相続税の節税対策:現行制度で使える特例・生前贈与・保険と、2027年からの変更点

相続税の負担を軽くする方法は、法律で定められた特例や非課税枠を、要件どおりに使うことです。下の表が2026年9月時点で使える主な方法で、暦年贈与の加算期間は2027年1月1日以後の相続から延び始め、教育資金の一括贈与の非課税は2026年3月31日で終わっています。

2026年9月時点で使える主な方法【確定】

方法要点(注意点・期限)
小規模宅地等の特例自宅の土地を配偶者や同居の親族などが相続すると、330㎡までの部分の評価額が80%減ります。事業用・貸付用の土地にも別の限度面積と割合があります(申告が必要)。
配偶者の税額軽減配偶者が取得した正味の遺産額が、1億6千万円か法定相続分相当額の多いほうまでなら、配偶者に相続税はかかりません(申告が必要)。
暦年贈与贈与を受ける人ごとに年110万円の基礎控除があります。相続税の計算に加算される期間は、2027年1月1日以後の相続から延び始め、2031年以後の相続では7年です。
相続時精算課税年110万円の基礎控除の部分は、贈与税がかからず、相続税の計算にも加算されません。選んだ後は、その贈与者からの贈与を暦年課税に戻せません。
贈与税の配偶者控除婚姻期間20年以上の夫婦の間の居住用不動産(取得資金を含む)の贈与は、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円を控除できます(同じ配偶者からは一生に一度)。
住宅取得等資金の贈与父母・祖父母などからの住宅資金の贈与が、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで非課税です(2026年12月31日までの贈与)。
結婚・子育て資金の贈与金融機関を通じた父母・祖父母などからの一括贈与が、1,000万円まで非課税です(2027年3月31日までの拠出)。
生命保険金・死亡退職金相続人が受け取る分は、それぞれ「500万円×法定相続人の数」まで非課税です(相続人以外の人が受け取る分には使えません)。

教育資金の一括贈与の非課税は、2026年3月31日で終了しました(教育資金の一括贈与の終了と、必要な都度の生活費・教育費)。各制度の根拠は本文の各節と出典・参考資料にあります。

2026年9月26日時点で押さえておく変更点

  • 【確定・終了済み】教育資金の一括贈与の非課税は、2026年3月31日で延長されずに終了しました。
  • 【確定・適用前】暦年贈与の加算期間は、2027年1月1日以後の相続から延び始め、2031年1月1日以後の相続では「相続開始前7年以内」になります。
  • 【大綱のみ】相続開始前5年以内に取得した一定の貸付用不動産などを「通常の取引価額」で評価する見直しが、令和8年度税制改正の大綱に示されています(2027年1月1日以後の相続等から。財産評価基本通達の改正はまだです)。

住宅取得等資金・結婚子育て資金の贈与、事業承継税制の期限など、日付が関わる制度は期限のある制度の早見表にまとめています。

目次
  1. まず確認:相続税がかかるかどうか
  2. 相続のときに使う特例:小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減
  3. 生前贈与:暦年贈与の加算期間と相続時精算課税
  4. 生命保険金・死亡退職金の非課税枠
  5. 養子縁組と法定相続人の数
  6. 不動産の評価と2027年からの見直し
  7. 事業承継税制と自社株の評価
  8. 否認や重加算税につながる例
  9. 期限のある制度の早見表(2026年9月〜2031年)
  10. よくある質問
  11. まとめ:検討の順番
  12. 出典・参考資料

まず確認:相続税がかかるかどうか

【確定・適用中】相続税は、正味の遺産額(課税価格の合計額)が基礎控除額を超える場合にかかります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(相続税法15条、国税庁 No.4152 相続税の計算)。法定相続人の数は、相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとして数えます。養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか数えません。

法定相続人の数と基礎控除額
法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

正味の遺産額は、相続や遺贈で取得した財産に、生命保険金などのみなし相続財産(非課税枠を超える部分)と加算の対象になる生前贈与を加え、債務と葬式費用を差し引いて計算します。土地や建物は、国税庁の財産評価基本通達に定める方法(路線価など)で評価します(不動産の評価と2027年からの見直し)。

相続税の総額は、課税遺産総額(正味の遺産額から基礎控除額を引いた額)を法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定し、それぞれの金額に次の税率を当てはめて合計します。実際の分け方で総額は変わらず、総額を実際に取得した割合で各人に割り振ります(国税庁 No.4155 相続税の税率)。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%-
1,000万円超3,000万円以下15%50万円
3,000万円超5,000万円以下20%200万円
5,000万円超1億円以下30%700万円
1億円超2億円以下40%1,700万円
2億円超3億円以下45%2,700万円
3億円超6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

