令和8年分の年末調整の変更点と実務:基礎控除104万円・扶養の所得要件62万円・特定親族特別控除
令和8年分(2026年分)の年末調整には、令和8年度税制改正による3つの変更が反映されます。基礎控除の引上げ(合計所得金額489万円以下の人は104万円)、給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円から74万円)、扶養親族などの所得要件の引上げ(58万円以下から62万円以下。給与だけなら136万円以下)です。改正は2026年12月1日に施行され、11月までの月々の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整でまとめて精算します。この記事では、給与を支払う事業者が2026年10月から2027年2月までに行うことを、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」と改正のQ&Aに基づいて整理します。
令和8年分の年末調整で変わる主な点【確定】
| 項目 | 令和8年分(かっこ内は令和7年分) |
|---|---|
| 基礎控除 | 合計所得金額489万円以下の人は104万円(68万〜95万円) |
| 給与所得控除 | 最低保障額74万円(65万円) |
| 扶養親族 | 所得62万円以下、給与だけなら136万円以下(58万円以下、123万円以下) |
| 特定親族 | 19〜22歳で所得62万円超123万円以下、給与だけなら136万円超197万円以下(58万円超123万円以下、123万円超188万円以下) |
| 生命保険料控除 | 23歳未満の扶養親族がいる人は、一般生命保険料控除の上限が6万円(4万円) |
基礎控除などの改正は2026年12月1日施行で、令和8年分以後の所得税に適用されます。月々の源泉徴収税額表が新しくなるのは、2027年1月1日以後に支払う給与からです(国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q1-1)。給与の額は、収入が給与だけの場合の目安です。
本記事は井手政紀税理士(井手政紀税理士事務所/元 新宿税務署長(第84代)/新宿間税会 税理士部会員)の監修内容を反映しています。2026年9月26日、令和8年度税制改正等に合わせて全面改訂し、2026年9月28日に監修者の確認が完了しました。
【確定】令和8年度税制改正(2026年9月26日時点)
令和8年度税制改正(所得税法等の一部を改正する法律。2026年3月31日成立)で、基礎控除、給与所得控除の最低保障額、扶養親族などの所得要件が改正されました。国税庁は「令和8年分 年末調整のしかた」と各種申告書の記載例などを公表しています(2026年9月26日確認)。「年末調整がよくわかるページ」への令和8年分の各種情報の掲載は、2026年10月頃の予定と案内されています。
この記事は、所得税の改正のうち、令和8年分の年末調整と給与の源泉徴収に関係するものに絞っています。住宅ローン控除、NISA、iDeCo、青色申告特別控除などの改正は扱っていません。
目次
令和8年分の年末調整で変わる点と変わらない点
【確定】国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」は、上の表の4点を、昨年と比べて変わった点として次のとおり説明しています(「Ⅰ 昨年と比べて変わった点」(PDF))。
- 基礎控除の引上げ:合計所得金額489万円以下の人は104万円など(基礎控除)
- 給与所得控除の最低保障額の引上げ:65万円から74万円に。年末調整では「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使います(給与所得控除)
- 扶養親族などの所得要件の改正:扶養親族・同一生計配偶者は合計所得金額62万円以下、特定親族は62万円超123万円以下、配偶者特別控除の対象は62万円超133万円以下、勤労学生は89万円以下(所得要件)
- 23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例:一般生命保険料控除の上限が6万円に(生命保険料控除)
このほか、年の中途で退職したパートタイマーなどが年末調整の対象になる給与の総額の基準が、令和7年分の123万円以下から、令和8年分は136万円以下になっています(「Ⅱ 年末調整とは」(PDF))。
変わらない点
- 年末調整の年税額は、これまでどおり、年調所得税額に102.1%を掛けて復興特別所得税を含めて計算し、100円未満を切り捨てます。防衛特別所得税が加わるのは令和9年分からです(令和9年分から変わること)。
- 所得税の税率(年末調整のための算出所得税額の速算表)は変わりません。
- ひとり親控除の引上げ(35万円から38万円)は令和9年分以後の所得税に適用されるため、令和8年分の年末調整では35万円のままです(国税庁Q&A Q3-2)。
- 令和8年度税制改正による「給与所得の源泉徴収票」の様式の改正はありません。ただし、国税システムの更改に伴い、令和8年8月以降、給与所得の源泉徴収票を含むすべての法定調書の様式が変わっています(国税庁Q&A Q3-3)。
いつから適用されるか:11月までの源泉徴収は変わらず、12月に精算
【確定・施行前】基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族などの所得要件の改正は、令和8年(2026年)12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。源泉徴収税額表の改正は、令和9年1月1日以後に支払う給与から適用されます(国税庁Q&A Q1-1)。給与の源泉徴収事務は、時期ごとに次のようになります。
| 時期 | 行うこと |
|---|---|
| 2026年11月30日までに支払う給与 | これまでどおり改正前の源泉徴収税額表で源泉徴収します。改正で新たに扶養親族などになる人は、税額表の「扶養親族等の数」に含めません。 |
