相続税の計算方法:速算表と計算例、配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例
相続税は、課税価格の合計額から基礎控除額を引き、法定相続分で分けたと仮定して速算表で「相続税の総額」を出し、実際の取得割合で各人に割り振って計算します。
相続税の計算の流れ【確定・現行の法令】
| 段階 | 計算すること |
|---|---|
| ①各人の 課税価格 | 取得した財産(みなし相続財産を含み、非課税財産を除く)+相続時精算課税適用財産−債務・葬式費用+加算対象期間内の贈与財産(1,000円未満切捨て) |
| ②課税遺産 総額 | 課税価格の合計額−基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数) |
| ③相続税の 総額 | 課税遺産総額を法定相続分で分けた金額(1,000円未満切捨て)に、それぞれ速算表を当てはめて合計(100円未満切捨て) |
| ④各人の 納付税額 | 相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計額(+2割加算)−税額控除(100円未満切捨て) |
税額の目安は相続税の総額の早見表、具体的な計算は当会の計算例にあります。申告が必要かどうかは、小規模宅地等の特例を適用する前の金額で判定します(申告が必要になる場合)。
2027年1月1日以後の相続から変わること(2026年9月26日時点)
- 【確定・2027年1月から】生前贈与を加算する期間が延び始めます。2026年12月31日までの相続は相続開始前3年以内の贈与ですが、2027年1月1日から2030年12月31日までの相続は2024年1月1日から死亡の日まで、2031年1月1日以後の相続は相続開始前7年以内の贈与が加算されます(生前贈与の加算)。
- 【通達案・意見募集中】課税時期前5年以内に対価を払って取得・新築した一定の貸付用不動産などを「通常の取引価額」で評価する案を、国税庁が2026年9月18日に公表し、10月18日まで意見を募集しています。案では、2027年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した財産に適用されます(貸付用不動産の評価の見直し)。
目次
相続税の計算の流れ(4段階)
【確定・現行の法令】相続税は、いったん「相続税の総額」を計算し、それを財産を取得した人に割り振る二段階の仕組みです。相続税の総額は、課税遺産総額を法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して計算します。遺産が分割されたかどうかや、だれが財産を取得したかには関係なく、課税価格の合計額と法定相続人の構成で決まります(相続税法16条、相続税法基本通達16-1)。各人の税額は、相続税の総額を、各人の課税価格が課税価格の合計額に占める割合で割り振って求めます(相続税法17条)。
国税庁の「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」に載っている例で、4段階の流れを確認します。相続人は妻と子2人で、妻が財産1億円を取得して債務・葬式費用2,000万円を負担し、子2人がそれぞれ財産1,000万円を取得した場合です。
| 段階 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| ①各人の課税価格 | 妻:1億円−2,000万円/子:1,000万円ずつ | 合計1億円 |
| ②課税遺産総額 | 1億円−4,800万円(3,000万円+600万円×3人) | 5,200万円 |
| ③相続税の総額 | 妻(1/2)2,600万円×15%−50万円=340万円 子(1/4)1,300万円×15%−50万円=145万円(2人分) | 630万円 |
| ④各人の税額 | 630万円を課税価格の割合(8:1:1)で割り振り、妻504万円・子63万円ずつ。妻は配偶者の税額軽減で504万円を控除 | 妻0円 子63万円ずつ |
出典:国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」の「Q&A 相続税額の計算方法は?」。数値は当会で検算しました。
ステップ1:各人の課税価格を計算する
【確定・現行の法令】相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した人ごとに、次の式で課税価格を計算します(国税庁 No.4152「相続税の計算」)。
- 各人の課税価格は、1,000円未満を切り捨てます(相続税法基本通達16-2)。
- 小規模宅地等の特例を適用した宅地等は、減額した後の価額で計算します。
- 相続時精算課税適用財産は、贈与の時の価額で加えます。2024年1月1日以後の贈与の分は、年ごとに、贈与時の価額の合計額から相続時精算課税の基礎控除(年110万円)を引いた残額を加えます(国税庁 No.4103)。
みなし相続財産と、生命保険金・死亡退職金の非課税限度額
被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金や、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金などは、相続や遺贈で取得したものとみなして課税されます。相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人を除きます)が受け取った分については、生命保険金と退職手当金のそれぞれに、次の非課税限度額があります(国税庁 No.4114、No.4117)。
たとえば法定相続人が3人で、相続人が受け取った死亡保険金の合計が3,000万円なら、1,500万円が非課税で、残りの1,500万円が課税の対象です。相続人以外の人が受け取った死亡保険金や退職手当金には、非課税の適用はありません。
