飲食料品の消費税1%はいつから?2027年4月からの引下げ案と事業者の実務
【予定・法案未成立】2026年9月15日に閣議決定された大綱では、2027年(令和9年)4月1日から2029年(令和11年)3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を今の8%から1%(国0.78%+地方0.22%)に下げるとしています。対象は今の軽減税率の対象と同じ飲食料品で、酒類と外食は10%、週2回以上発行される新聞の定期購読は8%のままです。2026年9月26日時点で法案は国会に提出されておらず、この記事の内容は、法案が大綱どおりに成立した場合のものです。
引下げ案の要点【予定・法案未成立】
| 項目 | 大綱と国税庁資料の内容 |
|---|---|
| 期間 | 2027年4月1日〜2029年3月31日(2年間)。2029年4月1日から8%に戻ります |
| 税率 | 1%(国の消費税0.78%+地方消費税0.22%) |
| 1%になるもの | 今8%の飲食料品(テイクアウト・出前・宅配を含む)と、飲食料品の輸入 |
| 変わらないもの | 酒類・外食は10%、週2回以上発行される新聞の定期購読は8% |
| 事業者向けの特例案 | 定期便・通信販売の経過措置、値札(総額表示)の特例、免税事業者・簡易課税の事業者の届出の特例、簡易課税・2割特例・3割特例の計算の特例、中間申告の特例 |
| 状況 | 2026年9月15日に大綱を閣議決定。2026年9月26日時点で法案は国会に未提出 |
国税庁のQ&Aやリーフレットも、今後、法案が国会に提出され、審議を経たうえで可決・成立した場合の内容として公表されています。この記事は、事業者の実務と特例を中心に説明します。
【予定・法案未成立】2026年9月26日時点の状況
- 2026年8月5日:「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針が閣議決定され、2027年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品の税率を1%にする方針が示されました。
- 2026年9月15日:「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」が閣議決定されました。同じ日に国税庁・財務省が消費税率引下げ特設サイトを開設し、事業者向けのリーフレット、パンフレット、Q&Aを公表しています。
- 法案:財務省の国会提出法律案のページと内閣官房のページを2026年9月26日に確認した範囲では、国会に提出されていません。
国会の審議で内容が変わることや、法案が成立しないこともあり得ます。変更があれば、この記事を更新します(この記事の更新方針)。
目次
いつから・いつまで:2027年4月1日から2年間
【予定・法案未成立】大綱では、2027年4月1日から2029年3月31日までの間に国内で行う飲食料品の譲渡と、保税地域から引き取る(輸入する)飲食料品について、消費税率を0.78%(地方消費税と合わせて1%)とする特例を設けるとしています。2年間に限った臨時の措置で、2029年4月1日以後に行う飲食料品の販売には8%が適用されます(大綱(内閣官房、PDF)、国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A」(PDF) 問1-1・問3-2)。
| 日付 | 予定されていること |
|---|---|
| 2026年12月31日まで | この日までに結んだ定期供給契約や、示した通信販売の販売条件は、4月1日以後の販売でも8%になる場合があります(経過措置) |
| 2027年2月1日 | 値札の特例が始まります(1%で計算した税込価格の表示も可) |
| 2027年3月17日 | 4月1日からインボイス発行事業者(課税事業者)になる場合の登録申請の期限(現行制度の経過措置) |
| 2027年3月31日 | 8%で販売する最後の日 |
| 2027年4月1日 | 1%の適用開始 |
| 2027年5月31日 | 開始時の値札の特例(8%で計算した税込価格の表示も可)が終わります |
| 2029年2月1日 | 終了時の値札の特例が始まります(8%で計算した税込価格の表示も可) |
| 2029年3月31日 | 1%で販売する最後の日 |
| 2029年4月1日 | 8%に戻ります |
| 2029年5月31日 | 終了時の値札の特例(1%で計算した税込価格の表示も可)が終わります |
法案が成立していないため、日程が変わる可能性があります。3月17日の登録申請の期限は、登録希望日(2027年4月1日)の15日前の日です(国税庁Q&A 問3-4)。
4月1日をまたぐ取引の税率