| 2026年12月1日以後に支払う給与 | 扶養親族などの所得要件を改正後(62万円以下など)で判定します。新たに扶養親族などになる人がいる従業員からは、扶養控除等(異動)申告書の提出を受けます。 |
| 2026年12月の年末調整 | 改正後の基礎控除額と「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で1年分の税額を計算し、改正前の税額表で源泉徴収した税額との過不足を精算します。 |
| 2027年1月1日以後に支払う給与 | 「令和9年分 源泉徴収税額表」で源泉徴収します。 |
例年11月から年末調整の書類を集めている事業者は、改正を反映した書類を12月1日より前に提出してもらっても差し支えありません(国税庁Q&A Q1-2)。一方、令和8年11月30日以前に最後の給与を支払った人の年末調整には、改正後の控除等が適用されません(同Q1-3。年末調整で改正後の控除が適用されない人)。
基礎控除:合計所得金額489万円以下の人は104万円
【確定・施行前】基礎控除の本則の額が58万円から62万円に引き上げられ、令和8年分・令和9年分は、合計所得金額に応じて特例の加算額(489万円以下は42万円、489万円超655万円以下は5万円)が上乗せされます。この加算は居住者だけに適用されます(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」3ページ)。
| 合計所得金額 | 給与だけの場合の収入金額(目安) | 令和8年分 | 令和7年分 | 増える額 |
|---|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 206万円以下 | 104万円 | 95万円 | 9万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 206万円超 475万1,999円以下 | 104万円 | 88万円 | 16万円 |
| 336万円超 489万円以下 | 475万1,999円超 665万5,556円以下 | 104万円 | 68万円 | 36万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 665万5,556円超 850万円以下 | 67万円 | 63万円 | 4万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 850万円超 2,545万円以下 | 62万円 | 58万円 | 4万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | ― | 48万円 | 48万円 | 0円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | ― | 32万円 | 32万円 | 0円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | ― | 16万円 | 16万円 | 0円 |
| 2,500万円超 | ― | 0円 | 0円 | 0円 |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」3ページ・56ページ。給与の収入金額は令和8年分の給与所得控除額に基づく目安で、特定支出控除や所得金額調整控除の適用がある場合は異なります。「増える額」は当会で計算しました。
基礎控除申告書で確認すること
- 基礎控除は、従業員から提出される「給与所得者の基礎控除申告書」に基づいて控除します。国税庁の様式は、配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書との兼用です。
- 申告書の「判定」欄は「489万円以下」から「2,450万円超2,500万円以下」までの区分に分かれています。本人の合計所得金額の見積額に応じた区分にチェックがあり、改正後の控除額が「基礎控除の額」欄に書かれているかを確認します(国税庁Q&A Q2-2)。
- 合計所得金額の見積額には、給与所得のほか、不動産所得や雑所得など給与以外の所得も含みます。
- 配偶者控除・配偶者特別控除を受ける人は、基礎控除申告書の「区分Ⅰ」欄(A〜C)も記載します。この区分は配偶者控除等の額の計算に使います。
給与所得控除の最低保障額:65万円から74万円に
【確定・施行前】給与所得控除の最低保障額は、本則が65万円から69万円に引き上げられ、令和8年分・令和9年分はさらに5万円を上乗せする特例により74万円になります。この特例は年末調整で適用できます。令和10年分以後の最低保障額は69万円です(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」、財務省「令和8年度税制改正の大綱」)。
令和8年分・令和9年分の給与の収入金額が69万1,000円以上220万円未満の場合、給与所得の金額は次の表のとおりになります。
| 給与の収入金額 | 給与所得の金額 |
|---|---|
| 69万1,000円以上 74万1,000円未満 | 0円 |
| 74万1,000円以上 219万1,000円未満 | 収入金額−74万円 |
| 219万1,000円以上 219万3,000円未満 | 145万1,000円 |
| 219万3,000円以上 219万6,000円未満 | 145万3,000円 |
| 219万6,000円以上 220万円未満 | 145万6,000円 |
出典:国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q3-1。給与の収入金額が220万円以上の場合の給与所得控除額は改正されていません。
- 年末調整では、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」47〜54ページの「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使います。令和7年分の表から改正されているので、必ず令和8年分の表を使います。給与の総額が74万1,000円未満なら、給与所得控除後の給与等の金額は0円です。
