相続税の申告と納税|10か月の期限・必要書類・延納と物納・e-Tax
相続税の申告と納税の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまっていなくても、この期限は延びません。必要書類・延納と物納・e-Taxでの提出方法については、目次からそれぞれの項目に進めます。
相続のあとの主な期限【確定】
| 手続き | 期限 |
|---|---|
| 相続の放棄・限定承認 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(家庭裁判所に申述) |
| 準確定申告 | 被相続人の所得税・消費税の申告と納税:相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 |
| 相続税の申告 | 申告と納税、延納・物納の申請:相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内 |
| 分割後の手続き | 未分割で申告した後に遺産分割が行われ、税額が減る場合の更正の請求:分割があったことを知った日の翌日から4か月以内 |
| 特例のための分割 | 配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を受けるための遺産分割:原則として申告期限から3年以内 |
税金の期限が土曜日・日曜日・祝日などや12月29日〜31日に当たるときは、その翌日が期限になります(国税通則法10条2項)。たとえば2026年6月10日に亡くなった場合、相続税の期限は10か月目の2027年4月10日が土曜日のため、4月12日(月)です(国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」の例)。ほかの日付の例は期限の数え方と日付の例にあります。相続の放棄・限定承認は民法の手続きで、税務署ではなく家庭裁判所に申述します。
2026年9月26日時点で確認しておきたい変更(今回の申告に関わるもの)
- 【確定】申告書の様式の変更:2026年1月1日から12月31日までに亡くなった人の申告(令和8年分)から、相続税の申告書の様式が変わりました。国税庁は変更前の様式を使わないよう案内しています。令和8年分用から申告書の「控用」がなくなったため、書面で提出する場合は、必要に応じて自分で控えを作って保管します。
- 【確定】収受日付印:2025年1月から、書面で提出した申告書の控えに税務署の収受日付印は押されていません。
- 【確定】延滞税・利子税の割合:延滞税の割合は、2026年中は年2.8%(納期限の翌日から2か月を経過する日まで)と年9.1%(それ以後)です。延納の利子税の計算に使う延納特例基準割合は、2026年1月1日現在で1.3%です。いずれも2025年までより上がりました。2027年の割合は、2026年11月30日までに財務大臣が告示する平均貸付割合をもとに決まります。
今後の変更(今回の申告には影響しません)
- 【確定・2027年から】生前贈与の加算期間:相続税に加算する暦年課税の贈与の期間は、2026年12月31日までに亡くなった場合は相続開始前3年以内です。2027年1月1日以後の相続から段階的に延び、2031年1月1日以後は7年以内になります(令和5年度税制改正)。
- 【予定(大綱)】貸付用不動産の評価:令和8年度税制改正の大綱で、相続開始前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産の評価を見直す方針が示されました。2027年1月1日以後の相続等からの予定で、財産評価基本通達の改正で実施されます。当会は、2026年9月26日時点で通達の改正を確認できていません。内容は相続税の節税対策の記事で説明しています。
目次
申告が必要な人と提出先
【確定】相続税の申告が必要になるのは、相続・遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人全員の課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。合計額が基礎控除額以下であれば、申告も納税も必要ありません(国税庁 No.4205、相続税の申告のしかた(令和8年分用)2ページ)。
| 法定相続人の数 | 遺産に係る基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
課税価格の合計額は、取得した財産の価額から債務・葬式費用を差し引き、加算の対象になる期間の暦年課税の贈与財産を加えた金額です。国税庁の冊子の例では、相続税がかかる財産6,000万円、債務・葬式費用1,000万円、相続人が母・姉・本人の3人の場合、課税価格の合計額5,000万円が基礎控除額4,800万円を超えるため、財産を取得した母の申告が必要とされています(相続税の申告のしかた3ページ)。法定相続人の数は、相続を放棄した人がいても放棄がなかったものとして数えます。養子は、被相続人に実子がいる場合は1人、いない場合は2人までしか数えません(同2ページ)。相続税の仕組みと基礎控除は相続税の基本で説明しています。おおよその判定には、国税庁の相続税の申告要否判定コーナーも使えます。
特例で税額が0円になっても申告が必要な場合
- 小規模宅地等の特例など:申告が必要かどうかは、小規模宅地等の特例や特定計画山林の特例を適用しない場合の金額で判定します。特例を使うと課税価格の合計額が基礎控除額以下になる場合でも、申告が必要です(国税庁 No.4205、相続税の申告のしかた2ページ)。
- 配偶者の税額軽減:配偶者の税額軽減は、申告書(期限後申告書・修正申告書を含みます)または更正の請求書に軽減の明細を記載して提出した場合に限り適用されます(相続税法19条の2第3項、国税庁 No.4158)。軽減によって納める税額が0円になる場合も、申告書を提出します。
提出先と提出のしかた
- 提出先:被相続人が亡くなったときの住所地(日本国内の場合)を所轄する税務署です。相続人の住所地の税務署ではありません(国税庁 No.4205)。所轄の税務署は、国税庁の税務署の所在地などを知りたい方で調べられます。
- 共同提出と別々の提出:同じ被相続人から財産を取得した人は、共同で1通の申告書を作って提出できます。連絡が取れないなどの事情で共同で作れない場合は、別々に提出してもかまいません(相続税法27条5項、相続税の申告のしかた2ページ)。
- 提出の方法:e-Taxで送信するほか、税務署に持参する、郵便・信書便で送る、税務署の時間外収受箱に投函する方法があります。税務署の開庁時間は8時30分から17時までです(国税庁 No.4205、[手続名]相続税の申告手続)。
期限の数え方と日付の例