- 税率は、売り手が飲食料品を販売する(引き渡す)時点で判定します。2027年3月31日までに結んだ契約でも、4月1日以後に販売するものは、経過措置に当たる場合を除いて1%です(国税庁Q&A 問1-3)。
- 3月31日までに仕入れた飲食料品の仕入れの税率は、販売が4月1日以後になっても8%です(同)。
- 深夜まで営業する店が、継続して4月1日の午前0時〜1時の売上げを3月31日分として計上している場合、その時間の販売は8%で扱って差し支えないとされています(同)。
- 買い手は、売り手が適用した税率で仕入税額控除をします。売り手が3月30日の出荷で8%として請求し、買い手の検収が4月2日でも、買い手は8%で控除します(国税庁Q&A 問1-4)。
1%になるもの・ならないもの
【予定・法案未成立】1%の対象は、2027年3月31日まで8%の対象になっている飲食料品と同じ範囲です(国税庁Q&A 問1-2)。飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除く)をいい、一定の要件を満たす一体資産を含みます。範囲は変わらないため、個々の品目の見分け方は軽減税率の対象品目の説明がそのまま当てはまります。
| 区分 | 現在 | 1%の期間 |
|---|---|---|
| 飲食料品(酒類・外食を除く) | 8% | 1% |
| テイクアウト(持ち帰り) | 8% | 1% |
| 出前・宅配(飲食料品を届けるだけのもの) | 8% | 1% |
| 有料老人ホーム等で行う飲食料品の提供や学校給食など一定のもの | 8% | 1% |
| 一体資産(税抜1万円以下で、食品の価額の割合が3分の2以上) | 8% | 1% |
| 飲食料品の輸入(保税地域からの引取り) | 8% | 1% |
| 週2回以上発行される新聞の定期購読 | 8% | 8%(対象外) |
| 酒類 | 10% | 10% |
| 外食(店内飲食・イートイン) | 10% | 10% |
| ケータリング・出張料理(上の一定のものを除く) | 10% | 10% |
| 医薬品・医薬部外品など | 10% | 10% |
| 上記以外の商品・サービス | 10% | 10% |
国税庁のパンフレット・Q&A(令和8年9月)に基づいて当会が作成しました。酒類の酒税(消費税とは別の税)は、2026年10月から税率が改正されています(酒税の税率と2026年10月改正)。
税率は1%(国0.78%+地方0.22%)で、0%ではありません。地方消費税は国の消費税額の22/78で、1%でもこの比率は変わりません(0.78%×22/78=0.22%。国税庁パンフレット)。軽減税率(8%)・標準税率(10%)との内訳の比較は軽減税率・標準税率の内訳で説明しています。地方消費税分の減収は、大綱により地方特例交付金で全額補塡するとされています(内閣官房 大綱)。「給付付き税額控除」の基本方針(2026年8月5日閣議決定)は、1%への引下げと、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲で行う給付(就業者負担軽減支援金)を組み合わせ、「全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現する」としています(基本方針(内閣官房、PDF))。
1%の税込価格と消費税額の計算
【予定・法案未成立】税率が1%になった場合の計算式は次のとおりです。
| 税抜価格 | 8%(現在) | 1%(予定) | 差 |
|---|---|---|---|
| 100 | 108 | 101 | 7 |
| 500 | 540 | 505 | 35 |
| 1,000 | 1,080 | 1,010 | 70 |
国税庁の資料(令和8年9月)には、確定申告書で1%分をどう記載するかの説明はまだありません(中間申告の特例の記載方法を除く)。税込・税抜の計算式や端数処理の決まりは、消費税の計算方法(1%になった場合の計算)で説明しています。
インボイス・帳簿・レシートの書き方
【予定・法案未成立】飲食料品を販売したときのインボイス(適格請求書)や仕入明細書には、適用税率を1%、消費税額等を1%で計算した額として記載します。それ以外のインボイスや帳簿の記載事項は変わりません。今と同じく「軽減税率の対象品目である旨」を書いていれば、「税率1%の対象品目である旨」を新たに書く必要はありません(国税庁Q&A 問2-1)。
| 区分 | 税抜金額 | 消費税額 |
|---|---|---|
| 1%対象(食品) | 40,000 | 400 |
| 10%対象(雑貨) | 10,000 | 1,000 |
| 合計 | 50,000 | 1,400 |
| 請求金額 | 51,400 | |