この仕組みから、相続税を軽くする方法は次の3つに分けられます。

  1. 課税価格を小さくする:評価額を減らす特例(小規模宅地等の特例)、非課税枠(生命保険金・死亡退職金)、生前贈与で財産を移す方法
  2. 法定相続人の数に関わる部分:基礎控除額、非課税枠、相続税の総額の計算は、法定相続人の数で変わります(養子縁組と法定相続人の数)
  3. 税額から差し引く:配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除など

相続のときに使う特例:小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減

小規模宅地等の特例

【確定・適用中】亡くなった人(被相続人)や、被相続人と生計を一にしていた親族の自宅・事業に使われていた土地を相続などで取得した場合、一定の面積までの部分の評価額を減らす特例です(租税特別措置法69条の4、国税庁 No.4124)。

小規模宅地等の特例の区分
区分(相続開始直前の使い方)限度面積減額割合
特定居住用宅地等(自宅の敷地)330㎡80%
特定事業用宅地等(貸付以外の事業の敷地)400㎡80%
特定同族会社事業用宅地等(被相続人と親族などが株式の50%超を持つ会社に貸し、その会社の事業に使われている敷地)400㎡80%
貸付事業用宅地等(アパート・駐車場などの敷地)200㎡50%
  • 自宅(330㎡)と事業用(400㎡)の両方を選ぶ場合は、合計730㎡まで使えます。貸付事業用を含めて選ぶ場合は、「事業用の面積×200/400+自宅の面積×200/330+貸付事業用の面積≦200㎡」の範囲に限られます。
  • 自宅の敷地は、取得する人によって要件が違います。配偶者には取得者ごとの要件がありません。同居していた親族は、申告期限まで住み続け、その土地を持ち続けることが要件です。配偶者も同居の相続人もいない場合に限り、別居の親族も一定の要件(相続開始前3年以内に自分や配偶者などの持ち家に住んだことがないことなど)を満たせば使えます。
  • 相続開始前3年以内に新たに事業に使い始めた土地は、特定事業用宅地等から除かれます。ただし、その土地の上で営む事業に使っていた建物・構築物や減価償却資産(被相続人等のもの)の相続開始時の価額の合計が、その土地の相続開始時の価額の15%以上ある場合は除かれません。
  • 相続開始前3年以内に新たに貸付事業に使い始めた土地は、貸付事業用宅地等から除かれます。ただし、相続開始の日まで3年を超えて事業的規模の貸付事業を行っていた場合は除かれません。
  • 相続時精算課税の贈与で取得した土地には、この特例を使えません。

この特例を使うには、相続税の申告書に適用を受ける旨を書き、計算の明細書や遺産分割協議書の写しなどを付けて申告します。特例の対象になりうる土地などを取得した人が2人以上いるときは、どの土地に使うかについて全員の同意が必要で、原則として申告期限までに分割されていることが必要です。申告期限までに分割できなかった場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出して、3年以内に分割すれば適用を受けられます(国税庁 No.4208)。

当会の計算例(架空の設例):母は既に亡くなっており、父の相続人は子2人です。父の財産は、自宅の土地(300㎡、評価額6,000万円)、自宅の建物(評価額1,000万円)、預貯金1億円で、債務と葬式費用はないものとします。父と同居していた長男が自宅の土地と建物を相続し、申告期限まで住み続けて持ち続けるものとします。

小規模宅地等の特例の有無による相続税の総額(当会試算)
項目特例を使わない場合特例を使う場合
自宅の土地の評価額6,000万円1,200万円
課税価格の合計額1億7,000万円1億2,200万円
基礎控除額(相続人2人)4,200万円4,200万円
課税遺産総額1億2,800万円8,000万円
子1人あたりの法定相続分に応ずる取得金額6,400万円4,000万円
子1人あたりの税額1,220万円600万円
相続税の総額2,440万円1,200万円

計算:特例を使う場合の土地の評価額は6,000万円×(1−80%)=1,200万円。子1人あたりの税額は、6,400万円×30%−700万円=1,220万円、4,000万円×20%−200万円=600万円。相続税の総額を、各人が実際に取得した財産の課税価格の割合で割り振った額が、各人の税額になります。

配偶者の税額軽減

【確定・適用中】配偶者が遺産分割や遺贈で実際に取得した正味の遺産額が、「1億6千万円」と「配偶者の法定相続分相当額」の多いほうの金額までであれば、配偶者に相続税はかかりません(相続税法19条の2、国税庁 No.4158)。

  • 申告期限までに分割されていない財産は、対象になりません。「申告期限後3年以内の分割見込書」を出し、3年以内に分割すれば対象になります。
  • 税額が0円になる場合でも、税額軽減の明細を書いた申告書に、遺言書や遺産分割協議書の写しなどを付けて申告します。
  • 隠したり偽ったりしていた財産は、対象に含まれません。

