。
期限後の申告で受けられなくなるもの
- 55万円・65万円の青色申告特別控除:その年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに申告書を提出することが条件です(国税庁 No.2072)。期限後に申告すると、この控除を受けられません。
- 税務署の決定:申告しないままだと、税務署の調査を受けて所得金額の決定をされることがあり、その場合も無申告加算税の対象です(国税庁 No.2024)。
期限に間に合わなかったときも、気づいた時点でできるだけ早く申告します。期限後申告として扱われます(国税庁 No.2024)。
消費税・住民税・個人事業税は別の基準
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
所得税の確定申告が不要でも、消費税・住民税・個人事業税は別の基準で判定されます。判定の元になる数字も、所得ではなく課税売上高だったり、所得に青色申告特別控除を足し戻した額だったりします。
| 税目 | かかる・申告が必要になる基準 | 申告の仕方・期限 |
|---|---|---|
| 所得税 | 所得が所得控除の合計を超えるとき(基礎控除は合計所得金額489万円以下で104万円) | 2027年2月16日〜3月15日に確定申告 |
| 住民税(東京23区) | 前年の合計所得金額が45万円を超えるとき。単身者(同一生計配偶者・扶養親族がいない人)の場合。45万円以下なら所得割・均等割ともかかりません | 所得税の確定申告をすれば不要。しない人は、住所地の区へ申告します |
| 個人事業税(東京都) | 法定業種(70業種)の事業で、「事業所得+青色申告特別控除額」が事業主控除の年290万円を超えるとき | 所得税の確定申告や住民税の申告をすれば不要。納期は8月・11月 |
| 消費税・地方消費税 | 基準期間(令和8年分は2024年)の課税売上高が1,000万円を超えるとき。1,000万円以下でも、インボイス登録をしているとき、特定期間(2025年1月〜6月)の課税売上高が1,000万円を超えるとき、課税事業者選択届出書を出しているときなどは免税になりません | 2027年3月31日(水)までに申告と納付 |
出典:所得税は国税庁 No.1199・No.2020、住民税は新宿区「住民税について」、個人事業税は東京都主税局「個人事業税」、消費税は国税庁 No.6501・No.6601。住民税の基準は、新宿区が案内している現在の基準です。個人事業税は、事業専従者の給与の調整などを省略して示しています。
- 住民税:所得税の基礎控除(令和8年分は最高104万円)と、住民税の基礎控除は別で、所得税がかからない所得でも、住民税はかかることがあります。住民税の計算と納付は個人事業主の住民税、金額の目安は個人事業主の税金一覧の「いくらから税金がかかるか」で説明しています。
- 個人事業税:青色申告特別控除は差し引かず、足し戻して計算します(東京都主税局)。控除後の所得が290万円以下でも、かかることがあります。仕組みは個人事業税の節をご覧ください。
- 消費税:所得ではなく、課税売上高(売上のうち課税の対象になるもの)で判定します。所得が小さくても、売上が大きければ申告が必要になることがあります。判定の手順は免税事業者と課税事業者の違いの「1,000万円の判定」で説明しています。
自分は申告が必要か:確認の順番
【確定】2026年10月6日時点の法令等に基づく。
所得税の確定申告が必要かどうかは、次の順番で確認できます。個別の事情がある場合は、税務署や税理士にご相談ください。
- 売上(収入)から必要経費を引いて、所得を出します。青色申告特別控除を受ける場合は、それも引きます。
- 給与も受けているかを確認します。給与を1か所から受け、全部が源泉徴収されている人は、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の申告は不要です(会社員の副業)。給与がない個人事業主は、次の3へ進みます。
- 所得が、基礎控除(令和8年分は合計所得金額489万円以下で104万円)に、社会保険料控除などを足した所得控除の合計を超えるかを確認します。超えれば、2027年2月16日(火)から3月15日(月)までに申告します(所得税の確定申告が必要になる基準)。
- 所得控除以下で義務がなくても、源泉徴収の還付、青色申告の赤字の繰越し、国民健康保険料などの手続があるときは、申告を考えます(申告が不要でも、申告したほうがよい場合)。
- 所得税の確定申告をしない場合は、住民税の申告を住所地の区市町村へします(住民税の申告は別に必要)。
- 消費税は売上の規模とインボイス登録、個人事業税は業種と所得で、別に判定します(消費税・住民税・個人事業税は別の基準)。
申告書は、国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで作成し、e-Taxで提出できます。手順はe-Taxで所得税を確定申告するやり方で説明しています。
よくある質問
個人事業主の確定申告は、いくらから必要ですか?
売上ではなく所得で決まります。令和8年分は、合計所得金額が489万円以下なら基礎控除が104万円なので、ほかに所得控除がなければ、所得(収入−必要経費。青色申告特別控除を受ける人はさらにその額を引いた金額)が104万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。国民年金保険料や国民健康保険料などの社会保険料控除があれば、その額だけ、必要になる所得も上がります。〔国税庁 No.1199、No.2020〕
個人事業主が確定申告をしなくていいのは、どんなときですか?
所得が所得控除の合計以下で、課税所得がないときは、所得税の確定申告をする義務はありません。所得控除が基礎控除(104万円)だけなら、所得が104万円以下のときです。ただし、住民税の申告が別に必要になることがあります。源泉徴収された税の還付や、青色申告の赤字の繰越しを受けたいときは、義務がなくても申告したほうがよい場合があります。〔国税庁 No.2020、No.2030、新宿区「住民税について」〕
売上がいくらを超えると、確定申告が必要ですか?
