越境ECの税金Q&A:関税・消費税還付・海外VATと2026年の改正点

越境ECで日本から海外の消費者や事業者に商品を販売すると、日本の消費税は輸出免税となり、条件を満たせば仕入れにかかった消費税の還付を受けられます。一方、商品が届く国・地域では関税やVAT(付加価値税)などがかかります。この記事では、2026年10月と2028年4月の改正点までを、国税庁・財務省などの一次情報に基づいて整理します。

越境ECの税金:5つの要点【2026年9月26日時点】

  1. 日本から輸出する販売は輸出免税(消費税がかからない)で、発送方法に応じた輸出許可書などの証明書類を7年間保存することが条件です。
  2. 還付を受けられるのは、課税事業者が一般課税で申告する場合だけです。免税事業者は受けられず、簡易課税・2割特例・3割特例では還付は生じません。
  3. 郵便物は価格20万円を境に証明書類が変わります。20万円以下なら輸出申告は不要で、日本郵便の引受けを証する書類などを保存します。
  4. 2026年10月1日以後の輸出で、代金を現金や取引相手以外の者からの振込などで受け取る場合は、仕向国の輸入許可書に相当する書類の保存も必要になります。
  5. 米国は800ドル以下の貨物の関税の免税扱いを2025年8月29日から停止し、EUは2026年7月1日から150ユーロ以下の通信販売の貨物に品目ごと3ユーロの暫定的な関税を課しています。

改正の日付は改正カレンダーに、還付の可否は還付を受けられる人・受けられない人の表にまとめています。

監修について
本記事は井手政紀税理士(井手政紀税理士事務所/元 新宿税務署長(第84代)/新宿間税会 税理士部会員)の監修内容を反映しています。2026年9月26日、令和8年度税制改正等に合わせて全面改訂し、2026年9月28日に監修者の確認が完了しました。

【確定】令和8年度税制改正(2026年9月26日時点)

令和8年度税制改正(法律は所得税法等の一部を改正する法律、令和8年法律第12号。2026年3月31日成立。政令・省令の改正を含みます)により、越境ECに関係する消費税の取扱いが次のとおり変わります(財務省 第221回国会における財務省関連法律、国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」)。

  • 2026年10月1日から:免税事業者等からの仕入れの控除割合が80%から70%に下がります(代金を現金などで受け取る輸出の追加要件は、上の要点4のとおりです)。
  • 2割特例は延長されず、2026年9月30日を含む課税期間で終わります。その後の2年間(令和9年分・令和10年分)について、個人事業者に限り3割特例が設けられました。
  • 2028年4月1日から:海外から日本の消費者へ通信販売する、1万円(税抜き)以下の商品の販売にも消費税がかかります。
目次
  1. 越境ECに関係する改正カレンダー(2025〜2028年)
  2. 越境ECでかかる税金の全体像:日本側と輸出先側
  3. 越境ECの売上は輸出免税:証明書類と2026年10月からの追加要件
  4. 消費税の還付を受けられる人・受けられない人
  5. 還付額の計算例(当会試算・概算)
  6. 還付申告の手続きとスケジュール
  7. 仕入れと手数料の消費税(越境ECで多い論点)
  8. 輸出先の関税・VAT:米国・EU・シンガポールの少額貨物
  9. 海外から日本の消費者へ販売する場合:2028年4月からの見直し
  10. よくある質問
  11. 出荷前・申告前のチェックリスト
  12. 相談先
  13. 出典・参考資料

越境ECに関係する改正カレンダー(2025〜2028年)

日本の改正は法律が成立したもの、海外の変更は各国・地域の政府機関の公表資料で確認できたものだけを載せています。それぞれの根拠は、この記事の各節と出典一覧にあります。

越境ECに関係する主な改正と施行日
時期内容越境ECへの影響確定度
2025年8月29日米国:800ドル以下の貨物の関税の免税扱い(de minimis)を、全ての国からの貨物について停止米国向けの少額の商品にも関税などがかかる施行済み(米国)
2026年7月1日EU:150ユーロ以下の通信販売の貨物に、品目ごと3ユーロの暫定的な関税(2028年7月1日まで)EU向けの少額の商品に関税がかかる施行済み(EU)
2026年9月30日を含む課税期間まで2割特例の終了(個人事業者は令和8年分が最後)国内でも販売する小規模事業者の申告方法の選択確定
2026年10月1日代金を現金などで受け取る輸出は、仕向国の輸入許可書に相当する書類の保存が必要に現金取引や、取引相手以外の者からの入金がある輸出確定(同日施行)
2026年10月1日免税事業者等からの仕入れの控除割合が80%から70%に免税事業者や消費者からの仕入れ(古物商等特例の対象を除く)確定(同日施行)
2026年11月1日免税店(輸出物品販売場)のリファンド方式への移行(免税店制度)訪日客への免税販売の制度で、越境ECとは別の制度確定(同日施行)
令和9年分・令和10年分3割特例(個人事業者のみ)国内でも販売する個人事業者の申告方法の選択確定
2027年1月1日〜3月31日第二種プラットフォーム事業者の指定の判定期間(届出は2027年6月30日まで)日本向けのオンラインモールの運営者確定
2027年10月1日特定少額資産販売事業者の登録申請の受付開始海外から日本の消費者へ通信販売する事業者確定
2028年3月末個人使用の輸入貨物の課税価格の特例(海外小売価格×0.6)の廃止日本の消費者の個人輸入の少額免税の判定確定
2028年4月1日国外から国内に宛てて送る1万円(税抜き)以下の通信販売の商品の販売(特定少額資産の譲渡)に消費税を課税。第二種プラットフォーム課税の開始海外から日本の消費者へ通信販売する事業者、オンラインモールの運営者確定