【確定】相続税の申告期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です(相続税法27条1項)。国税庁の冊子は、通常の場合は死亡の日の翌日から数えて「10か月目の日」が申告期限になると説明しています。相続税の納付の期限も、この申告期限と同じ日です(相続税法33条)。
被相続人の所得税・消費税の準確定申告の期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日」まで、つまり4か月目の日です(所得税法124条・125条、消費税法45条3項)。どちらも、期限が土曜日・日曜日・祝日などや12月29日〜31日に当たるときは、その翌日が期限になります(国税通則法10条2項、同法施行令2条2項)。
| 亡くなった日(相続の開始を知った日) | 準確定申告の期限(4か月) | 相続税の申告・納付の期限(10か月) |
|---|---|---|
| 2026年1月6日(火) | 2026年5月7日(木) 5月6日が休日のため翌日 | 2026年11月6日(金) |
| 2026年6月9日(火) | 2026年10月9日(金) | 2027年4月9日(金) |
| 2026年6月10日(水) | 2026年10月13日(火) 10月10日が土曜日、11日が日曜日、12日がスポーツの日のため | 2027年4月12日(月) 4月10日が土曜日、11日が日曜日のため |
| 2026年9月26日(土) | 2027年1月26日(火) | 2027年7月26日(月) |
| 2026年10月31日(土) | 2027年3月1日(月) 2月に31日がないため2月28日となり、日曜日のため翌日 | 2027年8月31日(火) |
| 2026年12月31日(木) | 2027年4月30日(金) 4月に31日がないため月末 | 2027年11月1日(月) 10月31日が日曜日のため |
| 2027年2月10日(水) | 2027年6月10日(木) 2026年分の所得税の確定申告をしないまま亡くなった場合は、2026年分もこの日まで | 2027年12月10日(金) |
国税通則法10条により当会で計算しました。祝日は内閣府「国民の祝日について」によります。2026年1月6日、6月9日、6月10日の相続税の期限は、国税庁の資料の例と一致します。相続の開始があったことを知った日が死亡の日より後になる場合は、その知った日の翌日から数えます。
遺産分割が済んでいなくても申告期限は延びない
【確定】遺産分割がまとまっていないことを理由に、相続税の申告期限が延びることはありません。期限までに分割できないときは、法定相続分などで財産を取得したものとして申告と納税をします(国税庁 No.4208)。手順は未分割での申告にまとめています。
災害その他やむを得ない理由によって期限までに申告や納付ができないときは、被相続人の死亡の時の住所地を所轄する税務署長に申請すると、その理由がやんだ日から2か月以内に限り、申告と納付の期限が延長されます(相続税の申告のしかた24ページ)。
準確定申告との関係(被相続人の所得税・消費税)
【確定】年の途中で亡くなった人の所得税は、相続人(包括受遺者を含みます)が、1月1日から死亡した日までの所得と税額を計算し、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をします。これを準確定申告といいます(国税庁 No.2022)。被相続人が消費税の申告をしなければならない個人事業者だった場合は、その年の消費税も同じ4か月以内に相続人が申告します(消費税法45条3項)。
| 項目 | 準確定申告(所得税・消費税) | 相続税の申告 |
|---|---|---|
| 期限 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内 | 同じく10か月以内 |
| 申告する人 | 相続人・包括受遺者。2人以上いるときは連署で1通を出すのが原則で、別々に出すときは他の相続人の氏名を付記し、申告した内容を他の相続人に通知します | 財産を取得した人。共同で1通を出すことも、別々に出すこともできます |
| 提出先 | 被相続人の死亡当時の納税地の税務署 | 被相続人の死亡の時の住所地の税務署 |
| 対象 | 1月1日から死亡した日までの所得(消費税はその期間の取引) | 相続・遺贈などで取得した財産全体 |
| 添付するもの | 死亡した者の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(所得税) | 申告書に添付する書類のとおり |
出典:国税庁 No.2022、No.4205、相続税の申告のしかた2〜3ページ。
準確定申告の税額は相続税の計算に反映される
- 納めた所得税・消費税は債務になる:準確定申告で納めることになった所得税・消費税は、被相続人の債務として相続税がかかる財産の価額から差し引けます(相続税の申告のしかた3ページ、国税庁 No.4126)。ただし、相続人の責任で納めることになった延滞税や加算税は差し引けません。
- 還付される所得税は相続財産になる:準確定申告で還付される所得税(還付金)の請求権は相続財産で、相続税の対象です。還付金に付く還付加算金は、相続人の所得税(雑所得)の対象で、相続税の課税価格には入りません(国税庁 質疑応答事例「被相続人の準確定申告に係る還付金等」)。
- 医療費控除などは死亡の日まで:医療費控除の対象は、死亡の日までに被相続人が支払った医療費です。死亡後に相続人が支払ったものは、準確定申告の医療費控除に含められません(国税庁 No.2022)。亡くなった時点で支払っていなかった医療費などの未払金は、確実と認められるものであれば、相続税の計算で債務として差し引けます(国税庁 No.4126)。
- 前年分の申告が済んでいない場合:確定申告をしなければならない人が、翌年1月1日から確定申告期限までに前年分を提出しないで亡くなった場合は、前年分と本年分のどちらも、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内が期限です(国税庁 No.2022、所得税法124条)。
被相続人の事業の消費税の計算方法(一般課税・簡易課税・2割特例)は、消費税の計算方法で説明しています。
申告までに行うこと
国税庁のNo.4202 相続税の申告のために必要な準備などをもとに、申告までに行うことを順に並べます。法律で期限が決まっているのは、相続の放棄・限定承認(3か月)、準確定申告(4か月)、相続税の申告と納税(10か月)です。それ以外の作業に決まった期間はありません。
- 相続人を確認する:被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せ、相続人を確認します。法務局で交付を受ける「法定相続情報一覧図の写し」を、戸籍謄本に代えて申告書に添付することもできます(添付書類を参照)。