レシートなどの適格簡易請求書(簡易インボイス)では、今と同じく「税率ごとに区分した消費税額等」と「適用税率」のどちらか一方を書けば足ります(国税庁Q&A 問2-1(参考))。インボイスの記載事項全体は適格請求書の書き方で説明しています。
4月1日をまたぐ締め請求
毎月15日締めなどで、1枚の請求書の対象期間に3月以前(8%)と4月以後(1%)の取引が混ざる場合について、国税庁Q&A 問2-2は次の2つの作り方を示しています。
- 3月31日までの取引と4月1日以後の取引で、請求書を分けて発行する
- 1枚の請求書の中で3月分と4月分を分け、税率ごとの合計金額と消費税額を書く
| 区分 | 税抜金額 | 消費税額 |
|---|---|---|
| 1%対象(4月分の食品) | 20,000 | 200 |
| 8%対象(3月分の食品) | 40,000 | 3,200 |
| 10%対象(3月分・4月分の雑貨) | 50,000 | 5,000 |
| 合計 | 110,000 | 8,400 |
| 請求金額 | 118,400 | |
国税庁Q&A 問2-2の例です。当会で計算を確かめました。
返品・値引き・貸倒れ
- 2027年3月31日以前に8%で販売した飲食料品が4月1日以後に返品された場合、返品に係る消費税額は8%で計算します。売掛金の貸倒れも同じです(国税庁Q&A 問1-5)。
- 4月1日以後に1%で販売したものの返品・値引き・貸倒れは、1%で計算します(大綱 第二 一1(注3))。
4月1日以後も8%になる取引(定期便・通信販売の経過措置)
【予定・法案未成立】4月1日以後の飲食料品の販売は原則1%ですが、次の2つには8%が適用されます。選択できる扱いではなく、要件に当てはまれば8%になります(国税庁Q&A 問1-6)。
| 取引 | 8%になる要件 | 例 |
|---|---|---|
| 定期供給契約 | 2027年1月1日前に結んだ定期供給契約(不特定多数の人に定期的に継続して供給する契約)に基づく4月1日以後の販売で、4月1日前に代金を受け取っているもの(受け取った部分に限る) | 代金を先払いし、季節の食材が毎月届く定期便 |
| 通信販売 | 2027年1月1日前に販売条件を示し、4月1日前に申込みを受けた4月1日以後の販売 | お中元やギフトのカタログ販売 |
ただし、契約や販売条件に「令和9年4月1日以後の販売は消費税率1%による」「税率が1%に変わった場合は○○円とする」などと定めている場合(1%を前提としている場合)や、2027年1月1日以後に契約を変更して1%に基づく金額にした場合は、1%が適用されます。
- 「定期的に継続して供給する」とは、週・月・年などの周期で、おおむね規則的に継続して供給することをいいます。
- 「販売条件の提示」は、新聞・テレビ・チラシ・カタログ・インターネットなどの媒体で示すことです。カタログの印刷が終わった場合など、いつでも示せる状態になっている場合も含みます。訪問面談で示す場合は含みません。
- 「申込み」には、インターネットでの申込みや、預貯金口座への払込みによる申込みを含みます。訪問面談での申込みは含みません。
- 所得税の現金主義の適用を受けている小規模事業者などが、資産の譲渡等の時期の特例によって4月1日以後の販売とされるものも8%です(国税庁Q&A 問1-6(参考))。
値札・価格表示(総額表示の特例案)
【確定・現行制度】課税事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示するときは、消費税を含めた税込価格を表示する義務があります(総額表示。消費税法63条)。事業者間の取引は対象外です(国税庁 タックスアンサー No.6902)。
【予定・法案未成立】大綱は、税率が変わるときも総額表示の義務を維持し、税抜価格だけの表示や、税抜価格に「+税」とだけ書く表示は引き続き認めないとしています。そのうえで、総額表示にすぐ対応することが難しい事情があり、実際の支払額と誤認させないための措置をとっている場合に限って、次の期間は本来と違う税率の税込価格を表示できる特例を設けるとしています(大綱 第二 二4)。
| 期間 | 実際の税率 | 表示してよい税込価格 |
|---|---|---|
| 2027年2月1日〜3月31日 | 8% | 1%で計算した税込価格 |
| 2027年4月1日〜5月31日 | 1% | 8%で計算した税込価格 |
| 2029年2月1日〜3月31日 | 1% | 8%で計算した税込価格 |
| 2029年4月1日〜5月31日 | 8% | 1%で計算した税込価格 |
国税庁のQ&A(問3-9)とパンフレットは、2027年2月1日〜5月31日の間は8%と1%のどちらの税込価格で表示してもよく、両方が混在してもよいと説明しています。終わるとき(2029年2月1日〜5月31日)も同様です。
「すぐ対応することが難しい事情」の例