「確定」は、日本の法律が成立しているものです。海外の制度は変わることがあるため、出荷の前に輸出先の税関などの最新の案内で確認してください。

越境ECでかかる税金の全体像:日本側と輸出先側

越境ECの税金は、日本で申告する消費税と、商品が届く国・地域でかかる関税・VATなどに分けて考えます。

越境ECでかかる主な税金
税金かかる国負担・申告する人日本の事業者がすること
消費税(輸出免税・還付)日本販売する事業者(課税事業者の場合)輸出の証明書類の保存、一般課税での還付申告
関税輸出先購入者が受け取るときに支払う条件で売る場合は購入者。関税などを販売者が負担して届ける条件(DDP)で売る場合は販売者品目分類(HSコード)と税率、少額貨物の扱いの確認
VAT・GSTなどの消費課税輸出先輸入の際に納める方法のほか、国・地域によっては海外の販売者が登録して納める方法(EUのIOSS、シンガポールの海外事業者登録など)登録や納税の義務があるかの確認

日本側:輸出は免税で、仕入れの消費税は控除できる

【確定・施行済み】国内からの輸出として行う商品の販売は、消費税が免除されます(輸出免税。消費税法7条)。国内で消費されないものには課税しないという考え方によるものです。一方、輸出する商品の仕入れや、梱包資材・広告費などの経費に含まれる消費税は、申告のときに控除できます(国税庁 タックスアンサー No.6551(輸出取引の免税))。

輸出免税の売上は、課税売上割合の計算で分母と分子の両方に入ります(No.6405(課税売上割合の計算方法))。このため、輸出の売上が増えても課税売上割合は下がらず、仕入れの消費税の控除は減りません。

輸出先:関税とVATを誰が負担するかは販売条件で決まる

関税は、商品を輸入する国・地域が課す税金で、税率は輸入国が品目分類(HSコード)ごとに定めています。関税やVATを誰が負担するかは、販売の条件で決まります。購入者が受け取るときに関税などを支払う条件で売る場合と、販売者が関税などを負担して届ける条件(DDP:Delivered Duty Paid)で売る場合があります。国・地域によっては、少額の貨物について海外の販売者に登録や納税を求める制度もあります(輸出先の関税・VAT)。

「越境ECの消費税の免税申請」は必要ありません

輸出免税を受けるための申請手続きはありません。課税事業者が確定申告をし、輸出の証明書類を保存していれば適用されます(No.6551)。一方で、次の届出や申請は、出した時期によって効力が生じる課税期間が決まるので、還付を受けたい課税期間より前に準備します。

  • 消費税課税事業者選択届出書:免税事業者が課税事業者になるための届出です。原則として、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から課税事業者になります(No.6501(納税義務の免除))。
  • 消費税課税期間特例選択・変更届出書:課税期間を3か月ごと・1か月ごとに短縮するための届出です(課税期間の短縮)。
  • 適格請求書発行事業者の登録申請:登録を受けると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも課税事業者になります(インボイス発行事業者の登録申請の手続き)。

越境ECの売上は輸出免税:証明書類と2026年10月からの追加要件

企業間の輸出を含む輸出免税と還付の制度全般は、輸出入と消費税Q&A(輸出免税の要件と還付の仕組み)で説明しています。

発送方法別に保存する証明書類

【確定・施行済み】輸出免税を受けるには、輸出したことを証明する書類を整理し、納税地などに7年間保存します。越境ECで使う発送方法ごとに、保存する書類は次のとおりです(No.6551、財務省「令和8年度税制改正の解説」消費税法等の改正(PDF))。

発送方法別:輸出免税の証明書類
発送方法輸出申告保存する書類
郵便物以外の貨物(国際宅配便・一般の貨物など)必要輸出許可書(税関長が証明した書類)
郵便物(価格20万円超)必要輸出許可書(税関長が証明した書類)
小包郵便物・EMS(価格20万円以下)不要日本郵便から交付を受けた引受けを証する書類と、発送伝票などの控え(輸出した事業者の氏名・住所等、品名と品名ごとの数量・価額、受取人の氏名・住所等、日本郵便の引受けの年月日が記載されたもの)
通常郵便物(価格20万円以下)不要日本郵便から交付を受けた引受けを証する書類に、品名と品名ごとの数量・価額を追記したもの

郵便物の輸出申告の要否は、税関 カスタムスアンサー6201(外国へ郵便物を送る場合の手続)によります。輸出許可書などには、電磁的記録(電子データ)も含まれます(No.6551)。

郵便物の「20万円」は1個ごとに判定

20万円を超えるかどうかは、本船甲板渡し価格(FOB価格)で判定します。FOB価格は、原則として郵便物の実際の決済金額(販売金額など)です。判定は原則として郵便物1個あたりの価額で行い、同じ受取人に2個以上に分けて送る場合は、それらの合計額で判定します(No.6551)。この20万円は郵便物についての基準で、国際宅配便などの郵便物以外の貨物には当てはまりません。

国際宅配便や代行業者に依頼するときは、輸出者の名義を確認する

国税庁の質疑応答事例は、輸出申告書に輸出者として記載された者(名義を貸した商社など)と実際の輸出者が異なる場合について、実際の輸出者が輸出申告書などの原本を保存し、名義を貸した事業者に「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」などを交付するといった措置をとることを条件に、実際の輸出者が輸出免税を受けられるとしています(国税庁 質疑応答事例「輸出取引に係る輸出免税の適用者」)。国際宅配便や輸出代行業者に依頼するときは、輸出申告書の輸出者が自社の名義になるか、輸出許可書をどのように受け取れるかを、事前に確認しておきます。