配偶者が亡くなったとき(二次相続)まで通して考える

配偶者の税額軽減を大きく使うと、一次相続の税額は減りますが、配偶者の財産が増えます。配偶者が亡くなったとき(二次相続)には配偶者の税額軽減がなく、法定相続人が1人減るため基礎控除額も小さくなります。一次相続と二次相続を合わせた税額で比べると、次のように差が出ることがあります。

当会の計算例(架空の設例):夫の正味の遺産額が2億円、相続人は妻と子2人です。妻にはもともと財産がなく、夫から相続した財産から一次相続で納めた相続税を引いた額を、そのまま子2人が二次相続で取得するものとします。二次相続は一次相続から10年を超えた後で、その間に財産の増減はないものとします(10年以内の場合は、相次相続控除で二次相続の税額が減ります)。

一次相続と二次相続の税額(当会試算)
項目A:妻が全部を相続B:妻が法定相続分(2分の1)を相続
一次相続:相続税の総額2,700万円2,700万円
一次相続:妻の税額(軽減後)540万円0円
一次相続:子2人の税額の合計0円1,350万円
二次相続:妻の正味の遺産額1億9,460万円1億円
二次相続:相続税の総額(子2人)3,178万円770万円
一次・二次の合計3,718万円2,120万円

計算:一次相続の課税遺産総額は2億円−4,800万円=1億5,200万円で、相続税の総額は7,600万円×30%−700万円+(3,800万円×20%−200万円)×2=2,700万円(国税庁 No.4155の例と同じ)。Aの妻の税額は、2,700万円−2,700万円×1億6,000万円÷2億円=540万円。Bの妻の税額は、2,700万円×1億円÷2億円=1,350万円から同額を軽減して0円、子2人の合計は2,700万円×1億円÷2億円=1,350万円。二次相続の基礎控除額は4,200万円で、Aは課税遺産総額1億5,260万円、子1人あたり7,630万円×30%−700万円=1,589万円、Bは課税遺産総額5,800万円、子1人あたり2,900万円×15%−50万円=385万円。実際には、配偶者自身の財産、生活費、財産の値動き、二次相続までの年数によって結果が変わります。

相続人の状況に応じた税額控除

【確定・適用中】次の控除は、要件に当てはまれば相続税額から差し引かれます。いずれも国税庁のタックスアンサーの内容です。

主な税額控除
控除対象となる人控除額
未成年者控除(No.4164)相続などで財産を取得したときに18歳未満の法定相続人18歳になるまでの年数×10万円(1年未満は切り上げ。15歳9か月なら3年で30万円)
障害者控除(No.4167)相続などで財産を取得したときに85歳未満の障害者である法定相続人85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円。1年未満は切り上げ)
相次相続控除(No.4168)10年以内に続けて相続があり、前の相続で被相続人に相続税が課されていた場合の相続人前の相続で課された相続税額のうち、経過年数1年につき10%ずつ減らした額を基に計算

未成年者控除と障害者控除は、本人の相続税額から引ききれない分を、扶養義務者の相続税額から差し引けます。

生前贈与:暦年贈与の加算期間と相続時精算課税

生前に財産を贈与すると、その分だけ相続のときの財産は減ります。ただし、贈与には贈与税がかかり、一定の贈与は相続税の計算に加算されます。贈与税の仕組みは贈与税の基本で説明しています。

暦年贈与と、2027年から延び始める加算期間

【確定・適用中】暦年課税の贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、基礎控除額110万円を引いた残りにかかります。基礎控除は贈与を受ける人ごとなので、子3人がそれぞれ年110万円ずつ受けても、各人に贈与税はかかりません(国税庁 No.4408)。

【確定】相続や遺贈などで財産を取得した人が、被相続人から加算対象期間内に暦年課税の贈与を受けていた場合、その贈与財産の贈与時の価額が、その人の相続税の課税価格に加算されます。2024年1月1日以後の贈与から加算対象期間が7年に延びましたが、実際に延びるのは2027年1月1日以後の相続からです(相続税法19条、国税庁 No.4161)。

相続開始日と加算対象期間
相続開始日加算対象期間
2026年12月31日まで相続開始前3年以内
2027年1月1日〜2030年12月31日2024年1月1日から死亡の日まで
2031年1月1日以後相続開始前7年以内
  • 加算対象期間内の贈与は、贈与税がかかったかどうかに関係なく加算します。年110万円以下の贈与も、亡くなった年の贈与も加算します。
  • 相続開始の日が2027年1月2日以後の場合、加算対象期間内の贈与のうち相続開始前3年以内より前の分は、合計100万円までは加算しません。
  • 加算した贈与財産にかかっていた贈与税は、その人の相続税額から差し引きます。年110万円を超える贈与をして贈与税を納めた場合も、加算対象期間内であれば同じ扱いです。
  • 加算の対象は、相続や遺贈などで財産を取得した人への贈与です。死亡保険金は相続や遺贈で取得したものとみなされる(相続税法3条、国税庁 No.4114)ため、保険金の受取人になっている孫などへの贈与も加算の対象になります。相続でも遺贈でも財産を取得しない孫への暦年課税の贈与は、加算されません。
  • 贈与税の配偶者控除の控除額に相当する部分、住宅取得等資金・教育資金・結婚・子育て資金の贈与で非課税になった金額は、加算しません(教育資金と結婚・子育て資金は、贈与者が亡くなったときの管理残額が相続税の対象になる場合があります)。

