税務署と古文書 III

間税第1部門統括官 小松崎 豊

前任の高野統括官が稿を起した「税務署と古文書」の続々編を、と編集委員からのたってのご依頼で、やむなく筆をとることになった。

戦災を免がれた「古文書」とは大正末期から昭和20年7月に至る間の調査資料が主となった諸文書であり、後輩の現署署員としては興味の尽きないものであるが、一般にご披露できる部分は少なく、すでに前任者がそのほとんどを紹介しているので、私なりに興味をもった、お伝え可能な部分を紹介し、「税務署と古文書」のまとめにしたい。

この「古文書」に現われた期間は、関東大震災、太平洋戦争及び終戦直前という大正、昭和の激動期であり、その節目々々の管内状況がうかがえる記録がある。まず、関東大震災の数年後に書かれた記録の一部を原文に忠実に披露することとする。

「大正12年9月1日に東京を中心とし、未曽有の大震災に見舞われ、更に震災後3日に亘り大火災を惹起し、山の手方面の一部を除く東京全市の大部分が烏有に帰し焼失家屋実に40万、死傷者100万を超すと称せられ、惨状その極に達し......」

との記載に始まり、市民はいずれも恐怖の念にかられ山の手方面を安住の好適地と目指し、震災後、渋谷、中野、杉並方面に転入する者甚だ多く、昨日の田畑は宅地と化し、道路を開設して交通を便にする等震災後における当署管内の発展は実に著しきものがあったと東京市民の動向と管内への影響を述べ、管内人口が大正11年に335千人だったものが大正14年には477千人となった旨記録されている。その後の記録で昭和5年に636千人、昭和8年に717千人となってゆく状況を見ると、今日の新都心の揺籃期を垣間見たおもいがする。

ついで、昭和13年に物品税、入場税等が制定され、その円滑な実施を期すための施策の記録や昭和19年8月に中野署が新設され管轄が淀橋区1区のみとなり、この時の当署の年間の物品税課税額が約350万円、遊興飲食税等他の間接税課税額が約240万円、合計約590万円であったという記録がある。やはり、当時も管内の間接税では物品税が重要な位置を占めていたことが判り興味深い。

最後に昭和20年7月31日付の「戦時災害の課税物件に影響を与えたる事項」という一文があった。

「昭和20年3月10日下町方面の夜間大空襲を初めとし爾来帝都焼土化を目指す敵機の空襲は日を追って頻繁となり当管内も又相当の災害を蒙るに至れり」

という書き出しで管内の被害状況を記述している。昭和20年4月4日に柏木1丁目、角筈1丁目が、同4月13日には管内全域が夜間大空襲を受け、多数の死傷者が出たこと、この災害と疎開等によって人口が激減した状況等を町別に記録し、「即ち、昭和19年5月の166,247人に対し1年後の昭和20年7月に於いては約3分の1に減少せり」と結んでいる。私も当時は北区に住み多感な少年時代であったので、記憶も新たに感慨深く読んだが、あらためて平和な時代の幸を感じた。

期せずして、災害に始まり災害に終る話となってしまった。そこで、いまTVドラマで人気の高い「おしん」を連想させる記録と言ってはオーバーであるが、今は無くなった制度である小作料の記録に興味を引かれたので、原文のまま転載して筆を置くこととする。

田畑小作料ノ定方及取立ニ関スル慣習

一、小作料の定方

田 一反歩当玄米二俵(八斗)ノモノ最モ多シ コハ標準収穫高玄米五俵(二石)ノ内四割ヲ小作料トシテ納付シ六割ヲ小作人ノ収穫トスル旧来ノ慣習ニ基クモノナリ

畑 一反歩当二十円内外ノモノ多シ、コレ亦旧来ノ標準ト慣習ヲ踏襲セルモノナリ

一、小作料ノ取立

田 物納ニシテ収穫期ヨリ年末マデニ納付スル慣習ナリ

畑 金納ニシテ従前年二回納付ノ慣習アリタルモ現今ニ於テハ田ト同樣年一回年末ニ納付ス

署からのお知らせ

物品税納税申告にあたって

  1. 納税申告書の提出と納税は期限までに。おくれると加算税や延滞税等の対象となります。
  2. 納税申告が期限後になりますと、輸出免税、特殊用途免税等の各種免税が受けられなくなります。
  3. 納税申告額が少な過ぎたり、又は納税申告をしなかった場合には、そのままにしておきますと、更正又は決定の処分を受け、物品税を徴収されるばかりでなく、過少申告加算税又は無申告加算税が徴収されることとなり、場合によっては罰則が適用されます。

印紙税は日常の注意が大切です

  1. 一つの契約について、契約書を何通も作った場合には、その全部に収入印紙が必要です。
  2. 契約書の1通だけを「正本」としその他のものには「写」「副本」などと表示しても契約者の署名や押印があれば「正本」と同じに収入印紙が必要です。
  3. 覚書、念書、差入書のような文書でも、契約の成立を証明したものは契約書としての収入印紙を貼る必要があります。

確定申告は正しい申告をお早目に

昭和58年分所得税の確定申告書の提出と納税は、2月16日から3月15日までです。3月10日を過ぎますと税務署の窓口が大変混雑します。お早目にどうぞ。なお、提出は郵送でも結構です。

58年中に財産の贈与を受けた方へ

58年中に贈与を受けた不動産、現金、有価証券等の財産の価額の合計が60万円を超えるときは、贈与税の申告が必要です。贈与税の申告と納税は、2月1日から3月15日までです。

マイホームを売却された方へ

自分が住んでいた家屋とその敷地を売ったときは一定の要件のもとで、その譲渡所得から3000万円が控除されます。また、自分が住んでいた家屋及びその敷地を譲渡し、自分が住む家屋及びその敷地を取得した場合は一定の要件のもとで3000万円の特別控除か、課税の繰延べの特例が認められます。この特例等を受けるためには、所要の事項を記載した確定申告書を提出しなければなりません。

申告所得税の納税は便利な振替納税をご利用ください

振替納税をご利用になると、納税のためのご足労やお手間をとらせることなく、自動的に納税がお済みになります。特に確定申告による第3期分は、3月末ごろに預金から振替えられますので、納税が楽にできます。ご利用ご希望の方は、預金先の金融機関(郵便局は除く)又は税務署管理部門へご連絡ください。

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