被相続人が掛金や保険料を負担していた定期金に関する権利(被相続人が掛けていた個人年金など)も、みなし相続財産として相続や遺贈で取得したものとみなされます。ただし、生命保険金・死亡退職金のような500万円×法定相続人の数の非課税限度額はありません(国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」)。
生前贈与の加算(加算対象期間)
【確定】相続や遺贈などで財産を取得した人が、加算対象期間内に被相続人から暦年課税の贈与で取得した財産は、贈与の時の価額でその人の課税価格に加えます。贈与税の基礎控除(110万円)以下で贈与税がかからなかった贈与や、亡くなった年の贈与も加えます。加算対象期間は、令和5年度税制改正で3年から7年に延び、相続開始の日に応じて次のように変わります(国税庁 No.4161)。
| 相続開始の日 | 加算対象期間 |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | 相続開始前3年以内 |
| 2027年1月1日〜2030年12月31日 | 2024年1月1日から死亡の日まで |
| 2031年1月1日以後 | 相続開始前7年以内 |
- 相続開始の日が2027年1月2日以後の場合、延びた部分(相続開始前3年以内より前の贈与)は、その合計額から100万円を引いた金額を加えます(合計額が100万円以下なら加えません)。
- 加えた贈与財産に課されていた贈与税は、その人の相続税額から控除します(暦年課税分の贈与税額控除)。
- 贈与税の配偶者控除の額に相当する部分や、直系尊属から受けた住宅取得等資金・教育資金・結婚子育て資金のうち非課税の適用を受けた金額は、加えません。
贈与税の仕組みは、贈与税の基本で説明しています。
相続税がかからない財産(主なもの)
- 墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝をしている物(骨とう的価値があるなど投資の対象となる物や、商品として持っている物を除きます)
- 生命保険金と退職手当金のうち、それぞれ非課税限度額(500万円×法定相続人の数)までの部分
- 相続や遺贈で取得した財産で、相続税の申告期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人、認定NPO法人に寄附したもの
出典:国税庁 No.4108「相続税がかからない財産」(ほかに、心身障害者共済制度の給付金を受ける権利などがあります)。
差し引ける債務と葬式費用
被相続人が亡くなったときにあった債務で確実と認められるものと、葬式費用は、財産を取得した相続人や包括受遺者が負担した分をその人の財産の価額から差し引きます(国税庁 No.4126、No.4129)。
| 区分 | 差し引けるもの | 差し引けないもの |
|---|---|---|
| 債務 | 借入金や未払金など。被相続人の死亡後に相続人が納めることになった被相続人の所得税なども含みます | 生前に購入したお墓の未払代金など非課税財産に関する債務。相続人の責任で課された延滞税や加算税 |
| 葬式費用 | 火葬・埋葬・納骨の費用(仮葬式と本葬式の両方の費用を含む)、遺体や遺骨の回送費用、お通夜など葬式の前後に生じた通常欠かせない費用、お寺などへの読経料などのお礼、死体の捜索や遺体・遺骨の運搬の費用 | 香典返しの費用、墓石や墓地の購入費と墓地を借りる費用、初七日など法事の費用 |
ステップ2:基礎控除額を引いて課税遺産総額を出す
【確定・現行の法令】各人の課税価格を合計した「課税価格の合計額」から、基礎控除額を引きます(相続税法15条、国税庁 No.4102)。
課税遺産総額 = 課税価格の合計額 − 基礎控除額
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
法定相続人の数の数え方
- 配偶者は常に相続人です。そのほかは、子(子が先に亡くなっていれば孫など)、子がいなければ父母などの直系尊属、どちらもいなければ兄弟姉妹(先に亡くなっていればおい・めい)の順です。内縁関係の人は含みません(国税庁 No.4132)。
- 相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとして数えます。
- 数に含める養子は、被相続人に実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人までです。特別養子縁組による養子、配偶者の実子で被相続人の養子になった人、代襲相続人になった孫などは実子として数えます(国税庁 No.4170)。
- 相続人となるべき胎児が申告書を出す日までに生まれていない場合は、数に含めません(相続税法基本通達15-3)。
この「法定相続人の数」は、基礎控除額のほか、生命保険金と退職手当金の非課税限度額、相続税の総額の計算にも使います。
申告が必要になる場合
課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合は、財産を取得した人が相続税の申告をします。基礎控除額以下なら、申告も納税も必要ありません。このときの課税価格の合計額は、小規模宅地等の特例などを適用しない金額で判定します。特例を適用して基礎控除額以下になる場合や、配偶者の税額軽減で納める税額が0円になる場合も、申告書の提出が必要です(国税庁 No.4205、相続税の申告のしかた(令和8年分用))。
申告と納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内です。期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります。たとえば2026年6月9日に亡くなった場合は2027年4月9日(金)、6月10日に亡くなった場合は2027年4月12日(月)です。申告書は、被相続人の住所地を所轄する税務署に提出します。書類や手順は相続税の申告と納税で説明しています。
ステップ3:相続税の総額を計算する(速算表・早見表)