当会の計算例(架空の設例):父が子に、2024年から毎年1月10日に110万円ずつ贈与し(暦年課税)、子が父の財産を相続する場合です。父が亡くなった日によって、加算される額は次のようになります。

毎年110万円の暦年贈与と相続税の計算に加算される額(当会試算)
父が亡くなった日加算対象期間贈与の合計加算される額加算されない額
2026年12月1日2023年12月1日〜死亡の日(3年以内)330万円(3回)330万円0円
2030年6月1日2024年1月1日〜死亡の日770万円(7回)670万円100万円
2033年6月1日2026年6月1日〜死亡の日(7年以内)1,100万円(10回)670万円430万円

計算:2030年6月1日の場合、3年以内(2027年6月1日以後)の贈与は2028年〜2030年の3回で330万円、それより前の2024年〜2027年の4回440万円から100万円を引いた340万円を加え、670万円。2033年6月1日の場合、加算対象期間内の贈与は2027年〜2033年の7回で、3年以内(2030年6月1日以後)の3回330万円と、それより前の4回440万円から100万円を引いた340万円を加えて670万円。2026年1月10日以前の3回(330万円)は加算対象期間の外です。

贈与は、あげる人ともらう人の合意で成立します(民法549条)。子や孫の名義の口座に入金していても、もらう人がそれを知らず、あげた人が通帳や印鑑を管理している場合は、贈与とは認められないことがあります(否認や重加算税につながる例)。

相続時精算課税

【確定・適用中】贈与をした年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母などから、その年の1月1日に18歳以上の子・孫などが贈与を受けた場合に、受贈者が選べる制度です(相続税法21条の9、国税庁 No.4103)。

  • 贈与税は、贈与者ごとに、年間の贈与額から基礎控除額110万円を引き、さらに特別控除額(累計2,500万円まで)を引いた残りに、一律20%の税率でかかります。特別控除額は、期限内に申告した場合に限り使えます。
  • 贈与者が亡くなったときは、この制度で受けた贈与財産の贈与時の価額(2024年1月1日以後の贈与は、年ごとに基礎控除額110万円を引いた残りの額)を相続財産に加えて相続税を計算し、納めた贈与税を差し引きます。引ききれない贈与税は還付を受けられます。
  • 最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」を出します。一度選ぶと、その贈与者からの贈与は暦年課税に戻せません。
  • 相続税の計算に加える価額は贈与時の価額なので、贈与後に値上がりした財産は値上がり前の価額で、値下がりした財産は値下がり前の価額で計算します。
  • この制度の贈与で取得した土地には、小規模宅地等の特例を使えません。
暦年課税と相続時精算課税の違い
項目暦年課税相続時精算課税
贈与する人・受ける人制限なし60歳以上の父母・祖父母など → 18歳以上の子・孫など
年110万円の基礎控除受ける人ごとに1年間の合計から贈与者ごとに(2人以上から受けた場合はあん分)
基礎控除を超えた部分累進税率累計2,500万円まで特別控除、超えた部分は20%
相続税の計算への加算加算対象期間内の贈与を全額加算(3年より前の分は合計100万円まで除く)基礎控除110万円を超える部分を、期間の制限なく加算
選択後の変更-その贈与者について暦年課税に戻せない

贈与税の配偶者控除(居住用不動産の贈与)

【確定・適用中】婚姻期間が20年を過ぎた夫婦の間で、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、贈与税の申告をすることで、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円を控除できます(国税庁 No.4452)。贈与を受けた年の翌年3月15日までにその不動産に住み、その後も住み続ける見込みであることが要件で、同じ配偶者からの贈与では一生に一度しか使えません。

配偶者控除額に相当する部分は、贈与者が亡くなっても相続税の計算に加算されません。一方、基礎控除110万円の部分は、加算対象期間内であれば加算されます(No.4161)。なお、贈与による土地・建物の所有権の移転登記の登録免許税は、不動産の価額の1,000分の20で、相続による移転登記の1,000分の4より高くなります(国税庁 No.7191)。

住宅取得等資金の贈与の非課税(2026年12月31日まで)

【確定・適用中】2024年1月1日から2026年12月31日までに、父母や祖父母など直系尊属から、自分が住む住宅の新築・取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合、受贈者ごとに、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで贈与税が非課税になります(租税特別措置法70条の2、国税庁 No.4508)。主な要件は次のとおりです。