【2026年10月1日から】代金を現金などで受け取る輸出の追加要件

【確定・2026年10月1日施行】2026年10月1日以後に行う輸出で、代金を現金で受け取る場合や、支払いが取引相手からのものであることが明らかでない方法で受け取る場合は、これまでの証明書類に加えて、仕向国(輸出先)の税関などが発行する輸入許可書に相当する書類(電磁的記録を含みます)の保存が必要になります(国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」(PDF)、No.6551)。国税庁は、例えば次のような受け取り方を挙げています。

  • 現金で代金を受け取る
  • 暗号資産交換業者を介さずに、暗号資産で代金を受け取る
  • 取引相手以外の者(保証人など、代金の支払義務を負うことが明らかな者を除きます)から、銀行振込などで代金を受け取る

取引相手からの銀行振込や、荷為替手形による決済などは該当しません。財務省の解説によると、保存する書類(国税庁長官が指定する書類。令和8年国税庁告示第1号)は、仕向国での輸入の事実を税関などの行政機関が証明した書類で、次の事項が記載されたもの(またはその写し)です。

  • 行政機関の名称
  • 輸入の年月日
  • 資産の内容
  • 資産の金額
  • 書類の交付を受ける者の氏名または名称

郵便で送り、仕向国で税関告知書だけで通関される場合(関税などの納付があって通知書などが交付される場合を除きます)は、税関告知書またはその写しと、日本郵便の郵便追跡サービスで取得した、相手方に配達されたことが分かる配達状況の記録を保存すればよいとされています(財務省「令和8年度税制改正の解説」)。

オンラインモールや決済代行会社を通じた入金について

オンラインモールや決済代行会社を経由して売上代金が入金される場合が、「支払いが取引相手からのものであることが明らかでない方法」に当たるかどうかについて、国税庁の個別の説明は、当会では確認できていません。財務省の解説は、取引相手から代金を受け取っていることが金融機関などの記録で明らかな場合は含まれないとしています。自社の入金の流れが当たるかどうかは、所轄の税務署や税理士に確認してください。

海外の倉庫に自社の在庫を送って販売する場合

【確定・施行済み】海外の倉庫(フルフィルメントサービスなど)に置いた在庫を海外の購入者に販売する取引は、販売の時に商品が国外にあるので国外取引となり、日本の消費税はかかりません(不課税。No.6210(国外取引))。一方、国外で販売するために自社の商品を海外の倉庫へ輸出すること(国外移送)は、輸出したことを証明すれば輸出取引等とみなされ、その商品の仕入れにかかった消費税を控除できます(消費税法31条2項)。このとき、輸出許可書などの証明書類を保存し、課税売上割合の計算では、輸出した商品の本船甲板渡し価格(FOB価格)を分母と分子の両方に加えます(消費税法施行令51条3項・4項、No.6405)。

国際送料には日本の消費税がかからない

国内と国外の間の郵便や貨物の輸送も、輸出免税の対象です(No.6551、財務省「令和8年度税制改正の解説」)。国際郵便料金や国際輸送の運賃には日本の消費税が含まれないため、仕入れの消費税の控除の対象にもなりません。還付額を見積もるときは、国際送料を課税仕入れに含めないようにし、送料の請求書に消費税がかかる項目が区分して記載されているかも確認します。

消費税の還付を受けられる人・受けられない人

【確定】輸出の売上には消費税がかからないため、輸出が中心の事業者は、仕入れや経費で支払った消費税が売上の消費税を上回り、差額の還付を受けられることがあります。ただし、還付を受けられるのは課税事業者に限られ、申告の方法によっては還付が生じません(国税庁 タックスアンサー No.6613(免税事業者と仕入税額の還付))。

還付を受けられるかどうか(区分別)
区分還付理由・注意点
課税事業者で、一般課税で申告する受けられる(仕入れの消費税額が売上の消費税額を上回る場合)仕入れのインボイスと帳簿、輸出の証明書類の保存が前提です。
インボイス発行事業者の登録をしている一般課税で申告すれば受けられる登録すると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも課税事業者になります(No.6501)。2割特例・3割特例は申告のときに選ぶ特例なので、還付が見込まれる課税期間は一般課税で申告できます(簡易課税を選択している場合を除きます)。
課税事業者選択届出書を出した効力が生じた課税期間から、一般課税で申告すれば受けられる原則として、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から課税事業者になり、2年間は免税事業者に戻れません(No.6501)。
免税事業者(登録も課税事業者の選択もしていない)受けられない納税義務が免除される代わりに、仕入れの消費税の控除もできません(No.6613)。
簡易課税で申告する生じない控除額は売上の消費税額×みなし仕入率(90%〜40%)なので、売上の消費税額を超えません(No.6505(簡易課税制度))。
2割特例で申告する(2026年9月30日を含む課税期間まで)生じない納付税額は売上の消費税額の20%です。
3割特例で申告する(個人事業者の令和9年分・令和10年分)生じない納付税額は売上の消費税額の30%です。

課税事業者かどうかの判定

課税事業者かどうかは、課税期間ごとに次の点を確認します(No.6501)。

  • 基準期間(個人は前々年、事業年度が1年の法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、課税事業者です。
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間(個人は前年の1月1日〜6月30日、法人は原則として前事業年度の開始の日から6か月間)の課税売上高が1,000万円を超える場合は、課税事業者です。特定期間は、課税売上高の代わりに給与等の支払額の合計で判定することもできます(国外事業者は、2024年10月1日以後に開始する課税期間から、給与等の支払額では判定できません)。
  • インボイス発行事業者の登録を受けている場合は、基準期間の課税売上高にかかわらず課税事業者です。