- 当たる例:夜間の値札の貼り替え作業に対応できない、カタログや商品パッケージ自体に価格が印字されている、などの理由で、税率が変わるときに正しい税率の総額表示が間に合わない場合
- 当たらない例:1%で表示できない具体的な事情がないのに、随時貼り替えている値札に8%の価格を表示し続けている場合
誤認を防ぐ措置の例(国税庁Q&A 問3-9)
- 棚全体を8%の価格のままにする場合:その棚の近くの目につきやすい場所に、この棚の商品は8%の税込価格で表示しており、レジでは1%で精算する旨を明瞭に掲示する。
- 8%と1%の値札が混在する場合:1%の値札に「(1%)」と書く、値札の色を変える、シールを貼るなどで区別したうえで、店内の目につきやすい場所に、その区別の方法と、レジでは1%で精算する旨を掲示する。
イートインスペースのある店で「店内飲食」と「持ち帰り」の価格をどう表示するかは、軽減税率制度Q&A(個別事例編)問121の考え方によるとされています(国税庁Q&A 問3-9(参考))。
レジ・受発注・会計システムの準備
【予定・法案未成立】実施されると、2027年4月以後も10%・8%・1%の3つの税率を扱うことになります。8%は、新聞の定期購読、経過措置の対象になる販売、3月31日以前の販売の返品などで残ります。
- レジ:1%の税率区分の追加、2027年4月1日午前0時の切替え(深夜営業の店は売上げの計上基準との関係も確認)、2029年4月1日に8%へ戻す設定
- 請求書・受発注システム:適用税率1%と税額の表示、4月1日をまたぐ締め請求の区分
- 会計システム:1%の税区分の追加、仕入れを請求書に書かれた税率どおりに入力できるか
- 仕入先に登録のない免税事業者等がいる場合:仕入税額控除の経過措置(控除割合の段階的な引下げ)も2026年10月から進んでおり、1%への対応とあわせて会計システムの設定を確認する
- 値札・棚札・カタログ・パッケージ:2027年2月1日〜5月31日の切替えの計画と、誤認を防ぐ掲示
- 定期便・通信販売:2027年1月1日より前に示す条件の税率の書き方
大綱は、スマートレジへの移行やレジの改修を行う中小企業などへの支援を行うとしていますが、具体的な内容は予算編成の過程で決めるとされ、2026年9月26日時点では決まっていません。国税庁の特設サイトには、レジやシステムの開発事業者向けに、税制面の問い合わせについての案内が掲載されています(国税庁 消費税率引下げ特設サイト)。
免税事業者・簡易課税の事業者向けの特例案
【予定・法案未成立】飲食料品の売上げは1%になりますが、10%の仕入れや経費はそのままです。そのため、一般課税(本則課税)で計算すると、仕入れの税額が売上げの税額を上回り、還付になる場合があります。ただし、免税事業者や簡易課税を選んでいる事業者は、そのままでは還付を受けられません。大綱と国税庁の資料は、飲食料品を販売する事業者について、次の特例を示しています。
免税事業者:課税事業者選択届出書の提出時期の特例
【確定・現行制度】免税事業者が課税事業者になるには、原則として、課税事業者になろうとする課税期間が始まる前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を出す必要があります(消費税法9条4項)。
【予定・法案未成立】特例では、飲食料品を販売する免税事業者が、2027年4月1日を含む課税期間の末日(個人事業者なら2027年12月31日)までに届出書を出せば、その課税期間の初めから課税事業者になれます(国税庁Q&A 問3-2)。
- 届出書の「適用開始課税期間」欄に2027年4月1日を含む課税期間を書き、「参考事項」欄に「飲食料品特例」と書きます。法案が成立すれば、2027年4月1日より前でも提出できるようになる予定です。
- 個人事業者は2027年1月1日から課税事業者になるため、1月〜3月の飲食料品の販売は8%で申告します。
- 原則として2年間(個人事業者なら2027年分と2028年分)は課税事業者として申告が必要です。2029年分から免税事業者に戻るには、2028年中に「消費税課税事業者選択不適用届出書」を出します(基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなどが前提です)。
- 課税事業者になった日から2年を経過する日までに始まる課税期間中に、100万円(税抜き)以上の固定資産(調整対象固定資産)を買い、その課税期間を一般課税で申告した場合などは、原則3年間、免税事業者に戻れません(国税庁Q&A 問3-2(注)3)。
インボイス登録の経過措置で4月1日から課税事業者になる方法(現行制度)