【確定・現行の法令】課税遺産総額を、法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して分け(法定相続分に応ずる取得金額)、それぞれに税率を当てはめて税額を出し、合計します。この合計が相続税の総額です(相続税法16条、国税庁 No.4155)。
法定相続分
| 相続人 | 配偶者 | 配偶者以外 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 | 2分の1 | 子全員で2分の1 |
| 配偶者と直系尊属(父母など) | 3分の2 | 直系尊属全員で3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 4分の3 | 兄弟姉妹全員で4分の1 |
子、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。相続税の総額の計算では、基礎控除額に使う「法定相続人の数」に応じた相続分を使います(養子の数の制限を反映します)。
相続税の速算表
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ― |
| 1,000万円超 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
各人の算出税額の合計 = 相続税の総額
法定相続分に応ずる取得金額は1,000円未満を、相続税の総額は100円未満を切り捨てます(国税庁 No.4152、相続税法基本通達16-3)。速算表は、相続税法16条の税率(金額の区分ごとに10%〜55%)を、1回の計算で済むように控除額の形にしたものです。当会で、速算表と法律の税率の区分で計算した結果が一致することを確かめています。
国税庁 No.4155の例:法定相続人が妻と子2人で、課税遺産総額が1億5,200万円の場合
- 妻(1/2):7,600万円×30%−700万円=1,580万円
- 子(1/4):3,800万円×20%−200万円=560万円(2人分で1,120万円)
- 相続税の総額:1,580万円+1,120万円=2,700万円
相続税の総額の早見表(当会の計算)
課税価格の合計額と相続人の構成ごとに、上の方法で相続税の総額を計算した表です。配偶者の税額軽減などの税額控除と2割加算を反映する前の金額です。
| 課税価格の合計額 | 配偶者と子1人 | 配偶者と子2人 | 配偶者と子3人 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 800,000 | 200,000 | 0 |
| 6,000万円 | 1,800,000 | 1,200,000 | 600,000 |
| 8,000万円 | 4,700,000 | 3,500,000 | 2,749,900 |
| 1億円 | 7,700,000 | 6,300,000 | 5,249,800 |
| 1億5,000万円 | 18,400,000 | 14,950,000 | 13,300,000 |
| 2億円 | 33,400,000 | 27,000,000 | 24,349,800 |
| 3億円 | 69,200,000 | 57,200,000 | 50,800,000 |
| 4億円 | 109,200,000 | 92,200,000 | 83,099,400 |
| 5億円 | 152,100,000 | 131,100,000 | 119,249,700 |
| 10億円 | 395,000,000 | 356,200,000 | 332,699,200 |
| 課税価格の合計額 | 子1人 | 子2人 | 子3人 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 1,600,000 | 800,000 | 199,800 |
| 6,000万円 | 3,100,000 | 1,800,000 | 1,200,000 |
| 8,000万円 | 6,800,000 | 4,700,000 | 3,299,700 |
| 1億円 | 12,200,000 | 7,700,000 | 6,299,800 |
| 1億5,000万円 | 28,600,000 | 18,400,000 | 14,400,000 |
| 2億円 | 48,600,000 | 33,400,000 | 24,599,400 |
| 3億円 | 91,800,000 | 69,200,000 | 54,600,000 |
| 4億円 | 140,000,000 | 109,200,000 | 89,799,600 |
| 5億円 | 190,000,000 | 152,100,000 | 129,799,200 |
| 10億円 | 458,200,000 | 395,000,000 | 349,999,500 |
当会の計算です。課税価格の合計額は、債務・葬式費用を引き、小規模宅地等の特例などを適用した後の金額です。子はいずれも法定相続人の数に含まれる子とし、法定相続分に応ずる取得金額の1,000円未満と総額の100円未満を切り捨てています(子が3人の列に1万円未満の端数が出るのはこのためです)。配偶者がいる場合に、配偶者が課税価格の合計額の2分の1を取得したときは、配偶者の税額軽減で配偶者の納める税額は0円になり、配偶者以外の人が納める税額の合計は総額の2分の1になります(各人の100円未満切捨て前)。
ステップ4:各人の納付税額を計算する(2割加算・税額控除)
【確定・現行の法令】相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格の割合で割り振ります(相続税法17条)。
割り振る割合に小数点以下2位未満の端数があるときは、財産を取得した人全員が選んだ方法で、割合の合計が1になるように端数を調整して計算することも認められています(相続税法基本通達17-1)。最後に、各人の納付税額の100円未満を切り捨てます(国税通則法119条)。