資本金1,000万円以上の新設法人などには、基準期間がなくても課税事業者になる特例があります(No.6503(基準期間がない法人の納税義務の免除の特例))。課税事業者と免税事業者の違いは、消費税の基本(課税事業者と免税事業者の違い)でも説明しています。

還付が見込まれる年は一般課税で申告する

  • 2割特例(2026年9月30日を含む課税期間まで)と3割特例(個人事業者の令和9年分・令和10年分)は、事前の届出が要らず、申告のときに選ぶ特例です。還付が見込まれる課税期間は、使わずに一般課税で申告できます。それぞれの要件は、消費税の2割特例(令和8年9月30日を含む課税期間まで)と3割特例(個人事業者の令和9年分・令和10年分)で説明しています。
  • 簡易課税制度選択届出書を出している場合は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間は簡易課税で計算するため、還付は生じません。一般課税に戻すには、やめたい課税期間の初日の前日までに簡易課税制度選択不適用届出書を出す必要があり、簡易課税は原則として2年間続けて適用します(No.6505、簡易課税制度(事業区分・届出))。

免税事業者が還付を受けたい場合

  • 課税事業者選択届出書は、原則として、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から効力が生じます。課税期間の末日が土曜日・日曜日・祝日などでも提出期限は延びないため、その課税期間中に提出します(No.6501)。
  • 課税事業者を選んだ事業者は、原則として課税事業者になった日から2年間は免税事業者に戻れません。その2年の間に開始した課税期間に調整対象固定資産(建物・機械・車両などで、一の取引単位の税抜き価額が100万円以上のもの)を仕入れて一般課税で申告した場合は、原則としてその仕入れた課税期間の初日から3年間は免税事業者に戻れません(No.6501)。
  • 免税事業者が課税期間の途中でインボイス発行事業者の登録を受けた場合は、登録日以後の売上が申告の対象になる経過措置があります(No.6501)。

還付額の計算例(当会試算・概算)

次の計算例は、税率10%(国税7.8%と地方消費税2.2%の合計)の取引だけで、課税売上高が5億円以下、課税売上割合が95%以上(仕入れの消費税を全額控除できる場合)を前提にした当会の試算です。実際の申告では国税と地方消費税を分けて計算し、端数処理を行いますが、この3つの例では、分けて計算しても同じ額になることを確かめています。

計算例1:すべて海外向けに販売(法人・一般課税)

計算例1単位:円
項目金額消費税額
輸出の売上(輸出免税)12,000,0000
国内での商品の仕入れ(税抜き)8,000,000800,000
梱包資材・外注費などの経費(税抜き)1,000,000100,000
国際送料(輸出免税)金額にかかわらず0
課税売上割合12,000,000 ÷ 12,000,000 = 100%
還付見込額900,000

売上の消費税額0円から、仕入れ・経費の消費税額900,000円(800,000円+100,000円)を差し引くと900,000円のマイナスになり、これが還付見込額です。国税と地方消費税に分けると、国税702,000円(9,000,000円×7.8%)と地方消費税198,000円(702,000円×22/78)です。

計算例2:国内と海外の両方で販売(一般課税)

計算例2単位:円
項目金額消費税額
国内の売上(税抜き)3,000,000300,000
輸出の売上(輸出免税)9,000,0000
課税仕入れ(税抜き)8,000,000800,000
課税売上割合(3,000,000+9,000,000)÷(3,000,000+9,000,000)= 100%
還付見込額500,000

国内の売上の消費税額300,000円から、仕入れの消費税額800,000円を差し引くと500,000円のマイナスになり、これが還付見込額です(国税390,000円+地方消費税110,000円)。

計算例3:個人のインボイス発行事業者が申告方法を比べる

国内の売上(税抜き)2,000,000円、輸出の売上6,000,000円、課税仕入れ(税抜き)5,000,000円の個人事業者が、同じ売上・仕入れのまま各年分を申告すると仮定した比較です。2割特例と3割特例は、それぞれの要件を満たしている場合です。売上の消費税額は国内の売上に対する200,000円、仕入れの消費税額は500,000円です。

計算例3:申告方法別の納付税額・還付額単位:円
申告方法使える時期計算結果
一般課税いつでも200,000 − 500,000300,000の還付
2割特例2026年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は令和8年分まで)200,000 × 20%40,000の納付
3割特例令和9年分・令和10年分(個人事業者のみ)200,000 × 30%60,000の納付
簡易課税(第2種事業、みなし仕入率80%の場合)事前の届出が必要200,000 − 200,000 × 80%40,000の納付

輸出が多く、仕入れの消費税が売上の消費税を上回る年は、一般課税で申告すると還付を受けられます。2割特例・3割特例・簡易課税は、輸出の売上には消費税額がないため国内の売上の消費税額だけを基に計算し、還付は生じません。一般課税では、仕入れのインボイスと帳簿の保存が必要です。

軽減税率(8%)の売上や仕入れがある場合は、税率ごとに計算します。課税売上割合が95%未満の場合や、課税売上高が5億円を超える場合は、仕入れの消費税を全額は控除できず、個別対応方式か一括比例配分方式で計算します(No.6401(仕入控除税額の計算方法))。消費税の計算の全体は、消費税の計算方法で説明しています。

還付申告の手続きとスケジュール

申告期限

【確定・施行済み】消費税の確定申告は、課税期間の終了の日の翌日から2か月以内に行います。個人事業者の12月31日を含む課税期間は、翌年3月31日が期限です。消費税の申告期限の延長特例を受けている法人は、事業年度終了の日を含む課税期間の申告期限が1か月延びます。課税事業者は、課税売上げがなく納付税額がない課税期間でも、仕入れの消費税額があれば還付申告ができます(No.6601(申告と納税))。納付の期限や方法は、消費税の納付期限で説明しています。