  • 贈与を受けた年の1月1日に18歳以上で、その年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は1,000万円以下)
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、資金の全額を充てて住宅の新築などをし、その家屋に住むこと(または同日後遅滞なく住むことが確実と見込まれること)
  • 贈与税の申告をすること

非課税になった金額は、贈与者が亡くなっても相続税の計算に加算されません(No.4161)。2027年以後については、国土交通省が令和9年度税制改正要望で「所要の措置」を求めている段階です【要望段階】。

結婚・子育て資金の一括贈与の非課税(2027年3月31日まで)

【確定・適用中】18歳以上50歳未満の人が、父母や祖父母など直系尊属から、金融機関との契約に基づいて結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合、1,000万円まで贈与税が非課税になります。前年の合計所得金額が1,000万円を超える人は使えません。対象は2027年3月31日までの拠出です(租税特別措置法70条の2の3、国税庁 No.4511)。契約期間中に贈与者が亡くなった場合は、管理残額に相続税がかかることがあります。所管のこども家庭庁と金融庁は、期限の到来をもって廃止することを要望しています【要望段階】。

教育資金の一括贈与の終了と、必要な都度の生活費・教育費

【確定・終了済み】直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(1,500万円まで)は、2026年3月31日で延長されずに終了し、2026年4月1日以後は使えません。同日までに拠出した分には、引き続き適用されます(国税庁 No.4510、令和8年度税制改正の大綱)。

なお、夫婦や親子などの扶養義務者から、生活費や教育費に充てるために受けた財産で、通常必要と認められるものには、もともと贈与税がかかりません。学費や教材費などを、必要な都度直接支払うためのものに限られ、預金したり、株式や不動産の購入に充てたりした場合は贈与税がかかります(相続税法21条の3、国税庁 No.4405)。

生命保険金・死亡退職金の非課税枠

【確定・適用中】被相続人が保険料を負担していた生命保険の死亡保険金は、相続や遺贈で取得したものとみなされ、相続税の対象になります。受取人が相続人である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計のうち「500万円×法定相続人の数」までは非課税です(相続税法12条、国税庁 No.4114)。法定相続人が3人なら、1,500万円までが非課税です。

  • 相続人以外の人(相続人でない孫など)や、相続を放棄した人が受け取った保険金には、非課税枠を使えません。
  • 被相続人の配偶者・父母・子以外の人(代襲相続人の孫を除く)が保険金を受け取ると、その人の相続税額に2割が加算されます(国税庁 No.4157)。また、その人が加算対象期間内に受けた暦年課税の贈与は、相続税の計算に加算されます。
  • 死亡退職金も、被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定したものは相続税の対象になり、生命保険金とは別に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります(国税庁 No.4117)。

預貯金のまま相続すれば全額が課税価格に入るのに対し、相続人が受け取る死亡保険金は非課税枠の分だけ課税価格が小さくなります。保険金は受取人が現金で受け取るため、相続税の納付や、ほかの相続人に支払う代償金に充てることもできます。

養子縁組と法定相続人の数

【確定・適用中】基礎控除額、生命保険金と死亡退職金の非課税限度額、相続税の総額は、法定相続人の数を基に計算します。養子縁組で法定相続人が1人増えると、基礎控除額は600万円、生命保険金と死亡退職金の非課税限度額はそれぞれ500万円増え、相続税の総額の計算でも課税遺産総額を分ける人数が増えます(国税庁 No.4170)。

法定相続人の数に含める養子の数には制限があります

  • 被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。特別養子や、配偶者の実子で被相続人の養子になった人などは、実子として数えます。
  • 養子の数を含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、税務署長はその養子の数を法定相続人の数に含めずに計算できます(相続税法63条)。
  • 被相続人の孫を養子にした場合、その孫の相続税額には2割が加算されます。代襲相続人になっている場合は加算されません(No.4157)。

養子縁組は、民法上の親子関係を生じさせ、相続分や遺産分割にも影響します。税額だけで判断せず、家族の関係を含めて検討する事柄です。

不動産の評価と2027年からの見直し

土地・建物の評価方法

【確定・適用中】相続税では、土地は路線価方式(路線価が定められていない地域は倍率方式)で、建物は固定資産税評価額に1.0を掛けた額で評価します(国税庁 No.4602)。路線価は、1月1日を評価時点として、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定められています(国税庁「令和8年分の路線価等について」)。このため、現金で持つ場合と比べて、不動産の相続税評価額が購入価格より低くなることがあります。

貸している土地・建物の評価

自分が建てたアパートなどを貸している場合、その敷地(貸家建付地)と建物(貸家)は、次の式で評価します(財産評価基本通達26・93、国税庁 No.4614)。

貸家建付地 = 自用地としての価額 −(自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
貸家 = 家屋の固定資産税評価額 −(家屋の固定資産税評価額 × 借家権割合 × 賃貸割合)