相続税額の2割加算
財産を取得した人が、被相続人の配偶者と一親等の血族(子と父母。代襲相続人になった孫を含みます)以外の人である場合は、その人の税額に2割を加算します(相続税法18条、国税庁 No.4157)。
- 加算される人の例:兄弟姉妹、おい・めい、祖父母、代襲相続人でない孫、遺贈で財産を取得した第三者
- 被相続人の養子は一親等の血族なので加算されません。ただし、養子になっている孫は、代襲相続人になっている場合を除いて加算されます。
税額控除の種類と順序
各人の税額(2割加算の後)から、次の順序で税額控除を差し引きます。1〜6の控除で赤字になる場合、納付税額は0円です(国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」)。
| 順序 | 控除 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 暦年課税分の贈与税額控除 | 課税価格に加えた贈与財産に課されていた贈与税を控除 |
| 2 | 配偶者の税額軽減 | 配偶者の取得分のうち、1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い金額までに対応する税額を控除(計算式と条件) |
| 3 | 未成年者控除 | 18歳未満の相続人:10万円×18歳になるまでの年数(1年未満の端数は1年) |
| 4 | 障害者控除 | 85歳未満の障害者である相続人:10万円(特別障害者は20万円)×85歳になるまでの年数(1年未満の端数は1年) |
| 5 | 相次相続控除 | 今回の相続の前10年以内に、被相続人が相続などで財産を取得して相続税を課されていた場合に、一定額を控除 |
| 6 | 外国税額控除 | 外国にある財産に外国で相続税に相当する税が課された場合に控除 |
| 7 | 相続時精算課税分の贈与税額控除 | 相続時精算課税適用財産に課された贈与税を控除。控除しきれない分は還付 |
| 8 | 医療法人持分税額控除 | 医療法人の持分を相続し、申告期限までに放棄した場合など |
未成年者控除と障害者控除は、本人の相続税額から引ききれない分を、扶養義務者の相続税額から引けます。たとえば相続人が15歳9か月なら、18歳までを3年として、未成年者控除は10万円×3年=30万円です(国税庁 No.4164、No.4167、No.4168)。
配偶者の税額軽減
【確定・現行の法令】被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈で実際に取得した財産(課税価格)が、1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、配偶者に相続税はかかりません(相続税法19条の2、国税庁 No.4158)。控除する金額は次の式で計算します。
A:課税価格の合計額×配偶者の法定相続分(相続人が配偶者だけのときは課税価格の合計額。1億6,000万円に満たないときは1億6,000万円)
B:配偶者の課税価格
使うための条件
- 婚姻の届出をした配偶者であること(内縁関係の人は対象外です)。
- 申告期限までに遺産が分割されていること。分割されていない財産は、原則として軽減の対象になりません。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して、申告期限から3年以内に分割した場合は対象になり、分割の日の翌日から4か月以内に更正の請求をします。
- 相続税の申告書(または更正の請求書)に軽減の明細を記載し、戸籍謄本や遺言書・遺産分割協議書の写しなどを添付して提出すること。軽減で税額が0円になる場合も、申告書の提出が必要です。
- 隠蔽や仮装をしていた財産は、軽減の対象に含まれません。
配偶者の取得額による違い(当会の計算例)
課税価格の合計額が2億円、相続人が配偶者と子2人の場合、相続税の総額は2,700万円です(基礎控除額4,800万円を引いた課税遺産総額は1億5,200万円で、国税庁 No.4155の例と同じです)。子2人は残りを半分ずつ取得したとします。
| 配偶者の課税価格 | 配偶者に割り振る税額 | 税額軽減額 | 配偶者の納付税額 | 子2人の納付税額の合計 | 全員の合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1億円 | 13,500,000 | 13,500,000 | 0 | 13,500,000 | 13,500,000 |
| 1億6,000万円 | 21,600,000 | 21,600,000 | 0 | 5,400,000 | 5,400,000 |
| 1億8,000万円 | 24,300,000 | 21,600,000 | 2,700,000 | 2,700,000 | 5,400,000 |
当会の計算です。この例ではAが1億6,000万円(課税価格の合計額×1/2=1億円より多い)なので、配偶者の課税価格が1億6,000万円を超えると、超えた部分に対応する税額は配偶者が納めます。
法定相続分相当額が1億6,000万円を超える場合は、法定相続分相当額までが軽減の対象です。たとえば課税価格の合計額が4億円、相続人が配偶者と子1人で、配偶者が3億円を取得した場合、相続税の総額は1億920万円、配偶者に割り振る税額は8,190万円です。軽減額は1億920万円×2億円÷4億円=5,460万円なので、配偶者の納付税額は2,730万円、子の納付税額も2,730万円です(当会の計算)。
配偶者の税額軽減で配偶者の税額が0円になっても、配偶者が取得した財産は、その配偶者が亡くなったときの相続で課税の対象になります。
小規模宅地等の特例
【確定・現行の法令】被相続人や被相続人と生計を一にしていた親族(被相続人等)の事業や居住に使われていた宅地等(土地と土地の上に存する権利)のうち一定の面積までの部分は、課税価格に算入する価額を80%または50%減額します(租税特別措置法69条の4、国税庁 No.4124)。対象は建物や構築物の敷地になっている宅地等で、建物そのものは対象外です。