申告書に添付する書類と、保存する書類

  • 一般課税で申告する場合は、申告書第一表に、第二表(課税標準額等の内訳書)、付表1-3(税率別消費税額計算表)、付表2-3(課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表)を添付します(標準税率と軽減税率の取引だけの場合。No.6615(確定申告書等に添付することとなる書類))。
  • 控除不足還付税額がある還付申告書には、「消費税の還付申告に関する明細書」(法人用・個人事業者用)も添付します(No.6615)。
  • 輸出許可書などの輸出の証明書類は、申告書に添付するものではなく、7年間保存する書類です(No.6551)。

申告書の各欄の書き方は消費税申告書の書き方で、e-Taxでの申告はe-Taxで消費税を申告する方法で説明しています。

課税期間を短縮して還付を早める

課税期間は、届出により3か月ごとまたは1か月ごとに短縮できます。短縮した課税期間ごとに、その末日の翌日から2か月以内に申告するので、還付申告も短い間隔で行えます(個人事業者の最後の期間は翌年3月31日まで)。短縮をやめる届出は、原則として、適用を開始した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ出せません(No.6601)。申告の回数が増えるほか、課税期間を短縮している課税期間は2割特例も3割特例も使えません(国税庁「2割特例の概要」、インボイスQ&A 問115-2)。

還付までの期間

消費税の還付までにかかる標準的な期間は、当会では国税庁の資料で確認できていません。e-Taxで還付申告をした場合は、申告から2週間程度たつと、還付金の処理状況をe-Taxで確認できるようになると案内されています(書面で申告した場合は1か月程度。e-Tax「還付金処理状況確認について」)。申告の内容について税務署から確認を求められたときに、明細書・帳簿・輸出の証明書類をすぐに示せるよう、整理しておきます。

モールの売上明細や手数料の明細は電子データのまま保存する

モールの売上レポートや手数料の請求書などを電子データでやり取りした場合は、電子帳簿保存法の「電子取引」のデータ保存の対象になります。所得税・法人税の保存義務がある事業者は、保存の方法を国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」で確認してください。

仕入れと手数料の消費税(越境ECで多い論点)

フリマアプリ・ネットオークションで仕入れた場合

【確定・施行済み】古物営業法の許可を受けた古物商が、インボイス発行事業者以外の者から棚卸資産として古物(準古物を含みます)を買い受けた場合は、一定の事項を記載した帳簿を保存するだけで仕入税額控除ができます(古物商等特例)。対価の総額が1万円以上の場合は、古物営業法の方法で相手方を確認し、住所と氏名を帳簿に記載します(インボイスQ&A 問106-2(令和8年4月改訂、PDF))。

古物商以外の事業者が、フリマアプリなどで古物営業に当たらない仕入れをした場合は、区分記載請求書等と同様の記載事項がある請求書等(取引画面の電子データを含みます)と帳簿を保存すれば、次の免税事業者等からの仕入れの経過措置を使えます。この場合、請求書等の作成者や仕入れの相手方の氏名は、「フリマアプリの名称とアカウント名」で差し支えないとされています(問106-2)。

免税事業者などから仕入れた場合:2026年10月1日から70%

【確定・2026年10月1日施行】インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れは、一定の請求書等と帳簿を保存すれば、仕入税額相当額の一定割合を控除できます。割合は、2026年9月30日までの仕入れが80%、2026年10月1日から2028年9月30日までが70%、その後は50%(2030年9月30日まで)、30%(2031年9月30日まで)と下がり、2031年10月1日以後は0%です。一の相手先からの仕入れの合計額(税込み)がその年・事業年度で1億円を超える場合、超えた部分には使えません(2026年10月1日以後に開始する課税期間から)(国税庁 インボイス制度 令和8年度税制改正特集)。割合の判定時期や帳簿の書き方は、免税事業者等からの仕入れの経過措置(70%控除と1億円上限)で説明しています。

海外モール・広告・クラウドサービスの手数料

【確定・施行済み】海外のオンラインモールの販売手数料や、海外の広告・クラウドサービスの料金は、請求元と取引の内容によって扱いが変わります。次の順に確認します(No.6118(国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係))。

  1. 請求元は国内の事業者か、国外事業者か。国内の事業者からの請求は通常の課税仕入れで、控除にはインボイスの保存が必要です。
  2. 国外事業者からの請求の場合、インターネットを通じた「事業者向け電気通信利用役務の提供」(役務の性質や取引条件から、受けるのが通常は事業者に限られるもの)に当たるか。当たる場合は、受けた事業者が申告・納税するリバースチャージ方式の対象です。
  3. 自社の課税期間が次のどれかに当たるか。一般課税で課税売上割合が95%以上の課税期間と、簡易課税・2割特例で申告する課税期間は、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされ、申告も仕入税額控除もしません。3割特例を使う年分にこの特定課税仕入れがある場合の扱いは、国税庁の説明で明確に述べられていないため、該当する取引があれば税務署に確認してください。

輸出免税の売上は課税売上割合の分母と分子の両方に入るため、非課税の売上(受取利息など)が少ない越境EC事業者は、課税売上割合が95%以上になることが多くなります。どのモールの手数料がどの区分に当たるかは、請求書の請求元と、日本の消費税額・登録番号の記載で確認します。仕組みの詳しい説明は、リバースチャージ方式にあります。