売上だけでは決まらず、経費によって変わります。基礎控除104万円だけの人で、経費が0円なら、売上が104万円を超えたとき(白色申告など)、青色申告特別控除65万円を受ける人は169万円を超えたときから、所得税がかかり始めます。経費が100万円なら、それぞれ204万円と269万円です(当会計算)。〔国税庁 No.1199、No.2072〕
副業の確定申告は、20万円以下なら不要ですか?
給与の収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受けていて、その全部が源泉徴収されている会社員などは、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です。20万円は収入ではなく所得(収入−必要経費)で判定します。給与のない個人事業主には、この基準は使えません。住民税の申告は別に必要です。〔国税庁 No.1900、No.2020、所得税法121条〕
副業の所得が20万円以下でも、住民税の申告は必要ですか?
必要です。20万円の基準は所得税の確定申告だけのものです。新宿区は、1月1日現在区内に住所があり前年に所得があった人に住民税の申告を求め、不要な人を、所得税の確定申告をする人、年末調整が終わった給与のほかに所得がない人、公的年金等の所得だけで各種控除を受けない人などとしています。〔新宿区「住民税について」、地方税法317条の2〕
個人事業主が赤字のときも、確定申告は必要ですか?
赤字の年は所得税は0円で、申告する義務はありません。ただし、青色申告をしている人は、申告すると赤字を翌年以後3年間繰り越して、各年の所得から差し引けます。損失が生じた年分の確定申告書を出し、その後も連続して出していることが条件です。白色申告では、繰り越せるのは変動所得の損失や災害による損失などに限られます。〔国税庁 No.2070、所得税法70条〕
確定申告をしないと、どうなりますか?
納める税があるのに申告しないと、期限後に申告したときや決定を受けたときに、無申告加算税がかかります。税務署の調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をした場合は、納付すべき税額の5%です。事前通知の後は10〜25%、調査を受けた後や決定を受けた場合は15〜30%(税額の区分による)です。さらに、法定納期限の翌日から納付までの延滞税がかかります。納める税がない人は、無申告加算税の対象になりません。〔国税庁 No.2024、No.9205〕
令和8年分の確定申告は、いつからいつまでですか?
2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。納付の期限も3月15日です。個人事業者の消費税の申告と納付は、別の日で、3月31日(水)です。還付申告は、2027年1月1日から出せます。〔所得税法120条、国税庁 No.2020、No.2030、No.6601〕
所得が基礎控除以下でも、確定申告をしたほうがよいのは、どんなときですか?
報酬から所得税が源泉徴収されていて還付を受けたいとき、青色申告で赤字を繰り越したいとき、55万円・65万円の青色申告特別控除を受けたいときです。住民税の申告が必要な人は、所得税の確定申告をすれば住民税の申告は不要です。新宿区では、国民健康保険料の算定や手続のために、所得がない人にも住民税の申告を求めています。〔国税庁 No.2030、No.2070、新宿区「保険料」〕
消費税の申告も、売上がいくらから必要ですか?
消費税は所得ではなく課税売上高で判定します。基準期間(個人は前々年。令和8年分は2024年)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務は免除されます。ただし、インボイス発行事業者の登録を受けているとき、特定期間(前年1月1日〜6月30日)の課税売上高が1,000万円を超えるとき、課税事業者選択届出書を出しているときなどは免除されません。令和8年分の申告期限は2027年3月31日です。〔国税庁 No.6501、No.6601〕
出典・参考資料
いずれも2026年10月6日に内容を確認しました。
国税庁
- No.1199 基礎控除
- 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月、PDF)
- No.2020 確定申告、No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
- No.2030 還付申告、No.2024 確定申告を忘れたとき
- No.2070 青色申告制度、No.2072 青色申告特別控除、No.2250 損益通算
- No.1100 所得控除のあらまし、No.1130 社会保険料控除、No.2260 所得税の税率
- No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき
- No.9205 延滞税について、延滞税の計算方法
- No.6501 納税義務の免除、No.6601 申告と納税
- 質疑応答事例「青色申告特別控除(10万円)と確定申告の要否」、所得税基本通達(法第120条《確定所得申告》関係)
- 納税証明書の交付請求手続、確定申告特集
- リーフレット「令和9年分から青色申告特別控除はどう変わる?」(令和8年4月、PDF)
財務省・法令
- 令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定、PDF)
- 令和7年度税制改正の大綱(1/9)
- 第221回国会における財務省関連法律(所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号。2026年3月31日成立・公布)、法律案要綱
- 所得税法(70条・86条・120条・121条)
- 地方税法(317条の2・317条の3)
- 国税通則法(10条・60条)
東京都・新宿区・内閣府
令和8年分の基礎控除の規定は2026年12月1日に施行されるため、e-Gov法令検索の所得税法86条は、2026年10月6日時点では改正前の内容です。基礎控除の額は、国税庁 No.1199、財務省の大綱と法律案要綱で確認しました。
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年10月6日:公開(同日時点の法令等と、国税庁・財務省・新宿区などの資料に基づく)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。確定申告が必要かどうかなど、個別の判断については、所轄の税務署や、税理士などの専門家にご相談ください。