趣味のコーナー:パイプよパイプ
趣味を語ることは恐い。その人柄があらわになるに加え、いかなる趣味と言えども、奥深いものだと思うからである。遊び、慰めに終わらず、精神の高みに達するものでもあるから、たかが趣味と軽く言うことが、はばかられる。もっとも、時には、生きるための趣味なのか、趣味のために生きているのか、見分けがたくなる人も無いではない。極端に走って、生きること自体が趣味だ、とうそぶくものもいる。
私の趣味はパイプ喫煙である。喫煙は嗜好に属するが、美食をもって趣味とする人もあるし、煙を吸う道具としてのパイプの自然の木目、造型の美しさへの関心から、愛玩蒐集に到るから、これがホビーであることに疑いはない。私はパイプを愛して二十三年になる。
ところで、シガレットは誰でも手軽になじめるが、パイプは少々事情がことなる。パイプは、人を選ぶ、という。有難いことに、私はパイプに選ばれた。その幸福に毎日ひたっている。シガレットも決して悪くはないが、煙草のうまさ、心の安らぎを得るに、パイプにまさるものはない。パイプは人を選ぶ、と書いたが、人との交わりと同じで、付き合いはじめる人の心次第で、誰でも親しくなじめるものである。
最近、喫煙の害がうるさく言われているが、私はパイプを吸ってきた御蔭で健康である。何故なら煙草をおいしく吸いたいがために、快食、快眠、快便、運動、入浴を心がけてきた。健康診断も、きちんとうけている。加えて、パイプ喫煙は、シガーの吸い方と同じく、ゆっくり味わい、胸深く吸わず、口腔、鼻腔を主とした、一種の環流法で味わうから、悪影響はシガレットより軽い。煙の粒子も大きいから肺胞への浸透もすくない。
もちろん、私も煙草の体に及ぼす害を知らないわけではない。煙草を吸わない人、特に子供や病人のそばでは、きびしく自分をいましめている。自分自身に対しても節制を言い渡してある。
さて、パイプの楽しさ、味わいの紹介がこの小文では不可能なのが残念であるが、値段のことについて言えばきりがない。新車一台を買えるくらいのものから、ちょっとした御馳走をいただく、五、六千円、いや、もっと安いものもあって、その人の考え次第だが、安い物でも探せば、良いものが手にはいる。それにパイプは、使いこんで、思い出を日々にこめ、色つやをよくしてゆくものである。無理をすることはない。
私は喜怒哀楽の折々に、パイプを買う。並べてあるのを眺めれば、それを買った日の天候、気分、その日に味わった食事にいたるまで、すべて思い出せるし、また苦楽、人生の哀歓をともにしてきた日々の記憶のすべてがそこにある。パイプ党になるかどうか、買う買わないは別にして、一度、パイプ店に足を運んで欲しい。思いもしなかった発見をすることをうけあっていい。私はパイプ仲間がひとりでも多く増えることを、心から望んでいる。
いまは世紀末だが、来たる二十一世紀百年が、人類の歴史の世紀末だという。どんなものだろう? せかせかしないで、パイプでも吸って、ゆったりといきたいものである。
署からのお知らせ
金貨等とその専用枠またはケース等を一緒に小売した場合の物品税の取扱い
1. 金貨等と専用枠を一緒に小売した場合
金貨又はコインバー等と称する物品(以下「金貨等」という。)と専用枠(フレーム)─ 金貨等をペンダント、カフス、ネクタイ止め及びブレスレット等とするためのもの ─ を一緒に小売した場合は、全体が1個の貴金属製の身辺用細貨類として取扱われます。
この場合、金貨等を専用枠にはめ込んで一物としているかどうか又は金貨等と専用枠の小売価格を区分表示しているかどうかは問いません。
このように取扱われるのは、金貨等については、従前から、金貨単独ではメダルその他これに類する収集品として取扱い、また、コインバー単独では通常課税物品に該当しない地金として取扱っているところですが、金貨等と専用枠が組み合わさったことによって、金貨等とは別物品のペンダント等の身辺用細貨類として販売していると認められるからです。
2. 金貨と保護用板ケースを一緒に小売する場合
金貨と金貨の保護用板ケースを一緒に小売するに当たって、金貨と板ケースにそれぞれ小売価格が表示されていて、消費者がそれぞれを各別に購入できる状態にある場合は、金貨のみが課税対象として取扱われます。
この場合の保護用板ケースとは、例えば、同一の金貨10枚を収容するケース、1オンス・2分の1オンス・4分の1オンス・10分の1オンスの計4枚の金貨を収容するケース、1枚の金貨を収容するケース等をいいます。
なお、板ケースに金貨を収容し、小売価格の表示を金貨と板ケースの合計額のみとして、消費者が金貨又は板ケースを各別に購入できない状態にある場合は、その全体が1個の貴金属製のメダルその他これに類する収集品として取扱われます。
3. 金貨を桐箱等の専用容器付きで小売した場合
金貨を桐箱等の専用の容器(前記2の保護用板ケースではありません。)付きで小売した場合は、金貨とその容器の小売価格を区分表示しているかどうかにかかわらず、金貨とその容器の小売価格の合計額が金貨の小売価格として取扱われます。
このように取扱われるのは、物品税の課税標準額算出に当たっては、課税物品とともに消費者に入手されるべき当該物品の容器及び包装の費用も、課税物品の小売価格に含まれるものとされているからです。
4. コインバーとその容器に関する取扱い
コインバーは、通常地金として取引されているため、課税物品に該当しないものとして取扱っていますが、これを桐箱等の専用の容器(前記2の保護用板ケースではありません。)に収容して販売する場合は、地金として販売しているのではなく、収集品として販売しているものと認められるため、従来から、貴金属製のメダルその他これに類する収集品に該当する課税物品として取扱っています。
編集後記
今回の「趣味のコーナー」は、パイプの専門店(有)加賀屋社長・森井寛氏のご紹介で森内俊雄氏に「パイプの話」を書いていただきました。森内氏は角川文庫で「使者」を発表されている著名な作家です。この欄をお借りして両氏に深く御礼申しあげます。
皆様のご意見・ご要望をお寄せ下さい。
編集事務局:(株)京王百貨店経理部管理課内 342-2111 内3501
発行年月:昭和59年8月
発行者:淀橋物品税協力会