デジタルコンテンツを海外の消費者に販売する場合

電子書籍・音楽・ソフトウェアの配信など、インターネットを通じた役務の提供(電気通信利用役務の提供)は、役務の提供を受ける者の住所等で国内取引かどうかを判定します。海外に住む購入者への配信は国外取引で、日本の消費税はかかりません(不課税。No.6210、No.6118)。輸出免税ではないため、輸出の証明書類の対象でもありません。一方、配信先の国・地域の付加価値税の対象になることがあります。EUでは、EUに拠点のない事業者がEUの消費者に行うサービスの提供について、1つの加盟国でまとめて申告できる制度(non-Union scheme)があります(欧州委員会 OSSポータル「Register to OSS」)。

(参考)国外事業者のアプリ配信などのプラットフォーム課税

2025年4月1日以後、国外事業者がアプリストアなどのデジタルプラットフォームを通じて日本の消費者に行う電気通信利用役務の提供は、国税庁長官の指定を受けた特定プラットフォーム事業者を介して対価を受け取るものであれば、その特定プラットフォーム事業者が申告・納税します(No.6568(プラットフォーム課税))。日本の事業者が海外に販売する取引には直接は関係しませんが、2028年4月から始まる物品販売のプラットフォーム課税(第二種プラットフォーム事業者)と仕組みが似ています。

輸出先の関税・VAT:米国・EU・シンガポールの少額貨物の扱い(2026年9月26日時点)

海外の制度は、各国・地域の政府機関などの公表資料で確認できた内容だけを載せています。関税率は品目や原産地によって異なり、変更も多いため、この記事では個別の税率を載せていません。出荷の前に、輸出先の税関などの最新の案内で確認してください。

主な輸出先の少額貨物の関税とVAT・GST
国・地域少額貨物の関税VAT・GSTなど確認した資料
米国800ドル以下の貨物の関税の免税扱い(de minimis)は、2025年8月29日から全ての国からの貨物について停止されています。米国税関・国境保護局(CBP)は2026年6月24日、この停止を無期限に続ける規則を公表しました。この表では扱っていません。大統領令14324、CBP 2026年6月24日発表
EU2026年7月1日から、150ユーロ以下の通信販売の貨物に、品目(数量ではなく関税分類)ごとに3ユーロの暫定的な関税がかかります。VATの申告方法(IOSSなど)にかかわらず適用され、2028年7月1日までの措置で、その後は通常の関税になるとされています。税率は加盟国ごとに異なり、標準税率は15%以上とされています(2025年7月1日時点で17%〜27%)。150ユーロ以下の貨物の通信販売は、IOSS(輸入ワンストップショップ)に登録すると、販売時にVATを受け取り、まとめて申告できます。EUに拠点のない事業者がIOSSを使うには、原則として仲介者(intermediary)を指定します。欧州委員会(2026年6月8日公表)、欧州委員会 OSSポータル、欧州議会調査局(2026年1月、PDF)
シンガポールこの表では扱っていません。航空便・郵便で届く400シンガポールドル以下の低額品(関税などが課されない、または免除されるもの)を海外の事業者が消費者などに販売する場合、全世界の年間売上高が100万シンガポールドルを超え、かつ、シンガポールの消費者などへの販売が年間10万シンガポールドルを超える海外事業者は、GSTの登録をしてGSTを徴収・納付します。2020年に導入され、2023年に対象が広がった海外事業者登録(OVR)の制度です。条件によっては、オンラインモールの運営者が販売者とみなされます。シンガポール内国歳入庁(IRAS)

中国、タイなど、この表にない国・地域は、当会で一次資料を確認できていないため載せていません。

関税などを販売者が負担して届ける(DDP)場合の注意

  • 関税・VATなどを販売価格に含めるかどうかを決め、商品ページや注文確認画面に明記します。
  • 購入者が受け取るときに関税などを支払う条件で売る場合も、その旨を事前に示しておくと、受け取りの際の行き違いを避けやすくなります。
  • 販売者が輸出先で関税やVATを納める場合、輸出先での登録や代理人の指定が必要になることがあります(EUのIOSSの仲介者など)。

EUの「年間1万ユーロ」の基準は日本の事業者には当てはまらない

EUのVATには、通信販売などについて年間1万ユーロの基準がありますが、これはEUの1つの加盟国だけに拠点を置く事業者が、自国のVATの税率で申告できる範囲を定めたものです(EU「Your Europe」Cross-border VAT)。EUに拠点のない日本の事業者が、この基準によって課税を免れる仕組みではありません。EUに輸入される150ユーロ以下の貨物の通信販売はIOSS、サービスの提供はnon-Union schemeを使って申告する方法があります(欧州委員会 OSSポータル)。

海外から日本の消費者へ販売する場合:2028年4月からの見直し

【確定・2028年4月1日施行】この節は、海外の倉庫や拠点から日本の消費者へ商品を送る通信販売が対象です。国内事業者か国外事業者かにかかわらず対象になるので、日本の事業者が海外の倉庫から日本の購入者へ直接送る場合も含まれます(国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」)。

1万円以下の通信販売にも消費税がかかる(特定少額資産の譲渡)

2028年4月1日以後、事業者が通信販売の方法で国外から国内に宛てて発送する資産の譲渡のうち、一の資産の対価の額が1万円(税抜き)以下のもの(特定少額資産の譲渡)は、国内で行われた資産の譲渡として消費税の課税対象になります。販売した事業者は、国内事業者か国外事業者かにかかわらず申告・納税をします(免税事業者を除きます)。