- 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例(必要経費の最低保障額)は、65万円から69万円に引き上げられました。
計算例(当会計算):給与だけで収入178万円の人
給与所得 178万円−74万円=104万円、基礎控除 104万円(合計所得金額489万円以下)、104万円−104万円=0円。社会保険料控除などほかの所得控除を考えない場合でも、課税される所得は0円になります。財務省の「令和8年度税制改正の大綱」が、所得税の課税最低限を178万円まで引き上げるとしているのは、この計算に当たります。
扶養親族・特定親族・配偶者の所得要件
【確定・施行前】基礎控除と給与所得控除の引上げに合わせて、扶養親族などの合計所得金額の要件が次のように改正されました。控除額そのもの(一般の控除対象扶養親族38万円、特定扶養親族63万円など)は変わりません。
| 区分 | 令和8年分 (給与だけの場合の収入金額) | 令和7年分 (給与だけの場合の収入金額) |
|---|---|---|
| 扶養親族 同一生計配偶者 ひとり親の生計を一にする子 | 62万円以下 (136万円以下) | 58万円以下 (123万円以下) |
| 特定親族 | 62万円超123万円以下 (136万円超197万円以下) | 58万円超123万円以下 (123万円超188万円以下) |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 62万円超133万円以下 (136万円超207万円以下) | 58万円超133万円以下 (123万円超201万5,999円以下) |
| 勤労学生 | 89万円以下 (163万円以下) | 85万円以下 (150万円以下) |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」4ページ。ひとり親の生計を一にする子は、総所得金額等の合計額の要件です。給与の収入金額は改正前・改正後それぞれの給与所得控除額に基づく目安で、特定支出控除の適用がある場合は異なります。
- 公的年金等に係る雑所得だけの場合は、公的年金等の収入金額が172万円以下(65歳未満の人は122万円以下)なら、合計所得金額62万円以下になります。
- 内職などの所得だけで家内労働者等の特例が使える場合は、収入金額が131万円以下なら、合計所得金額62万円以下になります。
- 遺族年金や雇用保険の失業等給付など、所得税がかからない所得は合計所得金額に含めません。国税庁の年末調整Q&Aには、パート収入124万円と遺族年金80万円がある母親は、124万円−74万円=50万円で扶養親族に当たるという例があります。
改正で新たに扶養親族になる家族がいる場合
改正によって新たに扶養控除などの対象になる家族がいる従業員は、その家族を記載した扶養控除等(異動)申告書を提出します。その際、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと書きます。申告書は原則として12月1日以後最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出しますが、年末調整を行う時までに提出があれば、その申告に基づいて年末調整ができます(国税庁Q&A Q2-1)。令和8年分の扶養控除等申告書の裏面の注意事項が改正前の内容になっている場合があるので、注意が必要です。
例(当会計算):給与収入130万円の20歳の子
令和7年分の基準では、給与所得は130万円−65万円=65万円で、58万円を超えるため特定親族でした。令和8年分は130万円−74万円=56万円で62万円以下になるため、特定親族ではなく特定扶養親族(扶養控除63万円)に当たります。扶養控除等申告書に源泉控除対象親族として書かれていた特定親族が、改正によって特定扶養親族に当たることになった場合は、異動の旨を記載した扶養控除等申告書の提出が必要です(国税庁Q&A Q2-4)。
特定親族特別控除(19歳以上23歳未満の子など)
特定親族とは、所得者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満(平成16年1月2日から平成20年1月1日までに生まれた人)の親族(配偶者と青色事業専従者などを除きます)で、合計所得金額が62万円超123万円以下の人です。特定親族1人につき、その合計所得金額に応じて最高63万円を控除します(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」18〜19ページ(PDF))。
| 特定親族の合計所得金額 | 給与だけの場合の収入金額 | 控除額 |
|---|---|---|
| 62万円超85万円以下 | 136万円超159万円以下 | 63万円 |
| 85万円超90万円以下 | 159万円超164万円以下 | 61万円 |
| 90万円超95万円以下 | 164万円超169万円以下 | 51万円 |
| 95万円超100万円以下 | 169万円超174万円以下 | 41万円 |
| 100万円超105万円以下 | 174万円超179万円以下 | 31万円 |
| 105万円超110万円以下 | 179万円超184万円以下 | 21万円 |
| 110万円超115万円以下 | 184万円超189万円以下 | 11万円 |
| 115万円超120万円以下 | 189万円超194万円以下 | 6万円 |
| 120万円超123万円以下 | 194万円超197万円以下 | 3万円 |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」56ページ。合計所得金額が62万円以下の子は特定親族ではなく、特定扶養親族として扶養控除(63万円)の対象です。123万円(給与197万円)を超えると、どちらの控除も受けられません。