- 遺言書の有無を確認する:遺言書があれば、開封する前に家庭裁判所で検認を受けます。公正証書による遺言と、法務局に保管された自筆証書による遺言は、検認を受ける必要はありません。
- 相続の放棄・限定承認を検討する(3か月以内):相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・放棄のいずれかをします。この期間は、家庭裁判所に申し立てて延ばしてもらえることがあります(民法915条、裁判所「相続の放棄の申述」)。
- 遺産と債務を調べる:遺産と債務の目録や一覧表を作ります。葬式費用も遺産から差し引くため、領収書などで確認しておきます。家族の名義になっている預金や株式なども、被相続人が資金を出していたことなどから被相続人の財産と認められるものは、申告に含めます(相続税の申告のしかた3ページ)。
- 生前の贈与を確認する:加算の対象期間(2026年中に亡くなった場合は相続開始前3年以内)に被相続人から暦年課税で贈与を受けた財産は、基礎控除110万円以下の贈与も含めて加算します(国税庁 No.4161)。他の相続人が受けた贈与については、相続税の申告などに必要な場合に限り、贈与税の申告書に記載された課税価格の合計額の開示を、相続開始の年の3月16日以後に税務署に請求できます。税務署は請求から2か月以内に開示します(相続税法49条、国税庁 Q&A「贈与税の申告内容の開示」)。贈与税の仕組みは贈与税の基本で説明しています。
- 準確定申告をする(4か月以内):準確定申告との関係を参照してください。
- 遺産を評価する:相続税がかかる財産は、相続税法と財産評価基本通達に定められた方法で評価します。評価と税額の計算は相続税の計算方法で説明しています。
- 遺産を分割する:遺言書がない場合は、相続人全員で分割の協議をし、成立したら遺産分割協議書を作ります。相続人に未成年者がいる場合は、家庭裁判所で特別代理人の選任を受けなければならない場合があります。
- 申告書と添付書類を作り、納税の方法を決める:金銭で一度に納めるのが難しい場合は、延納・物納の申請書類も申告期限までに用意します(延納と物納)。
- 申告と納税をする(10か月以内)
小規模宅地等の特例には、相続税の申告期限までその宅地等を持ち続けることや、申告期限まで居住・事業を続けることが要件になっている区分があります(国税庁 No.4124)。申告期限の前に売却や転居をする場合は、先に要件を確認しておく必要があります。
申告書に添付する書類と、集めておく資料
マイナンバーの本人確認書類
【確定】相続税の申告書には、財産を取得した各人のマイナンバーを記載します。書面で提出する場合は、各人の番号確認書類(マイナンバーカードの裏面、マイナンバーが記載された住民票の写しなど)と身元確認書類(マイナンバーカードの表面、運転免許証、パスポートなど)の写しを添付します。税務署の窓口で提出する人は、自分の書類を提示すれば写しの添付に代えられます。e-Taxで提出する場合は、本人確認書類の提示や写しの提出は不要です(相続税の申告のしかた「はじめに」・73ページ)。
申告書に添付する主な書類
| 場合 | 主な書類 |
|---|---|
| 一般の場合 | ①次のいずれか:被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍の謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)、図形式の法定相続情報一覧図の写し(子の続柄が実子か養子か分かるように記載されたもの。養子がいる場合は、その養子の戸籍の謄本または抄本も必要)、またはこれらのコピー ②遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し(国税庁が提出をお願いしている書類) |
| 相続時精算課税を適用した人がいる場合 | 一般の場合の書類に加え、被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの) |
| 配偶者の税額軽減を受ける場合 | 一般の場合の①、遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し、相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)、申告期限までに分割できない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」 |
| 小規模宅地等の特例を受ける場合 | 配偶者の税額軽減と同じ書類に加え、宅地等の区分に応じた書類(相続開始前3年以内の住所を明らかにする書類、被相続人が老人ホームなどに入居・入所していたことを明らかにする書類など。マイナンバーがあれば提出不要のものもあります) |
| 延納を申請する場合 | 延納申請書、金銭納付を困難とする理由書、担保目録及び担保提供書、不動産等の財産の明細書、担保提供関係書類 |
| 物納を申請する場合 | 物納申請書、金銭納付を困難とする理由書、物納財産目録、物納手続関係書類(登記事項証明書、公図、所在図など) |
出典:相続税の申告のしかた(令和8年分用)73〜75ページ「(参考)相続税の申告の際に提出していただく主な書類」。特例ごとの細かな書類は同じページで確認できます。
特例の適用で必要になる登記事項証明書は、不動産の所在地番や不動産番号を記載した書類を添付することで、提出を省略できる場合があります([手続名]相続税の申告手続)。添付書類は機械で読み取るため、のり付けせず、複数枚になるときはクリップなどで留めます(相続税の申告のしかた73ページ)。
財産と債務を確認するための主な資料
次の資料は申告書に添付するものではなく、財産と債務の計上漏れを防ぐために国税庁の相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用)が挙げている確認資料の一部です。国税庁は、このチェックシートを申告書に添付して提出するよう依頼しています。
| 区分 | 確認すること | 確認に使う資料 |
|---|---|---|
| 不動産 | 未登記の不動産、共有の不動産、先代名義の不動産、他の市区町村や国外にある不動産がないか | 固定資産税評価証明書、登記事項証明書、賃貸借契約書など |
| 現金・預貯金 | 相続開始日現在の残高で計上しているか。名義は異なるが被相続人に帰属するものがないか。既経過利息を計算しているか | 預貯金・金銭信託等の残高証明書、預貯金通帳など |
| 有価証券 | 株式・投資信託などの計上漏れ、名義は異なるが被相続人に帰属するもの、国外の有価証券がないか | 証券・株券またはその預り証、配当金支払通知書など |