保税地域から引き取る貨物の額が1万円以下なら引取りの際の消費税が免除され、1万円を超えると課税される扱いは変わりません。ただし、特定少額資産販売事業者の登録を受けた事業者が行う特定少額資産の譲渡に係る貨物は、輸入申告書(国際郵便の場合は税関告知書)などに登録番号などを付記して証明すれば、引取りの際の消費税が免除されます(国税庁「消費税法改正のお知らせ」)。

特定少額資産販売事業者の登録(2027年10月1日から申請受付)

  • 登録を受けるかどうかは任意です。登録申請書は2027年10月1日から提出できます。
  • 登録を受けるには課税事業者である必要があり、登録を取り消さない限り、免税事業者に戻れません。
  • 登録すると、氏名または名称、登録番号、登録年月日などが国税庁のホームページで公表されます。
  • 登録を受けた事業者は、発送に係る仕入書などに登録番号と特定少額資産の譲渡に係る資産である旨を記載し、輸入しようとする者または輸入申告を代理する通関業者に通知します。

国内に事務所などを持たない国外事業者が登録申請をする場合は、税務代理人による税務代理権限証書などを併せて提出します(財務省「令和8年度税制改正の解説」)。

オンラインモールの運営者が納税する場合(第二種プラットフォーム事業者)

オンラインモールなどを介して行われる、国外事業者の国内での資産の譲渡と特定少額資産の譲渡について、モールを介して受け取る対価の合計額が50億円を超えるプラットフォーム事業者は、国税庁長官の指定を受けて第二種プラットフォーム事業者になります。その運営者を介して対価を受け取る販売は、運営者が販売したものとみなして運営者が申告・納税し、出品者側の申告・納税は不要です。制度の開始時は、2027年1月1日から3月31日までの対価の額を4倍して判定し、2027年6月30日までに指定届出書を提出します。指定の効力は2028年4月1日に生じます(国税庁「消費税法改正のお知らせ」)。

日本の消費者の個人輸入:課税価格の特例(海外小売価格×0.6)は2028年3月末で廃止

日本に輸入される貨物は、課税価格の合計額が1万円以下であれば、一部の品目を除き、関税と消費税が免除されます(少額免税)。個人的な使用に供される貨物には、海外小売価格に0.6を掛けた額を課税価格とする特例があり、販売価格16,666円までの貨物が少額免税の対象になっています。この特例は、関税定率法等の一部を改正する法律(令和8年法律第5号)により2028年3月末で廃止され、2028年4月1日以後は、課税価格の合計額が1万円以下かどうかで判定することになります(財務省「令和8年度税制改正の解説」)。

よくある質問

越境ECの売上に日本の消費税はかかりますか。

日本から輸出する販売は輸出免税となり、消費税はかかりません。発送方法に応じた輸出許可書などの証明書類を7年間保存することが条件です。海外の倉庫に置いた在庫を海外で販売する場合は国外取引で、日本の消費税の対象外(不課税)です。〔国税庁 タックスアンサー No.6551・No.6210〕

消費税の還付を受けられるのはどのような事業者ですか。

課税事業者で、一般課税で申告する事業者です。仕入れや経費の消費税額が売上の消費税額を上回る場合に、差額の還付を受けられます。免税事業者は還付を受けられず、簡易課税・2割特例・3割特例で申告する場合も還付は生じません。〔国税庁 タックスアンサー No.6613・No.6505〕

国際郵便(EMSなど)で送った商品に輸出許可書がありません。免税になりますか。

価格が20万円以下の郵便物は、税関への輸出申告が不要です。小包郵便物・EMSなら日本郵便の引受けを証する書類と発送伝票などの控え、通常郵便物なら品名・数量・価額を追記した引受けを証する書類を保存すれば、輸出免税の証明になります。20万円を超える郵便物は輸出申告が必要で、輸出許可書を保存します。〔国税庁 タックスアンサー No.6551、税関 カスタムスアンサー6201〕

2026年10月から輸出免税の要件はどう変わりますか。

2026年10月1日以後の輸出で、代金を現金で受け取る場合や、取引相手以外の者から振り込まれる場合など、支払いが取引相手からのものであることが明らかでない方法で受け取る場合は、これまでの証明書類に加えて、仕向国の輸入許可書に相当する書類の保存が必要になります。取引相手からの銀行振込や荷為替手形による決済は該当しません。〔国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」、No.6551〕

「越境ECの消費税の免税申請」はどこに出せばよいですか。

輸出免税を受けるための申請手続きはありません。課税事業者が確定申告をし、輸出の証明書類を保存することで適用されます。還付を受けるために課税事業者になる届出(消費税課税事業者選択届出書)や、課税期間を短縮する届出は別にあり、出した時期によって効力が生じる課税期間が決まります。〔国税庁 タックスアンサー No.6551・No.6501・No.6601〕

フリマアプリで仕入れた商品を海外で売る場合、仕入れの消費税は控除できますか。

古物商が、インボイス発行事業者以外の者から棚卸資産として古物を仕入れた場合は、一定の事項を記載した帳簿の保存だけで控除できます(古物商等特例)。対価の総額が1万円以上の場合は、古物営業法の方法で相手方を確認し、住所と氏名を帳簿に記載します。古物商以外の事業者が古物営業に当たらない仕入れをした場合は、一定の請求書等と帳簿を保存すれば、免税事業者等からの仕入れの経過措置(2026年10月1日から70%)を使えます。〔インボイスQ&A 問106-2〕

海外モールの販売手数料や海外の広告費の消費税はどう扱いますか。

国外事業者から受ける「事業者向け電気通信利用役務の提供」は、リバースチャージ方式の対象です。ただし、一般課税で課税売上割合が95%以上の課税期間や、簡易課税・2割特例で申告する課税期間は、当分の間なかったものとされ、申告も仕入税額控除もしません。国内の事業者から請求される手数料は通常の課税仕入れで、控除にはインボイスの保存が必要です。〔国税庁 タックスアンサー No.6118〕