たとえば給与収入150万円の大学生の子は、150万円−74万円=76万円で63万円、給与収入180万円なら180万円−74万円=106万円で21万円の控除になります(当会計算)。
確認するときは、次の点に注意します。
- 特定親族特別控除は、扶養控除等(異動)申告書に源泉控除対象親族として書かれているかどうかにかかわらず、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出を受けて控除します。特定親族の給与所得の金額は、改正後の給与所得控除額(最低74万円)で計算されているかを確認します(国税庁Q&A Q2-4)。
- 特定親族は、扶養控除や障害者控除の対象となる扶養親族には当たりません。扶養控除等申告書に「特定扶養親族」と書かれた子が特定親族特別控除申告書にも書かれている場合は、どちらに当たるかを確認します。
- 2人以上の所得者の特定親族に当たる親族は、そのうち1人の特定親族にだけ当たるものとされます。他の所得者の配偶者特別控除の対象となる配偶者にも当たる場合も、いずれか1人だけです。
配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者控除と配偶者特別控除の控除額そのものは変わりませんが、配偶者の合計所得金額の区切りが58万円から62万円(給与だけなら136万円)に変わりました。配偶者の合計所得金額が62万円以下なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除の対象です。所得者本人の合計所得金額が1,000万円(給与だけなら収入1,195万円)を超える場合は、どちらも受けられません。配偶者控除・配偶者特別控除は、扶養控除等申告書の記載にかかわらず、配偶者控除等申告書の提出を受けて控除します。
| 配偶者の合計所得金額 (給与だけの場合の収入金額) | 所得者本人の合計所得金額(給与だけの場合の収入金額) | ||
|---|---|---|---|
| 900万円以下 (1,095万円以下) | 900万円超950万円以下 (1,145万円以下) | 950万円超1,000万円以下 (1,195万円以下) | |
| 配偶者控除:62万円以下 (136万円以下) | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 同上(配偶者が70歳以上) | 48万円 | 32万円 | 16万円 |
| 配偶者特別控除:62万円超95万円以下 (136万円超169万円以下) | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 95万円超100万円以下 (169万円超174万円以下) | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| 100万円超105万円以下 (174万円超179万円以下) | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
| 105万円超110万円以下 (179万円超184万円以下) | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
| 110万円超115万円以下 (184万円超189万円以下) | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
| 115万円超120万円以下 (189万円超194万円以下) | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
| 120万円超125万円以下 (194万円超199万円以下) | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
| 125万円超130万円以下 (199万円超204万円以下) | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
| 130万円超133万円以下 (204万円超207万円以下) | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
| 133万円超 (207万円超) | 0円 | 0円 | 0円 |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」55ページ。所得金額調整控除の適用がある場合は、所得者本人の収入金額の目安にそれぞれ15万円を加えます。夫婦の双方がお互いに配偶者特別控除を受けることはできません。
勤労学生控除
勤労学生の合計所得金額の要件は、85万円以下から89万円以下(給与だけなら収入163万円以下)になりました。あわせて、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得金額が10万円以下であることが必要で、控除額は27万円です。国税庁の年末調整Q&Aには、給与収入140万円の大学生のアルバイトは勤労学生控除を受けられるという例があります(140万円−74万円=66万円)。勤労学生控除を受けるには、勤労学生に当たる旨などを記載した扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。
生命保険料控除:23歳未満の扶養親族がいる場合の特例
【確定】令和7年度税制改正で、年齢23歳未満の扶養親族がいる人の一般生命保険料控除(新生命保険料)の特例が設けられ、令和8年度税制改正で適用期限が令和9年分まで延長されました。令和8年分の年末調整で初めて適用されます(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」4ページ)。
| 年間の新生命保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 3万円以下 | 支払った新生命保険料の全額 |
| 3万円超6万円以下 | 新生命保険料×1/2+1万5,000円 |