【確定・現行制度】2029年9月30日までの日を含む課税期間に登録を受ける免税事業者は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」に登録希望日(提出日から15日以後の日)を書いて出せば、登録日から課税事業者になれます(平成28年改正法附則44条4項)。国税庁は、2027年4月1日を登録希望日にする場合、2027年3月17日までに申請書を出すと案内しています(国税庁Q&A 問3-4)。
| 項目 | 課税事業者選択届出書の特例(予定) | インボイス登録の経過措置(現行制度) |
|---|---|---|
| 課税事業者になる日 | 2027年1月1日 | 登録日(例:2027年4月1日) |
| 1月〜3月の販売 | 申告の対象(8%) | 申告の対象外 |
| 免税事業者に戻れない期間(原則) | 2027年1月1日〜2028年12月31日 | 2027年4月1日〜2029年12月31日(4月1日に登録した場合) |
| 免税事業者に戻る手続き | 2028年中に課税事業者選択不適用届出書を出す | 2029年12月17日までに登録の取消しを求める旨の届出書を出す |
| インボイスの交付義務 | なし | あり(取引先の課税事業者から求められたとき) |
国税庁Q&A 問3-1の表をもとに作成しました。どちらの方法でも、課税期間を短縮する特例(課税期間特例)を使えば、1%が終わる2029年3月31日まで課税事業者とし、4月1日から免税事業者になることもできるとされています(インボイス登録の方法では登録の取消しも必要です。国税庁Q&A 問3-2・問3-4)。課税期間特例は、いったん使うと2年間はやめられません(問3-3)。登録の手続きはインボイス登録の手続きで説明しています。
簡易課税をやめる届出の時期の特例(2年縛りを外す)
【確定・現行制度】簡易課税をやめて一般課税にするには、やめようとする課税期間が始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を出します。また、簡易課税を選ぶと、2年間は続けて適用しなければなりません(消費税法37条)。
【予定・法案未成立】特例では、飲食料品を販売し、簡易課税を選んでいる事業者が、2027年4月1日を含む課税期間の末日(個人事業者なら2027年12月31日)までに不適用届出書を出せば、その課税期間から一般課税で申告できます。その課税期間には、2年間続けて適用する要件も適用しません。届出書の「参考事項」欄に「飲食料品特例」と書きます。法案が成立すれば、2027年4月1日より前でも提出できるようになる予定です。すでに簡易課税で仮決算による中間申告をしていても、一般課税でやり直す必要はないとされています(国税庁Q&A 問3-5)。
簡易課税・2割特例・3割特例の計算の特例
簡易課税で申告する場合、業種区分に関係なく、1%対象の飲食料品の売上税額と同じ額を仕入税額として控除します(本特例も予定段階です)。飲食料品以外の売上税額には、今までどおりみなし仕入率をかけます。この結果、1%対象の飲食料品の売上げからは納付税額が生じません。2割特例・3割特例を使う場合も同じ扱いです(大綱 第二 二2、国税庁Q&A 問3-6)。
| 売上げの区分 | 売上金額(税抜) | 税率 | 売上税額 | 控除する仕入税額 |
|---|---|---|---|---|
| 飲食料品の小売(第2種) | 2,000万円 | 1% | 20万円 | 20万円(売上税額と同額) |
| 雑貨などの小売(第2種、80%) | 300万円 | 10% | 30万円 | 24万円 |
| イートイン(外食、第4種、60%) | 100万円 | 10% | 10万円 | 6万円 |
| 合計 | 2,400万円 | ― | 60万円 | 50万円 |
| 納付税額 | 60万円−50万円=10万円 | |||
国税庁パンフレット(令和8年9月)の計算例です。当会で計算を確かめました。仮にこの特例がなく、1%の飲食料品の売上税額にもみなし仕入率80%をかけると、控除する仕入税額は46万円、納付税額は14万円になります(当会試算)。
2割特例は2026年9月30日を含む課税期間までの措置です。事業年度が1年の法人では、1%の期間と重なるのは、4月〜8月決算の法人が2割特例を使える最後の事業年度のうち、2027年4月1日以後の部分に限られます(当会で当てはめ)。3割特例は個人事業者の2027年分・2028年分が対象で、1%の期間と重なります。それぞれの要件は2割特例はいつまで使えるか、3割特例の対象と計算で説明しています。
75%ルールの判定
2種類以上の事業を営む場合の75%ルール(1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上なら、その事業のみなし仕入率を全体に使える)は、1%対象の飲食料品の取引を除いて判定・計算します(予定段階の特例。国税庁Q&A 問3-7)。
