最近、洋食器の"特選品"と呼ばれる"高級輸入食器"がブームになっています。
ブームになった理由は、いろいろありますが、政府の輸入促進策はさておいて、大概次のような事が重なっての事と思われます。
ブームの原因は
- 住まいの洋風化 茶の間→リビング・ダイニング
- 食事の洋風化 米飯→パン、お茶→コーヒー、魚・煮物→肉サラダ
- 買い求めやすくなったこと
- (イ)所得の向上と円高による値下り
- (ロ)輸入パイプが太くなったことと種類が豊富になったこと。
- 輸入食器は、ブランド指向、高級化指向、店別化指向の需要動向にピッタリあったこと。
洋食器の楽しみかた
ツアーで世界の窯を見学し、歴史・風土・文化を陶磁器を通じて体感し、或いは近年盛んになった外国展などのイベント見学、美術館での観賞など"ついでに"又は"無料"で楽しむ方法もありますが、本当のよさを体感するためには、自分で購入し"用の容器"として使ってみることが一番のようです。
購入上の注意点は
陶磁器は窯により、それぞれ特徴があり使用目的がパーティの為にセットを揃えて楽しむのか、マイウエアーとして単品を楽しむのか、家具等との調和はどうかなど、TPOにあわせて購入したいものです。
又、購入方法もいろいろあり一長一短です。
- 併行輸入で直買する方法→好みのものが手に入りやすい反面、割高になりやすい。破損等の場合補充が困難
- 常設店舗で"定番品"を買う方法→補充購入・計画購入がしやすいが、好みのものがあるとは限らない。
- 各種のイベントの際に買う方法→(1)と(2)の中間の長所・短所。
食器のセットについて
和食器は5個が1組の単位で、洋食器は6個が1組の単位であることは皆様が周知のとおりです。
洋食器の揃え方は通常、49ピースとか、43ピースとかいいますが、間違いやすいのが、この"ピース"の数え方です。
コーヒーカップとソーサー(コーヒー皿)各6個で12ピースと数えます。ティーポットはポットとその蓋とで2ピースです。
その他にはパン皿、ケーキ皿、フィッシュ皿、ミート皿、スープ皿、クリーマー、サラダボール等々でセットを揃えます。
洋陶は技術移転のルーツ?
現在、コンピューター等の技術移転が話題になっていますが、陶磁器の世界では、中国、韓国、日本の東洋のすぐれた製品に接した西欧が、似たような土・上薬を求め、焼き方、彩色技術をとり入れ、国家の庇護の下で急速な技術向上を果たした、いわば技術移転のルーツではないでしょうか?
世界の陶磁器・いろいろ
P.9ウェッジウッド (イギリス)
1759年、弱冠29歳のジョサイア、ウェッジウッドが窯を開き、天性の芸術性とあくなき探求心とで、人々を魅了する名作をつくり出しました。特にウェッジウッドの名を不滅にした"ジャスパー・ウェア"は、独特の美しい青地に、ギリシャ神話から素材をとった白のカメオ風のレリーフを施したユニークな製品で有名。
マイセン (東ドイツ)
1710年、時のポーランド王およびザクセン選皇帝フリードリヒ・アウグスト1世がマイセンに磁器製作所を設立すると告知、以来280年、青い剣を交差させたマイセンのマークは、世界の頂点に位置しつづけています。日本の伊万里や柿右衛門様式とヨーロッパの伝統美が調和して、ゆるぎない地位を確保しているマイセンですが、中でもヨハン・D・クレッチマーが完成させたブルー・オニオンは最も人気のある模様のひとつ。
エス・ピー・ドレスデン (東ドイツ)
1872年、芸術と文化の都ドレスデンは、マイセン磁器誕生の地でもあります。食器よりむしろ人形や花瓶、オーナーメントに力を入れており、緻密で入念な手作業による見事な装飾陶磁は、華麗なロココ調と金彩が、コレクターらに珍重され、骨董的価値も高い。
ローゼンタール (西ドイツ)
1879年の創立と古い歴史を持っているが常に自から活性化し続け、タピオ・ヴィルカラなどの有名なデザイナーや、サルバドール・ダリなどの芸術家を起用して、自由なデザイン活動を行わせるやり方は、現代芸術であり、伝統を重んじる陶器の世界では異色の存在といえます。
その他、西ドイツには"フッチェンロイター""KPM ロイヤルベルリン""ビレロイ&ボッホ""ハインリッヒ"などの名窯メーカーがあります。
ロイヤル・ドルトン (イギリス)
1815年、テームズ川のほとりから陶磁器の町ストークオンに移転し、当時の新しい素材、ボーン・チャイナを使って陶磁器の芸術分野に進出し、世界的な名声を得ました。陶工として初のナイトの称号を受けた社主ヘンリードルトンは、フランスのレジオン・ドヌール勲章も授けられ、エドワード7世からロイヤルの名を会社と製品に冠することを許されました。
その他、イギリスには"ミントン""ロイヤル・クラウン・ダービー""ロイヤル・ウースター""スポード""コールポート"などの名窯メーカーがあります。
ベルナルド (フランス)
リモージュ焼は、フランス陶磁器の代表といえます。そのリモージュで最大の規模であり、最も古いメーカーのひとつとして、1863年に設立。各国の王室御用達として、豪華な金彩に代表される王朝風のデザインは、プラチナと金の陰影が美しく、重厚なテーブルウエアの輝きを見せます。
アビランド (フランス)
1842年、リモージュに創立され"リモージュの父"とうたわれました。アメリカ人デビッド・アビランドが創立者であります。白磁のリモージュ焼に漸新な絵付けを施して、フランス磁器に大きな改革をもたらし、魅力あるアール・ヌーヴォー・スタイルや華やかなロココ・スタイルなどに特徴があります。
その他、フランスには"マニファクチャーナショナルドセーブル""レイノー""ジョルジュ・ボワイエ""ジヤメ・セニョール"などの名窯メーカーがあります。
リチャード・ジノリ (イタリア)
1735年、カルロ・ジノリ候爵により創立、生地をいかに"白く"するかをテーマにウィーンから招いた絵付師アンライターの指導の下、素晴らしい製品がたくさん生まれ、その頃の代表作が、現在も高い人気を誇る"イタリアンフルーツ"であります。
その他、世界各国の名窯メーカー
- ヘレンド(ハンガリー)
- アウガルテン(オーストリア)
- アラビア(フィンランド)
- ロールストランド(スウェーデン)
- レノックス(アメリカ)
- ノリタケ(日本)
ロイヤルコペンハーゲン (デンマーク)
創業200余年を誇る同社は、王室と深いつながりを持つことであまりにも有名であります。その歴史はアーノルド・クローの傑出したアイデアとデザイン力により世界の脚光を浴びるまでに導いています。デンマークの自然をモチーフにした絵柄が、美しいコバルトブルーの絵付けによって映り出せる典雅な陶磁器であります。
さいごに
最近では洋食器ブームの中で、和食器の洋食器的な形のもの、洋食器的な模様をあしらったもの等もでてきています。
もともと日本人はいろいろな文化を上手に吸収し、食生活も容器と共に楽しんできましたが、洋食器ブームは一層、生活をうるおいとゆとりを与えてくれることでしょう。
一部、ヨーロッパ名窯図鑑(講談社)参照。