| 区分 | 相続開始の直前の使われ方 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 被相続人等の居住用 | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等 | 被相続人等の事業用(不動産貸付業・駐車場業などを除く) | 400㎡ | 80% |
| 特定同族会社事業用宅地等 | 被相続人とその親族などが発行済株式の50%超を持つ法人の事業用(貸付事業を除く) | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 被相続人等の不動産貸付業・駐車場業などの用(法人に貸し付けていた宅地等で、特定同族会社事業用宅地等に当たらないものを含む) | 200㎡ | 50% |
- 特定居住用宅地等と特定事業用等宅地等(特定事業用・特定同族会社事業用)だけを選ぶ場合は、それぞれの限度面積まで、合計730㎡まで適用できます。
- 貸付事業用宅地等を含めて選ぶ場合は、「特定事業用等の面積×200/400+特定居住用の面積×200/330+貸付事業用の面積」が200㎡以下になる範囲で適用します。
- それぞれの区分に、取得した親族が申告期限まで事業や居住を続け、宅地等を持ち続けるといった要件があります。相続開始前3年以内に新たに事業用や貸付用にした宅地等は、原則として対象外です(一定の場合を除きます)。
特定居住用宅地等(自宅の敷地)を取得した人の要件
| 取得した人 | 要件 |
|---|---|
| 配偶者 | 取得者ごとの要件はありません |
| 被相続人と同居していた親族 | 相続開始の直前から申告期限まで引き続きその建物に住み、宅地等を申告期限まで持ち続けること |
| 上記以外の親族 | 被相続人に配偶者も同居の相続人もいないこと、相続開始前3年以内に自分や自分の配偶者、3親等内の親族、特別の関係がある法人が所有する国内の家屋に住んだことがないこと、相続開始時に住んでいる家屋をそれまでに所有したことがないこと、宅地等を申告期限まで持ち続けることなど |
被相続人と生計を一にしていた親族の居住用だった宅地等は、配偶者か、その生計を一にしていた親族(相続開始前から申告期限まで住み続け、申告期限まで持ち続ける人)が取得した場合に対象になります。被相続人が要介護認定などを受けて老人ホームなどに入居していたため、相続開始の直前に自宅に住んでいなかった場合も、一定の要件のもとで被相続人の居住用として扱われます(国税庁 No.4124)。
減額される金額の計算
- 自宅の敷地200㎡・評価額6,000万円を配偶者が取得した場合:200㎡は330㎡以下なので全体に適用でき、6,000万円×80%=4,800万円を減額して、課税価格に入れる額は1,200万円です。
- 自宅の敷地400㎡・評価額1億円の場合:適用できるのは330㎡までなので、1億円×330/400×80%=6,600万円を減額して、課税価格に入れる額は3,400万円です。
手続き
特例を使うには、相続税の申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなどを添付します。特例の対象になり得る宅地等を取得した人が2人以上いる場合は、どの宅地等を選ぶかについて全員が同意していることが必要です。また、原則として申告期限までに分割されていることが必要です。相続時精算課税に係る贈与で取得した宅地等には、この特例は使えません(国税庁 No.4124)。
計算例(当会の計算例)
次の2つは、制度の説明のために当会で作った架空の設例です。金額はすべてPythonの分数計算で検算しています。実際の税額は、財産の評価や分割の内容、ほかの特例の適用によって変わります。
計算例1:配偶者と子2人、配偶者が自宅を取得して小規模宅地等の特例を使う場合
前提:2026年中に父が亡くなり、相続人は配偶者の母と、実子の長男・長女の3人(いずれも成年で、日本に住所があります)。生前贈与と相続時精算課税はありません。遺産は申告期限までに次のとおり分割し、自宅の土地に小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用します。
| 財産・債務 | 評価額 | 取得した人 |
|---|---|---|
| 自宅の土地(200㎡) | 6,000万円 | 母 |
| 自宅の建物(固定資産税評価額) | 700万円 | 母 |
| 預貯金 | 7,000万円 | 母2,000万円、長男2,500万円、長女2,500万円 |
| 上場株式 | 3,000万円 | 長男1,500万円、長女1,500万円 |
| 死亡保険金(受取人は母) | 2,000万円 | 母 |
| 債務・葬式費用 | 400万円 | 母が負担 |
| 項目 | 母 | 長男 | 長女 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 自宅の土地(6,000−4,800) | 1,200 | ― | ― | 1,200 |
| 自宅の建物 | 700 | ― | ― | 700 |
| 預貯金・上場株式 | 2,000 | 4,000 | 4,000 | 10,000 |
| 死亡保険金(2,000−1,500) | 500 | ― | ― | 500 |
| 債務・葬式費用 | −400 | ― | ― | −400 |
| 課税価格 | 4,000 | 4,000 | 4,000 | 12,000 |
| 法定相続分に応ずる取得金額(課税遺産総額7,200の1/2・1/4・1/4) | 3,600 | 1,800 | 1,800 | 7,200 |
| 速算表による税額 | 520 | 220 | 220 | 960(総額) |
| 総額を課税価格の割合(1/3ずつ)で割り振り | 320 | 320 | 320 | 960 |