| 生命保険金・退職手当金など | 生命保険金や生命保険契約に関する権利、家族名義で被相続人が保険料を負担していた契約、退職手当金の計上漏れがないか | 保険証券、支払保険料計算書、退職金の支払調書など |
| その他の財産 | 準確定申告の還付金、未収の給与・地代・家賃、貸付金、ゴルフ会員権などがないか | 準確定申告書(控)、賃貸借契約書、通帳、会員証など |
| 債務・葬式費用 | 借入金、未払金、未納の固定資産税・所得税などの計上漏れがないか。葬式費用に法要や香典返しの費用、墓石・仏壇の購入費用が含まれていないか | 納付書、納税通知書、請求書、領収証など |
| 生前の贈与 | 加算の対象期間内の暦年課税の贈与(基礎控除額未満の贈与を含む)と、相続時精算課税の贈与を加算しているか | 贈与証書、贈与税の申告書(控)、預貯金通帳など |
e-Taxのマイページの「贈与税関係情報」には、2026年9月24日に「相続時精算課税適用状況」や「書面申告提出状況」などの機能が追加され、これらの情報は2026年10月19日以後に反映されると案内されています(e-Tax「マイページの『贈与税関係情報』が更に便利になります。」)。マイページで確認できるのは、ログインした本人(贈与を受けた人)の贈与税の情報です。
遺産分割がまとまらないとき(未分割での申告)
【確定】申告期限までに遺産分割の協議が成立していないときは、各相続人などが民法に定める相続分または包括遺贈の割合で財産を取得したものとして相続税を計算し、期限までに申告と納税をします(相続税法55条、国税庁 No.4208)。
- 使えない特例:分割されていない財産には、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例などを適用できません(国税庁 No.4208)。
- 3年以内に分割すれば適用できる:申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておき、申告期限から3年以内に分割したときは、これらの特例を受けられます(国税庁 No.4158・No.4208)。
- 分割後の手続き:分割に基づいて計算した税額が当初の申告より少なくなる人は、分割があったことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができます。多くなる人は修正申告書を提出できます(相続税法31条・32条1項、国税庁 No.4208)。特例を分割後に受ける場合も、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求をします(国税庁 No.4158)。
- 3年以内に分割できない事情があるとき:配偶者の税額軽減では、やむを得ない事情があるときは、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに、税務署長に承認の申請をします。承認を受け、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割したときも、特例の対象になります(相続税法施行令4条の2第2項、国税庁 No.4158)。
遺産分割協議書を使って配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けるときは、協議書の写しとあわせて、協議書に押印した相続人全員の印鑑証明書を添付します(国税庁 No.4158、相続税の申告のしかた73ページ)。
申告書の様式と作成の順序(令和8年分用)
【確定】2026年1月1日から12月31日までに亡くなった人の申告には、国税庁の相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)に掲載された様式を使います。令和8年分用から様式が変わり、控用がなくなりました。財産の明細は第11表の付表1〜4に財産の種類ごとに書き、第11表で合計します。2025年以前に亡くなった人の申告には、その年分用の様式を使います。
| 表番号 | 名称 |
|---|---|
| 第1表・第1表(続) | 相続税の申告書 |
| 第2表 | 相続税の総額の計算書 |
| 第4表 | 相続税額の加算金額の計算書 |
| 第4表の2 | 暦年課税分の贈与税額控除額の計算書 |
| 第5表 | 配偶者の税額軽減額の計算書 |
| 第6表 | 未成年者控除額・障害者控除額の計算書 |
| 第7表 | 相次相続控除額の計算書 |
| 第8の8表 | 税額控除額及び納税猶予税額の内訳書 |
| 第9表 | 生命保険金などの明細書 |
| 第10表 | 退職手当金などの明細書 |
| 第11表 | 相続税がかかる財産の合計表(相続時精算課税適用財産を除きます。) |
| 第11表の付表1〜4 | 相続税がかかる財産の明細書(1:土地・家屋等用、2:有価証券用、3:現金・預貯金等用、4:事業(農業)用財産・家庭用財産・その他の財産用) |
| 第11の2表 | 相続時精算課税適用財産の明細書・相続時精算課税分の贈与税額控除額の計算書 |
| 第11・11の2表の付表1 | 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書 |
| 第13表 | 債務及び葬式費用の明細書 |
| 第14表 | 純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに遺贈した財産・特定の公益法人などに寄附した相続財産・特定公益信託などのために支出した相続財産の明細書 |
| 第15表・第15表(続) | 相続財産の種類別価額表 |
第3表(農業相続人がいる場合)、第8表(外国税額控除額・農地等納税猶予税額)、第8の2表〜第8の7表(非上場株式等・山林・医療法人持分・美術品・事業用資産の納税猶予など)、第12表(農地等の納税猶予)は、該当する人だけが使います。事業承継税制の概要は事業承継と税金で説明しています。
作成の順序
国税庁の冊子は、相続時精算課税を適用した人や納税猶予を受ける人がいない一般の場合、次の順序で作成するよう説明しています(相続税の申告のしかた32ページ)。
- 評価が必要な財産について、「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」などを先に作ります。
- 財産と債務などについて、第9表から第15表までを作ります(第11表の付表、小規模宅地等の特例の計算明細書を含みます)。
- 課税価格の合計額と相続税の総額を計算するため、第1表と第2表を作ります。
- 税額控除の額を計算するため第4表から第8表までを作り、第1表と第8の8表に転記して、各人の納付すべき相続税額を計算します。