借地権割合は路線価図で地域ごとに示され、借家権割合は東京都では30%です(国税庁 財産評価基準書 令和8年分 東京都 借家権割合)。当会の計算例(架空の設例)として、借地権割合60%の地域で全室を貸している場合、貸家建付地は自用地としての価額の82%(1−0.6×0.3×1)、貸家は固定資産税評価額の70%(1−0.3×1)になります。一時的な空室は賃貸されていたものとして扱える場合がありますが、空室が続いていれば賃貸割合は下がります。

貸付事業用の土地は、小規模宅地等の特例で200㎡まで50%減額できる場合があります。ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付事業に使い始めた土地は、原則として対象外です(小規模宅地等の特例)。

分譲マンションの評価(2024年1月から)

【確定・適用中】2024年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した居住用の分譲マンションは、従来の方法で計算した建物と敷地の価額に、築年数・総階数・所在階などから計算する「区分所有補正率」を掛けて評価する場合があります(国税庁 No.4667)。総階数が2以下の建物、区分所有の登記がない一棟の賃貸マンションなどは対象外です。

5年以内に取得した貸付用不動産の評価の見直し

【大綱のみ】令和8年度税制改正の大綱(2025年12月26日閣議決定)は、次の見直しを示しています(財務省「令和8年度税制改正の大綱」(PDF) 二 資産課税 3(4))。

  • 被相続人などが課税時期前5年以内に対価を払って取得・新築した一定の貸付用不動産は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価します。課税上の弊害がない限り、取得価額を基に地価の変動などを考慮して計算した価額の80%で評価できます。
  • 不動産特定共同事業契約や信託受益権に係る一定の契約に基づく権利の目的となっている貸付用不動産(いわゆる不動産小口化商品)は、取得の時期にかかわらず、通常の取引価額に相当する金額で評価します。
  • 2027年1月1日以後に相続等で取得する財産の評価に適用します。ただし、1つ目の見直しは、改正を通達に定める日までに、その日の5年前から持っている土地に新築した家屋(その日に建築中のものを含む)には適用しません。

この見直しは財産評価基本通達の改正で行われます。国税庁の「財産評価 一部改正通達」の一覧(2026年9月26日確認)では、2026年の改正は3月25日と5月25日の2件で、この見直しに当たる改正はまだ出ていません(国税庁 財産評価 一部改正通達)。内容が変わる可能性があるため、改正通達が出たら確認が必要です。

通達の評価額より高い価額で課税された例

財産評価基本通達6は、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定めています(財産評価基本通達 第1章 総則)。最高裁判所は2022年4月19日の判決(令和2年(行ヒ)第283号)で、被相続人が借入れをして不動産を購入し、通達の方法で評価すると課税価格の合計額が2,826万1,000円にとどまって相続税の総額が0円になる事案について、相続税の負担を減らすことを期待して購入と借入れを企画・実行したことなどの事情の下で、通達の評価額を上回る価額によって課税しても平等原則に違反しないと判断しました(裁判所 裁判例結果詳細)。この事案では、購入と借入れがなければ課税価格の合計額は6億円を超えるものでした。

事業承継税制と自社株の評価

事業承継税制(法人版・個人版)の期限

【確定】中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に基づく都道府県知事の認定などを前提に、後継者が非上場会社の株式や個人事業の事業用資産を贈与・相続で取得した場合に、贈与税・相続税の納税を猶予し、一定の場合に免除する制度です(国税庁 法人版事業承継税制、国税庁 個人版事業承継税制)。特例措置の主な期限は次のとおりです。

事業承継税制の期限
区分計画の提出期限(提出先は都道府県知事)対象となる贈与・相続
法人版(特例措置)特例承継計画:2027年9月30日まで(令和8年度改正で1年6か月延長)2027年12月31日まで
個人版個人事業承継計画:2028年9月30日まで(令和8年度改正で2年6か月延長)2028年12月31日まで

根拠:中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則17条、租税特別措置法70条の7の5・70条の7の6・70条の6の8・70条の6の10(いずれもe-Gov法令検索で確認)、財務省「令和8年度税制改正の大綱」。個人事業承継計画の提出期限(2028年9月30日=令和10年9月30日)は、中小企業庁「個人版事業承継税制の前提となる認定」(2026年7月10日更新)で確認しました。

個人版は、青色申告(正規の簿記の原則によるもの)に係る事業(不動産貸付事業などを除く)が対象です。個人版の相続税の納税猶予を受ける人がいる場合、その被相続人から財産を取得した人は、特定事業用宅地等について小規模宅地等の特例を使えないなど、両方は選べない関係にあります(No.4124)。特例措置の期限後の制度については、経済産業省などが令和9年度税制改正要望で「事業承継税制の抜本見直し」を求めている段階です【要望段階】(財務省 令和9年度税制改正要望(経済産業省))。制度の詳しい内容は事業承継と税金で説明しています。