| 6万円超12万円以下 | 新生命保険料×1/4+3万円 |
| 12万円超 | 一律6万円 |
- 旧生命保険料と合わせて一般生命保険料控除を受ける場合の上限も、4万円から6万円になります。一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の合計の上限は、これまでどおり12万円です。
- 夫婦の間に23歳未満の扶養親族である子が1人いる場合、夫婦の両方がこの特例を受けられます。扶養親族には16歳未満の子も含まれます。年末調整の後、12月31日までに子が生まれた場合も、保険料控除申告書の提出を受けて年末調整をやり直すことができます(国税庁「令和8年分 年末調整Q&A」)。
- 計算した控除額に1円未満の端数があるときは、切り上げます。
計算例(当会計算):年間の新生命保険料が10万円の場合
23歳未満の扶養親族がいない場合は4万円(8万円超は一律4万円)、いる場合は10万円×1/4+3万円=5万5,000円です。
2026年4月から変わった非課税限度額(通勤手当・食事)
【確定・施行済】次の2つは年末調整の手順の改正ではありませんが、2026年4月1日以後に支払う給与から適用されています。年末調整の前に、4月以後の給与計算で新しい非課税限度額が使われているかを確認しておくと、課税される給与の総額を正しく集計できます(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」4〜5ページ)。
マイカー・自転車通勤の通勤手当
| 片道の通勤距離 | 2026年4月1日以後 | 改正前 |
|---|---|---|
| 55km以上65km未満 | 38,700円 | 38,700円 |
| 65km以上75km未満 | 45,700円 | 38,700円 |
| 75km以上85km未満 | 52,700円 | 38,700円 |
| 85km以上95km未満 | 59,600円 | 38,700円 |
| 95km以上 | 66,400円 | 38,700円 |
- 片道55km未満の区分(2km未満は全額課税、2km以上10km未満は4,200円など)は変わっていません。
- 勤務先の周辺や通勤に使う駅などの周辺にある駐車場等を利用し、その料金を負担することを常としている人(片道2km未満の人を除きます)は、通勤距離に応じた非課税限度額に、1か月あたりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)を加えた額が非課税限度額になります。
- 2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当に適用されます。同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加で支給するものには適用されません。
食事の支給と深夜勤務の夜食代
- 使用者が支給する食事は、①役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担し、②使用者の負担額が1か月あたり7,500円(消費税等を除きます。改正前は3,500円)以下であれば、課税されません(国税庁 タックスアンサー No.2594)。
- 深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭は、1回の支給額が650円以下(改正前は300円以下)なら課税されません。
- いずれも2026年4月1日以後に支給する食事等から適用されます。
給与を支払う事業者が10月〜翌年1月にやること
【確定】国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」と改正のQ&Aに沿って、時期ごとに整理します。日付はスケジュール表にまとめています。
10月〜11月:申告書の配付と従業員への周知
- 令和8年分の「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」と「保険料控除申告書」を配付します。住宅ローン控除を受ける従業員には、税務署から本人に送られている「住宅借入金等特別控除申告書」の提出を求めます。
- あわせて、令和9年分の扶養控除等(異動)申告書を配付します。令和9年分は、2027年最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出してもらうものです。
- 次の点を従業員に周知します。
- 家族の収入が給与だけなら、136万円以下で扶養親族(配偶者の場合は、本人の合計所得金額が1,000万円以下なら配偶者控除の対象)になること。新たに扶養親族になる家族は、扶養控除等(異動)申告書に「令和8年12月1日 改正」などと書いて申告すること
- 19歳以上23歳未満の子の給与収入が136万円超197万円以下なら、特定親族特別控除申告書に記載すること
- 23歳未満の扶養親族がいる人は、生命保険料控除の特例で控除額が増える場合があること
- 改正を反映した申告書は、12月1日より前に提出を受けて差し支えありません(国税庁Q&A Q1-2)。
- 給与計算ソフトや年末調整のソフトを使っている場合は、令和8年分の改正(基礎控除の額、令和8年分の給与所得控除後の給与等の金額の表、所得要件)に対応した版になっているかを確認します。国税庁は、年末調整計算シート(Excel)と年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)を無償で提供しています。
11月まで:月々の源泉徴収は改正前のまま
- 11月30日までに支払う給与は、改正前の源泉徴収税額表で源泉徴収します。改正で新たに扶養親族などになる人は、「扶養親族等の数」に含めません(国税庁Q&A Q2-1)。
- 11月30日までに退職する従業員などには、改正後の控除を受けるには確定申告が必要になることを伝えます(年末調整で改正後の控除が適用されない人)。
12月:年末調整