申告書は機械で読み取るため、枠内に記入し、同じ内容が続いても「同上」や「〃」とは書きません。元号や続柄はコードで記入します(相続税の申告のしかた33ページ)。記載例は国税庁の「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」を適用した相続税申告書の記載例と、相続税の申告のしかた32ページ以降にあります。間違えやすい点は相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集にまとめられています。
e-Taxで提出する方法
【確定】相続税の申告書は、2019年(平成31年)1月1日以後の相続などで財産を取得した人の申告から、e-Taxで提出できます(e-Tax よくある質問「申告内容によって、相続税の申告書をe-Taxにより提出(送信)できない場合がありますか。」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作成に使うもの | e-Taxソフト(ダウンロード版)または民間の税務会計ソフト。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」とe-Taxソフト(WEB版)では、相続税の申告書は作れません。e-Taxソフトは、作成コーナーのように税額を自動計算するものではなく、自分で計算した金額を入力します |
| 相続人が自分で送信する場合 | 財産を取得した人ごとに送信します。他の人の申告をまとめて送ることはできません。本人の電子証明書(マイナンバーカードなど)が必要です |
| 税理士が代理送信する場合 | 1回の送信で最大9人分をまとめて送れます。税理士の電子署名で送信すれば、相続人本人の電子署名は不要です |
| 添付書類 | 戸籍の謄本などの法定添付書類も、PDFのイメージデータで送れます。イメージデータで提出した添付書類は、原本を保存する必要はありません。2022年4月1日以後は、光ディスクなどにまとめて提出することもできます(1枚1,000ファイルまで、1ファイル50.0MBまで) |
| e-Taxで提出できない主な場合 | 10人以上の財産取得者の申告を1度に送る場合、申告書を提出すべき人が申告期限前に提出しないで亡くなり、その相続人が提出する場合(相続税法27条2項)、財産を取得した人が電子証明書を持っていない場合(税理士などの代理送信を除く)など。これらは書面で提出します |
出典:e-Tax よくある質問(相続税申告の作成・提出)問10・問11・問12・問15・問16・問18。
国税庁の「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」は、税理士に依頼する人への案内の中で「すでに約7割がe-Taxで申告されています」としています。e-Taxで提出すると、提出した申告書を受信通知でいつでも確認できます。書面の場合は控用がなくなったため、自分で控えを作ることになります。
2026年9月24日に国税システムが更改されました。e-Taxホームページには、更改の直後から利用状況に関するお知らせが掲載されています。送信の前にe-Taxホームページのお知らせを確認してください(国税庁「国税システムの更改について」)。
納税の方法と連帯納付義務
【確定】相続税は、申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月目の日)までに、金銭で一度に納めるのが原則です。修正申告や期限後申告で納める税額は申告書を提出した日まで、更正・決定を受けた税額は通知が発せられた日の翌日から1か月を経過する日までに納めます(相続税の申告のしかた25ページ)。
申告書を提出した後に、税務署から納付のお知らせや納付書が送られてくることはありません。納付書で納める場合は、税務署で用意している所定の納付書を使います(相続税の申告のしかた25ページ)。
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ダイレクト納付 | 事前に届け出た預貯金口座から、e-Taxを使って即時または指定した日に引き落とします | 初回に「ダイレクト納付利用届出書」を提出します。使えるようになるまで、e-Taxで出した場合は1週間程度、書面の場合は1か月程度かかります |
| インターネットバンキングなど | 金融機関のインターネットバンキングやATMから納めます | ― |
| クレジットカード納付 | 「国税クレジットカードお支払サイト」から納めます | 1回の手続で1,000万円未満、かつカードの決済可能額以下。決済手数料は、納付税額が1万円までは99円(税込)で、以後1万円を超えるごとに99円が加わります。国の収入にはなりません。たとえば100万円なら9,900円です(当会で計算) |
| スマホアプリ納付 | e-Taxで申告データを送信した後などに、「国税スマートフォン決済専用サイト」からスマホ決済アプリで納めます | 納付額30万円以下の場合だけ使えます。事前にアプリへの残高のチャージが必要です |
| 窓口での現金納付 | 納付書を添えて、金融機関または所轄の税務署の窓口で納めます | 窓口ではクレジットカードで納めることはできません |
出典:国税庁 No.4205、相続税の申告のしかた25ページ、クレジットカード納付の手続、スマホアプリ納付の手続。
連帯納付義務
【確定】同じ被相続人から相続・遺贈などで財産を取得した人は、相続などで受けた利益の価額を限度として、互いに相続税を連帯して納める義務を負います(相続税法34条1項)。ほかの相続人が相続税を納めないと、自分の分を納めていても、税務署から納付を求められることがあります。ただし、次の相続税は連帯納付の対象から除かれます(相続税の申告のしかた27ページ)。
- 本来の納税義務者の申告期限などから5年以内に、連帯納付義務者に「納付通知書」が発せられていない場合のその相続税
- 本来の納税義務者が延納の許可を受けた相続税額
- 本来の納税義務者が農地などの相続税の納税猶予を受けた相続税額
延納と物納
金銭で一度に納めることが難しい場合の例外として、分割して金銭で納める延納と、相続財産そのもので納める物納があります。どちらも申告期限(納期限)までに申請書などを税務署に提出し、許可を受ける必要があります(国税庁 No.4205)。国税庁の冊子は、まず期限までの一括納付を検討し、難しければ延納、延納でも難しい場合に物納、という順で検討するよう示しています(相続税の申告のしかた26ページ)。
延納:年賦で金銭で納める
【確定】次のすべてを満たすと、延納を申請できます(国税庁 No.4211)。
- 相続税額が10万円を超えること
- 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること
- 延納税額と利子税の額に相当する担保を提供すること(延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下なら不要)
- 延納申請期限(期限内申告の場合は申告期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添えて提出すること
担保にできるのは、国債・地方債、税務署長が確実と認める社債などの有価証券、土地、保険を付けた建物・立木・登記される船舶など、鉄道財団・工場財団など、税務署長が確実と認める保証人の保証です。相続した財産に限らず、相続人自身の財産や第三者の財産でもかまいません。担保提供関係書類が期限までにそろわないときは、届出により1回3か月、最長6か月まで提出期限を延ばせます。税務署長は延納申請期限から3か月以内に許可または却下をし、担保の状況などによっては最長6か月まで延びることがあります(国税庁 No.4211)。
| 区分 | 延納期間(最高) | 利子税(本則) | 特例割合 |
|---|---|---|---|
| 不動産等の割合75%以上:動産等に係る延納相続税額 | 10年 | 5.4% | 0.9% |
| 不動産等の割合75%以上:不動産等に係る延納相続税額(森林計画立木分を除く) | 20年 | 3.6% | 0.6% |
| 不動産等の割合75%以上:森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木分 | 20年 | 1.2% | 0.2% |
| 不動産等の割合50%以上75%未満:動産等に係る延納相続税額 | 10年 | 5.4% | 0.9% |
| 不動産等の割合50%以上75%未満:不動産等に係る延納相続税額(森林計画立木分を除く) | 15年 | 3.6% | 0.6% |
| 不動産等の割合50%以上75%未満:森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木分 | 20年 | 1.2% | 0.2% |
| 不動産等の割合50%未満:一般の延納相続税額 | 5年 | 6.0% | 1.0% |
| 不動産等の割合50%未満:立木の割合が30%を超える場合の立木分 | 5年 | 4.8% | 0.8% |
| 不動産等の割合50%未満:特別緑地保全地区等内の土地分 | 5年 | 4.2% | 0.7% |
| 不動産等の割合50%未満:森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木分 | 5年 | 1.2% | 0.2% |
出典:国税庁 No.4211。特例割合は「利子税(本則)×延納特例基準割合÷7.3%」で、0.1%未満の端数は切り捨て、0.1%未満になるときは0.1%です。当会で全行を検算しました(例:3.6%×1.3%÷7.3%=0.641…%→0.6%)。延納特例基準割合は、各分納期間の開始の日が属する年ごとに決まるため、2027年以後に始まる分納期間は、その年の割合で計算し直されます。
- 不動産等の範囲:不動産、不動産の上に存する権利、立木、事業用の減価償却資産、特定同族会社の株式・出資です(相続税の申告のしかた28ページ)。
- 延納税額が少ない場合の期間の上限:延納税額が一定額未満のときは、延納期間は「延納税額÷10万円」(1未満の端数は1)年が上限です。一定額は、不動産等の割合が50%未満なら50万円、50%以上なら150万円、75%以上の場合の不動産等に係る部分は200万円です(相続税法38条1項、租税特別措置法70条の10第1項)。たとえば不動産等の割合が50%未満で延納税額が32万円なら、32万円÷10万円=3.2で、延納期間は4年以内です(当会の計算例)。
- 延納から物納への変更(特定物納):延納の許可を受けた後に延納を続けることが難しくなった場合は、申告期限から10年以内に限り、分納期限が来ていない税額を物納に変えることを申請できます。この場合の収納価額は、特定物納を申請した時の価額です(国税庁 No.4211)。
物納:相続財産で納める
【確定】延納によっても金銭で納めることが難しい事由がある場合に、その難しい金額を限度として、相続財産で納めることができます。相続時精算課税の適用を受けた財産や、贈与税の納税猶予の特例を受けた非上場株式等・事業用資産は物納に充てられません。次のすべてを満たす必要があります(国税庁 No.4214)。
- 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること
- 申請する財産が、相続税の課税価格の計算の基礎となった相続財産のうち日本国内にあるもので、定められた種類と順位によっていること
- 物納に不適格な財産(管理処分不適格財産)でないこと。物納劣後財産の場合は、他に物納に充てる適当な財産がないこと
- 物納申請期限(期限内申告の場合は申告期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添えて提出すること
| 順位 | 財産 |
|---|---|
| 第1順位 | ①不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等 ②不動産と上場株式のうち物納劣後財産に当たるもの |
| 第2順位 | ③非上場株式等 ④非上場株式のうち物納劣後財産に当たるもの |
| 第3順位 | ⑤動産 |
出典:国税庁 No.4214。後の順位の財産は、税務署長が特別の事情があると認める場合と、先の順位に適当な価額の財産がない場合に限って物納に充てられます。相続開始の時にすでに登録を受けている特定登録美術品は、順位にかかわらず物納に充てられます。
- 管理処分不適格財産の例:担保権の設定の登記がされている不動産、権利の帰属について争いがある不動産、境界が明らかでない土地、二以上の者の共有に属する不動産、譲渡制限株式、共有に属する株式(共有者全員が物納を申請する場合を除きます)などです(国税庁 No.4214)。
- 物納劣後財産の例:法令の規定に違反して建築された建物とその敷地、建築基準法の道路に2メートル以上接していない土地、納税義務者が現に住んでいる、または事業に使っている建物とその敷地(本人がその建物と敷地の物納を申請する場合を除きます)などで、他に適当な財産がない場合に限って物納に充てられます(国税庁 No.4214)。
- 収納価額:原則として、相続税の課税価格の計算の基礎となったその財産の価額です。小規模宅地等の特例を適用した宅地等を物納する場合は、特例を適用した後の価額になります(国税庁 No.4214)。
- 審査の期間:物納手続関係書類がそろわないときは、届出により1回3か月、最長1年まで提出期限を延ばせます。税務署長は物納申請期限から3か月以内に許可または却下をし、財産の状況によっては最長で9か月延びることがあります。