| 事業 | 課税売上高 | 売上税額 |
|---|---|---|
| 飲食料品の小売(第2種、1%) | 2,500万円 | 25万円 |
| 雑貨などの小売(第2種、80%) | 800万円 | 80万円 |
| イートイン(第4種、60%) | 200万円 | 20万円 |
飲食料品を除くと、雑貨などの小売の割合は800万円÷1,000万円=80%で75%以上なので、飲食料品以外の売上税額100万円の全体に80%をかけられます。控除する額は25万円+100万円×80%=105万円、納付税額は125万円−105万円=20万円です(控除額と納付税額は当会で計算。75%ルールを使わない場合は、控除額101万円・納付税額24万円)。事業区分とみなし仕入率は簡易課税制度の事業区分で説明しています。
どちらが有利かは試算して判断する
簡易課税のままでも、1%対象の飲食料品の売上げからは納付税額が生じなくなる予定です。一方、一般課税に移れば、10%の仕入れや経費の税額が多い場合に還付を受けられる可能性があります。どちらが有利かは、売上げと仕入れの構成、設備投資の予定、事務の負担によって変わります。届出の期限(2027年4月1日を含む課税期間の末日)までに試算し、必要に応じて税理士や税務署に相談してください。還付を早く受けたい場合は、課税期間を3か月ごとまたは1か月ごとに短縮する特例(現行制度)もあります(国税庁Q&A 問3-3)。
中間申告の特例
【確定・現行制度】消費税の中間申告の回数と金額は、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない年税額)で決まります(国税庁Q&A 問3-8)。
| 直前の課税期間の確定消費税額 | 中間申告の回数 | 1回の中間納付税額 |
|---|---|---|
| 48万円以下 | 原則として不要 | ― |
| 48万円超〜400万円以下 | 年1回 | 確定消費税額の1/2 |
| 400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 | 確定消費税額の1/4 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 確定消費税額の1/12 |
中間納付税額とあわせて、地方消費税の中間納付税額も納めます。
【予定・法案未成立】1%になると、飲食料品を主に販売する事業者は売上税額が減るため、前年の8%の実績で計算した中間納付税額が過大になります。特例では、2027年4月1日以後に始まる中間申告対象期間について、直前の課税期間の飲食料品の売上げ・仕入れに1%を当てはめて計算し直した税額(税額がなければゼロ)で、仮決算による中間申告書を出せます。1%が終わるときも、2029年4月1日以後に始まる中間申告対象期間について、8%を当てはめて計算し直せる特例があります。飲食店のように仕入れが1%・売上げが10%の事業者は、終了後に仕入税額が増えて中間納付税額が過大になるためです(大綱 第二 二3、国税庁Q&A 問3-8)。
- 通常の計算:(240万円+200万円)−(160万円+140万円)=140万円、中間申告は140万円×1/2=70万円(年1回)
- 飲食料品に1%を当てはめた計算:(30万円+200万円)−(20万円+140万円)=70万円、中間申告は70万円×1/2=35万円
- 特例で中間申告をする場合は、申告書の第一表だけを出せばよく、税務署から届く「消費税の中間申告書兼納付書」は使いません(国税庁Q&A 問3-8)。
- 仮決算による中間申告書は期限後に出すことができません。期限までに出さないと、前年の実績による中間申告があったものとみなされます。
- 簡易課税で中間申告をする事業者は、開始時の特例では簡易課税の計算の特例を使い、終了時の特例では使わずに計算します。
中間申告の期限と納付の方法は消費税の納付期限で説明しています。
飲食店・食品の小売店での注意点
【予定・法案未成立】店内飲食とテイクアウトの税率差が広がり、飲食店の仕入税額控除や価格設定に影響します。
- 店内飲食(外食)は10%のまま、テイクアウトや出前は1%になるため、税率の差は今の2ポイントから9ポイントに広がります。
- 店内飲食か持ち帰りかは、飲食料品を提供する時点で、お客様への意思確認などの方法で判定します。コンビニエンスストアなどでは、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」といった掲示で確認する方法も認められています(国税庁パンフレット(PDF))。
- 飲食店の仕入れのうち食材は1%になるため、売上げ(10%)の税額から差し引ける仕入税額が減ります。一般課税の飲食店では、税抜の仕入価格が変わらなければ、納付税額が増えることになります。