- 対象者の判定:扶養控除等(異動)申告書を提出している人が対象です。その年の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人などは対象になりません。年の中途で退職した人は、死亡による退職、12月の給与を受けた後の退職、給与の総額が136万円以下のパートタイマーなどの退職(退職後にほかの勤務先から給与を受ける見込みの人を除きます)などに限って対象です。
- 申告書の確認:各申告書の控除額が改正後の金額になっているか、扶養親族などの判定が62万円(給与136万円)の基準によっているかを確認します。控除対象扶養親族などに当たるかは年末調整を行う日の現況で判定し、合計所得金額はその日の現況で見積もった1年分の金額、年齢は12月31日の現況で判定します。
- 年税額の計算:給与の総額を「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に当てはめ、所得控除を差し引いて課税給与所得金額(1,000円未満切捨て)を求め、速算表で算出所得税額を計算します。住宅ローン控除を差し引いた年調所得税額に102.1%を掛け、100円未満を切り捨てた額が年調年税額です。
- 過不足額の精算:毎月の源泉徴収税額の合計が年調年税額より多い人には、差額(過納額)を還付します。過納額は、12月分(納期の特例の承認を受けている場合は7月〜12月分)として納付する源泉所得税から差し引いて還付し、足りなければその後に納付する税額から順次差し引きます。還付することになった日の翌月から2か月を経過しても還付しきれないと見込まれる場合は、「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額還付請求書 兼 残存過納額明細書」を所轄税務署に提出します。
- 年末調整の後の異動:年末調整の後、12月31日までに扶養親族の数が変わった場合などは、源泉徴収票を交付する翌年1月末日まで、年末調整をやり直すことができます。
年税額の計算の詳しい手順は、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の35〜43ページにあります。
2027年1月:納付、源泉徴収票、給与支払報告書
- 納付:年末調整を含む12月分の源泉所得税の納期限は2027年1月12日(火)、納期の特例の承認を受けている場合(7月〜12月分)は1月20日(水)です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」表紙)。所得税徴収高計算書(納付書)の「年末調整による超過税額」「年末調整による不足税額」欄に、その月に精算した金額を書きます。過納額の還付で納付する税額がなくなった場合も、所得税徴収高計算書は所轄税務署に提出します。
- 源泉徴収票:令和8年分の給与所得の源泉徴収票を従業員に交付します。令和9年1月1日以後は、市区町村に給与支払報告書を提出すれば税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされるため、税務署提出用の源泉徴収票を作る必要は基本的になくなります(国税庁「源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ」)。
- 給与支払報告書と法定調書:給与支払報告書は、原則として従業員の2027年1月1日現在の住所地の市区町村に提出します。税務署に提出する法定調書(報酬、料金などの支払調書や合計表など)とともに、提出期限は2027年2月1日(月)です。前々年に提出すべきだった枚数が30枚以上の法定調書は、e-Taxや光ディスクなどで提出する必要があります(2027年1月以降に提出するものから、100枚以上から30枚以上に引き下げ。国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」)。
- 令和9年分の源泉徴収:2027年1月1日以後に支払う給与は、「令和9年分 源泉徴収税額表」で源泉徴収します(令和9年分から変わること)。
スケジュール表(2026年10月〜2027年2月)
| 時期 | 事業者が行うこと・起きること | 確定度 |
|---|---|---|
| 2026年10月頃 | 国税庁「年末調整がよくわかるページ」に令和8年分の各種情報が掲載される。国税庁のチャットボット(ふたば)が年末調整の相談を受け付ける(2027年1月下旬まで) | 予定(国税庁の案内) |
| 2026年10月〜11月 | 令和8年分の申告書と令和9年分の扶養控除等(異動)申告書の配付・回収。改正を反映した申告書は12月1日より前に受け取ってよい | 確定 |
| 2026年11月30日(月)まで | 月々の源泉徴収は改正前の税額表のまま。新たに扶養親族になる人は扶養親族等の数に含めない | 確定 |
| 2026年12月1日(火) | 改正の施行。この日以後に支払う給与から、扶養親族などの所得要件を改正後で判定 | 確定 |
| 2026年12月(本年最後の給与の支払時) | 年末調整。過納額の還付、不足額の徴収 | 確定 |
| 2027年1月1日(金) | 令和9年分 源泉徴収税額表の使用開始。防衛特別所得税の源泉徴収の開始。源泉徴収票のみなし提出の特例の開始 | 確定 |
| 2027年1月12日(火) | 12月分(年末調整分を含む)の源泉所得税の納期限 | 確定 |
| 2027年1月20日(水) | 納期の特例の承認を受けている場合(7月〜12月分)の納期限 | 確定 |
| 2027年1月末日 | 源泉徴収票の交付。年末調整のやり直しができるのはこの時まで | 確定 |
| 2027年2月1日(月) | 給与支払報告書(市区町村)と法定調書(税務署)の提出期限 | 確定 |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(表紙・3〜4ページ・43ページ)、「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」、「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」1〜3ページ。曜日は当会で確認しました。