- 却下されたとき:管理処分不適格財産や物納劣後財産に当たるとして却下された場合は、却下の日の翌日から20日以内に1回に限り、他の財産で物納を再申請できます。延納で納められるとして却下された場合は、延納を申請できます。
- 利子税:物納を申請すると、申請者が書類の訂正などを行う期間について利子税がかかります。却下された場合などは、納期限の翌日から却下の日などまでの利子税がかかります。自分で申請を取り下げた場合は、納期限の翌日から延滞税がかかります(国税庁 No.4214)。
延納・物納の書類と手続きの詳細は、国税庁の相続税・贈与税の延納の手引、相続税の物納の手引(手続編)、延納・物納申請等のページにあります。
期限に遅れたとき・申告内容を直すとき
延滞税
【確定】相続税を期限までに納めなかった場合は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税がかかります(国税庁 No.9205)。期限後申告や修正申告の場合、納期限は申告書を提出した日です。
| 期間 | 2026年中 | 2022年〜2025年 |
|---|---|---|
| 納期限の翌日から2か月を経過する日まで | 年2.8% | 年2.4% |
| 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 | 年9.1% | 年8.7% |
当会の計算例(架空の設例):2026年1月6日に亡くなり、相続税の納期限が2026年11月6日(金)の相続人が、本税300万円を2026年12月7日(月)に納めた場合です。遅れた日数は11月7日から12月7日までの31日で、2か月以内の割合(年2.8%)が適用されます。
3,000,000円×2.8%×31÷365=7,134.2…円 → 100円未満を切り捨てて7,100円
延滞税の計算の基礎となる税額は1万円未満を切り捨て、延滞税の額は100円未満を切り捨て、全額が1,000円未満なら納める必要はありません(国税通則法118条3項・119条4項)。
無申告加算税・過少申告加算税・重加算税
| 場合 | 無申告加算税(期限後申告・決定) | 過少申告加算税(修正申告・更正) |
|---|---|---|
| 税務調査の通知の前に、自主的に申告・修正した | 5% | かからない |
| 調査の通知の後、更正・決定を予知する前に申告・修正した | 10%(50万円を超え300万円以下の部分は15%、300万円を超える部分は25%) | 5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は10%) |
| 調査を受けて更正・決定を予知した後の申告・修正、または更正・決定 | 15%(50万円を超え300万円以下の部分は20%、300万円を超える部分は30%) | 10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%) |
出典:国税通則法65条・66条(e-Gov法令検索)。
- 期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合で、法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告をしたときは、無申告加算税はかかりません(国税通則法66条9項)。期限内に申告しなかったことに正当な理由があると認められる場合も、かかりません(同条1項ただし書)。
- 財産を隠したり事実を仮装したりしていた場合は、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の重加算税がかかります(国税通則法68条)。
- 無申告加算税と重加算税は、過去5年以内に同じ税目で無申告加算税(調査によるもの)や重加算税を課されたことがある場合などに、さらに10%が加算されます(国税通則法66条6項・68条4項)。
- 加算税の計算の基礎となる税額は1万円未満を切り捨て、加算税の額は100円未満を切り捨て、全額が5,000円未満なら課されません(国税通則法118条3項・119条4項)。
当会の計算例(架空の設例):期限後申告で納める相続税が400万円の場合の無申告加算税です(延滞税は別にかかります)。
- 調査の通知の前に自主的に申告:4,000,000円×5%=200,000円
- 調査の通知の後、更正・決定の予知の前に申告:500,000円×10%+2,500,000円×15%+1,000,000円×25%=50,000円+375,000円+250,000円=675,000円
- 調査を受けて申告、または決定:500,000円×15%+2,500,000円×20%+1,000,000円×30%=75,000円+500,000円+300,000円=875,000円
申告内容を直すとき
- 税額が少なすぎた:修正申告書を提出します。納める税額には、加算税と延滞税がかかる場合があります(相続税の申告のしかた24ページ)。
- 税額が多すぎた:法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求ができます(国税通則法23条1項)。
- 申告の後に事情が変わった:未分割だった遺産の分割、認知などによる相続人の異動、遺留分侵害額の請求に基づいて支払う金額の確定、遺言書の発見などで税額が多すぎることになったときは、その事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができます。同じ事由で税額が少なすぎることになったときは、修正申告書を提出できます(相続税法32条1項、相続税の申告のしかた24ページ)。
よくある質問
相続税の申告期限はいつですか。期限が土曜日や日曜日のときはどうなりますか。
被相続人が亡くなったことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内で、10か月目の日が期限です。その日が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、翌日が期限になります。たとえば2026年6月9日に亡くなった場合は2027年4月9日(金)、6月10日の場合は4月10日が土曜日のため4月12日(月)です。〔国税庁 相続税の申告のしかた(令和8年分用)〕
遺産分割の話し合いがまとまらない場合、申告期限は延びますか。
延びません。民法の相続分などで財産を取得したものとして期限までに申告と納税をします。この申告では配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使えませんが、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、申告期限から3年以内に分割すれば、分割の日の翌日から4か月以内の更正の請求によって特例を受けられます。〔国税庁 No.4208・No.4158〕
