ブックタイトルtax-vol.21-1992-a

ページ
7/14

このページは tax-vol.21-1992-a の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

tax-vol.21-1992-a

('''''''''''''''". .お酒のはなしI'/////////////,1. お酒の起こり今から5千年前のメソポタミア地方(現在のイラク地帯)の古代バピロニアの遺跡から発掘された「モニュマン・プルー」といわれる板碑に,麦酒造りがおこなわれていたことが記されていたり,紀元前4千年~3千年のオリエント地方(現在のエジプト地帯)の遺跡から,ぶどう酒造りがおこなわれていたことを思わせる多くの道具類が発掘されているそうです。アジア地方でも,主食である米やその他の穀類を原料とし, 「かび」の糖化酵素の力をかりて古くからお酒を造っていたそうですが,今から2,500年前の古代インドの仏典にも「こうじ」造りについて書かれた物があるそうで,比較的多湿の東アジアから東南アジアにかけて, 「かび」を利用した酒造りが広く行われていたとのことです。さて,これらの技術がどの時代にどのようにして日本に渡り,今日の日本独特の「黄こうじ菌」を用いた日本酒の製造法になったかさだかではありませんが,多分に神話の時代にまで遡る古い歴史があることが想像されます。お酒は,このように古い文明のころから愛飲されてきたわけですが,それと同時に,それを飲むことによって人間が酔って楽しくなる(必ずしもそうではない方もおられますが)という神秘な面もあり,人類最高のご馳走として神々に供えられ,祭りの主役として重宝がからてまいりました。また,時には人間関係の「きずな」として重要な役割を果たし,あるいは過酷な肉体的労働の疲れを癒すことに用いられ,人類に支えられ親しまれてきたわけです。2. お酒の原料お酒の原料には大きく別けて糖質原料とでんぷん質原料とがあります。糖質原料はぶどぅ, りんご,洋なし等の果汁,砂糖きびや竜舌蘭などの植物の搾汁,獣乳や蜂蜜等で,ぶどう糖,果糖,乳糖,砂糖といった酵母が直接利用できる糖質を多く含んでいる原料です。雑学コーナー)でんぷん質原料は,米,大麦,小麦,ライ麦,とうもろこし,粟などの穀類やさつまいも,馬れいしょなどのいも類のようにでんぷんを主成分とした作物です。穀物や果物が容易に手に入らない中央アジアの遊牧民は,家畜の乳からお酒を造ります。その他,テキーラのように竜舌蘭の搾汁から造った蒸留酒や砂糖の副産物である糖蜜を原料にしたラムのような蒸留酒のようにいろいろなお酒がありますが,一般に今日では原料を醗酵させてそのまま飲んでもうまいものは「醸造酒」としてそのまま飲まれ,そのままでは癖が強くて飲み難いものは蒸留されて「蒸留酒」としてのまれる場合が多いようです。これらの原料がいずれも手にはいらない北極やエスキモーのような狩猟民族にはもともとお酒の文化はなかったそうです。3. お酒の種類お酒はその造り方によって醸造酒,蒸留酒及び混成酒に大きくわけられます。日本酒,ぶどう酒, ビールなどのように酵母によって醗酵させた液体(もろみ)をそのまま,又は濾過して飲用する酒を醸造酒といいます。醸造酒を蒸留してアルコール分を高めたのが蒸留酒です。蒸留酒の製造は,ヨーロッパの中世の錬金術の時代に遡るといわれておりますが,お酒を蒸留釜に入れて熱したところ,たまたまお酒の中のアルコールが水より揮発しやすい性質があるところからアルコール分が多く含まれる蒸気が得られ,それを冷やすことによって,したった滴が元のお酒とおよそ趣のことなるお酒であったということが蒸留酒のはじまりであったそうです。その名もスピリッツ(精)とよばれ,物質を形勢する重要な因子と考えられていたそうです。ちなみに品種を蒸留すればしょうちゅう,ピールを蒸留すればウイスキー, ぶどう酒を蒸留すればプランデーとなる訳です。醸造酒や蒸留酒をベースにして糖類,草根木皮,有機酸など様々な原料が混ぜられて製造されるお酒が混成酒で,醗酵の工程を伴いません。代表的なものではリキュール類があげられますが,薬用酒のかたちで発達してきたもので,-7-