- 大綱は、外食事業者について、テイクアウト等の多角化の支援など、税率差の影響を見極めたうえで支援を行うとしていますが、内容は予算編成の過程で具体化するとされています。
業種ごとの消費税の計算例は、飲食業の消費税・インボイスと小売業の消費税・インボイスにまとめています。
今から確認しておくこと(2026年9月26日時点)
【予定・法案未成立】法案は成立していませんが、国税庁は制度の詳細を早めに公表しています。準備に時間がかかるものは、次の点を確認しておくと対応しやすくなります。
- 販売する商品を、1%になるもの、10%のままのもの、8%のままのもの(新聞、経過措置の対象)に分けておく
- 2026年12月31日までに条件を示す定期便やカタログ通販について、8%のまま扱うか、1%を前提とした条件(「1%に変わった場合は○○円」など)にするかを決める
- レジ・請求書・会計システムの提供元に、1%の追加と、2027年4月1日の切替え・2029年4月1日の戻しへの対応を確認する
- 2027年2月1日〜5月31日の値札・棚札・カタログの切替えの計画と、誤認を防ぐ掲示を用意する
- 免税事業者と簡易課税の事業者は、一般課税にした場合に還付が生じるかを試算し、届出の特例を使うか、インボイス登録で4月1日から課税事業者になるかを比べる
- 中間申告のある事業者は、2027年4月1日以後に始まる中間申告対象期間で特例(仮決算)を使うかを検討する
- 法案の提出・成立と、国税庁の資料の改訂を確認する
判断に迷うときは、新宿で税金の相談ができる公的な窓口を利用できます。国税庁は、消費税率引下げに関する一般的な問い合わせを「消費税軽減税率・インボイスコールセンター」(専用ダイヤル 0120-205-553、土日祝日を除く9時〜17時)で受け付けています(国税庁リーフレット(PDF))。
就業者負担軽減支援金(金額などは未定)
【予定・法案未成立・金額未定】大綱は、1%への引下げとあわせて、中低所得の働く人を対象とする「就業者負担軽減支援金」を2027年4月から導入するとしています。事業者の消費税の申告とは別の、個人への給付制度で、個人単位で年度ごとに年1回、住所地の市町村長の認定を受けて支給され、非課税で差押えも原則としてできないとされています。対象となる所得の基準と支給額は「今後定める」とされ、2026年9月26日時点で決まっておらず、2029年度(令和11年度)からは所得に応じた給付を本格的に導入する方針です。金額や対象が決まり、法律が成立したら、この記事の要点を更新します。
まだ決まっていないこと
- 法案の国会提出と成立、国会の審議による内容の修正
- 政令・省令と、確定申告書の様式・記載方法
- レジ改修の支援、農林漁業者・食品事業者・外食事業者への資金繰り支援や給付などの具体的な内容(予算編成の過程で具体化するとされています)
- 就業者負担軽減支援金の対象となる所得の基準と支給額
報道だけで伝えられている国会の日程や、成立の見込みは、この記事では扱いません。
この記事の更新方針
次の時点で内容を確認し、変更があれば更新して改訂履歴に記録します。
- 法案が国会に提出されたとき、成立したとき、修正されたとき、成立しなかったとき
- 政令・省令が公布されたとき、国税庁のQ&Aやリーフレットが改訂されたとき
- 2027年1月(経過措置の基準日)、2027年2月(値札の特例の開始)、2027年4月(1%の開始)
法律が成立して内容が確定した部分は、「【予定・法案未成立】」の表示を改めます。
よくある質問
食料品の消費税が1%になるのはいつからですか。
2026年9月15日に閣議決定された大綱では、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間とされています。2026年9月26日時点で法案は成立していないため、確定した日程ではありません。〔内閣官房 大綱〕
消費税は0%になるのではないのですか。
大綱で示されている税率は1%(国0.78%+地方0.22%)で、0%ではありません。政府の基本方針は、1%への引下げと、消費税1%相当分の範囲で行う給付を組み合わせて「全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現する」としています。いずれも法案の成立が前提です。〔内閣官房 基本方針〕
外食、テイクアウト、お酒、新聞の税率はどうなりますか。
大綱と国税庁の資料では、テイクアウトと出前・宅配は1%、店内飲食(外食)と一般のケータリング、酒類は10%のまま、週2回以上発行される新聞の定期購読は8%のままとされています(大綱の内容で、法案は成立していません)。〔国税庁Q&A 問1-1・問1-2〕
1%の税込価格から消費税額を出すには、どう計算しますか。