特例を使うと相続税が0円になります。申告は必要ですか。
必要です。申告が必要かどうかは小規模宅地等の特例などを適用する前の金額で判定し、配偶者の税額軽減も申告書に明細を記載して提出した場合に限り適用されます。〔国税庁 No.4205・No.4158〕
準確定申告で納めた所得税は、相続税の計算で差し引けますか。
差し引けます。準確定申告で納めることになった所得税・消費税は、被相続人の債務として相続税がかかる財産の価額から差し引けます。反対に、準確定申告で還付される所得税は相続財産として相続税の対象になり、還付加算金は相続人の雑所得になります。〔国税庁 相続税の申告のしかた、No.4126、質疑応答事例〕
相続人が自分でe-Taxを使って相続税の申告書を出せますか。
出せます。e-Taxソフト(ダウンロード版)か民間の税務会計ソフトで申告書を作り、財産を取得した人ごとに、本人の電子証明書を使って送信します。国税庁の確定申告書等作成コーナーやe-Taxソフト(WEB版)では相続税の申告書は作れません。〔e-Tax よくある質問 問10・問12・問18〕
相続税の納付書は税務署から送られてきますか。
送られてきません。納付書で納める場合は、税務署で用意している所定の納付書を使います。ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード(1,000万円未満)、スマホアプリ(30万円以下)でも納められます。〔国税庁 相続税の申告のしかた(令和8年分用)〕
延納の利子税はどのくらいですか。
延納特例基準割合が1.3%(2026年1月1日現在)の場合、不動産等の割合が75%以上の人の不動産等に係る延納相続税額は年0.6%、不動産等の割合が50%未満の人の一般の延納相続税額は年1.0%などです。割合は分納期間が始まる年ごとに変わります。〔国税庁 No.4211〕
書面で提出した申告書の控えに、受付印を押してもらえますか。
2025年1月から、申告書の控えに収受日付印は押されていません。令和8年分用の申告書からは控用もなくなったため、必要に応じて自分で控えを作り、提出日を記録しておきます。当分の間、希望すれば、収受した日付と税務署名を記載したリーフレットを受け取れます。〔国税庁 相続税の申告のしかた(令和8年分用)〕
まとめ
- 相続税の申告と納税は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月目の日までです。土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは翌日になります。
- 提出先は被相続人が亡くなったときの住所地の税務署です。財産を取得した人が共同で1通を出すことも、別々に出すこともできます。
- 被相続人の所得税・消費税の準確定申告は4か月以内です。納めた税額は相続税の計算で債務として差し引け、還付金は相続財産になります。
- 遺産分割がまとまらなくても期限は延びません。未分割で申告し、分割見込書を添付しておけば、3年以内の分割で配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。
- 2026年中に亡くなった人の申告は、令和8年分用の新しい様式を使います。控用はなくなりました。
- 金銭で一度に納めることが難しいときは、申告期限までに延納、延納でも難しいときは物納を申請します。2026年の延納の利子税の特例割合は年0.2%〜1.0%です。
出典・参考資料
いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。
国税庁 冊子・様式・手続
- 相続税の申告のしかた(令和8年分用)(令和8年4月1日現在の法令等に基づくもの)
- 相続税の申告書等の様式一覧(令和8年分用)
- [手続名]相続税の申告手続
- 確定申告等情報(相続税)
- 相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用、PDF)
- 相続税・贈与税の延納の手引(PDF)、相続税の物納の手引(手続編、PDF)
- クレジットカード納付の手続、スマホアプリ納付の手続
国税庁 タックスアンサー・質疑応答事例
- No.4202 相続税の申告のために必要な準備、No.4205 相続税の申告と納税、No.4208 相続財産が分割されていないときの申告
- No.4211 相続税の延納、No.4214 相続税の物納
- No.4124 小規模宅地等の特例、No.4126 相続財産から控除できる債務、No.4158 配偶者の税額の軽減、No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)、No.9205 延滞税について
- Q&A 贈与税の申告内容の開示、質疑応答事例「被相続人の準確定申告に係る還付金等」
e-Tax
- 相続税申告の作成・提出についてよくある質問(問10・11・12・15・16・18)
- マイページの「贈与税関係情報」が更に便利になります。(2026年9月24日更新)
- 国税庁「国税システムの更改について」
法令・その他
- 相続税法(19条の2・27条・31条〜34条・38条・39条・41条・49条・55条)、相続税法施行令(4条の2)
- 国税通則法(10条・23条・60条・65条・66条・68条・118条・119条)、国税通則法施行令(2条)
- 所得税法(124条・125条)、消費税法(45条3項)、租税特別措置法(70条の10)、民法(915条)
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 内閣府「国民の祝日について」
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年5月15日:公開
- 2026年9月26日:全面改訂
- 追加した項目:期限の数え方と日付の例、準確定申告との関係、国税庁資料に基づく添付書類、e-Taxの作成方法と制限、連帯納付義務、延納・物納の要件と審査期間。あわせて、令和8年分用の申告書の様式変更と控用の廃止、2026年の延滞税・延納利子税の割合、生前贈与の加算期間を反映しました。
- 訂正した項目:誤っていた延納期間・利子税の説明、申告書の表の名称、e-Taxの作成方法、添付書類の説明
- 削除した項目:根拠を確認できない調査の割合、税理士報酬の目安
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。新宿間税会は個別の税務相談を受けていません。無料で相談できる公的な窓口は、新宿で税金の相談をしたいときの窓口にまとめています。