年末調整で改正後の控除が適用されない人
【確定】年末調整は、その年最後に給与を支払う時に行います。令和8年分の最後の給与を2026年11月30日以前に支払った場合、その年末調整には改正後の基礎控除などは適用されません(国税庁Q&A Q1-3)。次のような人は、改正後の控除を受けるために確定申告が必要です(同Q7-1)。
- 2026年11月30日以前に、死亡により退職した人、海外の支店への転勤などで非居住者になった人、休業・休職して年末までに復職していない人のうち、居住者として最後の給与を受け、その際に年末調整を受けた人
- 年の中途で退職し、年末調整を受けていない人
源泉徴収された税額がない人(源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄が0円の人など)は、確定申告をしても還付される税金はありません。
公的年金等(確定給付企業年金法に基づく年金等を除きます)を受けている人は、2026年12月の年金の支払の際に、年金の支払者が改正後の基礎的控除額で1年分の税額を計算し、精算します。ただし、改正で新たに扶養親族などの要件を満たした家族について扶養控除などを受けるには、原則として確定申告が必要です(国税庁Q&A Q5-1・Q7-1)。個人事業主の方の所得税の基礎控除については、個人事業主の税務にもまとめています。
令和9年分から変わること(予告)
【確定・施行前】令和9年(2027年)分から、給与の源泉徴収について次のことが変わります(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」8ページ、「令和8年分 年末調整のしかた」44〜46ページ(PDF))。
防衛特別所得税と復興特別所得税
- 源泉徴収義務者は、令和9年1月1日以後に生ずる所得について所得税を源泉徴収する際に、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%)をあわせて徴収し、所得税とあわせて納付します。
- 復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に下がり、課税期間は令和29年(2047年)12月31日まで10年間延長されます。
- 合計の税率は2.1%で変わらないため、源泉徴収税額の計算方法は変わりません。所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の合計額を、1枚の所得税徴収高計算書(納付書)で納付します。給与は「令和9年分 源泉徴収税額表」で求め、令和9年分の年末調整も合計額(年調所得税額×102.1%)で行います。
- 国税庁の例では、所得税率10%の報酬・料金888,888円を支払う場合、888,888円×10.21%=90,755.4648円で、1円未満を切り捨てた90,755円を源泉徴収します。
令和9年分の扶養控除等(異動)申告書
- 源泉控除対象配偶者は、合計所得金額900万円以下の所得者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が95万円以下(給与だけなら収入169万円以下)の人です。
- 源泉控除対象親族には、控除対象扶養親族のほか、年齢19歳以上23歳未満で合計所得金額が62万円超100万円以下(給与だけなら収入174万円以下)の親族が含まれます。
- ひとり親控除は、令和9年分から38万円(改正前35万円)になります。
令和10年分以後
令和10年分以後は、給与所得控除の最低保障額は69万円、基礎控除は合計所得金額132万円以下の人が99万円、132万円超2,350万円以下の人が62万円となります(現行法)。また、令和10年分以後の基礎控除額と給与所得控除の最低保障額は、2年ごとに全国消費者物価指数の変化率をもとに見直すことを基本とすることとされました(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」3ページ)。
よくある質問
令和8年分の年末調整で、基礎控除はいくらになりますか。
合計所得金額が489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下なら62万円です。2,350万円を超える場合の控除額は改正されておらず、2,500万円を超えると基礎控除はありません。従業員から提出される基礎控除申告書に、改正後の控除額が書かれているかを確認します。〔国税庁 令和8年分 年末調整のしかた〕
11月までの給与の源泉徴収は、改正後の金額でやり直す必要がありますか。
やり直す必要はありません。令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更はなく、12月の年末調整で、改正後の基礎控除額と「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使って1年分の税額を計算し、それまでの源泉徴収税額と精算します。〔国税庁 基礎控除の引上げ等関係Q&A Q1-1〕
年末調整の書類を、12月1日より前に従業員から集めてもよいですか。
差し支えありません。国税庁は、12月1日から改正を反映した書類の提出を受けたのでは年末調整に間に合わない場合も考えられるとして、同日以後に適用される改正を反映した書類を同日前から提出することとしてもよいとしています。〔国税庁 基礎控除の引上げ等関係Q&A Q1-2〕
改正で新たに扶養親族になった家族は、扶養控除等申告書にどう書きますか。
扶養控除等(異動)申告書にその家族を記載し、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと書いて提出します。原則として12月1日以後最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出しますが、年末調整を行う時までに提出があれば、その申告に基づいて年末調整ができます。なお、11月30日以前に支払う給与の源泉徴収では、その家族を扶養親族等の数に含めません。〔国税庁 基礎控除の引上げ等関係Q&A Q2-1〕