還付金はいつ受け取れますか。

消費税の還付までにかかる標準的な期間は、当会では国税庁の資料で確認できていません。e-Taxで還付申告をした場合は、申告から2週間程度たつと還付金の処理状況をe-Taxで確認できるようになると案内されています。控除不足還付税額がある申告書には「消費税の還付申告に関する明細書」を添付します。〔e-Tax「還付金処理状況確認について」、国税庁 タックスアンサー No.6615〕

アメリカ向けの少額の商品には今も関税がかかりませんか。

かかります。800ドル以下の貨物の関税の免税扱い(de minimis)は、2025年8月29日から全ての国からの貨物について停止されています。米国税関・国境保護局(CBP)は2026年6月24日、この停止を無期限に続ける規則を公表しました。税率はこの記事では扱っていないため、出荷の時点でCBPの案内などで確認してください。〔米国大統領令14324、CBP 2026年6月24日発表〕

EU向けに150ユーロ以下の商品を送る場合、関税とVATはどうなりますか。

2026年7月1日から、150ユーロ以下の通信販売の貨物に、品目(関税分類)ごとに3ユーロの暫定的な関税がかかります。2028年7月1日までの措置で、その後は通常の関税になるとされています。VATもかかり、150ユーロ以下の貨物の通信販売はIOSS(輸入ワンストップショップ)を使って販売時にVATを受け取り、まとめて申告する方法があります。〔欧州委員会 2026年6月8日公表、欧州委員会 OSSポータル〕

海外の倉庫から日本の消費者へ1万円以下の商品を送る場合、2028年4月から何が変わりますか。

2028年4月1日以後、通信販売で国外から国内に宛てて送る、一の資産の対価の額が1万円(税抜き)以下の商品の販売は、国内取引として消費税の課税対象になり、販売した事業者が申告・納税します(免税事業者を除きます)。一定の要件を満たすオンラインモールを介して対価を受け取る販売は、モールの運営者が申告・納税します。特定少額資産販売事業者の登録申請は、2027年10月1日から受け付けられます。〔国税庁「消費税法改正のお知らせ(令和8年4月)」〕

出荷前・申告前のチェックリスト

  • 自社が課税事業者かどうかを、課税期間ごとに確認した(基準期間・特定期間・インボイス登録)。
  • 還付が見込まれる課税期間は一般課税で申告する予定にした。簡易課税を選択している場合は、不適用届出書の期限を確認した。
  • 発送方法ごとの証明書類を保存している(郵便物以外の貨物と20万円超の郵便物は輸出許可書、20万円以下の郵便物は日本郵便の引受けを証する書類など)。
  • 国際宅配便や代行業者に依頼する場合、輸出申告書の輸出者の名義と、輸出許可書の受け取り方を確認した。
  • 2026年10月1日以後、代金を現金や取引相手以外の者からの振込などで受け取る取引があれば、仕向国の輸入許可書に相当する書類の入手方法を決めた。
  • 海外の倉庫へ在庫を送る場合、輸出許可書などを保存し、FOB価格を課税売上割合の計算に入れる準備をした。
  • 国際送料を課税仕入れに含めていない。
  • 仕入れのインボイスと帳簿を保存している(フリマアプリでの仕入れは古物商等特例の記載事項、免税事業者などからの仕入れは2026年10月1日以後70%の区分)。
  • 海外の手数料の請求元(国内の事業者か国外事業者か)と、自社の課税売上割合を確認した。
  • モールの売上明細や手数料の明細を、電子データのまま保存している。
  • 輸出先の関税・少額貨物の扱い・VATなどの登録義務を、出荷の前に輸出先の税関などの案内で確認し、関税などを誰が負担するかを商品ページに明記した。

相談先

  • 消費税の取扱い(輸出免税・還付・届出):所轄の税務署や、国税庁の電話相談センターで相談できます。新宿で相談する場合の窓口は、新宿で税金の相談をしたいとき(無料の公的な相談窓口)にまとめています。
  • 輸出の手続き(輸出申告・郵便物の通関):税関に確認します。郵便物の手続きは、税関のカスタムスアンサー6201で案内されています。
  • 税理士に依頼する場合:日本税理士会連合会「税理士情報検索サイト」で、所在地などから税理士を探せます。
  • 輸出先の関税・VAT:輸出先の税関や税務当局の公表資料を確認します。

出典・参考資料

いずれも2026年9月25日〜26日に内容を確認しました。国税庁のタックスアンサーは、令和8年4月1日現在の法令等に基づくものです。

国税庁 タックスアンサー・質疑応答事例

国税庁 改正・インボイス関係

財務省・税関・法令

海外の制度

改訂履歴と監修について

著者:新宿間税会(新宿間税会について)

  • 2025年7月11日:公開
  • 2026年9月25日:一部の記述を訂正(輸出免税の証明書類、2026年10月1日からの追加要件、米国・EUなどの海外の制度、還付申告の添付書類など)
  • 2026年9月26日:全面改訂(令和8年度税制改正への対応として、2026年10月1日からの輸出免税の追加要件、70%控除、2割特例の終了と3割特例、2028年4月からの少額輸入の見直しを追加。還付を受けられる人・受けられない人の表と、検算した計算例を追加。海外の制度は一次資料で確認できた米国・EU・シンガポールに絞り、根拠を確認できない数値・予測と図を削除)

監修の状況は、冒頭の「監修について」のとおりです。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については、税理士などの専門家や、所轄の税務署にご相談ください。

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