自社株(取引相場のない株式)の評価

非上場会社の株式は、会社の規模などに応じて、類似業種比準価額や純資産価額などで評価します。類似業種比準価額は、業種が似た上場会社の株価と、評価する会社の1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額を比べて計算します(財産評価基本通達180)。このため、配当や利益、純資産の額が評価額に影響します。

純資産価額の計算では、会社が課税時期前3年以内に取得・新築した土地や建物は、路線価などではなく、課税時期における通常の取引価額で評価します(財産評価基本通達185)。このため、会社が取得・新築してから3年以内の土地や建物は、純資産価額の計算で路線価などによる評価額を使えません。

取引相場のない株式の評価方法については、国税庁が2026年4月から「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」を開いており(第6回は2026年9月16日)、経済産業省も令和9年度税制改正要望で評価方式の見直しを求めています【検討段階・要望段階】(国税庁 研究会等)。具体的な対策は、決算の数字と評価明細書を基に税理士と検討する事柄です。

否認や重加算税につながる例

次のような例は、申告漏れや否認の対象になります

  • 家族名義の預金:名義にかかわらず、被相続人が資金を出していたなどで被相続人の財産と認められるものは、相続税の対象です。子の名義の定期預金でも、被相続人の収入から預け入れ、被相続人が管理・運用していたものは、相続財産として申告します(国税庁「誤りやすい事例 被相続人以外の名義の財産(預貯金)」(PDF))。
  • 亡くなる前に引き出した現金:現金も相続税がかかる財産です(国税庁 No.4105)。預金から引き出して手元に置いていた現金は、相続財産に含めて申告します。
  • 借入れをして直前に買った不動産:通達の評価額を上回る価額で課税された最高裁判決の事案があります(通達の評価額より高い価額で課税された例)。
  • 相続税の負担を減らすためだけの養子縁組:養子の数を法定相続人の数に含めないで計算されることがあります(相続税法63条)。

課税の基礎となる事実を隠したり偽ったりして申告した場合は、重加算税の対象になります(国税通則法68条)。隠したり偽ったりしていた財産には、配偶者の税額軽減も使えません(No.4158)。

期限のある制度の早見表(2026年9月〜2031年)

相続税・贈与税の対策に関わる期限
日付内容確定度
2026年3月31日(終了)教育資金の一括贈与の非課税:この日までの拠出が最後確定
2026年12月31日住宅取得等資金の贈与の非課税:この日までの贈与が対象確定(2027年以後は要望段階)
2027年1月1日この日以後の相続から、暦年贈与の加算対象期間が「2024年1月1日から死亡の日まで」に確定・適用前
2027年1月1日5年以内に取得した一定の貸付用不動産・不動産小口化商品の評価の見直し(相続等で取得する財産)大綱のみ
2027年3月31日結婚・子育て資金の一括贈与の非課税:この日までの拠出が対象確定(廃止は要望段階)
2027年9月30日法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限確定
2027年12月31日法人版事業承継税制(特例措置)の対象となる贈与・相続の期限確定
2028年9月30日個人版事業承継税制の個人事業承継計画の提出期限確定
2028年12月31日個人版事業承継税制の対象となる贈与・相続の期限確定
2031年1月1日この日以後の相続から、暦年贈与の加算対象期間が「相続開始前7年以内」に確定・適用前

令和9年度税制改正の大綱は、例年12月に閣議決定されます。住宅取得等資金、結婚・子育て資金、事業承継税制などの扱いが変わる可能性があるため、大綱の公表後にこの表を見直します。

よくある質問

相続税の節税対策は、まず何から確認すればよいですか。

最初に、相続税がかかるかどうかを確認します。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、正味の遺産額がこれ以下なら相続税はかかりません。かかる場合は、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減など相続のときに使う特例の要件を確認し、そのうえで生前贈与や生命保険金の非課税枠を検討します。〔国税庁 No.4152〕

暦年贈与の「7年加算」は、いつの相続から適用されますか。

相続開始が2026年12月31日までなら、加算されるのは相続開始前3年以内の贈与です。2027年1月1日から2030年12月31日までの相続では2024年1月1日から死亡の日までの贈与、2031年1月1日以後の相続では相続開始前7年以内の贈与が加算されます。相続開始の日が2027年1月2日以後の場合、3年以内より前の贈与は合計100万円まで加算されません。〔国税庁 No.4161〕

年110万円以下の贈与でも、相続税の計算に加算されますか。

暦年課税の贈与は、加算対象期間内であれば、贈与税がかかったかどうかに関係なく加算されます。一方、相続時精算課税を選んだ贈与のうち、年110万円の基礎控除の部分は、相続税の計算に加算されません。〔国税庁 No.4161・No.4103〕