税込価格に1/101をかけます。税込1,010円なら消費税額は10円です。税込1,000円なら9.90…円となり、1円未満の端数の処理方法は事業者が決めます。1%の税率は法案の成立が前提です。〔当会の計算。税率は大綱による〕
インボイスの書き方は変わりますか。
国税庁のQ&Aでは、飲食料品の適用税率を1%、消費税額等を1%で計算した額として書くほかは、記載事項に変更はないとされています。「軽減税率の対象品目である旨」を書いていれば、「税率1%の対象品目である旨」を新たに書く必要はありません。法案が成立した場合の内容です。〔国税庁Q&A 問2-1〕
簡易課税を選んでいる食品の小売店は、消費税を納めなくてよくなりますか。
大綱では、簡易課税で申告する場合、1%対象の飲食料品の売上税額と同じ額を仕入税額として控除する特例が示されています。飲食料品の売上げからは納付税額が生じませんが、雑貨などそれ以外の売上げには、今までどおりみなし仕入率で計算した納付税額が生じます。2割特例・3割特例も同じ扱いですが、いずれも大綱の段階で法案は未成立です。〔国税庁Q&A 問3-6〕
飲食料品を販売する免税事業者が還付を受けるには、どうすればよいですか。
課税事業者になり、一般課税で申告する必要があります。大綱では、2027年4月1日を含む課税期間の末日までに課税事業者選択届出書(参考事項欄に「飲食料品特例」と記載)を出せば、その課税期間の初めから課税事業者になれる特例が示されています。現行制度のインボイス登録の経過措置を使い、登録希望日を2027年4月1日として同年3月17日までに登録申請書を出す方法もあります。届出の特例は法案の成立が前提です。〔国税庁Q&A 問3-2・問3-4〕
2027年4月1日に値札の貼り替えが間に合わない場合はどうなりますか。
大綱では、総額表示にすぐ対応することが難しい事情があり、誤認を防ぐ掲示などをしている場合に限り、2027年4月1日〜5月31日は8%の税込価格のままの表示を認める特例が示されています。国税庁の資料では、2027年2月1日〜5月31日は8%と1%のどちらの表示でもよいとされています。税抜価格だけの表示は認められません。法案が成立した場合の内容です。〔国税庁Q&A 問3-9〕
2026年中に販売条件を示すカタログギフトや定期便の税率はどうなりますか。
大綱と国税庁のQ&Aでは、2027年1月1日前に販売条件を示した通信販売で4月1日前に申込みを受けたものと、2027年1月1日前に結んだ定期供給契約で4月1日前に代金を受け取っているものは、4月1日以後に届けても8%とされています。1%を前提とした条件や契約、契約の変更がある場合は1%です(大綱の内容で、法案は未成立です)。〔国税庁Q&A 問1-6〕
就業者負担軽減支援金はいくら受け取れますか。
決まっていません。大綱では2027年4月から導入するとしていますが、対象となる所得の基準や支給額は今後定めるとされています(2026年9月26日時点)。〔内閣官房 大綱〕
出典・参考資料
いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。
内閣官房・財務省
- 飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(2026年9月15日閣議決定、PDF)
- 同 大綱の概要(PDF)
- 内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」について
- 「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(2026年8月5日閣議決定、PDF)
- 財務省「令和9年度及び令和10年度の飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ」
- 財務省 国会提出法案(法案の提出状況の確認に使用)
国税庁(令和8年9月)
- 消費税率引下げ特設サイト
- 飲食料品に係る2年間の消費税率引下げに関するQ&A(PDF)
- パンフレット「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(PDF)
- リーフレット「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」(PDF)
現行制度
- 国税庁 タックスアンサー No.6902 「総額表示」の義務付け
- 消費税法(9条・37条・42条・43条・63条)
改訂履歴
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2026年9月26日:公開(2026年9月15日閣議決定の大綱と、国税庁の資料(令和8年9月)に基づく。同日時点で法案は国会に未提出)
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。