| 配偶者の税額軽減 | −320 | ― | ― | −320 |
| 納付税額(円) | 0 | 3,200,000 | 3,200,000 | 6,400,000 |
- 小規模宅地等の特例:200㎡は330㎡以下なので、6,000万円×80%=4,800万円を減額します。配偶者が取得した場合、取得者ごとの要件はありません。
- 死亡保険金:非課税限度額は500万円×3人=1,500万円で、課税されるのは500万円です。
- 基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円、課税遺産総額は1億2,000万円−4,800万円=7,200万円です。
- 速算表:母3,600万円×20%−200万円=520万円、子1,800万円×15%−50万円=220万円ずつ。
- 配偶者の税額軽減:960万円×4,000万円(Aの1億6,000万円とBの4,000万円の少ない方)÷1億2,000万円=320万円で、母の税額は0円です。
- 申告:特例を適用する前の課税価格の合計額(1億6,800万円)が基礎控除額を超えるので、母を含め申告が必要です。
| 項目 | 特例を使う | 特例を使わない |
|---|---|---|
| 課税価格の合計額 | 120,000,000 | 168,000,000 |
| 課税遺産総額 | 72,000,000 | 120,000,000 |
| 相続税の総額 | 9,600,000 | 19,000,000 |
| 母の納付税額 | 0 | 0 |
| 長男の納付税額 | 3,200,000 | 4,523,800 |
| 長女の納付税額 | 3,200,000 | 4,523,800 |
| 合計 | 6,400,000 | 9,047,600 |
当会の計算です。特例を使わない場合、母の課税価格は8,800万円、課税遺産総額1億2,000万円に対する相続税の総額は1,900万円(母6,000万円×30%−700万円=1,100万円、子3,000万円×15%−50万円=400万円ずつ)で、長男・長女はそれぞれ1,900万円×4,000万円÷1億6,800万円=4,523,809円の100円未満を切り捨てた4,523,800円です。母は配偶者の税額軽減でどちらの場合も0円ですが、特例で課税価格の合計額が下がると相続税の総額が下がり、子の税額も下がります。
計算例2:子2人で、同居していた長男が自宅の土地を取得する場合
前提:配偶者はすでに亡くなっていて、相続人は長男・長女の2人。特例を適用する前の課税価格の合計額は3億円で、そのうち自宅の土地(300㎡、評価額1億円)を、被相続人と同居していた長男が取得し、申告期限まで住み続けて持ち続けます。
| 項目 | 特例を使う | 特例を使わない |
|---|---|---|
| 課税価格の合計額 | 22,000(1億円×80%=8,000を減額) | 30,000 |
| 基礎控除額(3,000+600×2) | 4,200 | 4,200 |
| 課税遺産総額 | 17,800 | 25,800 |
| 1人分の取得金額(1/2)と税額 | 8,900×30%−700=1,970 | 12,900×40%−1,700=3,460 |
| 相続税の総額 | 3,940 | 6,920 |
当会の計算です。各人の納付税額は、相続税の総額を各人の課税価格の割合で割り振って決まります。この例では被相続人と同居していた相続人(長男)がいるため、同居していなかった長女が自宅の土地を取得した場合は、特定居住用宅地等の要件を満たさず特例を使えません。建物は特例の対象外です。
財産の評価(主なもの)
【確定・現行の取扱い】相続税の課税価格は、財産を取得した時の時価で評価します。国税庁の財産評価基本通達などで、財産の種類ごとに評価方法が定められています。主なものは次のとおりです(国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」、各タックスアンサー)。
| 財産 | 評価方法の原則 | 国税庁の解説 |
|---|---|---|
| 宅地(路線価地域) | 路線価(道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額。路線価図に千円単位で表示)を、奥行価格補正率などで補正して面積を掛けます。例:路線価330千円、奥行価格補正率1.00、180㎡なら5,940万円 | No.4604 |
| 宅地(倍率地域) | 固定資産税評価額×評価倍率 | No.4606 |
| 借地権・貸宅地 | 借地権:自用地としての価額×借地権割合 貸宅地:自用地としての価額−自用地としての価額×借地権割合 | No.4611、No.4613 |
| 貸家建付地(貸家の敷地) | 自用地としての価額−自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合 | No.4614 |
| 家屋 | 自用:固定資産税評価額×1.0 貸家:固定資産税評価額−固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合 | No.4602 |
| 居住用の区分所有財産(分譲マンション) | 2024年1月1日以後の取得分は、区分所有権(家屋)と敷地利用権(土地)の価額に、それぞれ区分所有補正率を掛けます。評価水準(1÷評価乖離率)が0.6未満なら評価乖離率×0.6、0.6以上1以下なら補正なし、1を超えるなら評価乖離率が補正率です。総階数2以下の建物などは対象外です | No.4667 |
| 上場株式 | 亡くなった日の終値と、その月・前月・前々月の毎日の終値の月平均額のうち、最も低い価額 | No.4632 |
| 取引相場のない株式 | 同族株主等が取得した場合は、会社の規模に応じて類似業種比準方式、純資産価額方式、その併用。同族株主以外の株主が取得した場合は配当還元方式 | No.4638 |