大学生の子のアルバイト収入(給与)が150万円の場合、親の控除はどうなりますか。
子が19歳以上23歳未満で収入が給与だけなら、合計所得金額は150万円−74万円=76万円です(当会計算)。62万円を超えるため扶養控除の対象にはなりませんが、62万円超123万円以下なので特定親族特別控除の対象になり、控除額は63万円です。親は、勤務先に特定親族特別控除申告書を提出します。〔国税庁 令和8年分 年末調整のしかた〕
11月に退職した従業員にも、改正後の基礎控除は適用されますか。
年の中途で退職した人は、死亡による退職や、その年の給与の総額が136万円以下のパートタイマーなどの退職(退職後にほかの勤務先から給与を受ける見込みの人を除きます)など一定の場合を除き、年末調整の対象になりません。また、令和8年11月30日以前に最後の給与を支払って年末調整をした場合、その年末調整には改正後の控除等が適用されません。どちらの場合も、改正後の控除を受けるには本人が確定申告をします。〔国税庁 令和8年分 年末調整のしかた、基礎控除の引上げ等関係Q&A Q1-3・Q7-1〕
令和8年分の給与所得の源泉徴収票は、税務署に提出しますか。
令和9年1月1日以後に提出する令和8年分の給与所得の源泉徴収票は、市区町村に給与支払報告書を提出すれば税務署に提出したものとみなされるため、税務署への提出は不要です。従業員への交付は引き続き必要です。給与支払報告書の提出期限は令和9年2月1日(月)です。〔国税庁 源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ、令和8年分 法定調書の作成と提出の手引〕
ひとり親控除の引上げ(38万円)は、令和8年分の年末調整に反映しますか。
反映しません。ひとり親控除を38万円に引き上げる改正は令和9年分以後の所得税に適用されるため、令和8年分の年末調整では35万円のままです。〔国税庁 基礎控除の引上げ等関係Q&A Q3-2〕
令和9年1月から防衛特別所得税が始まると、源泉徴収の計算方法は変わりますか。
変わりません。防衛特別所得税(1%)と、1.1%に引き下げられる復興特別所得税を合わせた税率は2.1%で、改正前の復興特別所得税の2.1%と同じだからです。令和9年1月1日以後に支払う給与は「令和9年分 源泉徴収税額表」で税額を求め、所得税と合わせて1枚の所得税徴収高計算書(納付書)で納付します。〔国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)〕
まとめ
- 令和8年分の年末調整では、基礎控除(合計所得金額489万円以下は104万円)、給与所得控除の最低保障額(74万円)、扶養親族などの所得要件(62万円以下、給与136万円以下)の改正を反映します。
- 改正は2026年12月1日施行です。11月までの月々の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で精算します。月々の税額表が新しくなるのは2027年1月からです。
- 改正で新たに扶養親族になる家族は、扶養控除等(異動)申告書に「令和8年12月1日 改正」などと書いて申告します。19歳以上23歳未満の子の給与収入が136万円超197万円以下なら、特定親族特別控除申告書で申告します。
- 11月30日以前に最後の給与を受けた退職者などには改正後の控除が適用されないため、確定申告を案内します。
- 12月分の源泉所得税の納期限は2027年1月12日(火)(納期の特例は1月20日(水))、給与支払報告書と法定調書の提出期限は2027年2月1日(月)です。
出典・参考資料
いずれも2026年9月26日に内容を確認しました。
国税庁 年末調整(令和8年分)
- 令和8年分 年末調整のしかた(表紙・目次、昨年と比べて変わった点、年末調整とは、扶養控除等(異動)申告書の受理と内容の確認、基礎控除申告書等の受理と内容の確認、保険料控除申告書の受理と内容の確認、過不足額の精算、年末調整後の再調整、令和9年分の給与の源泉徴収事務、算出所得税額の速算表・各種控除額の表。いずれもPDF)
- 令和8年分 年末調整Q&A(PDF)
- 年末調整がよくわかるページ、年末調整計算シート
国税庁 令和8年度税制改正(源泉所得税)
- 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について
- 令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月、PDF)
- 令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし(PDF)
- タックスアンサー No.2594 食事を支給したとき
国税庁 法定調書・源泉徴収票
財務省
- 令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定、PDF)
- 第221回国会における財務省関連法律(所得税法等の一部を改正する法律。2026年3月31日成立)
改訂履歴と監修について
著者:新宿間税会(新宿間税会について)
- 2025年7月22日:公開(令和7年度税制改正の実務への影響)
- 2026年9月26日:全面改訂(令和8年分の年末調整と源泉徴収の実務に主題を変更。令和8年度税制改正による基礎控除・給与所得控除の最低保障額・扶養親族などの所得要件の改正、特定親族特別控除、生命保険料控除の特例、通勤手当と食事の非課税限度額、事業者が10月〜翌年1月に行うこととスケジュール表、令和9年分からの防衛特別所得税を追加。令和7年度改正時点の工程表、根拠を確認できない数値、社会保険の扱いに関する記述を削除)
監修の状況は、冒頭の「監修について」のとおりです。
本記事は、2026年9月26日時点の法令等に基づいています。一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。