孫への贈与も、相続税の計算に加算されますか。

加算されるのは、相続や遺贈などで財産を取得した人が受けた贈与です。相続でも遺贈でも財産を取得しない孫への暦年課税の贈与は加算されません。ただし、死亡保険金は相続や遺贈で取得したものとみなされるため、保険金の受取人になっている孫への贈与は加算の対象になります。〔国税庁 No.4161・No.4114〕

小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減で相続税が0円になる場合も、申告は必要ですか。

必要です。どちらも、相続税の申告書に適用を受ける旨を書き、遺産分割協議書の写しなどを付けて申告することが要件です。申告期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)までに分割されていない財産には原則として使えず、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出して3年以内に分割すれば使えます。〔国税庁 No.4124・No.4158・No.4208〕

生命保険金の非課税枠はいくらですか。

相続人が受け取った死亡保険金の合計のうち、「500万円×法定相続人の数」までが非課税です。相続人以外の人や、相続を放棄した人が受け取った保険金には使えません。死亡退職金にも、別に同じ額の非課税枠があります。〔国税庁 No.4114・No.4117〕

教育資金の一括贈与の非課税は、今も使えますか。

2026年3月31日で延長されずに終了し、2026年4月1日以後の拠出には使えません。同日までに拠出した分には引き続き適用されます。なお、扶養義務者から生活費や教育費として必要な都度直接充てるために受けた贈与で、通常必要と認められるものには、もともと贈与税がかかりません。〔国税庁 No.4510・No.4405〕

賃貸不動産を買うと相続税の評価額が下がるのは本当ですか。

土地は路線価(地価公示価格等の80%程度が目途)、建物は固定資産税評価額で評価し、貸している場合はさらに減額されるため、購入価格より評価額が低くなることがあります。ただし、借入れをして購入した不動産について、通達の評価額を上回る価額での課税を認めた最高裁判決(2022年4月19日)があります。また、令和8年度税制改正の大綱は、2027年1月1日以後の相続等について、5年以内に取得した一定の貸付用不動産を通常の取引価額で評価する見直しを示しています(2026年9月26日時点で財産評価基本通達は未改正)。〔国税庁 No.4602・No.4614、最高裁判所、財務省 令和8年度税制改正の大綱〕

まとめ:検討の順番

  1. まず相続税がかかるかどうかを知る:財産と法定相続人を確認し、正味の遺産額を基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と比べます。ここが土台になるので最初に確認します。
  2. 相続のときに使う特例を確認する:小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減の要件を確認し、二次相続を含めた税額で比べます。どちらも原則として申告期限までの遺産分割が要件なので、早い段階で検討します。
  3. 生命保険金・死亡退職金の非課税枠を確認する:それぞれ500万円×法定相続人の数まで使えるか、受取人が相続人になっているかを確認します。契約の見直しだけで対応できることが多く、比較的早く手当てできます。
  4. 生前贈与を検討する:加算対象期間(2027年1月1日以後の相続から延び始め、2031年以後は7年)と、暦年課税・相続時精算課税の違いを踏まえて検討します。効果が出るまでに時間がかかるため、早めに始めるほど選択肢が広がります。
  5. 元に戻しにくい対策は税理士に確認する:不動産の購入や養子縁組など、税額への影響が大きく後から取り消せないものは、否認の例や2027年からの評価の見直しを含めて、実行前に税理士に確認します。
  6. 事業を営んでいる場合は期限を確認する:事業承継税制は計画の提出期限が決まっているため(特例承継計画は2027年9月30日、個人事業承継計画は2028年9月30日)、対象になりうる場合は早めに期限を確認します。

個別の判断は、税理士や公的な無料相談窓口にご相談ください。新宿で利用できる窓口は新宿で税金の相談をしたいときにまとめています。

出典・参考資料

いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。国税庁のタックスアンサーは「令和8年4月1日現在法令等」の版です。

国税庁 タックスアンサー(相続税)

国税庁 タックスアンサー(贈与税・財産評価・印紙税等)

国税庁 通達・資料

財務省・法令・裁判例

改訂履歴

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2026年5月15日:公開
  • 2026年9月25日:事業承継税制の特例承継計画の提出期限と猶予の範囲、贈与税の配偶者控除で相続財産に加算されない部分、教育資金・結婚・子育て資金の一括贈与の期限、貸付用不動産の評価の見直しの記述を訂正
  • 2026年9月26日:全面改訂(令和8年度税制改正と2026年9月26日時点の法令等への対応。題名の「20選」をやめ、根拠を確認できない節税額・評価の目安・手法(持株会社化、年代別の推奨表など)を削除。小規模宅地等の特例の3年以内の除外要件、配偶者が全部を相続した場合の税額、貸家建付地の例の表記を訂正。暦年贈与の加算期間の表、計算例3つ(当会試算)、分譲マンションの評価、通達6と最高裁判決、期限の早見表、よくある質問、出典一覧を追加)

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。

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