| 預貯金 | 亡くなった日の預入残高+その日に解約した場合の既経過利子(源泉徴収される税額相当額を引いた額) | 相続税の申告のしかた |
| 家庭用財産・自動車・書画骨とう | 類似品の売買価額や専門家の意見などを参考に評価 | 相続税の申告のしかた |
路線価図・評価倍率表と、借地権割合・借家権割合は、国税庁の財産評価基準書 路線価図・評価倍率表で確認できます。家屋の固定資産税評価額は、都税事務所や市(区)役所・町村役場で確認できます。取引相場のない株式と事業承継税制は、事業承継と税金でも説明しています。
【通達案・意見募集中】貸付用不動産の評価の見直し(2027年1月から予定)
令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定)に、貸付用不動産の市場価格と相続税評価額の乖離を踏まえた評価の見直しが盛り込まれました。これを受けて国税庁は、2026年9月18日に「貸付用不動産の評価について」の法令解釈通達(案)を公表し、2026年10月18日17時まで意見を募集しています(e-Govパブリック・コメント 案件番号410080055)。案の内容は次のとおりです。
- 課税時期前5年以内に対価を伴う取引で取得・新築した貸付用不動産は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価します。取得価額が取得時の通常の取引価額に相当すると認められる場合は、土地等は取得価額に地価変動率を掛けた金額、家屋等は取得価額から償却費の額の合計額などを引いた金額の、それぞれ80%で評価できます。
- 不動産特定共同事業契約や信託受益権で小口化された一定の貸付用不動産(特定小口化商品)は、取得の時期にかかわらず、通常の取引価額に相当する金額で評価します。一定の場合は、精通者意見価格などを参酌して評価できます。
- 2027年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した財産の評価に適用します。大綱では、通達を定める日の5年前から所有している土地に、同日までに新築した家屋(同日に建築中のものを含む)には、1つ目の見直しを適用しないとしています。
2026年9月26日時点では案の段階で、意見募集の結果によって内容が変わる可能性があります。最終的な内容は、通達の制定後に国税庁の公表資料でご確認ください。
よくある質問
相続税の基礎控除はいくらですか。
3,000万円+600万円×法定相続人の数です。法定相続人が配偶者と子2人の3人なら4,800万円です。法定相続人の数は、相続を放棄した人がいても放棄がなかったものとして数え、養子は、実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人までを数えます。〔国税庁 No.4152・No.4170〕
遺産の分け方を変えると、相続税の総額は変わりますか。
課税価格の合計額が同じなら変わりません。相続税の総額は、法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して計算するためです。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、だれが何を取得するかによって使えるかどうかや金額が変わるため、実際に納める税額の合計は分け方で変わります。〔国税庁 No.4155、相続税法基本通達16-1〕
配偶者の税額軽減で納める税額が0円になる場合も、申告は必要ですか。
必要です。配偶者の税額軽減は、相続税の申告書(または更正の請求書)に軽減の明細を記載し、遺産分割協議書の写しなど配偶者が取得した財産が分かる書類を添えて提出した場合に適用されます。〔国税庁 No.4158、相続税の申告のしかた(令和8年分用)〕
小規模宅地等の特例を使うと基礎控除額以下になる場合、申告はしなくてよいですか。
申告が必要です。申告が必要かどうかは、小規模宅地等の特例などを適用しない場合の課税価格の合計額が基礎控除額を超えるかどうかで判定します。特例は、申告書に適用を受ける旨を記載し、計算の明細書などを添付して使います。〔国税庁 No.4205・No.4124〕
生前贈与は、亡くなる前の何年分が相続税の計算に加算されますか。
2026年12月31日までに相続が開始した場合は、相続開始前3年以内の贈与です。2027年1月1日から2030年12月31日までに相続が開始した場合は2024年1月1日から死亡の日までの贈与、2031年1月1日以後は相続開始前7年以内の贈与が加算されます。加算されるのは、相続や遺贈などで財産を取得した人が被相続人から受けた暦年課税の贈与で、110万円以下の贈与も含みます。〔国税庁 No.4161〕
相続を放棄した人は、法定相続人の数に入りますか。
基礎控除額や相続税の総額の計算では、放棄がなかったものとして数えます。ただし、相続を放棄した人が受け取った死亡保険金には、生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)は適用されません。〔国税庁 No.4152・No.4114〕
孫が財産を取得すると、相続税は2割加算されますか。
子が先に亡くなっていて代襲相続人になった孫は、加算されません。代襲相続人でない孫は、被相続人の養子になっている場合も含めて加算の対象です。兄弟姉妹や、おい・めいも加算の対象です。〔国税庁 No.4157〕
未成年者控除はいくらですか。
10万円×満18歳になるまでの年数で、1年未満の端数は1年として数えます。たとえば15歳9か月なら、18歳までを3年として30万円です。本人の相続税額から引ききれない分は、扶養義務者の相続税額から引けます。〔国税庁 No.4164〕
相続税の申告と納付の期限はいつですか。
被相続人が亡くなったことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内です。期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります。たとえば2026年6月9日に亡くなった場合は、2027年4月9日(金)です。〔国税庁 No.4205、相続税の申告のしかた(令和8年分用)〕
