ブックタイトルtax-vol.1-1982-a

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概要

tax-vol.1-1982-a

趣味のコーナー(g i受a復位掠小田急百貨店商品管理課長江川寛造釣られの記ハンドル捌きも軽やかに、一路千葉県館山洲の崎灯台下へと車を走らせる。今夜も磯の王者石鯛を狙っての釣行である。石鯛を求めて伊豆半島はもとより、三宅、八丈島と何度出掛けた事だろう。もっと近くに釣場はないものかと勝浦起点に釣り歩き、やっと見つけた自分だけの穴場である。片道150キロ、他所に比べれば近い。午前2時灯台下の駐車場に着くと仮眠する時間がある。暁暗の中を装備を背に釣場に向けて歩き始める。通いなれたとはいいながら葦原を抜けて磯端の道に出ると、黒く無気味な岩影や、自分の足音が人の気配に感じられて、一瞬足が鈍る。気を取りなおして自分の釣座まで来ると、先客が居ないのを確めてホッとする。キャップランプを頼りにコマセを撤き、手早く仕掛を整えて第一投、尻手をヒ゜トソに結ぶと、ようやく潮の香りがよみがえる。何度か餌打を繰返えすうち空が白み、眠気がおそって来る。うつらうつらしながら竿先を見ると、頭の上下に合わせておじぎをしている?来た!飛びつくより早く合わせわくれた、が、竿は立たなかった。根がかり? いや魚だ、弓なりの竿にゆっくりとした水の中の動きが伝わって来る。すこしずつ締込んで来る。石鯛だ。石→祇I尺和~z年9 月ハ身,崎江,,,青邊ぶ園ー冬ヽ.ra.&a強引に竿を起そうとしたとたん、魚が逸走しはじめた。一瞬、沖の根が頭をよぎる。両の手は竿を支えるのに精一杯、ドラッグは締められない。キリキリッと糸が出て、強烈なしめ込みが来た。竿尻を股にはさんだままドシソと腰から落ちた。空から銀色に輝いて道糸が降りかかった。私は、磯の夜明けが大好きである。大空と大海原、日の出に向って刻々変化する光景にとけこんで、一本の竿を通じて魚と対話する。魚は釣れても釣れなくてもよい。逃げられても苦にならない。安全を考えて地磯を選び一人無心に竿を振る。これにまさる幸せはない。.・本所辺の漬中に釣を垂るる者あり数刻にして一小鱗をも得すその後に窺ひ見る者あり嘆息して口惜しき日を空しく釣の為に過し剰ヘ一魚をも得す是そはかと云へし釣者顧て日はかの事を見る者又はかなり遂に復言はす(釣り談議第10集、丸山信著釣天狗江戸-12-