2027年から貸付用不動産の評価が変わるのは確定していますか。
2026年9月26日時点では確定していません。国税庁が2026年9月18日に法令解釈通達の案を公表し、10月18日まで意見を募集しています。案では、課税時期前5年以内に対価を払って取得・新築した一定の貸付用不動産などを通常の取引価額で評価し、2027年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した財産に適用します。〔e-Govパブリック・コメント(案件番号410080055)〕
まとめ
- 相続税は、各人の課税価格の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引き、法定相続分で分けたと仮定して速算表で相続税の総額を出し、実際の取得割合で各人に割り振って計算します。
- 2026年中の相続では、生前贈与の加算は相続開始前3年以内です。2027年1月1日以後の相続から加算期間が延び始め、2031年以後は7年になります。
- 配偶者の税額軽減は、1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い金額まで配偶者の税額をなくす制度で、税額が0円でも申告が必要です。
- 小規模宅地等の特例は、自宅の敷地なら330㎡まで80%を減額します。取得した人の要件と申告が必要で、申告の要否は特例の適用前の金額で判定します。
- 貸付用不動産の評価の見直しは、2026年9月26日時点で通達案の意見募集中です(2027年1月1日以後の相続等に適用する案)。
出典・参考資料
いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。
国税庁 タックスアンサー(相続税・財産評価)
- No.4102 相続税がかかる場合、No.4152 相続税の計算、No.4155 相続税の税率
- No.4103 相続時精算課税の選択、No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- No.4108 相続税がかからない財産、No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金、No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金
- No.4126 相続財産から控除できる債務、No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
- No.4132 相続人の範囲と法定相続分、No.4170 相続人の中に養子がいるとき
- No.4157 相続税額の2割加算、No.4158 配偶者の税額の軽減、No.4164 未成年者の税額控除、No.4167 障害者の税額控除、No.4168 相次相続控除
- No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
- No.4205 相続税の申告と納税
- No.4602 土地家屋の評価、No.4604 路線価方式による宅地の評価、No.4606 倍率方式による土地の評価、No.4611 借地権の評価、No.4613 貸宅地の評価、No.4614 貸家建付地の評価
- No.4632 上場株式の評価、No.4638 取引相場のない株式の評価、No.4667 居住用の区分所有財産の評価
国税庁 パンフレット・通達
- 相続税の申告のしかた(令和8年分用)(令和8年4月1日現在の法令等に基づくもの)
- 相続税法基本通達 第15条関係(15-3 胎児がある場合の相続人の数)、第16条関係(16-1〜16-3 取得金額と端数処理。同じページに17-1 あん分割合)
- 財産評価基準書 路線価図・評価倍率表
法令・税制改正
- 相続税法(15条〜20条の2)
- 租税特別措置法(69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)
- 国税通則法(118条・119条 端数計算)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年12月26日閣議決定、PDF)(資産課税「相続税等の財産評価の適正化」)
- e-Govパブリック・コメント「『貸付用不動産の評価について』の法令解釈通達(案)に対する意見公募手続の実施について」(案件番号410080055、2026年9月18日公示)
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年5月15日:公開
- 2026年9月26日:全面改訂(生前贈与の加算を一律「7年以内」としていた計算式を、相続開始の日に応じた加算対象期間に訂正。生命保険金・死亡退職金の非課税限度額を「定期金に関する権利」にも当てはめていた誤りを訂正し、定期金に関する権利には同じ非課税限度額がないことを明記。申告が必要かどうかの判定を、小規模宅地等の特例を適用する前の金額によると明記。小規模宅地等の特例の計算例に、限度面積・土地だけが対象であること・取得者の要件を追加。貸付用不動産の評価の見直しを、2026年9月18日公表の通達案と適用時期に合わせて書き直し。根拠を確認できない数値や表現を削除。端数処理、相続税の総額の早見表、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例の節、検算済みの計算例、よくある質問、出典一覧を追加)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。新宿間税会は、個別の税務相談にはお答えしていません。相続税の個別のご相談は、税理士などの専門家や所轄の税務署へお問い合わせください。利用できる公的な窓口は、新宿で税金の相談をしたいとき:無料の公的な相談窓口の案内にまとめています。